准看護学校に働きながら給料をもらって通う方法!5つの奨学金制度を解説
「准看護学校って働きながら通えるの?」「資格が欲しいけど、お金がないから仕事は続けたい!」
准看護師になりたくても、仕事を辞められない方は多いのではないでしょうか。
この記事では、今の職場で給料をもらいながら准看護学校に通う方法や、働いている方が活用できる奨学金制度を解説します。社会人で准看護師を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
働きながら給料をもらって准看護師になる4ステップ
准看護師とは、都道府県の知事が認めた資格であり、医師や看護師の指示のもと、病院や介護施設、訪問看護ステーションなどで療養上の世話や診療の補助を担当する職業です。以下の4ステップで働きながら准看護師になれます。
- 准看護師養成所に入学する
- 働きながら准看護学校に通う
- 准看護師試験に合格する
- 免許申請を行い准看護師の免許を取得する
准看護師養成所に通うルートは最終学歴が中学校卒業か、高等学校卒業によって違います。
最終学歴 | ルート |
中学校卒業 | ・准看護学校 ・衛生看護学科のある高等学校 |
高等学校卒業 | ・准看護学校 ・看護系の大学・短大 |
出典元:一般社団|日本准看護師連絡協議会
准看護師は、医療現場や介護関係などで活かせ、資格を取得する難易度は低いため人気のある資格のひとつです。高齢化社会にともない医療現場のスタッフの需要は高まっていることから、一度は社会人を経験したものの、あらためて学校に入り直し准看護師になる方もいます。
准看護師養成所に働きながら給料をもらって通う2つの方法
働きながら准看護師になるためには、准看護師養成所に通わなければなりません。主な方法は、全日制もしくは、半日制の准看護師養成所に通うことです。
自身の生活スタイルに合わせてこの2つから選べます。それぞれの方法についてくわしくみていきましょう。
全日制の准看護師養成所に働きながら通う
パートやアルバイトであれば、働きながら全日制の准看護師養成所に通えるでしょう。
というのも、多くの全日制の准看護師養成所では、週3日朝から夕方まで授業があるためです。なかには、週5日以上授業しているところもあり、カリキュラムは学校によって異なります。さらに、2年生のときには病院での実習が始まります。
そのため、正社員としてフルタイムで働きながら全日制に通うことは難しいでしょう。ハードなスケジュールとなりますが、週3日は准看護師養成所に通い、ほかの曜日でパートやアルバイトして働くことを検討しましょう。
半日制の准看護養成所に働きながら通う
半日制の准看護師養成所は、正社員を続けながら通える可能性があります。
基本的には平日の午後や夜間に授業をおこなうため、夜間開校している養成所であれば働きながら通えるためです。
半日制の准看護師養成所の期間は2年間で、週5日間授業をおこなうところが多いです。
ですが、全日制と同じように学校によってカリキュラムが異なります。そのため「週何日通学しなければならないのか」「体調を崩さずに続けられるか」など准看護師養成所に通うことと働くことのバランスを考え、無理なく続けられるようにすることが大切です。
また、働きながら学校に通う場合は、職場にも理解や協力が得られるように、上司に相談しておくと良いでしょう。
准看護師養成所に働きながら、給料をもらって通うときに活用できる4つの奨学金制度
「准看護師になるための費用の負担が少しでも軽くなれば……」と考えている方は多いのではないでしょうか。
ここでは、働きながら准看護師養成所に通うときに活用できる奨学金制度を紹介します。
奨学金制度 | 特徴 |
都道府県や自治体の奨学金 | 一定期間働くと返済が免除になる |
病院付属学校の奨学金 | 病院で働く義務あり |
日本学生支援機構の奨学金 | 第一種は利子なし |
教育訓練給付金 | 最大支援金額は80万円 |
看護師学校養成所の2年課程 進学者(通信制)に対する奨学金 | 年額36万または48万円(無利息) |
出典元:一般社団|日本准看護師連絡協議会
それぞれの奨学金制度をうまく活用し、准看護師になるための費用の負担を減らしましょう。
都道府県や自治体の奨学金|一定期間働くと返済が免除になる
都道府県や自治体の奨学金は、各都道府県が運営する看護職員を支援するための奨学金制度です。准看護師養成所の毎月の授業料くらい(約2万5,000円~4万円)の金額が支給されます。
准看護師になったあとに、指定の病院で一定期間働くとほとんどのケースで支払いが免除されます。さらに、居住地以外でも応募が可能であるケースが多いため、働きたい病院や施設が決まっている方は、この制度の利用を検討してみましょう。
ただし、自治体によっては人手不足の病院や、勤務がきつい介護施設で働くことを条件としたり、居住地の自治体によっては、この奨学金制度を取り扱っていなかったりする可能性があります。
そのため、一度、最寄りの都道府県庁や役所で問い合わせてみてください。
病院付属学校の奨学金|病院で働く義務あり
病院付属の学校の奨学金は、准看護師養成所や学校を運営する病院から支給されます。
ですが、准看護師になって指定された病院で働かなければなりません。返済の条件については病院や学校により異なるため、事前に確認しましょう。
奨学金だけではなく、生活費の援助やほかの福利厚生を受けられるケースもあります。学校のホームページや人事課などで確認してください。
日本学生支援機構の奨学金|第一種は利子なし
日本学生支援機構が運営する奨学金です。
貸与型の奨学金には第一種と第二種があり、第一種は貸与の審査が厳しいものの無利子で借りられます。第一種の審査の基準は以下のとおりです。
- 学校の成績(准看護学校、もしくは高等学校の衛生看護学科によって基準は異なる)
- 家庭の収入(世帯の人数、自営業、会社員などにより基準は異なる)
- 特定の分野における優れた学習成績や学習意欲
第一種の採用率は4人に1人といわれており狭き門です。ただし、第一種を借りられると、返済するときの負担を軽減できます。日本学生支援機構のホームページで申し込みましょう。
教育訓練給付金|最大支援金額は80万円
教育訓練給付制度とは、雇用の安定と就職を促進することを目的に作られた制度であり、准看護師の資格を取得するときに活用できます。
一定期間、雇用保険に加入するなどの条件を満たすと、厚生労働大臣が指定した教育訓練を修了した時点で受給できます。
この教育訓練給付金制度には3種類ありますが、准看護師の資格は「専門実践教育訓練」にあたります。詳しい対象者や給付額は以下の表を参考にしてください。
項目 | 概要 |
対象者 | ・雇用保険の被保険者である在職者もしくは、被保険者であった方(離職者)のうち被保険者の資格を失った日以降、受講開始までの日数が1年以内の方 (※ただし、妊娠や出産、育児、疾病などの理由で教育訓練給付の適用対象期間が延長された場合は最大20年以内) ・受講を開始する日までの雇用保険の被保険者期間が3年以上ある方(初回の場合は2年以上) |
支給額 | ・教育訓練にかかる費用の50%を6か月ごとに支給(上限年間40万円) ・准看護師の資格を取得し、訓練修了日の翌日から1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された方。または、准看護師の資格の取得が、訓練が修了した日の翌日から1年以内であり雇用保険の被保険者として雇用されている方には、教育訓練経費の20%を追加支給(上限年間16万円) |
出典元:教育訓練給付制度|厚生労働省、専門実践教育訓練給付金制度のご案内|厚生労働省
教育訓練給付金制度の活用を考えている方は、ハローワークで問い合わせると良いでしょう。
看護師学校養成所の2年課程進学者(通信制)に対する奨学金|年額36万または48万円(無利息)
看護師学校養成所の2年課程進学者(通信制)に対する奨学金とは、日本看護協会が創設した、准看護師を目指す方を支援するための奨学金制度です。
くわしい対象者や貸与期間などは以下の表を参考にしてください。
項目 | 概要 |
対象者 | ・2年課程(通信制)に在籍 ・日本看護協会の会員 |
貸与額 | ・年額36万円または48万円(無利息・貸与型。ほかの奨学金と併用可) ・任意で選んだ金額が一括で振り込まれる |
貸与期間 | 在学中の1年または2年間 |
返済期間 | 貸与終了年の翌年10月から最長4年以内 |
返済方法 | 准看護師養成所を卒業した際に一括、月賦、半年賦などの方法 |
出典元:看護師学校養成所2年課程(通信制)進学者に対する奨学金
就業先や居住地などの条件は一切ありません。学費のほかに、生活費としても活用できる奨学金制度であるため、在学中の費用の負担を軽減できるでしょう。
准看護師養成所に働きながら給料をもらって通うときの注意点
准看護師養成所に働きながら給料をもらって通うときには、以下に注意してください。
- スケジュール管理
- 健康管理
- 「准看護師になる」という意思
働きながら、准看護師の資格を取るためにはハードスケジュールとなります。とくに、2年生のときには病院での実習が始まるため、スケジュール管理や健康管理が必要です。
仕事で疲れて学校の授業に影響をきたしたり、勉強での疲れを仕事に出したりしないようにしましょう。
「准看護師になる」という意思がブレてしまうと、2年間働きながら准看護師養成所に通えません。意思を強く持ち続けられるように、准看護師になりたい目的を明らかにしておきましょう。
准看護師の給料の実態|平均29万6,200円
ここでは、准看護師の給料の実態を以下の2つのポイントで紹介します。
- 准看護師の平均月給
- 看護師との給料の比較
それぞれのポイントを知っておきましょう。
准看護師の平均月給
厚生労働省が公開した「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、准看護師(平均年齢51.2歳、勤続年数12.2年)の平均月収は29万6,200円です。
准看護師の平均年収は418万1,700円です。その内訳は以下のとおりです。
(計算式)
月収29万6,200円×12か月+賞与62万7,300円=年収418万1,700円
看護師との給料の比較
看護師と准看護師と給料を比べてみましょう。くわしくは以下の表を参考にしてください。
職種 | 月給 | 賞与 | 年収 |
准看護師 | 29万6,200円 | 62万7,300円 | 418万1,700円 |
看護師 | 35万1,600円 | 86万2,100円 | 508万1,300円 |
看護師と比べると、准看護師の月給は約6万円、年収は約90万円低いことがわかります。
准看護師と看護師では求められる役割や可能な業務が異なるためです。具体的には、准看護師は看護師に指示がなく自分で判断して看護業務をおこなったり、看護計画を立案したりはできません。
さらに、訪問看護の分野では、准看護師は訪問看護ステーションの管理者になれず、訪問看護計画書の作成やオンコール対応もできません。
准看護師を取得したあとのキャリアアップの方法
ここでは、准看護師を取得したあとのキャリアアップする方法を紹介します。准看護師としてキャリアを積んだり、看護師の免許を取得したりなどがあります。
それぞれをくわしくみていきましょう。
准看護師として経験を積む
准看護師として経験を積むことでキャリアアップできます。
働き続けることで、准看護師としての技術を磨くことで医療の現場で活躍できます。
ただし、准看護師は管理職に昇進するのが難しいため、キャリアアップしたい准看護師の方は看護師の資格取得を目指しましょう。
准看護師で働きながら看護師の免許を取得する
准看護師のキャリアアップとして、看護師の免許取得があります。
看護師になると手当の増額が見込め、看護師長や看護部長などの管理職につくことができます。また、専門看護師や認定看護師などの専門職も目指せます。
さらには、看護師の資格があると病院や訪問看護ステーションだけではなく、介護施設やクリニックなどに転職活動をするときにも有利に働くでしょう。
准看護師として働き続けながら通える、定時制の看護師養成所もあります。准看護師として、勤続7年以上であれば通信制の養成所で看護師資格を取得することも可能です。自身の目的やライフスタイルに合わせた方法でキャリアアップを目指すことが大切です。
まとめ
働き続けて給料をもらいながら、准看護師になることができます。
ただし、学業と仕事の両立は難しく、ハードワークとなり、体調を崩し准看護師養成所に通えなくなる恐れがあります。
そのため、自身のスケジュールや健康を考え、全日制や半日制などのカリキュラムを選んでください。さらに、この記事で紹介した奨学金制度をうまく活用できると、費用の負担を減らして准看護師になれるでしょう。
参考サイト・文献
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。