看護師に英語は必要?現場で求められるレベルと必要なケースを解説

「これからの時代、看護師も英語が話せないとまずい?」と不安を感じている方はいませんか。
グローバル化が進み、外国人患者さまを見かける機会が増えています。
その一方で、日本の医療現場では、看護師に流暢な英語力が必ずしも求められているわけではありません。
この記事では、看護師に英語が必要といわれる理由や、英語力が求められるケースを解説します。自分に英語のスキルが必要であるか判断できるようになるでしょう。
看護師に英語は必要?全員には必要ない
すべての看護師に英語力が必要なわけではありません。日本の医療機関の多くは、日本語で業務が完結する環境にあります。
一般的な病院やクリニックで働いている場合、英語を使う機会は年に数回あるかないかでしょう。まずは医療現場の現状を把握し、英語の必要性について考えてみてください。
なお、英語が必要な場合でも、求められるのは日常英会話レベルではなく、「簡単な問診・指示ができる医療英語」です。
日本の医療現場の現実
日本の医療現場では、日本語でのコミュニケーションが中心です。患者さまの大半は日本人であり、電子カルテやマニュアルも日本語で運用されています。
実際に、令和6年度の厚生労働省の調査では、外国人患者さまを受け入れた医療機関は全体の52.7%にのぼっています。
ただし、病院ごとの受け入れ数は10人以下がほとんどで、日常的に英語を使う環境は限定的といえます。
英語がなくても問題なく働ける看護師は多い
一般的な医療現場では、日常業務の中で英語を使う場面は限られています。
そのため、英語が苦手でもジェスチャーや筆談、翻訳ツールを活用してコミュニケーションを図る看護師はたくさんいます。
看護師に英語が必要といわれる3つの理由
看護師全員に必須ではありませんが、英語力の必要性が注目される背景には、次の3つの理由があります。
- 外国人患者さまが増えている
- 医療安全・説明責任で必要になる
- キャリアの選択肢が広がる
とくに、都心部や観光地では、外国人対応の機会が増えています。英語が必要とされる背景を知って、自身のキャリアプランを考えるヒントにしてください。
外国人患者さまが増えている
訪日外国人観光客や在留外国人の増加に伴い、病院を訪れる外国人が増えています。
厚生労働省の調査によると、就労や勉強のために日本を訪れ、中長期にわたり滞在する外国人数は令和7年6月末時点で395万6,619人(前年末日+18万7,642人)であり、過去最高を更新しました。
とくに、観光地にある病院では、ケガや体調不良で搬送される外国人が多くなっています。こうした環境では、最低限の問診ができる英語力があると、スムーズな診療の助けになります。
医療安全・説明責任で必要になる
外国人患者さまに正確な情報を伝え、医療事故を防ぐために英語が必要です。アレルギーの有無や既往歴、服薬など重要な情報を誤って聞き出すと、患者さまの命にかかわる事態になりかねません。
日本看護協会が公開している外国人患者への対応に関する資料によると、日本語を話せない患者さまのインシデントリスクは、日本語で十分なコミュニケーションが取れる患者さまに比べて高くなる傾向があります。
たとえば、抗生剤のアレルギーがある患者さまに、問診での行き違いから該当薬を投与してしまうリスクがあります。安全な医療を提供するためのツールとして、語学力が求められるのです。
キャリアの選択肢が広がる
英語力があると、働く場所や職種の選択肢が広がります。具体的には、次のような語学力を応募条件とする場所で働くことができます。
- 病院の外来相談室
- 外国人向けのクリニック
- 外資系の製薬会社
- 国際的な医療支援活動
将来的に病院以外の場所で活躍したいと考えているなら、英語力は強力な武器になるでしょう。
英語が本当に必要な看護師のケース
英語力がないと業務が回らない職場や、看護師の目標によっては、英語学習が必須になります。これから紹介するケースの場合は、実践的な学習を始めることをおすすめします。
外国人患者が多い病院や地域で働いている人
観光地近くの病院や、外国人が多く住むエリアの医療機関では、英語力が業務の前提になる可能性があります。日常的に英語での電話対応や診察介助が発生し、翻訳アプリだけでは対応しきれない場面が増えがちです。実際に、在留外国人が多い地域として、次のエリアが挙げられます。
- 東京都:77万5,340人(前年比+3万6,394人)
- 大阪府:36万390人(前年比+2万6,826人)
- 愛知県:34万5,900人(前年比+1万4,167人)
- 神奈川県:30万6,363人(前年比+1万3,913人)
- 埼玉県:27万7,209人(前年比+1万4,827人)
ニセコや京都などの観光地にある病院では、冬のシーズン中に外国人の対応に追われることもあるでしょう。「1週間に1回以上、外国人対応がある」「翻訳アプリでは間に合わない」と感じているなら、英語学習の優先度は高いといえます。
海外志向・国際医療に関心がある人
将来は海外で看護師として働きたい、あるいは国際協力に携わりたい場合は、高度な英語力が必須です。現地の資格取得やビザ申請に英語力が求められるだけでなく、現地のスタッフと連携してケアをする必要があります。
たとえば、オーストラリアやアメリカで看護師免許の取得を目指すなら、IELTSやOETといった試験で一定以上のスコアを取らなければなりません。レベルを把握したうえで、目標達成に向けて計画的に学習を始めましょう。
関連記事:看護師はワーホリで働ける?仕事内容や必要な英語力、帰国後のキャリアも解説
英語に不安がある看護師がやるべき現実的な対策
「英語ができない」と悩みすぎる必要はありません。実際の医療現場では、便利なツールやマニュアルを活用すると、英語が苦手でも外国人患者さまに十分に対応できます。
- 「英語が話せるようになりたい」という願望と必要性は区別する
- 現場で使う表現を押さえる
- よく使うフレーズを把握する
- 英会話アプリや翻訳ツールを使えるように準備する
- 職場でマニュアル化する
今日から実践できる現実的な対策を取り入れ、不安を解消しましょう。
「英語が話せるようになりたい」という願望と必要性は区別する
まず、英語を学びたい理由が「業務に欠かせない」、もしくは「個人の趣味として話したい」などを明らかにしましょう。
業務で困っていないのに漠然とした不安から学習を始めると、目的があいまいで挫折しやすいからです。
職場で英語を使わないなら、焦って勉強する必要はありません。必要になったタイミングで対応するスタンスでも十分です。
現場で使う表現を押さえる
日常会話よりも、医療現場でよく使う単語や表現を優先して覚えましょう。患者さまの訴えを理解するには、次の基本的なキーワードを聞き取る能力が役立ちます。
- Pain(痛み)
- Nausea(吐き気)
- Fever(熱)
「How are you?」といったあいさつよりも、「Are you in pain?(痛みますか?)」といった問診項目を伝えられる方が実用的です。業務に関連する単語から少しずつ覚えていきましょう。
よく使うフレーズを把握する
すべての会話を組み立てるのではなく、使用頻度の高いフレーズを暗記すると、スムーズに対応できるようになります。採血やバイタルサインの測定など、看護業務の流れはある程度決まっているため、使う言葉も定型化しやすいからです。
「Please take a deep breath(深呼吸してください)」「I’m going to take your blood pressure(血圧を測ります)」などは、どの診療科でも活用できます。メモ帳に書いて持ち歩き、必要な場面で読み上げてください。
英会話アプリや翻訳ツールを使えるように準備する
自分の語学力に頼らず、テクノロジーを活用するのも賢い方法です。
急に言葉が出てこないとき、スマホに向かって話してもらうだけで、患者さまの訴えを正確に把握できます。事前にアプリをインストールし、使い慣れておくと、いざというときに慌てずに済みます。
職場でマニュアル化する
個人で対応するのではなく、病棟全体で対応できる仕組みを作ることも大切です。「指差し会話シート」や「多言語問診票」をナースステーションに用意しておけば、誰でも一定レベルの対応ができます。
厚生労働省のホームページに掲載されている「外国人向け多言語説明資料」を参考にしてマニュアル化することがおすすめです。外国人患者さまに対応できるように準備を整えることで、英語への苦手意識によるストレスを軽減できます。
看護師×英語についてのよくある質問
現場で英語の必要性を感じる中で、キャリアへの影響を不安に感じる看護師は少なくありません。
ここでは、多くの看護師が抱える代表的な疑問に回答します。
Q1:英語ができないと昇進できませんか?
英語ができなくても昇進に影響することはほとんどありません。看護主任や看護師長の昇進基準は、英語力ではなく、次のポイントが重視されます。
- 看護実践能力
- マネジメント能力
- 指導力
一般的な病院で、語学力が管理職の必須条件になるケースは極めて稀といえます。昇進を目指すなら、まずはリーダー業務や委員会活動などで実績を積むことに注力してください。
Q2:看護師は英語が話せると高収入を得られますか?
一般的な病院勤務では、英語ができるだけで給料が大幅に上がることはほとんどありません。夜勤手当や資格手当などのように「英語手当」が出る病院はほとんどないからです。
ただし、外資系企業の産業保健師や治験コーディネーターなど、英語が必須の職種へ転職すれば、年収アップを狙える可能性があります。高収入を目指す手段として英語を活かすなら、働く場所を変える視点も持ちましょう。
関連記事:看護師が海外で働く方法6選!仕事内容の違いや海外の資格について紹介
Q3:看護師は英語を話せると選べる職場が増えますか?
英語が話せると、働ける職場の選択肢は増えます。
外国人向けのクリニックや病院の外来相談室など、特殊な求人に応募できるようになるからです。さらに、臨床以外の場面でも英語力は役立ちます。国際学会への参加や海外の論文を読むことで、専門分野の知識を深めるチャンスも広がります。
自分の可能性を広げたい人にとって、英語は強力なツールになるはずです。
看護師全員に英語は必須ではない!必要性と願望をわけて考えよう
今の職場で英語を使う機会がないなら、焦って勉強する必要はないでしょう。
英語が必要な環境で働きたい、あるいは将来的に海外を目指したい場合、その目的に合わせた学習を始めましょう。
なお、訪問看護の分野では、外国人対応の頻度が比較的低い職場も多くあります。
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<参考サイト・文献>
令和6年度医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査について|厚生労働省
令和7年6月末現在における在留外国人数について|出入国在留管理庁
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
