がん化学療法看護認定看護師とは?なるための方法や教育機関の合格率、年収を解説

「がん治療の専門性を高めたい」「抗がん剤治療を受ける患者さまをもっと支えたい」
このように考えていらっしゃる看護師の方はいらっしゃいませんか。近年、通院でがん治療を続ける患者さまが増える中、専門知識を持つ看護師のニーズは高まっています。
この記事では、がん化学療法看護認定看護師の最新情報について、なるためのステップや合格率、仕事内容、気になる年収を解説します。
※現在「がん化学療法看護認定看護師」は制度改正により「がん薬物療法看護認定看護師」へ名称変更されています。本記事では、旧名称で検索された方にもわかりやすいよう、両名称を適宜併記しながら解説します。
がん化学療法看護認定看護師とは?
がん化学療法看護認定看護師とは、がん薬物療法のスペシャリストとして、患者さまが安心して治療を続けられるようサポートする看護師のことです。
- がん化学療法看護認定看護師は「がん薬物療法看護認定看護師」へ
- 全国の認定者数
- がん看護専門看護師との違い
薬の知識だけでなく、副作用への対処や不安を抱える患者さま・ご家族の心のケアまで幅広い役割を担う専門職です。
がん化学療法看護認定看護師は「がん薬物療法看護認定看護師」へ
現在、認定看護師制度の改正により、旧来の「がん化学療法看護」は「がん薬物療法看護」という名称に変更されています。
これは、従来の抗がん剤だけでなく、近年普及している分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など幅広い薬物療法に対応できる専門性が求められるようになったためです。
なお、旧A課程(がん化学療法看護)は2026年度に教育が終了する予定のため、これから資格取得を目指す方は新制度(B課程:がん薬物療法看護)で学ぶことになります。
全国の認定者数
日本看護協会の調査によると、がん薬物療法看護認定看護師(B課程)の認定数は2025年12月時点で354名です。
認定看護師の中でも取得を目指す看護師が多い分野であり、A課程で取得した認定看護師も含めると多くの認定者が全国で活躍しています。
がん看護専門看護師との違い
がん薬物療法看護認定看護師とがん看護専門看護師は、どちらも日本看護協会が認定する資格ですが、受験資格や役割などが異なります。
がん薬物療法看護認定看護師は、教育機関を修了した後、現場で熟練した技術と実践で患者さまを支えるスペシャリストです。一方、がん看護専門看護師は、大学院修士課程の修了が必須で、より広い視点から倫理的な問題の調整や病院全体のシステムづくりなど、管理や研究などにもかかわります。
現場で患者さまやご家族を直接サポートしたい方は、認定看護師が向いています。
がん薬物療法看護認定看護師になるには?
がん薬物療法看護認定看護師になるには、5年以上の実務経験を積んだうえで、日本看護協会が指定する教育機関で約1年間の研修を修了し、認定審査に合格する必要があります。
- がん薬物療法看護認定看護師になるまでの流れ
- がん薬物療法看護認定看護師の教育機関一覧と研修内容
- がん薬物療法看護認定看護師の試験内容と合格率
ステップを1つずつ確認していきましょう。
がん薬物療法看護認定看護師になるまでの流れ
看護師免許を取得してからの実務経験やがん看護分野に携わった期間など、自身の経歴が受験資格を満たしているか確認しましょう。
| ステップ | 流れ | ポイント |
| ステップ1 | 実務経験 | ・看護師免許取得後、通算5年以上の実務経験 ・そのうち3年以上はがん看護分野が必要 |
| ステップ2 | 教育機関へ出願・入学 | ・認定看護師教育課程のある大学や研修センターの入学試験に合格 ・試験内容は筆記試験、小論文、面接など |
| ステップ3 | 講義・実習 | ・約1年間、特定行為研修を含む教育課程 ・座学、演習、実習で専門知識と技術を学習 |
| ステップ4 | 認定審査(試験)に合格 | 日本看護協会が毎年1回実施する認定審査(筆記試験)に合格 |
| ステップ5 | 認定登録 | ・認定審査に合格後、所定の手続きを経て認定看護師として登録 ・資格の有効期間は5年で更新審査が必要 |
資格取得までの道のりは長く感じられますが、進むことで専門性が身につきます。とくに、ステップ2の入学試験が最初の壁となるため、早めに小論文や面接の対策を練っておくことが大切です。
がん薬物療法看護認定看護師の教育機関一覧と研修内容
がん薬物療法看護認定看護師の教育機関は、2026年4月時点で次の2校(定員数:合計31名)のみです。
- 静岡県:静岡県立静岡がんセンター(定員数:16名)
- 福岡県:久留米大学認定看護師教育センター(定員数:15名)
研修には認定看護師の共通科目に加えて、「がん看護学概論」「腫瘍学概論」「がんの医療サービスと社会資源」など、専門科目や臨地実習が組み込まれています。
また、B課程では特定行為研修が含まれており、医師の手順書のもとで栄養や水分管理にかかわる点滴調整といった一定の医療処置をおこなえるスキルも身につきます。
がん薬物療法看護認定看護師の試験内容と合格率
がん薬物療法看護認定看護師の認定審査は毎年1回、マークシート方式の筆記試験が実施されます。がん薬物療法全般が出題範囲となっており、臨床での実践力を問う内容が中心です。
合格率は公表されていませんが、5年以上の経験が必要であり、教育課程を修了する必要があるため、難易度は低いとは言えません。
ただし、この数値はあくまで「教育課程を修了し、受験に至った人」を対象としたものであり、決して容易に取得できる資格ではありません。
実際には、教育機関の入学試験(筆記試験・小論文・面接)が最初の関門となり、さらに約1年間の専門的な講義や臨地実習を修了する必要があります。そのため、資格取得までのプロセス全体で見ると難易度は高いといえるでしょう。
がん薬物療法看護認定看護師になるために必要な費用と時間
がん薬物療法看護認定看護師になるには、約1年間の学業専念と、100~120万円程度の資金準備が必要です。事前に職場の支援制度を確認しておくことが、経済的な負担を軽減するポイントになります。
かかる学費と生活費
認定看護師になるための合計費用は100~120万円程度となります。内訳の目安は以下のとおりです。
| 費用の種類 | 目安 |
| 入学検定料 | 5万3,000円 |
| 入学金 | 5万3,000円 |
| 授業料 | 97万8,000円 |
| 認定審査料 | 5万1,700円 |
| 合計(学費のみ) | 113万5,700円 |
これらの費用に加えて、教材費や生活費、交通費、宿泊費なども考慮が必要です。病院によっては、認定看護師資格の取得支援として休職ではなく出張・研修扱いとし、毎月の給与を受け取れる制度を設けているところもあります。事前に職場の支援制度を確認しましょう。
かかる時間
B課程の場合、研修期間は約1年間です。出願・選考から研修修了・審査合格までを含めると、資格取得まで約2年かかると考えておくのが現実的です。
特定行為研修が含まれる分、旧制度よりも期間は長くなりますが、その分卒業後の活躍の幅は広がります。
がん薬物療法看護認定看護師の仕事内容
がん薬物療法看護認定看護師の仕事は、高度な専門知識をもとに「実践・指導・相談」の3つを軸に活動することです。患者さまが安全に、かつ納得して治療を継続できるようにサポートします。
- 抗がん剤治療の安全管理
- 副作用マネジメント
- 患者さま・ご家族への意思決定支援
- 院内教育・多職種連携
患者さまにとって身近な専門家として、生活の質を守りながら治療に取り組めるように支援することが重要な役割です。専門スキルを活かしてチームの中心的な存在となり、現場の課題解決を主導するやりがいは、認定看護師ならではのものです。

がん薬物療法看護認定看護師の年収は?
がん薬物療法看護認定看護師の年収は、明らかになっていません。
日本看護協会の調査では、平均月給は42万9,153円です。この額をベースに賞与2〜4ヶ月分を加算すると、年収はおよそ600万〜700万円前後になると試算できます。ただし、あくまで目安であり、勤務先や役職・夜勤の有無によって変わります。
がん薬物療法看護認定看護師のやりがいと大変さ
ここでは、がん薬物療法看護認定看護師のやりがいと大変さをご紹介します。専門性を極める道だからこそ得られる喜びがある一方で、医療現場ならではの厳しさも存在します。
やりがい
専門知識を駆使して患者さまの苦痛を和らげ、治療を前向きに支える達成感があります。具体的なやりがいとして、次の3点が挙げられます。
- 患者さまのQOL向上を実感できる
- 治療継続を支援できる
- チーム医療の中核として頼られる
実際に、医師から「〇〇さんはどう思う?」と専門的な意見を求められたり、チームカンファレンスで患者さまの情報を提示したりできるなど、チームの一員として認められていると実感できます。患者さまが「自分らしい生活」を取り戻す姿を見守れることは、何よりの原動力になります。
大変さ
高度な専門性を発揮するためには、相応の覚悟と責任が伴います。現場で活躍し続ける中で、多くの認定看護師が直面する課題についても理解を深めておきましょう。
- 患者さまの苦しみや死に直面する場面が多い
- 常に意見を求められることへのプレッシャーがある
- 最新の薬やガイドラインを学び続ける姿勢が求められる
現場で、認定看護師の役割が明確に位置づけられていない場合、自分が担当している患者さまのケアに加えて、ほかの患者さまの治療やケアについて意見を求められたり、他部署での相談業務に対応したりする必要があります。結果として、自分の業務が終わらず残業になることも少なくありません。
役割を果たすためには、周囲の理解を得ながら業務量を調整する交渉力も必要になります。
がん薬物療法看護認定看護師に向いている人の特徴
がん薬物療法看護認定看護師に向いているのは、次の特徴に当てはまる人です。
- がん看護が好き
- 説明や指導が苦にならない
- 学び続けられる
- 多職種と調整できる
とくに、「患者さまに薬の説明をする」「スタッフに指導する」場面が多くなるため、伝えることへの積極性が重要です。
がん薬物療法看護認定看護師についてのよくある質問
がん薬物療法看護認定看護師を目指すにあたって、試験の難易度や仕事と勉強の両立など、気になる疑問は多いはずです。ここでは、キャリアアップを検討している看護師が抱きやすい不安や質問にお答えします。
Q1:がん薬物療法看護認定看護師の難易度は高いですか?
がん薬物療法看護認定看護師の難易度は、決して低くはありません。
教育機関への入学試験や認定審査だけではなく、約1年間の学習に取り組まなければならないからです。ただし、十分な実務経験を積んだうえで、事前準備を積み重ねれば乗り越えられるでしょう。
Q2:がん薬物療法看護認定看護師は働きながら取得できますか?
研修期間中は、学業に専念するのが一般的です。
講義や実習が平日の日中におこなわれるため、夜勤に入りながら資格取得するのは困難です。多くの看護師は休職制度や病院の「長期研修派遣制度」を活用しています。勤務先の支援制度を確認しておきましょう。
Q3:がん薬物療法看護認定看護師は特定行為を学べますか?
B課程では特定行為研修が必須となっています。特定行為を習得することで、現場での裁量が広がり、より踏み込んだケアが提供できるようになります。
がん化学療法看護認定看護師はがん薬物療法看護認定看護師へ!専門性を活かそう
がん薬物療法看護認定看護師は、薬の知識だけでなく「人を看る力」を活かせる資格です。がんを抱えながら地域で暮らす人が増えている今、看護師の役割は病院だけでなく在宅医療の現場でも広がっています。
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<参考サイト・文献>
【目次】認定看護師【B課程】都道府県別登録者数(日本地図版)|日本看護協会
認定看護師教育機関別の開講状況・定員数一覧(特定行為研修を組み込んでいる教育機関:B課程認定看護師教育機関|日本看護協会
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
