看護師から精神保健福祉士になる方法と4つのメリットを詳しく解説

公開日:2026/04/03 更新日:2026/04/03
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「精神科で働いているけれど、もっと患者さまの生活面まで支援したい」「退院後の暮らしにも寄り添える仕事がしたい」

このような想いを抱えている看護師もいるでしょう。

看護師が精神保健福祉士の資格を取得することで、医療と福祉の両面から患者さまを支えられるようになり、キャリアの選択肢も広がります。

この記事では、看護師が精神保健福祉士になるための方法、取得するメリット、取得後のキャリアの選択肢について解説します。資格取得についての疑問や不安が解消されれば、前向きに挑戦できるようになるでしょう。

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精神保健福祉士とは?

精神保健福祉士は、精神障害者の社会復帰を支える国家資格です。精神保健福祉分野に特化したソーシャルワーカーとして、PSW(Psychiatric Social Worker)とも呼ばれます。

たとえば「退院後に仕事に復帰したい」「一人暮らしができるか不安」といった悩みに対して、福祉制度や支援サービスを活用しながら生活を支える専門職です。

精神保健福祉士の役割と活躍できる場を紹介します。

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精神保健福祉士の役割

精神保健福祉士は、精神障害者の日常生活や社会復帰についての相談に応じる専門職です。

おもな業務は、福祉制度の情報提供や利用手続きのサポート、就労支援、住居探しの援助などです。たとえば、退院を控えた患者さまから「仕事に復帰できるか心配」という相談があった場合、就労移行支援事業所を紹介したり、利用申請を一緒におこなったりします。

患者さまやご家族の不安に寄り添いながら、医療と福祉をつなぐ役割を担います。

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精神保健福祉士の活躍の場

精神保健福祉士は、医療・保健・福祉分野の幅広い職場で働けます。

公益財団法人社会福祉振興・試験センターの「精神保健福祉士就労状況調査結果報告書」によると、精神保健福祉士が実際に働いているおもな場所は以下のとおりです。

  • 精神科病院や精神科クリニックなどの医療機関
  • 障がい者支援施設や就労支援施設
  • 保健所、市役所などの行政機関
  • 教育機関(小中学校など)
  • 児童相談所

幅広い分野で活躍できるため、自分の興味や得意分野に応じてキャリアを構築できます。

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看護師が精神保健福祉士になるための3つのルート

看護師が精神保健福祉士の受験資格を得るには、卒業した学校の種類によって異なるルートがあります。

  • 一般養成施設で1年以上学ぶ
  • 短期養成施設で6ヶ月以上学ぶ
  • 大学で指定科目を履修する

おもな取得ルートについて、具体的に解説します。

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一般養成施設で1年以上学ぶ

4年制大学を卒業した看護師は、一般養成施設で1年以上学ぶことで受験資格を得られます。

学習期間は養成施設によって異なり、昼間や夜間に通学するコースは1年で修了できるケースが多く、通信制コースは1年6ヶ月程度かかります。通信制や夜間コースを設けている施設も多く、それらを選べば働きながら学べます。各養成施設の期間やカリキュラムを確認し、自分に合った施設を選択すると良いでしょう。

費用は施設により異なりますが、昼間に通学する場合は130〜140万円ほど、通信課程では30〜60万円程度です。

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短期養成施設で6ヶ月以上学ぶ

短期養成施設を利用できるのは、以下のいずれかに当てはまる方です。

  • 社会福祉士の資格を持っている
  • 大学などで精神保健福祉士の基礎科目(11科目)を履修している

これらの条件を満たしていれば、短期養成施設で学ぶことで受験資格を得られます。

修業期間は、一般的に昼間課程で6ヶ月以上、夜間・通信課程で9ヶ月以上です。働きながら学びたい場合は、通信制や夜間コースを選ぶとよいでしょう。費用は施設により大きく異なりますが、通信制であれば、17〜50万円前後かかります。

なお、短期養成施設を利用するには、11科目の基礎科目(「現代社会と福祉」「地域福祉の理論と方法」「社会保障」など)をすべて履修していることが必要です。これらはおもに社会福祉系の科目であり、一般的な看護師養成課程には含まれていないことがほとんどです。

そのため、社会福祉士の資格を持っていない看護師は、短期養成施設ではなく一般養成施設で学ぶ必要があります。

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大学で指定科目を履修する

福祉系大学で精神保健福祉士の指定科目を履修し、卒業する方法もあります。

すでに社会人として働いている看護師がこのルートを選ぶ場合、数年間大学に通う必要があります。ただし、2〜4年間の在学が必要で、学費は100万円〜数百万円かかります。平日は授業が中心となるため、フルタイムで働きながら通うことは難しいでしょう。働きながら資格取得を目指す際は、通信制や夜間コースのある一般養成施設を選ぶのが現実的です。

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精神保健福祉士の国家試験概要

精神保健福祉士の国家試験は、毎年1月下旬〜2月上旬に実施されます。

試験の概要は以下のとおりです。

  • 出題形式:五肢択一のマークシート
  • 問題数:18科目から132問
  • 試験時間:約230分
  • 合格基準:60%程度(難易度により補正あり)

     過去の合格率は60〜70%台で推移しており、しっかりと準備すれば合格を目指せる試験であるといえるでしょう。働きながら資格取得を目指す場合は、休日や通勤時間を活用した学習スケジュールを立て、計画的に準備を進める必要があります。

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看護師が精神保健福祉士を取得する4つのメリット

看護師が精神保健福祉士の資格を取得するメリットについて、以下の4つを紹介します。

  1. 医療と福祉の両面から患者さまを支援できる
  2. 退院後の生活支援までかかわれる
  3. キャリアの選択肢が広がる
  4. 精神科領域での専門性が高まる

これらのメリットは、看護師としての経験を活かしながらキャリアの幅を広げられるものばかりです。

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1. 医療と福祉の両面から患者さまを支援できる

看護師の医療知識と精神保健福祉士の福祉の知識を組み合わせることで、患者さまの心身の健康と生活の両方をサポートできます。

たとえば、患者さまの症状悪化の原因が「経済的な不安」にあると気づいた場合、障害年金や自立支援医療といった福祉制度を紹介し、申請手続きまで支援できます。患者さまの生活課題を、具体的な支援につなげられることが強みです。

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2. 退院後の生活支援までかかわれる

精神保健福祉士の資格があれば、入院中のケアだけでなく、退院後の暮らしまで一貫して支援できます。

入院中から退院後の生活設計を一緒に考え、退院後も継続的に相談に乗れる関係を築けます。「入院中は看護師としてかかわれるけれど、退院したら関係が切れてしまう」という歯がゆさを感じている看護師は、やりがいを感じられるでしょう。

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3. キャリアの選択肢が広がる

精神保健福祉士の資格を持つことで、働く場所の選択肢が広がります。

病院だけでなく、福祉施設や行政機関、教育機関、企業など、医療・福祉・教育の幅広い分野で活躍できます。結婚や出産などライフステージの変化に応じて職場を選べるため、長くキャリアを続けやすくなるでしょう。

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4. 精神科領域での専門性が高まる

精神科看護師としてのスキルに福祉の専門知識が加わることで、精神科領域での専門性が高まります。

ダブルライセンスを持つ看護師は、チーム医療のなかで「医療と福祉の視点を持つ専門職」として活躍しやすくなります。多職種カンファレンスの際も、包括的な視点から意見を述べられるため、チーム内での発言力も増すでしょう。

関連記事:看護師がスキルアップできる資格一覧25選!プラスの資格を取るメリット

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看護師が精神保健福祉士を取得した際のキャリアの選択肢

精神保健福祉士の資格を取得した看護師には、さまざまなキャリアの選択肢があります。

  • 看護師を続けながらダブルライセンスで活躍する
  • 精神保健福祉士に転職して生活支援に専念する
  • 訪問看護で医療と福祉の両面を活かす

自身のライフスタイルや目指したい働き方に合わせて、キャリアを選択しましょう。

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看護師を続けながらダブルライセンスで活躍する

医療機関で看護師として働きながら、精神保健福祉士の資格を活かす働き方があります。

<対応業務の例>

  • 退院後に必要な福祉サービス(障害年金、自立支援医療、グループホームなど)の情報提供と申請手続き支援
  • 就労支援施設や地域の福祉事業所、行政機関との連携調整
  • 多職種カンファレンスでの医療・福祉両面からの退院計画提案
  • 入院から退院後まで継続的な生活支援

看護師としての医療知識があるため、患者さまの症状や治療経過を踏まえた支援計画を立てられることが強みです。

また、ダブルライセンスを活かし、医療ソーシャルワーカー(MSW)として働くことが可能です。看護師として培った医療知識と精神保健福祉士の福祉知識を組み合わせ、より専門性の高い支援ができるでしょう。

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精神保健福祉士に転職して生活支援に専念する

医療行為から離れ、相談援助や社会復帰支援に集中する働き方もあります。精神保健福祉士として、さまざまな分野で活躍できます。

<活躍できる職場と業務内容>

  • 障がい者支援施設

生活支援員として、利用者さまの日常生活支援や就労訓練をおこないます。看護師としての観察力があるため、利用者さまの体調変化に気づきやすいという強みがあります。

  • 行政機関(保健所・市役所の福祉課など)

精神保健福祉相談員として、住民からの相談対応や福祉制度の案内などを担います。地域の精神保健福祉施策の企画・実施にも携わり、地域全体の支援体制づくりに貢献できます。

  • 教育機関(スクールソーシャルワーカー)

小中学校で、児童生徒のメンタルヘルスに関する相談援助を実施します。保護者や教員と連携しながら、子どもの心の健康を支える役割を担います。

  • 企業の産業保健部門

社員のメンタルヘルス相談や職場復帰支援などをおこないます。ストレスやうつ病対策、働きやすい職場環境づくりに携わります。

基本的に、医療行為はおこないませんが、看護師として培った患者さまへの寄り添い方や観察力は、相談援助の場面で役立ちます。じっくりと相談援助業務に取り組みたい看護師に向いている働き方です。

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訪問看護で医療と福祉の両面を活かす

精神科訪問看護で利用者さまの生活全般を支援する働き方もあります。

<対応できる業務内容の例>

  • 健康状態の観察と医師への報告(看護師と連携)
  • 服薬管理や症状観察のサポート
  • 就労継続や社会参加に向けた生活リズムの調整
  • 日常生活のサポート(身の回りのことができるようになるための助言や見守り)
  • ご家族への精神疾患の理解を促す働きかけと介護負担の軽減
  • 療養生活についての相談対応
  • 福祉サービス(就労継続支援、グループホームなど)の利用提案
  • 地域の医療機関・福祉施設・行政との連携調整

医療的判断ができるため、利用者さまの体調変化に早期に気づき、対応できます。また、精神保健福祉士としての知識を活かして福祉サービスの利用を提案したり、地域の関係機関と連携したりできることが強みです。

精神保健福祉士の資格を活かせる職場をお探しの際は、訪問看護専門の求人サイト「NsPace Career」をご利用ください。精神科訪問看護の求人を豊富に取り扱っており、医療と福祉の両方の知識を活かせる職場が見つかりやすくなります。

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精神保健福祉士に向いている看護師の特徴

精神保健福祉士に向いている看護師の特徴を紹介します。

  • 患者さまの生活背景まで支えたい看護師
  • 患者さまの相談援助に興味のある看護師
  • 多職種連携やコーディネートが得意な看護師

これらの特徴は、精神保健福祉士として活躍するための強みになります。

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患者さまの生活背景まで支えたい看護師

患者さまの退院後の暮らしに関心がある看護師は、精神保健福祉士に向いています。

たとえば「入院中のケアはおこなったけれど、退院後の生活が気になる」「患者さまが地域で安心して暮らせる環境づくりにかかわりたい」と感じている看護師です。

精神保健福祉士の資格を取得すれば、入院中から退院後の住居や就労について患者さまと一緒に計画を立て、福祉サービスの利用手続きを支援できます。退院後も継続的にかかわり、生活全般をサポートできるため、こうした想いを実現しやすくなります。

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患者さまの相談援助に興味のある看護師

患者さまやご家族の話をゆっくりと聞く時間を大切にしたい看護師も、精神保健福祉士に向いています。

急性期病棟の忙しさの中で「もっとじっくりと患者さまと向き合いたい」と感じている看護師もいるでしょう。看護業務では時間的制約がある一方、精神保健福祉士の相談援助業務は、患者さまの話をじっくり聞き、一緒に解決策を考えることが中心となります。

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多職種連携やコーディネートが得意な看護師

医師、福祉職、行政など多職種と連携して支援を進めるのが得意な看護師も、精神保健福祉士に向いています。


精神保健福祉士の業務では、医師、看護師、相談支援専門員、行政の担当者など、さまざまな職種と連携しながら患者さまの支援を進めていきます。調整役として患者さまと関係機関をつなぐことにやりがいを感じる看護師であれば、精神保健福祉士として活躍できるでしょう。

関連記事:精神科看護師に向いている人の特徴5選!精神科でのやりがいや求められるスキルも紹介

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看護師の精神保健福祉士取得についてのよくある質問

看護師が精神保健福祉士を取得する際のよくある質問に回答します。

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Q1:精神保健福祉士に向いていないのはどのような看護師ですか?

書類作成や調整業務が苦手な看護師は、負担を感じる可能性があります。

精神保健福祉士の業務では、相談記録の作成、関係機関との連絡調整、福祉サービスの申請手続きなど、事務的な業務が増えます。「常に患者さまのそばでケアを提供したい」という看護師には、精神保健福祉士への転職は不向きです。

ただし、看護師を続けながらダブルライセンスを活かす働き方であれば、医療行為と相談援助の両方に携われます。

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Q2:看護師として働きながら資格は取れますか?

通信制や夜間コースを活用すれば、働きながら取得できます。

一般養成施設には、社会人向けに通信制や夜間コースを設けているところもあります。1年から1年半程度の学習期間が必要ですが、計画的にスケジュールを管理すれば、仕事と両立しながら資格取得を目指せます。

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Q3:看護師が精神保健福祉士を目指す際に実習は免除されますか?

実習が免除される条件は「精神障害者に関する相談援助業務の実務経験が1年以上」です。精神科病院の医療相談室や地域連携室で、相談援助業務を主な業務としている看護師であれば実習が全免除されることもあります。

しかし、病棟で看護業務が中心の場合や、看護業務の傍らで相談をおこなっている程度では、実務経験として認定されません。この場合、210時間の実習が必要です。

なお、社会福祉士の資格を持っている場合は、実習の一部が免除されます。

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​​看護師が精神保健福祉士を取得すればキャリアが広がる

精神保健福祉士は、精神障害者の社会復帰を支える国家資格です。

看護師が精神保健福祉士の資格を取得すると、医療と福祉の両面から患者さまを支援できるようになり、退院後の生活支援までかかわれます。病院だけでなく、障がい者支援施設、行政機関、教育機関、訪問看護など、キャリアの選択肢も大きく広がります。

資格取得には1年以上の学習期間が必要ですが、通信制や夜間コースを活用すれば、働きながら目指すことも可能です。

「患者さまの生活背景まで支えたい」「退院後の暮らしにも寄り添いたい」と考えている看護師は、ぜひ精神保健福祉士の資格取得を検討してみてください。

<参考文献・サイト>

精神保健福祉士就労状況調査結果報告書 公益財団法人社会福祉振興・試験センター

精神保健福祉士について 公益社団法人日本精神保健福祉士協会

精神保健福祉士について |厚生労働省

就労移行支援事業 厚生労働省

[精神保健福祉士国家試験]受験資格:短期養成施設・一般養成施設:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター

通信教育課程 精神保健福祉士短期養成通信課程 基礎科目および実務経験について | 東京福祉大学

保健師・看護師統合カリキュラム 厚生労働省

精神保健福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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