認定看護師になるにはいくらかかる?実際にかかる費用とその内訳を解説

公開日:2024/05/02 更新日:2024/05/02
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看護師のキャリアアップの一つとして注目される認定看護師ですが、資格の取得を検討している方もいるでしょう。

認定看護師資格の取得を検討する中で気になるのは、資格取得までにかかる費用面ではないでしょうか。

今回は認定看護師になるためにかかる費用と、その具体的な内訳を解説していきます。

資格取得を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

認定看護師とは    

認定看護師とは日本看護協会によって「ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有する者として、本会(日本看護協会)の認定を受けた看護師」を指します。

2023年12月時点で約2万4千人が認定看護師に登録されていることからも、認定看護師は知名度が高く注目されている資格とわかるでしょう。

詳しい資格取得の概要や取得によるメリットについては下記の記事をご覧ください。

関連記事:認定看護師になるには?条件や取得までの流れ、資格取得によるメリットも解説

参照:日本看護協会「日本看護協会の資格認定制度について (制度の現状)」

参照:日本看護協会「認定看護師」

参照:日本看護協会「認定看護師ってどんな看護師?」

認定看護師になるにはいくらかかる?基本の費用

認定看護師になるには、研修の受講や試験の受験、登録において費用の支払いが必要です。

前提として、認定看護師資格の取得にあたり、通算5年以上の実務研修、うち3年以上は取得したい​認定看護分野​での実務研修が求められます。

その実務経験を満たした上で認定看護師になるには、下記のそれぞれのステップで費用がかかります。

・認定看護師教育機関への入学検定料、入学金、授業料

・認定審査(筆記試験)の受験料

・認定看護師認定証の認定料

それぞれの段階において具体的にどんな費用が必要なのか、それぞれ解説していきます。

認定看護師教育機関への入学検定料、入学金、授業料

認定看護師になるには実務要件を満たした後、認定看護師教育機関へ入学し教育課程を修了する必要があります。

認定看護師は2024年4月現在、A課程とB課程に分かれており、A課程は2026年を持って終了となるため、必然的に2020年から開始されているB課程の教育課程を修了する必要があります。

全国にB課程の教育カリキュラムを開講している教育機関があるため、取得したい分野の教育機関を選んで受講します。

教育機関によって必要な費用に差はあるものの、一例として日本看護協会看護研修学校の認定看護師教育課程を例にあげてみましょう。

日本看護協会看護研修学校の認定看護師教育課程では、1年の修業年限とされたカリキュラムにおいて、入学検定料として50,000円、また入学金として50,000 円(日本看護協会の会員のみ。非会員の場合は75,000円)が必要です。

授業料は科目によって差があり、特に日本看護協会看護研修学校の場合は会員か非会員かによって大きく金額差があります。

主な授業料は下記の通りです。※()は総額のうち特定行為研修の受講料を指す

・クリティカルケア学科

一般価格 1,774,000 円(1,033,600 円)

会員価格 1,120,000 円( 652,800 円)

・皮膚・排泄ケア学科

一般価格 1,611,000 円( 841,700 円)

会員価格 1,017,000 円( 531,600 円)

・感染管理学科

一般価格 1,578,000 円( 809,400 円)

会員価格 997,000 円( 511,200 円)

・糖尿病看護学科

一般価格 1,575,000 円( 777,100 円)

会員価格 994,000 円( 490,800 円)

・認知症看護学科

一般価格 1,609,000 円( 839,800 円)

会員価格 1,016,000 円( 530,400 円)

入学検定料や入学金で約10万円程度かかり、例えばクリティカルケア学科を選択して、日本看護協会の非会員であれば、約200万円近くの費用となるでしょう。

他にも多くの教育機関が存在しますが、一般的な相場として授業料は約100万円以上かかると想定しておくとよいでしょう。

参照:公益社団法人日本看護協会看護研修学校「【募集要項】2024年度認定看護師教育課程 特定行為研修を組み込んでいる教育課程(B課程教育機関)」

認定審査(筆記試験)の受験料

認定看護師になるための審査は日本看護協会によって年に1度行われています。

審査料は税込で51,700円(2024年4月17日時点)となっており、振り込みによる支払いとなっています。

消費税率の引き上げに伴い、2020年度に金額が変更されているため、最新情報は日本看護協会の公式サイトを確認してください。

参照:公益社団法人日本看護協会「認定看護師」

認定看護師認定証の認定料

書類審査の結果は『資格認定制度 審査・申請システム』にて発表されます。合格者は、認定料である税込51,700円(2024年4月17日時点)の振込が必要です。

支払いに加えて『資格認定制度 審査・申請システム』上で必要な情報を登録したら、認定看護師として名乗れるようになります。

参照:公益社団法人日本看護協会「認定看護師」

認定看護師の更新・再登録にかかる費用    

認定看護師は資格取得だけではなく、5年ごとの更新が必要な資格です。

また資格の更新をせずに失効した場合、再登録の際にもお金がかかります。

次に、認定看護師の更新・再登録にかかる費用について解説していきます。

参照:公益社団法人日本看護協会「認定看護師」

認定看護師の更新にかかる費用

前述のように認定看護師は更新が必要な資格です。

認定看護師資格は、認定から5年ごとに更新審査を実施しており、審査料として30,800円(2024年4月17日時点)の振込が必要です。

審査時に認定看護師であることはもちろん、2,000時間以上の看護実践の時間や、下記資料の合計50点以上の自己研鑽の実績があることが更新における条件となります。

参照:認定看護師 研修実績及び研究業績等申告表項目一覧

参照:公益社団法人日本看護協会「認定看護師|資格認定制度に関するお問い合わせ」

認定看護師の再登録にかかる費用

認定看護師資格を取得したものの、更新せずに失効してしまった方もいるでしょう。

その場合、再び認定看護師として登録するためには再認定審査を実施します。

こちらも前述の更新と同様に、看護師実践時間や自己研鑽の実績が必要です。

費用は再審査料として30,800円、再認定審査合格者は認定料として20,900円の振込が必要です。(2024年4月17日時点)

認定看護師になるためにかかる可能性がある費用

認定看護師になるために、必須の教育機関への入学費用や受験費用、登録費用や更新・再登録費用以外に、下記のように、個々の状況に応じて費用を負担するものもあります。

  • 引越し・家賃・光熱費などの生活における費用
  • 参考書やパソコン、プリンターの費用
  • 交通費の費用

それぞれの費用についてどのような場合に負担する必要があるのか、具体的な想定金額についても合わせて解説していきます。

引越し・家賃・光熱費などの生活における費用    

     全国的に認定看護師教育機関の数は多くはなく、自分の住んでいる地域に取得したい分野の教育機関がないというケースは多いです。

そのため看護師によっては引越しをする必要があり、またそれに伴って家賃や光熱費などの費用がかかってくる場合があるでしょう。

人によっては引越しをせず、マンスリーマンションやホテル滞在費などの宿泊費が必要になるケースもあります。

例えばクリティカルケアについて学べる教育機関は、東京都に2校、大阪府に1校のみです。

通える距離に住んでいない場合、近隣に引っ越すのが現実的といえます。

引越しの距離や時期、家の状況などによって引越し費用は大きく異なり、退去費用もそれぞれですので、事前に調査しておくと良いでしょう。

参照:公益社団法人日本看護協会「B課程 認定看護師教育機関 <クリティカルケア>2023年3月現在の情報」

参考書やパソコン、プリンターの費用

認定看護師になるために教育機関で学んでいく中で、参考書の購入や、レポート作成のためのパソコン、また資料印刷のためのプリンターを買う方もいます。

必要な時にコピー機を使うという方もいるため、プリンターの購入は必須ではないでしょう。

ただし、教育機関で学ぶために、参考書やパソコンがないと困る方も多いため、所持していない場合は購入を検討する必要があります。

参考書は、個人差はあるものの詳しく学びたい方は何冊も購入するため、数万円程度は参考書代として用意しておくとよいでしょう。

パソコンも値段に幅がある商品ではありますが、費用として10万円前後は想定しておきましょう。

交通費の費用

もし引っ越す必要はなく、教育機関に通学できる場合でも、通学のための交通費が必要となります。

教育機関が遠方にある場合、交通費が莫大になる可能性もあります。

交通費が負担となる場合は、マンスリーマンションやホテルの利用なども検討すると良いでしょう。

認定看護師に関する補助金・支援金制度    

費用面の不安から、認定看護師になることを悩む方もいるでしょう。

ここでは、認定看護師に関する補助金制度について解説します。

認定看護師になりたいと考えている方は、下記のような補助金・支援金制度を利用できます。

  • 認定看護師教育課程奨学金
  • 訪問看護ステーションにおける認定看護師資格取得支援事業
  • 八千代市看護師等修学資金貸付制度
  • 病院による学費の補助金

それぞれどのようなものか解説していきます。

認定看護師教育課程奨学金

日本看護協会による認定看護師教育課程奨学金は、資格制度の機関であるため注目されやすい支援制度です。

認定看護師の資格取得だけでなく、認定看護師資格を保有しながら特定行為研修を受講したい方にも支援制度があります。

支援内容は下記の通りです。

  • 年額120万円以内を一括貸与、学費や生活費等に幅広く活用できる
  • 地域や年齢、所得による制限はない
  • 他の奨学金や給付金等と併用できる

ただし返還が求められ、貸与年度の翌年の7月から返済が始まり、2年以内の返還が必要です。一括返還以外に、毎月均等額を支払う月賦返還や、月賦半年賦併用返還から選択できます。

奨学金の利用について、2024年度は4月と8月に申込期間があります。

その後、審査を経て約1ヶ月後に奨学金貸与者を決定し、書類を提出後、奨学金が振り込まれます。

奨学金貸与の条件は厳しいものではありませんが、連帯保証人を2名たてることが必須です。連帯保証人と奨学生との関係は問わないため、家族や親族である必要はありません。

参照:日本看護協会「認定看護師教育課程奨学金」

訪問看護ステーションにおける認定看護師資格取得支援事業

東京都では、訪問看護ステーションの質の向上を図るために「訪問看護ステーションにおける認定看護師資格取得支援事業」が設けられました。

対象分野は、以下の4分野が補償対象となります。

  • 訪問看護
  • 皮膚・排泄ケア
  • 認知症看護
  • 緩和ケア

ただし支援金の利用には事業計画書の提出が必要です。

通学の前年度に事業計画の提出が必要なため、認定看護師になろうと計画を立てている人は事業計画の作成も含めて早めに動くと良いでしょう。

参照:東京都「【補助金】令和5年度訪問看護ステーションにおける認定看護師資格取得支援事業」

参照:東京都「訪問看護ステーションにおける認定看護師資格取得支援事業費補助金交付要綱」

八千代市看護師等修学資金貸付制度

千葉県の八千代市では、将来、市内の医療機関等で看護師等の業務に従事する意思がある方を対象に、看護師等修学資金貸付制度を設けており、看護師になるための支援金だけでなく認定看護師教育課程の受講にも利用できます。

教育課程1つにつき100万円の支援金が設けられています。

八千代市だけではなく、他の地域でも補助金や支援金制度を設けている市区町村もあるため、該当の居住地域の支援金・補助金制度について調べてみると良いでしょう。

参照:八千代市「八千代市看護師等修学資金貸付制度」

病院による学費の補助金

認定看護師の資格取得に対して、勤務している病院から学費の支援金や補助金が出されるケースもあります。

ただし2022年度「専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」の報告書から、全額または一部の支援金があった病院は69.6%で、28.1%は支援がなしという状況となっています。

参照:公益社団法人日本看護協会「「2022年度専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書p.8」

認定看護師になると給料は上がる?

認定看護師になるには多くの費用がかかりますが、認定看護師資格を取得後に、現場で働くと給料アップや手当がつくのか気になる方もいるでしょう。

「2022年度専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書では、認定看護師22,155人への調査の結果、基本給が上がった看護師は10%、昇格した看護師は4.7%、昇進した看護師は5.1%となっており、上がった給与の平均額は11,191円となっていました。

そして評価待遇は特にない看護師が82.7%となっていることから、まだまだ認定看護師に対する評価がされにくい現状もわかります。

ただし、今後在宅医療への移行が進むことから、在宅医療や訪問看護ステーションの増加に伴い、看護の質の向上も求められていくと予想されます。

その中で認定看護師資格について注目されていく可能性もあるのではないでしょうか。

参照:公益社団法人日本看護協会「「2022年度専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書p.25」

認定看護師になるにはまとまった費用が必要!受験に必要な実務経験を積みながら貯めていこう

ここまで認定看護師になるにはどのくらい費用がかかるのか、具体的な費用や内訳について解説していきました。

認定看護師になるには100万円以上の授業料など高額な費用が必要です。

そして認定看護師になるには実務経験も必要なため、医療現場で経験を積みながら、認定看護師になるための費用を貯めていくのが現実的と言えるでしょう。

また費用を貯めるのが難しければ、奨学金や支援金といった利用できる制度を利用するのも一つの選択肢です。

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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