訪問看護指示書の依頼書の様式とは?書き方や記入例、依頼時の6つのコツを解説

「訪問看護指示書の依頼書はどのような様式を使えば良いのか」「何を書けば主治医に伝わるのか」と悩んでいませんか。
訪問看護指示書の依頼書に決まった様式はなく、それぞれの訪問看護ステーションが独自に作成するか、テンプレートを活用するのが一般的です。ただし、依頼書の記載内容が不十分だと主治医へしっかり伝わらず、訪問看護指示書の発行が遅れることもあります。
この記事では、すぐに使える様式の紹介、書き方と記入例、医師に伝わる依頼書を作成する6つのコツを解説します。依頼書の作成に必要な知識が整理され、スムーズに主治医へ依頼できるようになるでしょう。
訪問看護指示書の依頼書の様式
訪問看護指示の依頼するための依頼書には、法律で定められた様式はありません。ただし、厚生労働省によると、訪問看護を提供するためには主治医が発行する訪問看護指示書が必要であり、指示書がない状態ではサービスを開始できないとされています。依頼書を活用することで、スムーズに訪問看護指示書を取得することができます。
訪問看護ステーションでよく利用される様式

主治医が訪問看護指示書を発行するために必要な情報を記載します。
・利用者情報
・依頼理由
・計画している看護内容
・連絡先
現在の利用者の状態・依頼理由・看護内容(チェックボックス形式)を1枚にまとめており、初めて依頼書を作成する方におすすめです。
シンプルな様式

最小限の項目に絞ったコンパクトな様式です。訪問看護指示書の更新や主治医との連携が確立しているケースなどで活用する場合に適しています。
訪問看護指示書の依頼書の書き方【記入例つき】
依頼書には、主治医が訪問看護指示書を発行するために必要な情報をわかりやすく整理して記載することが重要です。
基本項目の書き方
依頼書に記載すべき基本項目と記入例を以下の表にまとめました。
| 項目 | 内容 | 記入例 |
| 利用者氏名 | フルネームで記載 | 山田 花子 |
| 生年月日 | 元号または西暦で統一 | 昭和50年4月1日 |
| 住所 | 訪問先の住所 | 東京都〇〇区〇〇1-1-1 |
| 主治医氏名 | 担当医師の氏名 | △△先生 |
| 医療機関名 | クリニック・病院名 | 〇〇クリニック |
| 訪問看護が必要な理由 | 疾患名・状態・必要性 | 統合失調症により服薬管理・精神症状の観察が必要 |
| 希望する看護内容 | 具体的なケアの内容 | 服薬確認・バイタルサイン測定・精神症状の観察・家族支援 |
| 希望開始日 | 訪問看護開始を希望する日付 | 令和〇年〇月〇日 |
| 依頼元 | 訪問看護ステーションの正式名称 | 〇〇訪問看護ステーション |
| 担当者氏名・連絡先 | 担当者(事務職員もしくは看護師)と電話番号 | 担当:〇〇 TEL:03-XXXX-XXXX |
| 対応可能時間 | 連絡がとれる時間帯 | 平日9時〜17時 |
表の項目はあくまで基本です。利用者さまの状態が複雑な場合や新規導入時は、現在の状態や緊急性についても追記することで、主治医が判断しやすくなります。
実際に依頼書を送る際の文面の書き方については、下記の記事で具体的な文例を紹介しています。表の内容と合わせて参考にしてください。
関連記事:訪問看護指示書の依頼例文テンプレート5選|医師に失礼なく伝わる書き方とコツ
よくある記入ミス
依頼書の記入ミスは、主治医への伝達が不十分になるだけでなく、訪問看護指示書の発行が遅れる原因にもなります。次の4点は見落としやすいため、送付前に確認しておくとよいでしょう。
1.利用者情報の抜け漏れ:生年月日や住所が記載されていないと、主治医が該当の利用者を特定できない場合がある
2.訪問看護が必要な理由があいまい:「体調管理のため」「療養支援のため」といった表現では、主治医に必要性が伝わりにくい
3.希望する看護内容が未記載:何を依頼したいのかが伝わらないと、指示書の内容が不十分になることがある
4.連絡先・対応可能時間の未記載:主治医や医療機関スタッフが折り返し連絡をしたい場合に連絡先がないと対応が遅れる
これらを事前に把握しておくことで、主治医とのやり取りをスムーズに進められます。依頼書を送付する前にチェックリストとして活用してください。
訪問看護指示書の依頼書を作成する際に医師に伝わるようにする6つのコツ
依頼書は、主治医が内容を読んですぐに判断できる内容にすることが重要です。次の6つのポイントを意識して作成してください。
- 結論から簡潔に伝える
- 訪問看護が必要な理由を具体的に書く
- 現在の状態を簡潔に整理する
- 連絡先と対応可能時間を記載する
- 希望する看護内容を具体的に示す
- 緊急性・期限を明確にする
いずれも「主治医が読んですぐに判断できるか」という視点で見直すと、伝わりやすい依頼書が作成できます。それぞれ詳しく解説します。
結論から簡潔に伝える
| <記入例> 病院名:〇〇 主治医:〇〇 訪問看護指⽰書 依頼書 |
依頼書の冒頭には、何を依頼しているのかを一文で明示することが重要です。具体的には、「訪問看護指示書の新規発行をお願いしたい」「訪問看護指示書の更新をお願いしたい」という目的を書きましょう。
主治医には多くの担当患者がおり、依頼書を読む時間は限られています。何を依頼しているのかを冒頭で簡潔に伝えることがポイントです。
訪問看護が必要な理由を具体的に書く
| <記入例> 統合失調症により服薬の自己管理が困難で、服薬中断による再燃リスクが懸念される状態です。ご自宅での服薬確認と精神症状の定期的な観察が必要と判断しております。 |
「なぜ訪問看護が必要か」を、疾患名や現在の状態、生活の視点での困難な点をセットで記載しましょう。あいまいな表現では必要性が伝わりにくいため、疾患名と状態を組み合わせて記載することがポイントです。
現在の状態を簡潔に整理する
| <記入例> ・バイタルサイン:体温36.5℃、血圧120/70mmHg、脈78回/分 ・服薬の状況:一包化対応しているが、飲み忘れは週2〜3回程度あり ・ADL:日常生活は自立しているが、外出時に不安が強く幻聴がある |
直近のバイタルサインや服薬状況、ADLの状態、精神症状の変化など主治医が状態を把握できる情報を箇条書きでまとめましょう。
連絡先と対応可能時間を記載する
| <記入例> ご不明な点がございましたら、下記までご連絡ください。 担当:〇〇 TEL:03-XXXX-XXXX FAX:03-XXXX-XXXX(平日9時〜17時) |
依頼書には担当者名や電話番号、FAX番号、対応可能時間を記載することが大切です。
利用者さまの状態確認や計画している看護内容の詳細、訪問開始日の調整など主治医や医療機関のスタッフから折り返し連絡が必要になる場面があります。忘れずに記載しましょう。
計画している看護内容を具体的に示す
| <記入例> ・服薬確認と管理支援 ・バイタルサインの測定 ・精神症状の観察・アセスメント ・家族への心理的サポート |
「訪問看護全般」のようにあいまいな表現ではなく、計画している看護内容をリストアップして記載してください。利用者さまへ提供する看護内容が具体的であれば、主治医が訪問看護指示書に記載すべき内容を判断しやすくなります。
緊急性・期限を明確にする
| <記入例> 【退院後すぐに訪問が必要な場合】 〇〇様は5月10日に退院予定です。退院当日より訪問看護を開始したいため、5月9日までにご発行いただけますと幸いです。 【訪問看護指示書の有効期限が迫っている場合】 現在の訪問看護指示書の有効期限が5月31日となっております。恐れ入りますが、6月1日以降の指示書を5月25日までにご発行いただけますと幸いです。 【早急な対応が必要な場合】 〇〇様の症状が不安定なため、早急に訪問看護の介入が必要と考えております。お手数ですが、今週中(〇月〇日まで)にご発行いただけますと大変助かります。 |
退院後すぐに訪問看護が必要な場合や、現在の訪問看護指示書の有効期限が迫っている場合は、希望する開始日や対応期限を明記しておくと、主治医が優先的に対応しやすくなります。
訪問看護指示書の依頼書が必要になるケース
依頼書が必要になるタイミングは、新規導入時と更新・変更時です。場面ごとに必要な情報が異なるため、状況に応じた記載が求められます。訪問看護指示書の依頼時には、主治医から見て必要な情報や、訪問看護師から詳細に伝えたいことをポイントとして補足することが重要です。
新規導入時
訪問看護を新たに開始する際に、主治医へ訪問看護指示書の新規発行を依頼します。該当するケースとしては、主に以下の3つが挙げられます。
- 退院後に在宅療養へ移行する場合(例:脳梗塞後のリハビリ継続のため、退院後も定期的な状態観察と服薬管理が必要なケース)
- 在宅療養中に病状が変化し、訪問看護の導入が必要になった場合(例:認知症の進行により服薬の自己管理が難しくなり、定期的な服薬確認が必要になったケース)
- 在宅での看取りを希望し、終末期ケアが必要になった場合(例:がんの終末期で利用者さま・ご家族がご自宅での療養を希望し、疼痛管理や全身状態の観察のため訪問看護の介入が必要になったケース)
退院前カンファレンスで情報共有ができている場合でも、依頼書として書面で残しておきましょう。訪問看護指示書の内容に抜け漏れが生じにくくなります。
更新時や変更時
更新時の依頼書には、前回の指示内容からの変更点を明確に記載することがポイントです。
訪問看護指示書の有効期限は最長6か月で、特別訪問看護指示書以外の場合は期限が切れると訪問看護を継続できなくなります。期限の1か月前を目安に依頼書を送っておくとよいでしょう。
症状の変化や看護内容の追加・変更が必要な場合は、変更内容を具体的に記載したうえで依頼しましょう。
訪問看護指示書の依頼書についてのよくある質問
訪問看護指示書の依頼書についてよく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。
Q1:依頼書がなくても訪問看護指示書をもらえますか?
依頼書は法的に義務づけられた書類ではないため、依頼書がなくても訪問看護指示書を発行してもらうことは可能です。
電話や口頭での依頼、退院前カンファレンスでの依頼によって訪問看護指示書が発行されるケースもあります。ただし、依頼書を送付することで依頼内容が書面として残り、訪問看護指示書の記載漏れや認識のずれを防ぎやすくなります。
とくに、新規導入時や看護内容が複雑なケースでは、依頼書を活用するとスムーズにサービスを開始できるでしょう。
Q2:訪問看護指示書を更新するたびに依頼書を送る必要がありますか?
主治医や医療機関との連携状況によって運用は異なります。
すでに連携が確立している主治医の場合、電話での依頼のみで対応しているケースもあります。一方で、依頼書を毎回送付することで、看護内容の変更点や現在の状態を書面で共有でき、指示書の内容が実態に合ったものになりやすいことがメリットです。事業所の運用方針や主治医の希望に合わせて判断してください。
Q3:主治医に断られた場合はどうすれば良いですか?
断られた場合はまずは理由を確認し、必要に応じて情報を補足するか、関係者と連携して対応を検討しましょう。
断られる主な理由としては、訪問看護の必要性が十分に伝わっていない、指示できる状態にないと主治医が判断しているなどが考えられます。断られた場合は「どのような情報があれば発行をご検討いただけますか」と状況を確認し、必要な情報を追加した依頼書を再送することが有効です。
それでも対応が難しい場合は、ケアマネジャーや病院の医療ソーシャルワーカーに相談し、主治医との調整を依頼する方法もあります。
訪問看護指示書の依頼書の作成に迷ったらこの様式を使おう
訪問看護指示書の依頼書に決まった様式はありませんが、この記事で紹介した様式と書き方のポイントを参考にすることで、より主治医に伝わりやすい依頼書を作成できます。
「結論から書く」「訪問看護が必要な理由を具体的に示す」などのポイントを意識すると、依頼書の質は変わります。
依頼書の作成や主治医との連携に不安を感じている方は、入職後のサポート体制が整った訪問看護ステーションを選ぶことが大切です。訪問看護に特化した求人サイトナスキャリ(NsPaceCareer)では、職場ごとの教育体制や主治医との連携状況など、働き方の詳細まで確認しながら自分に合った職場を探せます。
<参考サイト・文献>
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
