訪問看護の管理者は兼務できる?認められる・認められないケースを厚生労働省の基準から解説

公開日:2026/08/04 更新日:2026/08/04
訪問看護の管理者は兼務できる?認められる・認められないケースを厚生労働省の基準から解説

「訪問看護の管理者を兼務するのは問題ないと言われたけれど、人員基準を満たせているのか心配」「監査で指摘されたら責任問題になるのではないか」

このような不安を感じている方は少なくありません。訪問看護ステーションの管理者は、原則として専従かつ常勤ですが、条件を満たせば兼務が認められます。2024年度の介護報酬改定で、その規定が緩和されました。

この記事では、管理者の兼務が認められる・認められないケースを厚生労働省の通知をもとに整理し、兼務するメリットやデメリット、業務負担を減らす工夫などを解説します。兼務が認められるケースに該当するのかを判断でき、監査で指摘されるリスクを避ける条件も分かるようになるでしょう。

なお、管理者の兼務は人員不足を補うために安易に選択すべきものではありません。利用者へのサービス提供やスタッフのマネジメントに支障が生じない体制を確保したうえで、法令や通知に沿って適切に運用することが前提です。

事業所からスカウトがもらえる

訪問看護の管理者は兼務できる

訪問看護ステーションの管理者は、原則「専従かつ常勤」であることが求められますが、一定の条件下では兼務が認められています。

事業所からスカウトがもらえる

専従・常勤が原則

訪問看護ステーションには、専従かつ常勤の管理者を1名配置することが基準で定められています。専従とは、「原則として、指定訪問看護の提供の時間帯を通じて指定訪問看護以外の職務に従事しないことをいうものである」とされています。ただし、厚生労働省通知で認められた範囲内では兼務が可能です。

管理者の兼務の可否や運用については、自治体ごとの解釈や運用基準が設けられている場合があります。とくに、市町村にまたがる兼務、入所施設の業務の兼務、常勤・専従の考え方が複雑になる場合は管轄する自治体へ確認しておくと安心です。

関連記事:【完全版】訪問看護の管理者の役割とは?管理者になるための4つの条件解説

事業所からスカウトがもらえる

2024年度改定で兼務できる範囲が拡大

2024年度の介護報酬改定により、管理者の兼務に関するルールが見直されました。

 改定前改定後
兼務可能な範囲原則として同一敷地内同一の事業者が設置した他事業所・施設等
条件管理に支障がない利用者さまへのサービス提供で生じる出来事をすぐに把握でき、スタッフや事業所の管理・指示出しに支障が出ないこと
参考:指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について|厚生労働省

2024年度改定では、「同一敷地内」という場所の要件が見直され、同一事業者が設置する他事業所・施設等との兼務も認められるようになりました。一方で、管理上支障がないことという考え方自体は改定前から変わっていません。

自分の事業所のケースが該当するかどうかは、後述する「認められないケース」も併せて確認しておくと判断しやすくなります。

事業所からスカウトがもらえる

訪問看護の管理者の兼務が認められるケース

厚生労働省の通知では、管理者の兼務が認められるケースが具体的に示されています。代表的なケースを確認しましょう。

事業所からスカウトがもらえる

訪問看護師として兼務する

同一の訪問看護ステーション内で、管理者が看護職員としての職務を兼ねることは認められています。

多くの訪問看護ステーションで、管理者が訪問業務も担っているのはこのケースに該当します。

事業所からスカウトがもらえる

同一法人の他事業所を兼務する

同一の指定訪問看護事業者が設置するデイサービスや居宅介護支援事業所などの管理者・従業者としての職務を兼ねることが認められています。

2024年度の改定により、敷地が離れた事業所であっても、リアルタイムに状況を把握できる体制が整っていれば、兼務が認められる可能性が広がりました。厚生労働省の通知では具体的な手段までは示されていませんが、事業所の状況を速やかに把握する方法の1つとして、ICTや訪問看護記録ソフトを活用しているケースもあります。

ただし、無条件に認められるわけではありません。後述する「業務に支障があると判断される例」に当てはまらないことが前提です。

事業所からスカウトがもらえる

訪問看護の管理者の兼務が認められないケース

厚生労働省の通知では、前項で紹介した同一法人の他事業所を兼務する場合に限り、「管理者の業務に支障がある」と判断される具体的な状況が例として示されています。3つの代表例を確認しましょう。

事業所からスカウトがもらえる

管理する事業所数が多すぎる

管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合は、兼務が認められません。

ただし、具体的に「何事業所までなら兼務できる」という明確な数の上限は厚労省の通知に定められておらず、自治体や個別の状況に応じて判断されます。

事業所からスカウトがもらえる

入所施設の看護業務と兼務する

併設される入所施設における看護業務(管理業務を含む)と兼務する場合は、業務に支障があると判断されやすいケースです。

ただし、施設での勤務時間が極めて限られている場合はこの限りではないとされています。

事業所からスカウトがもらえる

緊急時に駆けつけられない

事故発生時や利用者さまの急変時など、管理者自身が速やかに当該訪問看護ステーションまたは利用者さまのサービス提供の現場に駆けつけられない体制となっている場合は、兼務は認められません。

兼務先の事業所が遠方にある場合や移動に時間がかかる場合は、緊急時の対応体制をあらかじめ整えておく必要があります。

厚生労働省は、このような体制を「管理業務に支障がある例」として示しています。兼務を検討する際は、移動時間だけでなく、緊急時に利用者や事業所へ速やかに対応できる体制が確保されているかを確認することが重要です。

事業所からスカウトがもらえる

訪問看護の管理者が兼務するメリット

管理者の兼務には、事業所の運営面だけでなく、管理者自身にもメリットがあります。代表的な3つのメリットを確認しましょう。

事業所からスカウトがもらえる

人件費を抑えながら運営できる

管理者が訪問業務を兼務することで、新たに管理者を採用する必要がなく、人件費を抑えながら事業所を運営できます。

とくに、開設間もない訪問看護ステーションは利用者数が少なく、収益が安定しない時期が続くことも少なくありません。管理者が訪問業務も担うことで、限られた人員でも運営しやすくなり、小規模の事業所の資金繰りや経営負担の軽減につながります。

事業所からスカウトがもらえる

現場感覚を維持しながらマネジメントできる

管理者が利用者さま宅を訪問することで、ケア内容や利用者さま・ご家族の変化を確認できます。

たとえば、「この利用者さまは午前中に訪問するのではなく、午後から訪問したほうが良い」「ケアが多くスタッフの負担が偏っている」といった現場の課題を把握できます。

実情に即した業務改善や人員配置につながることがメリットです。

事業所からスカウトがもらえる

迅速な意思決定につながる

現場と管理の両方を担うことで、報告・相談・承認の手間が減り、迅速に判断できるようになります。

具体的には、利用者さまの状態変化に応じて訪問回数を見直す場合や、緊急訪問に対応するため当日の担当を変更する場合も、その場でスタッフに指示したり、スケジュールを調整したりできます。

現場の状況を把握している管理者だからこそ、スピード感のある意思決定が可能です。

事業所からスカウトがもらえる

訪問看護の管理者が兼務する際の注意点

兼務にはメリットがある一方、管理者への負担という観点では注意が必要です。

事業所からスカウトがもらえる

管理者に業務負担が集中しやすい

訪問業務と管理業務を同時に担うことで、業務量が管理者に集中しやすくなります。管理者は、以下のように幅広い業務を担当します。

  • スタッフの労務管理やシフト調整
  • 利用者さまの受け入れ判断
  • 多職種との連携
  • 行政への対応
  • 運営基準の管理

この業務に訪問業務やオンコール対応が重なると、残業や休日対応が増えやすく、長時間労働につながることも少なくありません。負担を軽減する具体的な工夫は後述します。

事業所からスカウトがもらえる

スタッフとのコミュニケーションが減少する

管理者が複数の事業所や業務を兼務すると、スタッフと顔を合わせる時間が減り、日頃のコミュニケーションが不足しやすくなります。

実際に、新人スタッフが訪問で困ったことを相談する機会が減ったり、利用者さまへの対応方針が十分に共有されなかったりすることで、不安や認識のずれが積み重なることがあります。

スタッフが安心して働ける環境を維持するためにも、定期的な面談やカンファレンス、チャットツールなどを活用して相談しやすい体制を整えることが重要です。

事業所からスカウトがもらえる

緊急時の即時対応が難しくなる

管理者が他事業所で勤務している時間帯は、利用者さまの急変やスタッフからの緊急連絡にすぐ対応できない可能性があります。

具体例として、オンコール中に利用者さまの容体が急変した場合や、訪問先でスタッフだけでは判断が難しいケースが発生した場合、管理者の到着が遅れることで現場の負担が大きくなりがちです。

このような状況は、厚生労働省が示す「管理者自身が速やかに当該指定訪問看護ステーションまたは利用者へのサービス提供の現場に駆けつけることができない体制」に該当する可能性があります。管理者が兼務する際は、緊急時の対応体制や移動時間をあらかじめ確認しておくことが大切です。

事業所からスカウトがもらえる

管理者が兼務する場合の業務負担を減らす工夫

管理者の兼務は業務負担が大きくなりやすい一方で、運営方法を工夫することで負担を軽減している訪問看護ステーションもあります。実際の取り組みを3つ紹介します。

事業所からスカウトがもらえる

管理者自身がオンコールを担う期間を見極める

開設初期は利用者さま数が少ないため、管理者自身がオンコールを担当し、利用者さま数の増加に応じて段階的にスタッフへ移行しています。

「私が難しいときはスタッフにお願いします」という運用により、負担が集中しすぎない体制を整えています。

参考:訪問看護ステーション ハルアケア| ナスキャリ(NsPace Career)

事業所からスカウトがもらえる

管理と現場を分業する選択肢もある

みなとまち訪問看護リハビリステーション平沼事業所では、看護師ではない所長が採用や労務管理などのマネジメントを担い、看護師である管理者はケアに専念する体制にしています。

すべての業務を管理者が抱え込まず、事務業務やマネジメント業務を役割分担することで、兼務による負担を軽減する工夫として参考になります。

参考:みなとまち訪問看護リハビリステーション 平沼事業所| ナスキャリ(NsPace Career)

事業所からスカウトがもらえる

ICT・記録ソフトを活用して業務時間を圧縮する

ウィル訪問看護ステーションでは、「ベッドサイドの時間の最大化」を目指し、記録や情報共有、電話対応などをICTで効率化しています。

管理者が兼務すると事務作業が増えやすくなりますが、移動中の記録入力や情報共有をデジタル化することで、管理業務に充てる時間を確保しやすくなります。

ICTや記録ソフトの活用は、管理業務の負担軽減や情報共有の効率化につながる手段の一つです。管理者が兼務する場合は、こうしたツールも活用しながら、管理業務に支障が生じない体制を整えることが重要です。

参考:訪問看護DX事例|ウィル訪問看護ステーションの現場から始まる業務改革 | ナスキャリ(NsPace Career)

事業所からスカウトがもらえる

訪問看護の管理者の兼務に関するよくある質問

ここでは、訪問看護の管理者の兼務について、よくある質問をQ&A形式でまとめました。

事業所からスカウトがもらえる

Q1.管理者は訪問に出ても問題ないですか?

問題ありません。

管理者が同じ訪問看護ステーションの看護職員として訪問業務に従事することは、厚生労働省の通知でも認められています。そのため、多くの訪問看護ステーションでは、管理者が訪問業務を兼務しています。

ただし、管理者としての業務に支障が生じないことが前提です。利用者さまやスタッフの状況を把握でき、緊急時に速やかに対応できる体制や、スタッフ・業務を一元的に管理・指揮できる体制を維持する必要があります。

事業所からスカウトがもらえる

Q2.管理者が兼務できるのは3つの事業所までですか?

兼務できる事業所の上限数について、明確な数は厚生労働省の通知に定められていません。

「管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合」に兼務が認められないとされているため、事業所数そのものよりも、管理業務に支障が生じていないかどうかが判断基準になります。

実際の運用は、自治体によって解釈が異なる場合があるため、管轄する自治体に確認しましょう。

事業所からスカウトがもらえる

Q3.訪問看護の管理者とケアマネジャーは兼務できますか?

事業所の状況によって可能な場合があります。

ただし、訪問看護ステーションと居宅介護支援事業所の双方の人員基準を満たすことが前提です。また、管理者として利用者やスタッフの状況を把握し、緊急時にも速やかに対応できるなど、管理業務に支障がない体制を確保する必要があります。

事業所からスカウトがもらえる

Q4. 管理者を兼務すると給与はどのように決まりますか?

兼務によって役職手当や管理者手当が加算されるケースが多く、基本給に上乗せされる形で支給されることが一般的です。

厚生労働省「令和7年度介護事業経営概況調査結果」によると、訪問看護事業所に勤務する看護職員の平均給与額は月額47万844円です。

ただし、この金額は管理者の給与を示したものではありません。管理者を兼務した場合の給与や手当は事業所によって異なるため、求人票や面談で役職手当の有無や金額、業務内容、勤務体制などを確認しましょう。

関連記事:訪問看護の管理者の年収は600万円!大変さとやめたいと感じる現状を紹介

事業所からスカウトがもらえる

訪問看護管理者の兼務は「管理上支障がないか」が判断基準

訪問看護管理者の兼務は、2024年度の介護報酬改定によって認められる範囲が広がりました。しかし、無条件に兼務できるわけではありません。

厚生労働省の通知では、利用者さまへのサービス提供に必要な情報を把握できること、スタッフや業務を一元的に管理し、必要な指揮命令を行えることなどが重要な判断基準とされています。

管理業務と訪問業務を両立する働き方には、現場の状況を把握しやすいメリットがある一方、事業所の規模や人員体制によっては負担が大きくなりがちです。「管理業務に専念したい」「役割分担が明確な職場で働きたい」と考えている方は、転職という選択肢を検討する方法もあります。

ナスキャリ(NsPace Career)では、管理者の働き方や教育体制、オンコール体制などが分かる訪問看護の求人を多数掲載しています。自分に合った職場を探す際の参考に、ぜひチェックしてみてください。

<参考サイト・文献>

指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について|厚生労働省

令和7年度介護事業経営概況調査結果|厚生労働省

SNSシェア

  • LINEアイコン
  • facebookアイコン
  • Xアイコン
記事投稿者プロフィール画像 ナスキャリナビ 編集部

「ナスキャリナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「ナスキャリ」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

関連する記事

NsPaceCareerとは-PCイメージ画像左 NsPaceCareerとは-SPイメージ画像左

ナスキャリとは

訪問看護・在宅看護に特化した
求人情報検索・応募のほか、
現役の訪問看護師や在宅経験者への無料相談や、
事業所への事前見学申し込みが可能です。

NsPaceCareerとは-PCイメージ画像右 NsPaceCareerとは-SPイメージ画像左