精神科看護師に向いている人の特徴5選!精神科でのやりがいや求められるスキルも紹介
精神科の看護師になりたいと関心を持っている看護師の方もいるでしょう。
しかし「どんな人が精神科の看護師に向いているのだろうか」「精神科の看護師はどんなやりがいがあるのか」というように、精神科看護師になるのに不安を抱えている人も少なくありません。
今回は精神科看護師に向いている人の特徴を5選紹介します。また精神科で感じられるやりがいや、求められるスキルも紹介していくため、精神科看護師になりたいと考えている方は参考にしてください。
精神科看護師とは?他の科の看護師にもできる?
精神科看護師と呼ばれるのは、主に精神科の病棟や、精神科の訪問看護ステーションなど、精神疾患の患者さまへ看護を提供する役割を担う看護師を指します。
精神科看護師は他の科目とは異なったイメージを持たれることも多く、他の科からの転職は難しいのではないか、知識を活かせないのではないかと心配する看護師も少なくありません。
精神疾患は非常に奥が深く、個々によって症状もさまざまで、治療成果も大きく異なるため、教科書通りとはいかない場面も多いのが特徴です。
だからこそ働く上で多くのことを学べ、働きながら多くの新しい知識を身につけていける現場でもあります。
そして精神疾患が要因でセルフケア能力が低い患者さまも多く、身体の合併症を持つ患者さまも多いことから、他の科で学んだ知識が活かせる場合も大いにあります。
もし、現在他の科で働いており、精神科が気になっているものの自信がなく転職に踏み切れないと考えている看護師の方でも、働きながら多くのスキルを身につけていけるため大きな心配をする必要はないでしょう。
ただ前述のように、精神科に向いている人とはどんな看護師か、精神科でやりがいを感じられるのはどんな時かなど、気になる点もあるかもしれません。
次の章で詳しく解説していきます。
精神科看護師に向いている人の特徴5選!
精神科看護師に向いている人と、向いていない人の特徴はいくつかあります。ただし今当てはまらなかったからといって、働くのを諦める必要はありません。実際に精神科の現場で働きながら、向いている人の特徴を身につけていく人も多く存在します。
精神科看護師に向いている人の特徴として考えられるのは下記の5つです。
- 客観的に物事を観察できる人
- コミュニケーションを取るのが得意な人
- 精神的に安定している人
- 自己犠牲心が強くない人
- 気持ちの切り替えができる人
それぞれみていきましょう。
客観的に物事を観察できる人
精神科で働く中で、患者さまの境遇や精神状態、患者さまのご家族の気持ちなどに深入りしてしまい、自分ごとのように捉えてしまう人も看護師の方の中にはいます。
患者さまの精神状態の起伏が激しかったり、大きな変化があったりしても、常に客観的に物事を観察し判断、アセスメントできるのは、緊急時の対応も含めて適切なケアができる精神科看護師になるために重要なことといえます。
精神科では目の前での自傷行為や激しい暴言など、看護師の精神を揺さぶるような衝撃的な状況も起こりやすいです。しかし、そんな時にでも自分は看護師であり、患者さまの家族ではないと割り切り、冷静で客観的に物事を観察していける人は、精神科看護師に向いていると考えられるでしょう。
コミュニケーションを取るのが得意な人
患者さまの中には、人とコミュニケーションを取るのが苦手な人もいます。
そのような人とのコミュニケーションも積極的にとっていけるくらい、コミュニケーションを取るのが得意という人も精神科看護師には向いているかもしれません。
ただし、相手から必要以上に踏み込まれるのが苦手・怖いと感じている患者さまもいます。
そのため、誰にでもたくさん話しかけるというよりは、患者さまに合わせて必要なコミュニケーションを適切に取れるのが理想といえます。
精神的に安定している人
前述のように、精神科では看護師の心を揺さぶるような出来事が起こる場面も少なくありません。
例えばパーソナリティ障害の患者さまの場合、A看護師に構ってほしいからという理由で、他の看護師を避けるというケースもあります。
また双極性障害の患者さまの場合には、躁状態に入っていると、興奮状態が続き看護師に対して暴言を吐くケースもあるでしょう。
そんな時に、看護師自身が怒ったり悲しんだりといった感情の起伏を感じてしまうと、働くのが辛くなっていってしまうという方もいます。
これは症状の1つだと、割り切ることができる看護師のは、精神科看護師に向いていると考えられます。
自己犠牲心が強くない人
前述のように、精神的に安定しているという部分とも繋がってきますが、患者さまの状態がよくなるようにと残業してまで話を聞いたり、訪問看護の現場であれば突然の緊急訪問を予定外に入れ込んだりなど、自己犠牲心を持って看護に当たる看護師もいます。
しかし自己犠牲を払った看護は、看護師の心身を病むケースも多いため長くは続きません。
職場で仲間のためにと、少し残業するというようなケースもあるため、助け合いの現場においては自己犠牲そのものが全てが悪いわけではありません。しかし、自己犠牲心はあまり精神科看護において持たない方が看護師として長くキャリアを歩みやすいでしょう。
患者さまに対する自己犠牲心をあまり持っていない人の方が、精神科看護師に向いているといえます。
気持ちの切り替えができる人
精神疾患の方と関わっていると気づかない間に、いつの間にか自分の心が引っ張られるように憂鬱になっていたという看護師の方もいます。
また、休みの日まで看護について考えるようになっていたという看護師もいます。
特に、精神科看護では、すぐに看護問題が解決することは少なく、長い期間同じ患者さまとお付き合いが続くケースもあります。時には、看護師自身がじっくりと患者さまの変化を待つ姿勢も必要です。まじめな看護師の方は「ふと気が付くと、患者さまのことを考えていた」ということもあるかもしれません。
気持ちの切り替えは、自分自身が健全な心身で過ごすためにも重要なことであるため、仕事とプライベートの気持ちの切り替えがしっかりできる人は、精神科看護師になっても働きやすいでしょう。
精神科看護師に向いていない人の特徴3選
精神科看護師に向いている人の特徴を述べましたが、一方で向いていない人の特徴も存在します。
主に下記の3つの特徴が挙げられます。
- 周囲の感情に影響を受けやすい人
- 医療的ケアを行うのが好きな人
- 人見知りな人
ただしこれらに当てはまったからといって、必ず働けないわけではなく、働く中で克服していくことは可能です。それぞれ解説していきます。
周囲の感情に影響を受けやすい人
精神科看護師として働く中で、多くの患者さまと関わり、さまざまなエピソードを聞く場面があります。時には、強い鬱状態の患者さまと関わる場面もあるでしょう。
そのような場面では、周囲の感情に影響を受けやすいと、自分自身も気づかない間に気分が落ち込み続けていたり、患者さまや疾患について考え込むようになっていたりします。
周囲の感情に敏感なのは、観察の視点としては悪くないものの、自分自身がその感情に影響を受けやすい場合は、働き続けるのが苦しくなってしまうため向いていないかもしれません。
感情に影響を受けやすいと自覚している場合は、負の感情を適宜吐き出せるようにしていく必要があるでしょう。
医療的ケアを行うのが好きな人
精神科看護の現場では、働く環境によるものの、医療的ケアを行うことがほとんどない職場もあります。
特に精神科訪問看護では、傾聴・服薬管理などをメインとするため身体的ケアを実践する利用者さまがほとんどいない、というケースもあるでしょう。
精神科訪問看護について詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
関連記事:精神科訪問看護とは?対象の疾患や看護師の仕事内容、1日の流れや向いている人も解説!
また病棟の場合は、高齢な患者さまに身体合併症があるという場合も多いため、点滴や採血などの基本的な医療的ケアを行うことはあります。
しかし、最先端の医療機器を用いた集中治療的な医療管理をしていきたい、という看護師の方は、精神科看護師として働くのは向いていないかもしれません。
これらは、自分自身がやりたいことや学びたいことと、働く先の環境がマッチしているか、事前に確認しておく必要があるでしょう。
人見知りな人
人見知りな人は、コミュニケーションにおいて受け身となりやすいのが特徴です。
前述のように、精神科の患者さまの中にはコミュニケーションを取るのが不得意という場合も多いです。もし、人見知りな看護師の方の場合、うまく会話ができずに患者さまの思いを引き出したり、本音を聞いたりしにくいことも考えられます。
ただし、距離を詰められるのが苦手という患者さまからは、距離感が心地よいと感じられる場合もあります。
人見知りな人は、会話がうまくできないことから、働きにくさを感じる場面もあるかもしれません。しかし患者さまの個性も十人十色なため、人見知りな看護師のように最初は慎重な関わりをする人の方が相性が良いと感じる患者さまもいるでしょう。
精神科看護師として働く中で感じられるやりがい
精神科看護師として働く中で、どんなやりがいを感じられるのか気になる方もいるのではないでしょうか。
精神科看護師として働く中で感じられるやりがいは、他の科目とはすこし異なったやりがいです。
次に精神科看護師として働く中で感じられるやりがいを、それぞれ解説していきます。
患者さまとの深い信頼関係を築ける
精神科看護師として働く中でのやりがいとしてよく耳にするのが、患者さまとの信頼関係を築けるという点です。
患者さまにとって、精神的にとても辛い状況にあったところに寄り添ってもらえた看護師の存在は、とても大きいものとなります。
時には、「生きる理由となった」というような、看護師として大きなやりがいを感じられる言葉かけをしてもらえるくらいの深い信頼を感じられる場面もあるでしょう。
患者さまとじっくり向き合い、長期的なケアをしていく場面が多い精神科では、患者さまとの深い信頼関係を築けるケースもあり、その際に感じるやりがいはかけがえのないものとなるでしょう。
患者さまとの関わりによって、自分自身も大きく成長できる
精神科では疾患について知る上で、その患者さまの出生から現在に至る人生の情報を知っておくと、ケアをする際に大切なカギとなることがあります。
そのため、さまざまな精神疾患を持つ人と関わる中で、多くの人の人生に触れていくことになるでしょう。
多くの人の人生や背景を知っていくことは、自分自身の思考や価値観を形成する過程でさまざまな影響を与えるに違いありません。
看護師自身が、新たな自分の発見や価値観の“引き出し”を広げていけるでしょう。
観察力が身に付けられる
精神科で働いているうちに、パッと見るとなんの変化も見られない患者さまが、「なんかいつもと違う」と感じられるようになってきたという看護師もいるのではないでしょうか。
「なんかいつもと違う」という違和感を大事にすることで、患者さまの状態の変化にいち早く気づけるようになっていきます。
たとえば、いつものように廊下を歩いていた患者Aさんが、周りをキョロキョロ見ながら歩くようになったとします。声をかけてみると、実は幻聴が悪化していたという場合も考えられるでしょう。
内科のように数値で見えるものが少ない精神科では、“少しの変化に気づいていくこと”が結果的に悪化を防ぐことにつながります。
働いていく中で、なかなか気付けない些細な変化に気づける観察力を身につけられるのも、やりがいの1つでしょう。
精神科看護師に向いている人になるために!求められるスキルとは
精神科看護師として長期的なキャリアを築いていくためにも「精神科看護師に向いている人になりたい!」と考えている方もいるでしょう。
最後に、精神科看護師として働く中で求められるスキルについて解説していきます。
この内容をもとに、働く前、もしくは働きながら求められるスキルを身につけていきましょう。
心身ともにタフである
精神科看護師に向いている人になるためにも、心身ともにタフであることは非常に重要です。
それと同時に体もタフであることが重要です。
たとえば、うつ状態で全く動けない方の移乗介助や清潔介助暴力的な患者さまの拘束や注射など、さまざまな場面で体力が必要と感じる場面があります。
そのため心身ともにタフであるのは、必要なスキルといえるでしょう。
観察力や洞察力を身につけている
観察力や洞察力があると、患者さまの精神状態の変化にいち早く気づけるため、精神科看護師として働きやすいでしょう。
ただしこれらはすぐに身につけられるものではなく、精神科看護師として多くの精神疾患の方と関わったり精神科について学びを深めていったりする中で身につけられるものです。
そのため、実際に働く中で観察力や洞察力を養っていくと良いでしょう。
根気強く関わっていける
精神疾患の患者さまと関わっていると、すぐに症状が改善しない方も多いです。先述した通り、精神疾患の患者さまは、数値で測れることが少なく、看護問題が解決するまでに時間がかかる、もしくは解決せず維持する状態にある場合が多いです。
そのため患者さまやご家族の不安が強くなっていく場面もみられます。その中でも看護師である自分自身は諦めずに、根気強く関わっていく必要があるでしょう。
また、精神疾患は改善したと思ったら再度悪化するということを繰り返すケースもあります。
改善した後に再度調子が悪くなった時も、「そういう時もある」と理解しながら根気強く関わっていける思考や精神力が看護師には必要です。
看護師自身が患者さまの治療を諦めずに、一人一人と根気強く関わっていけることは、必要な考え方でありスキルともいえるでしょう。
精神科看護師に向いている人になるために今から観察力を磨いていこう!
今回は、精神科看護師に向いている人の特徴や向いていない人の特徴、また精神科で感じられるやりがいや、求められるスキルについても解説しました。
身体を看る他の診療科とは異なり、数値ではかれないことが多いのが精神科の特徴です。そのぶん、看護師が患者さまの些細な変化に気づき、長期間かかわることで、患者さまにも変化が起きていきます。精神科だけでなく、どんな看護師の現場でも繊細な変化に気づくための観察力は重要視されます。
そのため事前に何かスキルを身につけられないか悩んでいる人は、「些細な変化に気づける観察力」を身につけていけるように、日々の患者さまとの関わりで学びを深めていくと良いかもしれません。
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