看護師で急性期病棟の経験なしでも急性期病棟で働ける理由4つ!向き不向きも解説
「急性期病棟での経験がなくても、急性期病棟に転職できるの?」「急性期病棟に向いている看護師の特徴と知りたい」
看護師としてスキルアップのために、急性期病棟の就職や転職を考えているものの、経験がないことを悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
結論から伝えると、急性期病棟の経験がなくても急性期病棟で働くことはできます。
この記事では経験なしでも急性期病棟で働ける理由や急性期病棟の看護師に向き不向きな人について解説します。急性期病棟の看護師に興味があるものの経験がなく悩んでいるあなたの手助けになれると幸いです。
看護師で急性期病棟の経験なしでも急性期病棟で働ける4つの理由
急性期病棟の経験がなくても、急性期病棟の看護師として働くことができる4つの理由を紹介します。
- 慢性期でのケアや観察力は急性期病棟で活かせる
- 回復期でのコミュニケーションスキルは急性期病棟で活かせる
- 実際に慢性期病棟や回復期病棟から急性期病棟に転職する方がいる
- 急性期病棟で指導してもらえる機会がある
くわしくみていきましょう。
慢性期でのケアや観察力は急性期病棟で活かせる
急性期病棟と慢性期病棟、それぞれの病棟において看護師の方が患者さまを観察するポイントや必要な処置は異なります。
一般的に、急性期病棟では手術や治療をメインとしており、患者さまの状態が変わりやすいです。一方で、慢性期病棟は患者さまに劇的な変化がみられず、入院期間が長くなるためじっくり関わることができるイメージです。
ただし、患者さまが回復し退院できるように先を見据えたケアは、慢性期病棟だけではなく急性期病棟のケアでも必要になります。
そのため、慢性期病棟でのケアや観察力を急性期病棟の場で活かすことができるでしょう。
回復期でのコミュニケーションスキルは急性期病棟で活かせる
急性期病棟において、看護師は医師や薬剤師、臨床工学技師、ご家族などの調整役を担うこともあります。患者さまの変化は著しいなかで、多職種と連携をとりながら、ケアや処置をおこなっていかなければなりません。
そこでは、回復期病棟でのコミュニケーションスキルを活かすことができます。回復期病棟では、患者さまのリハビリを進めていくために、急性期病棟と同じように医師や看護師、理学療法士などの連携が必要です。
さまざまな職種と連携をとるため、看護師の方はコミュニケーションスキルが鍛えられます。この回復期病棟でのスキルが急性期病棟でも役立つことでしょう。
実際に慢性期や回復期から急性期病棟に転職する方がいる
急性期病棟では、24時間体制を維持したり、急患を受け入れたりする体制を維持するために中途採用も積極的におこなっている傾向です。
急性期病棟がある病院では、医療処置をする機会が多く、人工呼吸器やそのほかの生命を維持するための装置など医療機器に触れる機会が日常です。
そのため、スキルアップしたいと考え、慢性期病棟や回復期病棟から急性期病棟の病院に転職する方もいます。
急性期病棟で指導してもらえる機会がある
慢性期や回復期の病棟と同じように、急性期病棟でも指導者がつき教育を受けながら業務を進められます。
とくに、大学病院や総合病院などの規模が大きな病院は、教育体制にも力を入れているため、急性期病棟でのケアの経験がない場合でも教育や研修を受けられるため安心です。
急性期病棟のケアの経験がなく不安な方は、就職する病院を選ぶときに教育体制に注目することをおすすめします。
急性期病棟と回復期・慢性期病棟との違い
つぎに、急性期病棟と回復期・慢性期病棟による以下3つの違いを解説します。
- 求められる役割の違い
- 人員配置の基準の違い
- 入院期間の違い
それぞれについてくわしくみていきましょう。
求められる役割の違い
急性期病棟や回復期、慢性期病棟の看護師の方に求められる違いはおもに以下のとおりです。
- 急性期病棟:病気になりはじめや、急激に病状が変化する時期
- 回復期:急性期病棟から脱して、身体的な機能の回復や社会復帰を目標とする時期
- 慢性期:病状は安定し長期的な治療をおこなう時期
それぞれの時期で看護師の方の役割は異なります。
急性期病棟の患者さまの容態は急変するリスクがあるため、症状の観察にくわえ急変時の迅速な判断や適切な処置などが看護師の方に求められます。
回復期を担当する看護師の方には、急性期治療後に回復していくためのサポートや精神的なケアが求められます。
また、慢性期を担当する看護師の方の役割は、回復が難しい病気や後遺症など長期的に入院が必要である患者さまに対して、療養生活のサポートをおこなうことです。
長期的な治療になるため、ご家族に対して、患者さまの変化を伝えたり、悩みを確認したりなどコミュニケーションも大切です。
人員配置の基準の違い
つぎに、人員配置の違いについて解説します。
看護師の人員配置は「入院患者数:看護師」の比率で表記され、たとえば「3対1」であれば患者さま3人に対して看護師1人が配属されていることをあらわします。
病床区分 | 人員配置基準 | |
一般病院 | 一般 | 3:1 |
療養 | 4:1 | |
外来 | 30:1 | |
特定機能病院 | 入院 | 2:1 |
外来 | 30:1 |
急性期病棟や回復期病棟など明確な指標はデータとしてありませんが、上記の表は目安になるでしょう。
特定機能病院は、高度な医療を提供したり医療技術を開発したりするところであり、大学病院や癌センターなどが含まれます。急性期病棟としての役割を担い、規模の大きさから看護師数も多いのが特徴です。
人員配置については、病院のホームページや求人情報に記載がありますので、気になる病院の人員配置を確認してみてくださいね。
入院期間の違い
急性期病棟や回復期、慢性期病棟における入院期間の違いについて下記の表を参考にしてください。
病棟の種類 | 平均入院期間 |
急性期一般入院料1 | 11.7日 |
急性期一般入院料2~3 | 14.9日 |
急性期一般入院料4~6 | 13.8日 |
地域一般入院料 | 38.1日 |
回復期リハビリテーション病棟入院料 | 66.0日 |
療養病棟入院料 | 219.6日 |
特殊疾患病棟入院料 | 483.1日 |
回復期や慢性期病棟と比べて、急性期病棟の入院期間が短いことがわかります。患者さまに対して、長く深く関わることに苦手意識がある看護師の方にとっては、急性期病棟の病院が向いていると言えるかもしれません。
急性期病棟・慢性期で働く看護師の向き不向き
急性期病棟と慢性期で働く看護師、それぞれの向き不向きを知って自分に合った病院を選ぶときの参考にしてくださいね。
急性期病棟で働く看護師の向き不向き
急性期病棟の看護師として向いている人、不向きな人についてリストにしました。
(急性期病棟で働く看護師に向いている人)
- 体力に自信がある人
- キャリアアップを望む人
- 毎日忙しくてもやり切れる人
- 短い期間でスキルアップを望む人
- マルチタスクで業務に取り組める人
- 最新医療や高度医療に興味がある人
- 幅広い看護技術・資格を取得したい人
(急性期病棟の看護師に不向きな人)
- 忙しくなると慌ててしまう人
- ワークライフバランスを重視したい人
- 周りにペースを合わすことが苦手な人
- 命の危機に関わることに抵抗がある人
- 同時にいくつかの仕事を切り回すことが苦手な人
ただし、これらはあくまでも目安であり、当てはまった人が必ず向いている・向いていないわけではありません。
不向きな項目に当てはまった場合においても、急性期病棟の看護に対する思いや実際に急性期病棟の看護師として働いていくなかで改善できる可能性があります。
慢性期病棟で働く看護師の向き不向き
慢性期病棟の看護師として向いている人、不向きな人についても紹介します。
(慢性期病棟で働く看護師に向いている人)
- 自分のペースで成長したい人
- ワークライフバランスを大切にしたい人
- 患者さまやご家族に寄り添った看護をしたい人
- 患者さまとゆっくり関係を築きたい人
(慢性期病棟の看護師に不向きな人)
- ルーティン業務が合わない人
- 短い期間でスキルアップをしたい人
- 最新医療や高度医療に興味がある人
- ゆっくりしたペースで仕事をすることに抵抗がある人
慢性期病棟では、患者さまの入院期間が長い傾向にあるため、患者さまとの関係をじっくり築きケアすることができます。
ただし、これらもあくまで一例であるため、転職する病院やクリニックを選ぶときの参考程度としていただければ幸いです。
急性期病棟の経験なしで働く際に、あったほうが良いスキルや経験
急性期病棟の経験なしで働く際に、あった方が良いスキルや経験について下記の項目で紹介します。
- 迅速に判断できるアセスメント能力
- 細かく仕事に取り組む姿勢
- 学ぶ姿勢を持ち続けるマインド
- 感情をコントロールするスキル
それぞれのスキルや経験が急性期病棟のケアにどのように関わってくるのか解説します。
迅速に判断できるアセスメント能力
人間は、心停止後3分で約50%、呼吸停止後10分で50%、多量出血後30分で50%がそれぞれ死亡に至るとされています。
急性期病棟の患者さまは急変するリスクが高いため、看護師は迅速に判断できるアセスメント能力が欠かせません。
解剖生理の学習はもちろんのこと、急変時の対応に関する研修を受けるなどして、常に学ぶ姿勢を忘れないようにしましょう。
細かく仕事に取り組む姿勢
急性期病棟の看護師の業務は、患者さまの命に関わることも多く、細かく丁寧に取り組む姿勢が求められます。
特に状態の不安定なICUにいる患者さまは、小さな見落としやミスによって、命の危機につながる恐れがあります。
患者さまのケアや医師への報告など、すべての業務に対して細かく取り組む姿勢が必要です。
学ぶ姿勢を持ち続けるマインド
急性期病棟に限ったことではありませんが、医療や看護は日々進化しています。
検査や治療方法が変わったり医療機器が新しくなったりすると、その操作方法を覚え直さなればなりません。
こういったことからも、日頃から学び続けるマインドが急性期病棟の看護師の方には大切です。
感情をコントロールするスキル
すべての患者さまの命を助けられないことや、重度の後遺症が残ってしまう場面に立ち会うことも、急性期病棟で働く際に知っておかなければなりません。
特に、自分が対応した患者さまにそのようなことが起こった場合は、落ち込むことや責任を感じてしまうこともあります。
そのように感じることは悪いことではありません。
ただし、気持ちを切り替えなければ、ミスを起こしてしまうリスクがあります。以下のような方法で、感情をコントロールするために、以下のような方法を試してみることも良いでしょう。
- 運動をする
- 同僚や家族と話す
- 先輩の看護師に相談する
- プライベートで旅行やおいしい物を食べるなどリフレッシュする
うまく感情をコントロールしながら働くことが、急性期病棟の看護師として長く続けられるコツといえるでしょう。
急性期病棟が未経験に関するQ&A
急性期病棟での経験がない方が、急性期病棟の看護師になるにあたって、よくある質問を紹介します。
Q1:急性期病棟が未経験の場合に、あったほうが良い資格はありますか?
急性期病棟にて、より特化した看護をおこなうために、日本看護協会から認可される「認定看護師」や「専門看護師」を取得することがおすすめです。
ほかにも下記の資格は、急性期病棟の看護師としてスキルアップも期待でき、転職のときに履歴書にも記載できる資格です。
- 急性期ケア専門士
- 循環器専門ナース
- BLS(一次救命処置)
- ACLS(二次心肺蘇生法)
- PALS(小児二次救命救急法)
- 3学会合同呼吸療法認定士
資格を受けるためには、一定の臨床年数が必要な場合もあるため、事前にホームページをチェックしましょう。
Q2:新卒の看護師で、急性期病棟の経験がないときの志望動機はどう書けばいいですか?
急性期病棟で働いた経験の有無にかかわらず、なぜ急性期病棟で働こうと思ったのかを明確に伝えることが大切です。以下のような思いを志望動機に書くと、採用担当者にアピールが伝わりやすいです。
- なぜ急性期病棟を目指したのか
- 長く勤める意思があるのか
- なぜこの病院を選んだのか
- スキルアップする姿勢があるのか
- 急性期病棟の看護として何に貢献できるのか
- 性格や考えが急性期看護にマッチしているのか
これらを参考にすることで、説得力がある志望動機を書くことができるでしょう。
まとめ
ここまで急性期病棟や回復期、慢性期病棟との違いにも触れつつ、急性期病棟の経験がなくても急性期病棟の病院で働ける理由について解説しました。
回復期、慢性期病棟からの転職でも、そのスキルを活かすことができます。
さらに、急性期病棟での業務は命に関わることが多く、看護師として様々なスキルアップも期待できるためやりがいを感じられます。
看護師としてさらに成長したい方は、急性期病棟の看護師として働いてみてはいかがでしょうか。
参考文献・サイト
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。