訪問看護の人員基準とは?常勤換算2.5人の計算方法や違反時のペナルティまで解説

公開日:2026/08/06 更新日:2026/08/06
訪問看護の人員基準とは?常勤換算2.5人の計算方法や違反時のペナルティまで解説

訪問看護ステーションの立ち上げや管理を任されたとき「看護職員は何人必要なのか」「非常勤職員はどう計算するのか」と迷う方もいるでしょう。

訪問看護の人員基準は、指定訪問看護ステーションの運営上守るべき基準の1つで、常勤換算で2.5人以上の看護職員を配置する必要があります。

この記事では、職種別の配置基準、常勤換算2.5人以上の考え方や計算方法、違反時のペナルティ、人員基準を下回りそうな場合の対応まで解説します。人員配置で確認すべきポイントが分かり、開設準備や日々の運営で適切に判断しやすくなります。

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訪問看護ステーションの人員基準とは

訪問看護ステーションにおける人員基準とは、指定訪問看護ステーションとして指定を受け、運営するために守るべき職員配置の基準です。ここでは、人員基準の位置づけや指定を受けるための基本的な知識を解説します。

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指定訪問看護ステーションの開設・運営条件

指定訪問看護の事業は、利用者さまが自宅において可能な限り自立した日常生活を営めるよう、療養生活を支援し、心身機能の維持回復を目指すものと定められています。

訪問看護ステーションを開設・運営するには、法人格を取得し「人員基準」「設備基準」「運営基準」を満たすことが必須です。法人格が求められる背景には、組織としての責任体制を明確にし、安定的かつ継続的に質の高いサービスを提供する目的があると考えられます。さらに、これら3つの基準は、訪問看護事業の目的を果たすうえで必要な最低限度の条件とされています。

訪問看護の人員基準において、看護職員は最低でも常勤換算で2.5人以上、うち1名は常勤であることが必要です。基準を満たさないと指定は受けられず、運営開始後であっても、人員基準を下回って営業を続けた場合は、介護報酬の減算や行政処分の対象となる場合もあります。

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訪問看護ステーションの指定

訪問看護ステーションの指定手続きは、介護保険法および健康保険法にもとづいています。介護保険法のもとでは都道府県知事から指定居宅サービス事業者として、健康保険法のもとでは地方厚生(支)局長から指定訪問看護事業者として、それぞれ指定を受ける仕組みです。なお、介護保険法の指定を受けた場合、健康保険法の指定も同時に受けたとみなす制度があります。

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【職種・業態別】訪問看護の人員基準・配置基準

訪問看護ステーションのなかには、理学療法士や作業療法士などのセラピストが訪問業務に従事しているところもあります。ここでは、職種・業態別の人員基準について整理します。

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看護職員

人員基準を満たすには、保健師・助産師・看護師・准看護師を合わせた看護職員を、常勤換算2.5人以上配置する必要があります。なお、助産師が常勤換算の対象となるのは健康保険法の指定訪問看護ステーションのみ限られます。

介護保険法の指定では対象外となるため、混同しないよう注意が必要です。また、看護職員のうち少なくとも1名は常勤でなければなりません。

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管理者

各訪問看護ステーションには、専従かつ常勤の管理者を1名置く必要があります。

管理者は保健師・助産師・看護師のいずれかで、医療機関での看護業務や訪問看護・訪問指導などの経験が求められます。

ただし、助産師が管理者を務められるのは健康保険法上の指定ステーションのみです。運営上の支障がなければ訪問業務との兼任も認められており、同一敷地内・隣接地にある同一法人の他事業所の管理者を兼ねることも可能です。

さらに令和6年度の改定により、ICTを活用することで、物理的に離れた事業所との兼務も認められるようになりました。

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セラピスト

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などのセラピストは、看護職員の常勤換算には算入されません。配置人数の定めはなく、事業所の提供体制や利用者さまのニーズに応じた適当数を置く形とされています。

なお、看護職員が不足している場合にセラピストの採用で補うことはできません。しかし、セラピストを配置することで提供できるサービスの幅が広がり、リハビリテーションを必要とする利用者さまへの対応力を高められます。

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サテライト

サテライトは、正式には「従たる事業所」と呼ばれます。利用者さまの増加や訪問エリアの拡大に伴い、主たる訪問看護ステーションとは別の場所に設置される、いわば出張所です。

単独での運営ではなく、利用申込みの調整や提供状況の把握、職員への技術指導などが一体的におこなわれる必要があります。運営規程も同一であり、勤務体制や勤務内容、職員管理も一元的に行われなければなりません。

サテライトの場合、人員基準は主たる訪問看護ステーションとの合算で、看護職員の常勤換算2.5人以上を満たす必要があります。

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みなし指定

みなし指定とは、健康保険法にもとづき指定を受けた病院や診療所などが、介護保険法においてもサービス提供の指定を受けたとみなされる制度です。

みなし指定を受けた病院や診療所の看護職員は、訪問看護の人員基準とは異なり、「実情に応じた適当数を配置」とされています。

みなし指定では、医療機関が既存の人員体制でスムーズに訪問看護サービスを提供できるメリットがあります。一方で、訪問できるのは看護職員のみのため、セラピストによる訪問看護は実施できません。

関連記事:訪問看護の立ち上げ方!3つの開設基準や失敗しないための対策を紹介

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訪問看護の人員基準における常勤換算の計算方法と注意点

前述のとおり、訪問看護の人員基準を満たす看護職員の配置は、常勤換算で2.5人以上です。ここでは、常勤換算の計算式と計算例、計算時の注意点について解説します。

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常勤換算の基本式

常勤換算は、看護職員の1週あたりの勤務延時間数を、常勤職員の1週あたりの勤務時間数で割って計算します。

常勤換算数=全看護職員の1週あたりの勤務延時間数÷常勤職員の1週あたりの勤務時間数

常勤職員の勤務時間は、就業規則で定められている時間数です。職員1名あたりの勤務延時間数の上限は、常勤職員が勤務すべき時間数です。なお、常勤職員の勤務時間数が週32時間を下回る場合は、32時間が常勤職員の勤務時間数となりますので注意しましょう。

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計算例

実際の計算例を詳しく見てみましょう。ここでは常勤職員の勤務時間数を週40時間として計算しています。この場合、常勤換算2.5人を満たすには、週40時間×2.5人=100時間の勤務時間数が必要となります。

・例1:常勤職員2名、非常勤職員1名の場合

職員勤務形態週の勤務時間数
Aさん常勤40時間
Bさん常勤40時間
Cさん非常勤(1日8時間、週4日勤務)32時間
合計112時間

常勤換算数は、112÷40=2.8人となり、基準を満たしています。

・例2:常勤職員1名、非常勤職員3名の場合

職員勤務形態週の勤務時間数
Dさん常勤40時間
Eさん非常勤(1日8時間、週3日勤務)24時間
Fさん非常勤(1日8時間、週2日勤務)16時間
Gさん非常勤(1日4時間、週4日勤務)16時間
合計96時間

常勤換算数は、96÷40=2.4人となり、基準を満たしていません。

例2のように、看護職員が4名いても、常勤換算で2.5人に満たないこともあります。そのため、常勤職員1名と非常勤職員が複数名の訪問看護ステーションでは、とくに注意して勤務時間数を確認します。常勤換算数が基準付近で推移している場合は、非常勤職員の勤務時間が変動する場合は、毎月人員基準を満たしているか計算しましょう。

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休職や退職時の注意点

看護職員の休職や産休、退職などにより勤務時間が減る場合は、勤務表を更新し、翌月以降の勤務体制を確認します。退職日、休職開始日、産休開始日を反映したうえで常勤換算2.5人以上を満たせるか再計算しましょう。

訪問看護の人員基準を下回りそうであれば、新規採用や勤務時間の調整、法人内応援などを検討します。

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訪問看護の人員基準違反のペナルティ

訪問看護の人員基準を満たせないまま営業を続けると、適切なサービスを提供できないだけでなく、減算や行政処分の対象になりかねません。この章では、人員基準違反時のペナルティについて解説します。

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人員基準欠如減算が適用される

訪問看護の人員基準を下回ったままサービス提供すると、「人員基準欠如減算」が適用され、原則として介護報酬の3割が減額されることがあります。

ただし、突発的で想定困難な事情により、やむを得ず人員欠如が発生してしまうケースも考えられます。職員確保に取り組んでいる訪問看護ステーションについては、年1回に限り、3か月以内は減額が猶予される場合もあるため、詳細は所管窓口で確認しましょう。

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行政指導・行政処分の対象になる

訪問看護の人員基準を満たせない状態が続くと、行政処分の対象になる可能性があります。

度重なる指導に従わなかったり、不正が悪質だと判断されたりした場合、指定取消や営業停止などの行政処分や、報酬の返還を求められることがあります。行政処分の段階は次のとおりです。

  1. 指導:口頭や書面で基準を遵守するよう改善を促される
  2. 勧告:相当の期間を定め、期限内に基準を遵守するよう強く促される
  3. 命令:業務改善命令や人員増強命令など法的拘束力を持つ命令が下される
  4. 指定の効力停止:一定期間の営業が停止される
  5. 指定取消:訪問看護ステーションの指定が取り消され事業を廃止せざるを得なくなる

人員基準を下回ったからといって、すぐに指定取消とはなりませんが、人員基準を満たすよう早急な対応が求められます。

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訪問看護における人員基準違反の予防策

訪問看護の人員基準違反を防ぐには、常勤換算数を定期的に確認し、基準を下回る可能性が出てきた段階で早めに対応するのがポイントです。人員基準違反の予防策についてまとめました。

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人員基準を満たせなくなりそうな場合の対応

人員基準を満たせなくなりそうな場合は、まず勤務表や雇用契約、勤務実績、訪問予定を整理し、常勤換算数を再計算します。そのうえで、不足する期間や時間数、職種を明確にし、地方厚生局や自治体の介護保険課など所管窓口に相談しましょう。

状況に応じて、人員基準を満たすまでに一定の猶予期間が設けられる場合があります。ただし、人員確保には時間がかかるため、基準を下回るとわかった時点で早急に採用や勤務時間の調整などの対応が必要です。相談の際は、訪問看護ステーションの休止や廃止、再開、変更届など各種届出の要否も併せて確認しておくと安心です。

利用者さまへのサービス提供が難しければ、主治医やほかの訪問看護ステーションとの連携を検討し、サービスが途切れないよう対応します。

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人員基準違反を防ぐ対策

人員基準の常勤換算2.5人は、あくまで訪問看護サービスを安定的に提供するための最小限の人員数です。人員基準違反を防ぐには、利用者数、訪問件数、オンコール対応なども考慮した、余裕のある人員配置が大切です。

ただし、必要以上の採用は人件費がかさみ、経営を圧迫する要因ともなります。訪問看護の人員基準を安定して満たすためには、業務の効率化やオンコール当番の負担軽減など、職員が働きやすい職場環境を整え、離職予防につなげることも必要です。

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訪問看護の人員基準に関するよくある質問

訪問看護の人員基準に関して、実務で判断に迷う場面をQ&A方式で整理しました。安定した運営を続けるうえで、ぜひ確認しておきたい内容です。なお個別の扱いは、勤務実態や所管窓口の判断にもよるため、迷った際は地方厚生局や自治体に相談しましょう。

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Q1:育児や介護で時短勤務の常勤職員はどのように扱いますか?

通常、常勤として扱われるには、就業規則で定めた所定勤務時間を満たす必要があります。

ただし、育児・介護を理由とした所定労働時間の短縮制度を適用している職員については別の取り扱いがあります。利用者さまへのサービス提供に影響が出ない体制が確保されていることを条件に、その職員の勤務すべき時間数を週30時間とみなすことが可能です。

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Q2:管理者の管理業務時間は常勤換算数の計算に含められますか?

管理業務に充てた時間は、常勤換算の算出対象には含まれません。算入できるのは実際に訪問業務へ従事した時間のみです。

たとえば週40時間勤務のうち、管理業務に24時間、訪問業務に16時間を充てている場合、看護職員としての常勤換算は「16÷40=0.4人」となります。

訪問業務を兼ねている管理者については、業務区分ごとの勤務時間を日々記録しておくことが大切です。

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Q3:同一法人内で1人の看護師が2か所の訪問看護ステーションを兼務する場合、常勤換算はどう計算しますか?

業務の運営に支障がないことを前提に、同一法人内での複数事業所兼務は認められています。

常勤換算は、それぞれの事業所で実際に勤務した時間をもとに個別に算出します。週40時間勤務の看護師が2か所に20時間ずつ振り分けている場合、各事業所での常勤換算はそれぞれ「20÷40=0.5人」です。

兼務先ごとの勤務日・勤務時間を勤務表に明記し、実態が確認できる状態にしておきましょう。

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Q4:訪問看護の人員基準が緩和されることはありますか?

サービスの確保が著しく困難な離島や中山間地域などにおいて、例外的に人員基準が緩和されることがあります。市区町村が認める場合には、通常の人員基準を満たさなくても訪問看護サービスを提供できます。

ただし、あくまでも地域的な事情による例外的な基準緩和であり、単純な人員不足に対応するものではありません。

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訪問看護の人員基準を正しく理解して安定した運営につなげよう

訪問看護の人員基準は、指定訪問看護ステーションを開設・運営するうえで継続して満たすべき基準です。継続的に訪問看護サービスを提供するために必要な最低限の人員数であり、看護職員は常勤換算で2.5人以上、うち1名は常勤でなければなりません。

退職や休職などにより人員基準を下回りそうであれば、常勤換算を再計算し、早めに所管窓口へ相談します。新規採用のほか、業務効率化やオンコール当番の負担軽減など、長く働きやすい職場づくりを目指すことが、安定した運営につながります。

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<参考サイト・文献>

指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準|厚生労働省

指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について|厚生労働省

医療系サービスのみなし指定|東京都厚生局

訪問看護・介護予防訪問看護事業所の指定申請に係る添付書類一覧|東京都福祉局

やむを得ない事情における人員欠如に係る特例的な取扱い(報告)|厚生労働省

指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について|厚生労働省

【資料4】訪問看護ステーションにおける人員基準に関する地方分権改革提案について|厚生労働省

公益財団法人日本訪問看護財団 R7年版訪問看護お悩み相談室 中央法規出版株式会社

一般社団法人全国訪問看護事業協会 R7年版訪問看護実務相談 中央法規出版株式会社

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記事投稿者プロフィール画像 ナスキャリナビ 編集部

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