訪問看護師のキャリアアップ方法を紹介!スキルアップのためにおすすめな資格も紹介

公開日:2024/01/10 更新日:2024/01/25
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訪問看護師としてのキャリアを歩む中で、キャリアアップの方法には何があるのか悩んでいる看護師の方もいるのではないでしょうか。

今回は訪問看護師のキャリアアップの方法は何か、スキルアップするためにおすすめな資格も合わせて紹介していきます。

訪問看護師としてのキャリアを歩みながら悩んでいる方や、これから訪問看護師を目指そうとしている方も合わせてご覧ください。

訪問看護師にとってキャリアアップが必要な理由3選

そもそも訪問看護師として働く看護師にとって、長期的に働いていくためにもキャリアアップは大切なポイントです。

まずは訪問看護師にとってキャリアアップが必要な理由について3つ紹介していきます。

1.臨機応変な対応や緊急時の対応が必要

在宅の現場ではさまざまな状況が起こるリスクがあり、基本的に1人で訪問する訪問看護師は、一人で状況を判断しなければならないケースも多いでしょう。

臨機応変な対応をしたり、緊急時にスムーズに対応したりするためにも日々スキルを磨いていかなければなりません。

以前はうまく対応できずに先輩に頼りっぱなしだったという状況も、成長して自分で対応していけるようになる必要があります。

2.対応する利用者さまの疾患が多岐にわたる

高齢化が進む時代において在宅で過ごす高齢者が増える一方、小児や障がい者など高齢者以外の方の対応もさらに増えていくと予想できるでしょう。

高齢化によって相対的な小児患者数は減少しているものの、長期的な療養が必要な小児は増加している傾向にあります。また障がい者の数も「精神及び行動の障害」の傷病分類にあたる、いわゆる精神疾患を抱えた方の訪問看護利用者数は年々増加しています。

そのため高齢者特有の疾患だけでなく、小児や障がい者の特性に対応するために日々学習していく必要があり、利用者さまの需要に即して訪問看護師もスキルアップしなければならないでしょう。

参照:厚生労働省「小児在宅医療」

参照:厚生労働省「傷病分類「精神及び行動の障害」の訪問看護基本療養費別利用者数の推移」

3.看護師としての市場価値を高める

2022年の一般社団法人全国訪問看護事業協会による「訪問看護ステーション数調査結果」の資料から、訪問看護ステーションの数が年々増加していることがわかるでしょう。それに対して在宅医療の需要を感じて、訪問看護ステーションへ転職をしようと考える看護師の数も徐々に増えていく可能性も考えられます。

その中で他の看護師を先導したり教育したりするような、先輩看護師としての知識や技術を身につけるためにも、キャリアアップすることは重要といえるでしょう。

また訪問看護師になりたいと転職先を探している方も、資格取得や就職前の事前学習など、証明できる知識を身につけることで看護師としての市場価値が高まり、就職先から選ばれる看護師になれるかもしれません。

参照:一般社団法人全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーション数調査結果」

訪問看護師がキャリアアップする方法

訪問看護師としてキャリアアップするには大きく下記の2つの方法があります。

  • 資格取得
  • 研修の受講

それぞれどんな資格や研修があるのか紹介していきます。

訪問看護師としての知識やスキルを磨く資格取得

訪問看護師としてさらに質の高い看護を提供したり、各分野の知識を磨いたり、別の領域についても学んだりしたいと考えている方は資格取得をするのがおすすめです。

資格は具体的に下記のようなものがあげられます。

  • 認定看護師
  • 専門看護師
  • ケアマネジャー
  • 認知症ケア専門士

それぞれ簡単に解説していきます。

認定看護師

認定看護師は該当の看護分野において、高い看護技術と知識を保有していると認定された看護師のことを指します。

認定看護師の資格取得は学校へ通い、必要な単位を修めたり実習を乗り越えなければならなかったりと時間がかかるのが難点ですが、確実な知識を保有しているという信頼のおける資格です。

訪問看護師が認定看護分野の中でも、興味を抱きやすい特定の分野は下記の5分野と予想されるでしょう。

・在宅ケア

・認知症看護

・緩和ケア

・がん薬物療法看護

・糖尿病看護

在宅の場では高齢者だけでなく、糖尿病のような慢性疾患の方も訪問看護を利用する傾向にあります。

そのため糖尿病看護のような慢性疾患の分野に詳しい認定看護師がいると、ステーションとしてもケアの方法を学ぶことができるため、幅広い利用者さまに対応できるようになるでしょう。

他にも高齢化が進む今、自宅で疼痛と戦いながらも看取りを望む利用者さまも増えるでしょう。

緩和ケアやがん薬物療法看護について詳しい看護師がいると、看護師の学びも深まり訪問看護ステーションとしても受け入れられる利用者さまが増えていきます。

長期的な目で見ると経営的にも良いメリットがあり、看護師も学べる機会が増えてやりがいを感じられるため、認定看護師がいるステーションは活気が溢れていくのではないかと予想できます。

認定看護師になるための情報として、以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:認定看護師になるには?条件や取得までの流れ、資格取得によるメリットも解説

参照:公益社団法人日本看護協会「認定看護師」

専門看護師

専門看護師は専門看護分野とされる14分野のどれかにおいて、知識や技術を深めた看護師を指します。

専門看護師の資格取得は、決められた臨床経験の年数や研修受講などの条件をクリアした上で認定試験に合格しなければなりません。また資格取得をしたからといって終わりではなく5年ごとの更新が必要です。

訪問看護師として働く看護師の方の中には、下記のような専門分野に興味を持つ方が多いと考えられるでしょう。

・在宅看護

・地域看護

・老人看護

他にもがん看護や精神看護、小児看護など専門領域の分野もあります。そのため在宅で生活する各専門領域の疾患の方に対して、高い質の看護を提供していきたいと考える方はがん看護や精神看護、小児看護などの専門看護分野の専門看護師資格の取得もおすすめです。

資格を取得することで訪問看護ステーション全体の教育者的な役割を担うことも可能であり、ステーションの看護の質向上につながるでしょう。

認定看護師になるための情報として、以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:専門看護師になるには?資格取得までの流れや必要な臨床経験、認定看護師との違いも解説

参照:公益社団法人日本看護協会「専門看護師」

ケアマネジャー(介護支援専門員)

ケアマネジャーは介護支援専門員とも呼ばれ、要介護・要支援の状態にある高齢者や、そのご家族の相談に乗ったり、ケアプランを作成したりする業務を行います。

他にも各居宅サービスや市区町村、病院などのような医療機関や介護施設と連携をとる役目も担います。

医療の在宅への移行が進み、他職種連携が重要とされていく中でケアマネジャーはさらに重宝されるであろう資格です。臨床経験の条件を満たして。介護支援専門員研修受講試験に合格することで取得できます。

ケアマネジャーが作成したケアプランをもとに訪問看護計画書が作成されることが多いため、訪問看護ステーションにケアマネジャーがいると、各連携がスムーズになるでしょう。

また利用者さまやそのご家族が知りたい制度や医療報酬など、金額の部分についてあまり詳しくないという看護師の方も少なくないでしょう。そんな中、ケアマネジャーは詳しい知識を用いて、利用者さまやご家族へ負担額について細かく説明することも可能です。​​

看護師だけでは担いにくい制度面の知識拡充や、他職種との連携がスムーズになるといった面でも、訪問看護の現場で役立つケアマネジャーの資格は、キャリアアップとしておすすめと言えるでしょう。

参照:厚生労働省「介護支援専門員(ケアマネジャー) 」

認知症ケア専門士

一般社団法人日本認知症ケア学会が設立した民間資格である「認知症ケア専門士」も、認知症の患者さまが増えていく中で注目されている資格の一つです。

資格の有無や実務経験など関係なく受験できる試験であり、一次試験についてはWEB試験であるため、比較的資格取得しやすいのがメリットです。

また、在宅で過ごす認知症の方も増えていき、周辺症状に悩まされているご家族の方もいるため、ご家族も含めた家族看護の視点も合わせて学ぶと適切な看護を提供しやすいでしょう。

参照:一般社団法人日本認知症ケア学会「認知症ケア専門誌」

訪問看護師として働ける業務の幅を増やす研修受講

2015年10月から開始された、特定行為研修と呼ばれる保健師助産師看護師法によって定められた研修の受講もキャリアアップの方法の一つです。

特定行為研修を修了すると、特定行為と呼ばれる専門性の高い医療ケア38種類が、医師の指示の下、手順書により行えるようになります。

医療設備が十分でなく医師がそばにいない訪問看護の現場で、より専門性の高いケアを提供できるようになるため、訪問看護ステーションから特に注目されている研修です。

他にも精神領域の利用者さまの対応をできるようにするために、精神看護領域の研修に行く訪問看護師もいます。精神科訪問看護基本療養費の届出要件を満たすための研修は、いくつかの団体が開催しているため受けやすい研修を受けると良いでしょう。

参照:日本看護協会|厚生労働省 看護師の特定行為に係る研修機関拡充支援事業「特定行為とは」

参照:日本看護協会|厚生労働省 看護師の特定行為に係る研修機関拡充支援事業「特定行為研修制度とは」

訪問看護師のキャリアを歩む中で気をつけたい注意点

最後に訪問看護師のキャリアを歩む中で気をつけたい注意点を解説します。

キャリアアップを考えているという方も、この注意点を知って気をつけながらキャリアアップを目指すと良いでしょう。

自分の看護師としてのキャリアプランを明確にしておく

看護師の中には、自分が看護師としてやりたいことを明確にしておらず、何を目指しているのかわからなくなってしまい、働き方に悩んでしまうという人も少なくありません。

悩んでしまう理由には、キャリアプランを明確にしていなかったことが原因と考えられます。

「〇〇の資格を取得したあと、管理者の研修を受けて、このステーションで管理者をやる」というようなマネジメントをしていくキャリアプランや、「専門看護師の資格を取得し、訪問看護師を目指す看護師の教育にも携わり、現場で活躍し続けるスペシャリストとしての道を歩む」というようなキャリアプランなど、いろんなキャリアプランが訪問看護の現場にもあります。

自分の看護師としてのキャリアプランを明確にした上で、キャリアアップやスキルアップなど考えていく必要があります。

資格取得や研修などのキャリアアップについて考えるのではなく、あくまでもキャリアプランを描くのが先です。まずは実行可能な現実的なキャリアプランを考えるようにしましょう。

看護師のキャリアプランに関しては以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:看護師のキャリアプランの答え方とは?転職面接での伝え方や例文も紹介

スキルアップには知識だけでなく実践が大切と認識する

資格を取得したり、研修を受講したりと知識を得ることも大切ですが、何よりも訪問看護は現場でそのスキルを活かして看護実践を行い、利用者さまからフィードバックを得るのが大切です。

そもそも看護師という仕事はインプットばかりではなく、アウトプットもすることでスキルが磨かれていきます。

キャリアのゴールがスキルや資格の取得、研修の修了となってしまわないようにしましょう。

学んだ知識を訪問看護の現場で実践してこそ、資格取得や研修受講などをした意味があるといえるでしょう。

訪問看護師だからといってキャリアのゴールは一つではない

訪問看護師のキャリアのゴールは一つではありません。在宅看護領域全般を学びたいと考える方もいれば、がん看護に特化して学びたいと考える方もいます。

訪問看護師になったからスペシャリストにならなければいけないわけではありません。マネジメントの道を辿ったり、新人看護師の教育に専念したいと考えていたりと、個々の背景やキャリアプランはさまざまです。そのため訪問看護師の目指す先は必ずしも同じではないと認識しておくのが大切です。

訪問看護師のキャリアアップはステーションの看護の質向上にもつながる!自分のキャリアを考えてみて

今回は訪問看護師のキャリアアップの方法や、スキルアップするためにおすすめな資格もあわせて紹介しました。

また訪問看護師としてのキャリアを歩む中での注意点についても解説しました。

訪問看護師は必ずしもキャリアアップしなければならない訳ではありませんが、キャリアアップをすることは自身の看護師のキャリアにとっても、訪問看護ステーションにとっても、大きなメリットをもたらすでしょう。

自分の看護師としての技術やスキル向上はもちろん、訪問看護ステーション全体としての看護の質向上にも繋がります。 まずは自分のキャリアプランを考えてみてから、キャリアアップの選択肢を検討してみてはいかがでしょうか

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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