看護師の生活リズムが乱れる原因とは?夜勤・交代勤務でも健康的に働く5つのコツ

看護師として働いていると、夜勤や日勤を繰り返すシフトによって「朝起きて夜眠る」という生活リズムを維持するのは至難の業です。生活リズムが不規則になり、疲れが取れなかったり、常に身体が重く感じたりしている看護師も多いのではないでしょうか。
この記事では、生活リズムが乱れる原因を整理し、不規則なシフトでも心身の健康を守りながら働くためのコツを解説します。夜勤明けの質の高い眠り方や、体内時計をリセットするスキルが身につくため、自分の趣味や家族との時間を全力で楽しむことができ、看護師を無理なく続けられるでしょう。
看護師の生活リズムは乱れやすい現実
看護師の仕事は、24時間体制で患者さまをケアするという特性上、どうしても生活リズムが乱れがちです。
日勤、準夜勤、深夜勤が混在するシフトに加え、緊急時の対応や残業が重なり、睡眠不足や食生活が乱れることに悩む看護師は少なくありません。
乱れやすい現実を放置せず、いかにうまくコントロールするかが、看護師として健康的に働き続けるためのコツです。
看護師の生活リズムが乱れる3つの原因
看護師の生活リズムが崩れてしまう背景には、おもに3つの要因があります。
- 交代制勤務による体内時計の乱れ
- 長時間勤務・残業による生活リズムの偏り
- 家庭・育児との両立で生活リズムが不規則
これらの原因が絡み合うことで、慢性的な不調につながります。それぞれの要因がどのように生活リズムを狂わせるのか、メカニズムを詳しく見ていきましょう。
交代制勤務による体内時計の乱れ
交代制勤務は、「日中に活動し夜間に眠る」というサーカディアンリズム(体内時計)を維持できなくなる要因の1つです。夜間に光を浴びて働き、太陽が昇ってから眠る生活は、自律神経やホルモンバランスを乱します。
たとえば、夜勤明けに日差しを浴びて帰宅すると、寝つきが悪くなるため、睡眠の質が低下します。この体内時計のズレが蓄積することで、慢性的な時差ボケのような状態が続いてしまうのです。
長時間勤務・残業による生活リズムの偏り
長時間勤務や残業も、生活リズムを歪める要因です。
日本看護協会の調査によると、2024年度の看護師の有効求人倍率は2.51倍(前年比+0.29ポイント)であり、人手不足や急変対応により勤務時間が延び、睡眠時間や食事のタイミングが後ろ倒しになりがちです。
具体的には、日勤の残業が数時間に及ぶと、帰宅後の入浴や夕食が深夜になり、睡眠時間を十分に確保できなくなります。リフレッシュの時間が奪われ、さらなるリズムの悪化を招く恐れがあります。
家庭・育児との両立で生活リズムが不規則
仕事と家事や育児との両立が、看護師のスケジュールをさらに複雑なものにしています。自分の睡眠時間を削って家族の世話や学校行事に対応しなければならず、休まる暇がない場合もあります。
たとえば、夜勤明けで疲れが溜まっていても、子どもの送迎や食事の準備のために帰宅後に活動し続けるケースは少なくありません。
自分の健康維持よりも家族のスケジュールを優先せざるを得ない状況が、生活リズムの乱れにつながっているのです。
生活リズムが乱れている看護師のサインチェック
「自分は大丈夫」と思っていても、身体や心は悲鳴を上げているかもしれません。次のサインに心当たりはありませんか。
- 朝起きたとき、ぐったりした疲れを感じる
- 以前と比べて疲れやすい
- へとへとだ
- やる気が出ない
- 憂うつだ
- イライラする
- 物事に集中できない
これらは、生活リズムの乱れが1つの要因で疲労が溜まっているサインです。早期に対策することが重要です。
生活リズムが崩れることによる看護師への影響
生活リズムの乱れは「看護師なら仕方ない」と軽視されがちですが、放置すると心身や仕事のパフォーマンスに大きな影響を及ぼす可能性があります。対策を講じないままでいると、次のような不調が現れやすくなります。
- 睡眠の質が低下する
- 病気になるリスクが高まる
- 疲れが取れにくくなる
- 判断力や集中力が低下する
- イライラや気分の落ち込みが表れる
- 友人や家族と予定が合わなくなる
これらを見逃すと、燃え尽き症候群や重大な医療事故につながりかねません。自身のコンディションが悪化するメカニズムを正しく理解しておきましょう。
睡眠の質が低下する
生活リズムの乱れは、睡眠時間の短縮だけでなく、睡眠の質を低下させます。
夜間の睡眠はノンレム睡眠(深い睡眠)とレム睡眠(浅い睡眠)でバランスが良いものの、昼間睡眠ではレム睡眠・ノンレム睡眠の周期や割合が変化し、夜間睡眠に比べて質が低下しやすいからです。
質の低い睡眠が続くことで、脳と身体が十分に回復せず、日中に頭がぼんやりするような悪影響を及ぼします。
病気になるリスクが高まる
不規則な生活によってサーカディアンリズムが乱れることにより、次のような病気になるリスクが高まると言われています。
- 高血圧
- 心疾患
- 糖尿病
ほかにも、女性の月経周期の乱れが指摘されています。乱れた生活リズムを放置することは、将来的な健康問題につながる恐れがあります。
疲れが取れにくくなる
生活リズムが崩れると、慢性的な疲労感が抜けにくくなります。本来、休息時には副交感神経が優位になるべきですが、交感神経が働き続けてしまい、身体が常に緊張状態になってしまいます。
その結果、夜勤明けの次の日が休みで長時間眠っても、疲れが十分に取れないと感じる看護師は少なくありません。疲労がリセットされないまま次の勤務に入るため、ダメージが残り続けます。
判断力や集中力が低下する
脳が十分に休息できないことで、判断力や集中力が低下し、医療安全上のリスクが高まります。長時間勤務では、注意力が散漫になり、エラーに気づきにくくなることもあります。
たとえば、内服薬の確認ミスや、患者さまのわずかな変化を見逃してしまうなど、通常であれば防げるはずのミスが増える可能性があるのです。
イライラや気分の落ち込みが表れる
不規則な生活は精神面にも影響し、感情のコントロールが難しくなります。とくに、夜勤明けに不機嫌になったり、怒りっぽくなったりするのは、睡眠の質の低下が要因です。
同僚の言動にイライラしたり、仕事に対して強い不安や無力感を覚えたりすることが増えるかもしれません。心の余裕がなくなることで、患者さまへの接遇にも悪影響が出やすくなり、精神的な負担が大きくなる悪循環に陥ることもあります。
友人や家族と予定が合わなくなる
生活リズムのズレは、大切な人たちとのコミュニケーションの機会を奪い、社会的な孤立感を強めます。
たとえば、友人からの誘いを「夜勤だから」と断り続けたり、家族のイベントに参加できなかったりすることが重なると、疎外感を抱きやすくなります。
看護師の生活リズムを改善する5つのコツ
交代制勤務でも、工夫次第で生活リズムを整え、心身の負担を軽減することは可能です。明日からの勤務が少しでも楽になる、実践的なコツを紹介します。
- 夜勤前後の睡眠を工夫する
- 夜勤中に短時間でも仮眠を取る
- 食事・水分・カフェインの摂取に注意する
- 光や運動で体内時計を整える
- 看護師長にシフトや勤務形態の変更を依頼する
これらの方法のすべてを完璧に行う必要はありません。自分のライフスタイルに取り入れやすいものから始めてみましょう。
夜勤前後の睡眠を工夫する
夜勤前後の睡眠管理を徹底することで、体内時計のズレを最小限に抑えられる可能性があります。
たとえば、夜勤当日は午後に数時間の睡眠を取り、夜勤明けの帰宅時はカーテンを閉めて強い光を避け、2時間程度の仮眠に留めて夜に備えるのがポイントです。
光のコントロールと仮眠を組み合わせることで、生活リズムの乱れによる影響を抑えやすくなります。
夜勤中に短時間でも仮眠を取る
夜勤中の2時間程度の仮眠には、次のような効果を期待できます。
- 疲労回復と明け方の眠気解消
- 生活リズムの維持
- 生活時間の有効活用
- 夜勤を続けたときの健康影響を防ぐ
短時間の仮眠でも、疲労や眠気の回復に役立つと言われています。ナースコール対応や緊急入院の対応などで忙しいときでも、できる限りの睡眠時間を確保しましょう。
関連記事:看護師の準夜勤の時間は何時から何時まで?シフト例や生活と両立するコツ
食事・水分・カフェインの摂取に注意する
口にするもののタイミングと内容を意識することで、身体への負担を減らし、睡眠の質を高めやすくなります。消化に良い食事やカフェイン摂取の調整は、深部体温の変化や眠りの深さに影響するためです。
たとえば、可能な範囲で1日3回の食事を意識して、夜勤中は脂っこいものを控え、消化しやすいものを選びましょう。また、カフェインは覚醒作用があり、3~4時間ほど効果が持続するとされています。仮眠や帰宅後の睡眠時間を逆算し、摂取タイミングを調整することが大切です。
光や運動で体内時計を整える
光を浴びるタイミングを調整し、軽い運動を取り入れることで、体内時計を整えやすくなります。
日勤の日や休日には、起きてすぐに朝日を浴び、日中に軽い運動を習慣化しましょう。一方、夜はスマートフォンやタブレットのブルーライトを控えるなど、光刺激を減らす工夫をすると、脳が昼夜の区別をつけやすくなります。
看護師長にシフトや勤務形態の変更を依頼する
セルフケアだけでは体調管理が難しいと感じた場合、職場環境そのものを見直すために看護師長へ相談することも重要です。健康状態に配慮したシフト調整は、組織としてのリスク管理の一環でもあります。
具体的には、「連続した夜勤を控えてほしい」「準夜勤の後は必ず休みを入れてほしい」など、具体的な体調や困りごとを伝えたうえで相談すると、理解を得やすくなります。
無理をして心身に不調をきたす前に、働き方について話し合うことは、専門職として責任ある行動と言えます。
関連記事:夜勤は看護師の寿命を縮める?健康的に生活する7つのコツとキャリアの選択肢
どうしても生活リズムが整わない看護師の選択肢
セルフケアを意識して、生活を工夫しても、自身の体質や職場の環境によっては改善が難しい場合があります。働き方を見直すという選択肢にも目を向けてみましょう。
夜勤の回数を減らせる部署に異動する
体質的に夜勤がどうしても合わないと感じるなら、同じ病院内で夜勤が少ない、あるいは日勤のみの部署に異動したい旨を看護師長に伝えましょう。転職と比べて、院内の異動であれば、カルテのシステムや人間関係への適応の負担も少なくて済みます。
たとえば、一般病棟から透析室や手術室、外来部門などに異動することで、病棟に比べて夜勤の負担が軽減されるケースが多くあります。環境を変えることは、長く看護師を続けるための前向きな戦略です。
病院の外来や訪問看護ステーションを検討する
夜勤のない働き方へキャリアチェンジすることも1つの方法です。土日祝休みや日勤固定の職場に移れば、健康的な生活を送ることができるでしょう。具体的には、次の転職先が生活リズムを整えやすいためおすすめです。
- 訪問看護ステーション
- 地域のクリニック
- 企業の健康管理室
生活リズムが整うことで、心身に余裕が生まれ、患者さまに対してもより丁寧で質の高いケアを提供できるという好循環が生まれます。
看護師の生活リズムについてのよくある質問
ここでは、看護師の生活リズムについて多く寄せられる質問にお答えします。不安や疑問を解消し、自分に合った働き方を考えるヒントにしてください。
Q1:夜勤明けに寝られないのは普通ですか?
夜勤明けに眠れないのは、多くの交代勤務者が経験することです。
夜勤明けに太陽の光を浴びて覚醒していることや、夜勤中の緊張による高ぶりなどが原因です。無理に寝ようとせず、部屋を真っ暗にする、入浴で深部体温を上げてから寝る準備をするといった自分なりの方法を見つけてみましょう。
ただし、どうしても改善しない場合は、生活リズムが大きくズレているサインの可能性もあるため要注意です。
Q2:夜勤が続くと健康に悪影響ですか?
長期間にわたる不規則な夜勤は、生活リズムを乱し、健康に影響を及ぼす可能性があります。実際に、高血圧や糖尿病のほかに、諸外国の研究では発がんリスクとの関連が指摘されているものもあります。
一方で、適切な仮眠の確保、栄養バランスを意識した食事、定期的な運動を取り入れることで、こうしたリスクを軽減できる可能性があることも分かっています。
また、労働安全衛生法では、深夜業に従事する労働者に対して、面接指導や健康診断など、一定の健康配慮を事業者が行うことが求められています。
そのため、自身の健康状態を定期的にチェックして、必要に応じて医師の助言を仰ぐことも重要です。
体調の変化を放置せず、職場と相談しながら無理のない範囲で勤務を調整する姿勢を持ちましょう。
Q3:シフト変更を希望しても聞いてもらえない場合は?
体調の不安を伝えても勤務状況が改善されない場合は、職場の人員体制や病棟運営などの構造上、すぐに調整が難しいケースもあります。
一方で、看護師不足に悩む職場が多いとはいえ、健康を損なってまで働き続けることは望ましい状態とは言えません。
体調への影響が続いているにもかかわらず、具体的な配慮や代替案が示されない状況が長引く場合は、結果として十分な健康管理が行われていない可能性も考えられます。
診断書の提出や産業医への相談といった制度を活用するほか、自分の体調やライフスタイルを大切にできる別の働き方を検討することも、間違った選択ではありません。
生活リズムを整えて看護師として無理なく働きたいなら訪問看護師も
看護師の仕事はやりがいのある専門職ですが、交代制勤務によって生活リズムが乱れやすく、心身に負担がかかる働き方でもあります。
「夜勤がつらい」「毎日がだるい」と感じているなら、それは身体に変化が起きているサインです。今の働き方が自分に合っているのか、一度立ち止まって考えてみましょう。
NsPaceCareerは、訪問看護に特化した求人サイトであり、日勤のみの求人やワークライフバランスを重視した事業所など、生活リズムを大切にできる職場を豊富に提案しています。看護師として、健康的に働ける場所を見つけていきましょう。
<参考サイト・文献>
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
