准看護師と看護師の給料の違いとは?資格や仕事内容の違いも詳しく解説
「准看護師から看護師になって給料アップを目指したい」「准看護師からキャリアアップしたい」などと悩んでいる准看護師の方はいませんか?
准看護師と看護師は、資格の違いから仕事の内容が異なります。
ただし、准看護師と看護師の給料の水準やキャリアについてくわしく知っている方は少ないでしょう。
本記事では、准看護師と看護師の給料の差を解説するとともに、看護師になるための具体的な方法も紹介します。将来、よりキャリアアップを目指したい、自分のスキルや経験を活かせる仕事に就きたい准看護師の方は、ぜひ最後までご覧ください。
准看護師と看護師の給料の違いは?
准看護師と看護師には、給料に大きな差があります。勤務場所や夜勤の有無によって条件は異なりますが、平均で約100万円の差があります。
准看護師と看護師の給料について、それぞれ見てみましょう。
准看護師の給料
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、准看護師の給料は以下のとおりです。
項目 | 平均額 |
月給 | 28万6,800円 |
賞与 | 62万9,500円 |
年収 | 407万1,100円 |
出典元: 令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省
准看護師は、病院や診療所などで、医師や歯科医師、看護師の指示のもと療養上の世話、診療の補助をおこなう仕事です。
看護師と同じような仕事をしますが、准看護師ではできない業務もあります。病院にや施設によっては、准看護師と看護師で基本給が異なるケースもあります。その結果、准看護師と看護師では年収面で差が出ることがあり、将来設計に影響がでる可能性があります。
看護師の給料
続いて、看護師の給料を見てみましょう。
項目 | 平均額 |
月給 | 35万2,100円 |
賞与 | 85万6,500円 |
年収 | 508万1,700円 |
出典元: 令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省
看護師の平均年収は約508万円です。
とくに、夜勤手当は月に数万円くらい支給されることもあるため、看護師の年収を大きく左右する要素です。勤務地や施設の種類によっても給料は異なりますが、様々な役割や手当が発生しやすい看護師は、高収入を得られる可能性があるといえるでしょう。
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准看護師と看護師の違い
准看護師制度は、1951年に戦後の病院増設に伴う看護師不足を補うために設けられました。
当時、女子の高校の進学率が低かったため、中学校を卒業すると取得できる資格として発足したのが始まりです。
一方で、看護師制度は、1948年に制定された「保健師助産師看護師法」(旧・保健婦助産婦看護婦法)にもとづき、国家資格として定められました。准看護師と看護師は、教育課程と資格において違いがあります。
准看護師と看護師の教育課程の違い
准看護師は、2年間の養成課程で1,890時間の授業を受け、都道府県別の試験に合格する必要があります。入学要件は中学校卒業です。
対して、看護師は、3年間の大学または専門学校で3,000時間の授業を受け、国家試験に合格する必要があります。入学要件は高校卒業です。
このように、看護師の方が教育期間は長く、専門性の高い知識や技術を学べるといえます。
准看護師と看護師の資格の違い
准看護師と看護師の資格の違いを以下の4つのポイントに絞りまとめました。
免許発行機関 | 試験頻度 | 試験地 | 合格率(2022年全国平均) | |
准看護師 | 各都道府県知事 | 年2回 | 47都道府県 | 97.9% |
看護師 | 厚生労働大臣 | 年1回(2月) | 12都道府県 | 91.3% |
参照元:令和4年度准看護師試験の実施状況/国家試験合格発表|厚生労働省
准看護師試験は、年に2回、47都道府県にて実施されます。また、受験場所を変えると、同じ年に2回の受験が可能であり、2022年の合格率も97.9%と高いです。
一方で、看護師の国家試験は年に1回、2月中旬頃におこなわれます。准看護師の試験と異なり、12都道府県でのみ実施されます。2024年の合格率は87.8%でした。
准看護師と看護師の仕事内容の違い
准看護師と看護師の基本的な業務には、以下のようなものがあります。
- 診察や手術のサポート
- 採血/注射/点滴
- 創傷処置や呼吸器の管理
- バイタルサイン測定
- 看護記録の作成
- 食事や入浴などの生活介助
対して、准看護師と看護師の仕事内容の違いは以下のとおりです。
准看護師 | 医師や看護師の指示のもとで業務を行う |
看護師 | ・自らの判断により業務を行う ・他の看護師や准看護師へ指示を出す ・看護計画を立案する |
根本的な違いとして、看護師は、医師の指示のもとで自分の判断により看護を提供できる、あるいは指示を出せます。また、療養上の世話に関しては看護計画を立案し、実践することが可能です。それに対し、准看護師は自分の判断により看護を提供することができません。
なぜなら、保健師助産師看護師法の第6条によると、准看護師は「医師や歯科医師、もしくは看護師の指示のもとで、療養上の世話や診療の補助をおこなう」と定められているからです。
自己判断による業務をしてはならないため、ほかの看護師や准看護師への指示も出せません。准看護師の養成所での教育カリキュラムには、看護計画の立案もありません。すなわち、保健師助産師看護師法に基づいて、できる業務が異なることを意味しており、看護師と准看護師は看護職であることには違いありませんが、まったく別の資格になることを指しています。
そのため、「もっと患者さまについてケアの方法を考えたい」と思っても、思うように業務ができなかったり、キャリアアップが見込めなかったりする可能性があります。
h2:准看護師から看護師になるには?
准看護師から看護師になるためには、看護師の養成所に通ったうえで看護師国家試験を受けなければなりません。
看護師の養成所には、全日制・定時制・通信制の3種類があり、通う年数や受験要件が異なります。詳しい違いについては以下の表を参考にしてくださいね。
全日制 | 定時制 | 通信制 | |
教育年限 | 2年 | 3年 | 2年 |
受験要件 | 准看護師資格有り (中卒者は実務経験3年以上) | 准看護師資格有り (実務経験7年以上) |
出典元:准看護師の生涯教育研修体制の構築|一般社団法人 日本准看護師連絡協議会
全日制の看護師養成所に通う
准看護師から看護師になるための最短ルートは、全日制の看護師養成所に通うことです。
看護の知識と技術を効率的に習得できるため、短期間で国家試験の受験資格を満たすことができます
通常、このコースは2年間の教育期間があります。受験要件は中学卒業以上であり、実務経験が3年以上あることが条件です。
定時制の看護師養成所に通う
定時制の看護師の養成所では、昼間または夜間のクラスを選択できます。
このコースは通常、全日制よりも1年長く通わなければなりません。
しかし、仕事をしながら自分のペースで学べるメリットがあります。受験要件は中学卒業以上で、3年以上の実務経験が条件です。
通信制の看護師養成所に通う
2004年から始まった通信制の看護師養成所は、時間や場所に縛られずに看護師の学習を可能にしました。
2年間、自宅で学習できる通信教材やオンライン講義で学べます。
ただし、実習は病院や診療所などでの臨地実習が必要です。また、面接授業や事例検討などのために、登校日も設けられています。
受験要件は、実務経験が7年以上あり就業場所や雇用形態の条件はありません。経験豊富な准看護師の方にとって、働きながら看護師の資格取得を目指せる魅力的な選択肢といえるでしょう。
通信制なら、自分のペースで学習を進められるだけでなく、全国の看護師養成所から自分に合った学校を選べます。ライフスタイルに合わせて学習できるため、キャリアアップを目指す准看護師の方にもおすすめです。
なお、日本看護協会では、准看護師の方が通信制で看護師の資格取得を目指すための奨学金制度を運営しています。
この制度を利用すれば、経済的な負担を軽減しながら、看護師の資格取得を目指せるでしょう。
准看護師は廃止されるのはいつから?
准看護師制度は、いつ廃止されるのか明確には決まっていません。とはいえ、准看護師の養成校と入学者数は、いずれも減少傾向にあります。
准看護師の需要がなくなれば、准看護師制度が廃止される可能性もあるでしょう。2002年から2022年までの20年間の養成所数と入学者数の推移を、以下の表にまとめました。
2002年 | 2022年 | |
准看護師養成所数 | 463校 | 200校 |
入学者数 | 15,422人 | 6,021人 |
引用:日本看護協会ホームページ
准看護師養成所数は約43%、入学者数は約39%まで減少しました。さらに、看護職員の合計に占める准看護師の割合も減少しており全体の11%です。
また、2024年3月28日に日本看護協会「法務省における准看護師養成の停止に関する要望書」を提出しました。
日本看護協会は「多様化する社会の医療ニーズに対応するには、准看護師の教育内容や時間数は不足している。看護師不足を補うための一時的な措置である准看護師制度は廃止するべきである」と訴えています。
准看護師と看護師の就業者数と求人数にも大きな差があります。2015年から2019年の期間における准看護師は約5万2千人減少したのに対して、看護師は9万5千人増加しました。
さらに、病院における求人数は、看護師が約6万人に対し、准看護師は約0.4万人。
病院が准看護師を募集する理由は、84.2%の回答が「看護師が不足しているから」です。
つまり、看護師数が足りていれば、わざわざ准看護師を雇う理由がないといえ、准看護師は廃止される可能性があります。
参考元:genjyo.pdf (nurse.or.jp) 准看護師制度について
看護職を目指す皆さまへ | 公益社団法人日本看護協会 (nurse.or.jp)
まとめ
少子高齢化が進む日本において、医療従事者の需要は今後も増え続けると予測されています。
とくに、患者さまの状態を総合的に判断し、看護計画を立案・実践できる看護師の需要はさらに高まると考えられます。
将来的に医療現場でより責任のある仕事を担いたい、あるいはキャリアアップしたい准看護師の方は、ぜひ看護師を目指してみてはいかがでしょうか。
参考文献・サイト
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。