夜勤に行きたくない看護師へ|そう感じる理由と限界になる前に考えたい対処法

夜勤の時間が近づくにつれて、「このまま逃げ出したい」「行かなければいけないのはわかっているけど、どうしてもつらい」と感じてしまう看護師は少なくありません。勤務表に並ぶ夜勤のマークを見ただけで、ため息が出たり、気持ちが重く沈んだりすることもあるでしょう。
看護師にとって夜勤は「できて当たり前」「乗り越えるもの」とされがちです。そのため、つらいと感じていても誰にも言えず、「自分が弱いだけなのでは」「もう少し頑張らなければ」と、無理を重ねてしまう人も多くいます。しかし、夜勤への強い不安や心身の疲れを抱えたまま働き続けることは、知らず知らずのうちに体調やメンタルを追い込んでしまう原因になります。
この記事では、看護師が夜勤に行きたくないと感じる理由を丁寧に整理し、そのつらさが一時的な疲れなのか、それとも環境を見直す必要があるサインなのかを見極める視点をお伝えします。無理に自分を奮い立たせるのではなく、「これ以上つらくならないために何ができるのか」を一緒に考えていきましょう。少しでも心が軽くなるきっかけとして、読み進めてみてください。
夜勤に行きたくないと感じる看護師は少なくない
看護師の中には夜勤前に憂うつになり、「できることなら行きたくない」と感じる方は少なくありません。厚生労働省の『看護師等(看護職員)の確保を巡る状況』調によると、夜勤を含む勤務負担を理由に退職を選択する看護師も少なくないことが報告されています。不規則な勤務形態や人手不足の現場では、多くの看護師が一度は夜勤に行きたくないと感じるのが現実です。
しかし、夜勤が向いていないと感じることは、看護師としての適正や努力不足の問題ではありません。ストレスの多い環境で、体調不良やメンタル不調などにより、やむを得ず当日欠勤を選択するケースも実際に見られます。
関連記事:看護師の夜勤の働き方とは?勤務体制やメリット・デメリットを解説
看護師が夜勤に行きたくないと感じるおもな理由
看護師が夜勤を避けたいと考える背景には、いくつかの要因が絡み合っています。疲労だけではなく、夜間特有の環境が精神的な負担となるケースもあります。
- 生活リズムが崩れて心身が回復しにくい
- 夜間は少人数で責任が重い
- 急変対応へのプレッシャーが強い
- 夜勤メンバーに苦手な人がいて仕事しづらい
- 夜勤前後の予定がすべて潰れる
これらは、多くの看護師が抱える切実な悩みです。まずは、それぞれの悩みを紐解いていきましょう。
生活リズムが崩れて心身が回復しにくい
夜勤に行きたくない理由は、体内時計が乱れて疲れが取れなくなることです。日本看護協会の『看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン』でも夜間に働き、夜勤明けの昼間の睡眠で疲労を回復させる生活が続くことによる心身への影響として、次のような項目が挙げられています。
- 睡眠の質の低下
- 疲労回復効果の低下
- 負の情動ストレスの解消機能の低下
- 健康障害の恐れ
身体の回復が追いつかないため、夜勤が苦痛になります。
夜間は少人数で責任が重い
日勤に比べてスタッフの数が限られており、1人で対応を迫られる場面が増えるため、夜勤を負担に感じます。
たとえば、点滴の自己抜去や転倒転落といった予期せぬトラブルが発生した際に、相談できる相手が少ない状況は強い不安を生みます。少ない人数で業務を行っているため、他の先輩看護師も忙しく、自分だけで判断しなければならないプレッシャーが、夜勤を敬遠させる原因の一つです。
急変対応へのプレッシャーが強い
容体が悪化する患者さまへの対応に、恐怖心を感じ、夜勤に行きたくなくなる看護師も多くいます。
たとえば、夜間の巡視中に患者さまの意識レベルの低下や呼吸状態の悪化を発見した際、バイタルサインを測定しながら、医師への連絡や緊急対応をこなす必要があります。もちろん、応援を依頼することはできますが、他の看護師も同時に転倒の対応やエンゼルケアを行っていることもあるでしょう。スタッフ数が少ないため1人あたりの責任が重くなりがちです。
万が一の事態に「自分は対応できるだろうか」という不安が、夜勤を避けたい気持ちを強めます。
夜勤メンバーに苦手な人がいて仕事しづらい
夜勤は、一般的に看護師2人態勢で行われることが多く、12~16時間と長時間の勤務になるケースも少なくありません。そのため、相性の合わないスタッフと組んだ場合、長時間同じ空間で過ごさなければならず、夜勤そのものに強い苦痛を感じることがあります。
さらに、夜勤では休憩や仮眠のタイミングもペアで行動することが多く、「少し距離を置く」「気持ちを切り替える」といった逃げ場がほとんどありません。常に相手に気を遣い続けなければならない状況は、精神的な負担を大きくします。
たとえば、些細なことで厳しく指摘してくる先輩と一緒だったり、会話が噛み合わず気まずい空気が続いたりすることを想像するだけで、出勤前から気持ちが重くなる看護師もいるでしょう。苦手な相手と2人きりで過ごす夜勤は、日勤以上にストレスを感じやすく、「夜勤に行きたくない」という気持ちを強める大きな要因になります。
夜勤前後の予定がすべて潰れる
夜勤を軸にした生活では、看護師は友人や家族との予定を合わせるのが難しくなるため、夜勤を避けたくなります。勤務時間だけでなく、前後の休養時間も必要であるため自由な時間の確保が難しくなります。
夜勤前は体力を温存するために家で過ごし、夜勤明けは眠るだけで1日が終わることもあります。楽しみにしていたイベントがあっても、夜勤明けの体調不良を心配して参加を諦める場面も出てきます。
自由な時間が削られている感覚が強くなるため、夜勤のない生活を望むようになるのです。
夜勤に行きたくない看護師によくある「立場別の悩み」
夜勤への不安や負担感は、経験年数や職場での役割により変わります。「自分だけ弱いのでは?」と感じがちですが、多くの看護師が、それぞれの段階で夜勤に負担を感じています。
- 1年目の看護師の悩み
- 2年目の看護師の悩み
- 中堅看護師の悩み
- ベテラン看護師の悩み
立場が変われば責任の重さや体力の限界も変わるため、悩みが変化します。自分がどの段階で、何につらさを感じているのかを整理しましょう。
1年目の看護師の悩み
1年目の看護師は、自分の知識不足や技術不足が患者さまの状態悪化につながるのではないかと不安を感じています。夜勤はスタッフ数も減るため、日中よりも自立した動きを求められ、わからないことがあってもすぐに聞けない環境に恐怖を抱きやすくなります。
たとえば、採血や吸引の処置を1人で任される際、失敗してはいけないと緊張したり、巡視のときに患者さまの状態悪化を発見できないのではないかと不安を感じたりしがちです。
また、慣れない不規則勤務で「夜勤中、眠くなったらどうしよう」と事前に休養をしっかりとれず不安になることもあります。
経験不足の不安と責任の重さが重なり、夜勤を「怖い」と感じやすい時期といえるでしょう。
関連記事:新人看護師の夜勤はいつから?5つの悩みと独り立ちの時期や基準を解説
2年目の看護師の悩み
2年目になると、後輩をサポートしながら自分の業務も完璧にこなさなければならないという負担を感じます。
1年目のようなマンツーマンでのサポートが終わる一方、2年目は少しずつ任される業務が増えてくる時期です。ですが、経験したことのないケースや状況で判断に迷い、自分の力不足を感じて自信を失いやすい時期でもあります。
期待と不安の板挟みになりやすい2年目は、夜勤の精神的負担が大きくなりやすい時期です。
中堅看護師の悩み
中堅看護師は、リーダー業務や重症の患者さまの受け持ちが増え、精神的な疲労がたまりやすくなります。夜勤帯の責任者として、病棟全体の動きを把握しながらトラブルを解決する役割は、神経を使います。
緊急入院の受け入れへの対応や、インシデント発生時の管理職への報告などの役割を求められがちです。責任ある立場として後輩のフォローのために、自分の休憩時間を削って働く中堅看護師は少なくありません。また、体力の衰えを感じ始める時期でもあり、夜勤の疲労が抜けにくくなることも悩みの種です。
ベテラン看護師の悩み
ベテラン看護師は、長年の不規則な生活による健康への影響や、体力の限界をリアルに感じるようになります。実際に、若手の頃のように無理がきかなくなり、夜勤後の体調不良が数日間続くことも珍しくありません。
夜通し働くことが身体的に困難になるケースも見られます。看護スキルはあっても、身体がついていかない現実が、夜勤を辞めたいと思う理由になります。
看護師が夜勤に行きたくないのは甘え?それとも危険信号?
夜勤がつらくなり「甘えているのでは」と責める必要はありません。行きたくないという感情は、心や身体が休息を必要としているサインです。
- 一時的な疲れなのか、慢性的な不調なのか考える
- 我慢し続けるリスクを知っておく
- 限界サインに該当しないかチェックする
自分の状態を知って、無理のない働き方を選択するための基準として役立ててください。
一時的な疲れなのか、慢性的な不調なのか考える
今のつらさが、十分な休息で回復するものなのか、長く続いているものなのかを見極める必要があります。「昨日の夜勤が忙しかったから」「急患の対応で大変だった」などの理由であれば、しっかり休むと気持ちは前向きになるでしょう。
しかし、休みの日も夜勤のことを考えて涙が出たり、眠れなかったりする場合は、心が悲鳴をあげているサインです。「まだ頑張れるかどうか」ではなく、「すでに無理をしていないか」という視点で振り返ることが大切です。
我慢し続けるリスクを知っておく
無理をして夜勤を続けると、うつ病や自律神経失調症などの病気を引き起こす恐れがあります。看護師の中には責任感が強く、多少の不調は我慢して出勤してしまう方もいます。
実際に、日本看護協会の『2023年病院看護実態調査』によると、傷病による連続休暇を取得した看護職員がいた病院は85.7%で、そのうちメンタルヘルス不調者は74.3%です。
集中力が低下した状態で仕事をすると、重大なミスを起こす可能性が高まります。自分の健康を犠牲にして働いた結果、看護師を続けられなくなっては本末転倒です。
限界サインに該当しないかチェックする
身体や心に出ている変化が、限界を超えていないかチェックしてみてください。
- 出勤前に涙が止まらなくなる
- 食欲がない
- 動悸がする
- ミスが増えた
いくつか当てはまる場合は注意してください。これらは心が限界を迎えているサインであるため、すぐに看護師長や職場の産業医に相談しましょう。
関連記事:夜勤は看護師の寿命を縮める?健康的に生活する7つのコツとキャリアの選択肢
看護師で夜勤に行きたくないときに今すぐできる対処法
「夜勤がつらい」と感じていても、1人で抱え込んでしまう看護師もいます。しかし、夜勤のつらさは環境や働き方を変えるだけで軽減できるケースも多くあります。
- 夜勤前後の過ごし方を見直す
- 夜勤回数・配置を相談する
- 一定期間休めないか相談する
これらの方法は、今すぐ取り組める方法です。今の苦しい状況から抜け出すためのきっかけを作っていきましょう。
夜勤前後の過ごし方を見直す
夜勤の負担を完全になくすことは難しくても、疲労を最小限に抑える工夫は可能です。とくに重要なのが、夜勤前後の睡眠と生活習慣です。
夜勤前は遮光カーテンを閉めて部屋を暗くし、質の良い仮眠を取るように心がけたり、夜勤中は消化の良い食べ物を選び、胃腸への負担を抑えたりするのがコツです。
ちょっとした工夫で、夜勤後の回復力が変わる可能性があります。自分に合ったリラックス方法を見つけ、少しでも心身の負担を減らしましょう。
夜勤回数・配置を相談する
夜勤がつらい原因が「回数の多さ」や「人間関係」にある場合は、看護師長に相談して勤務体制を見直してもらうことも現実的です。
日本看護協会の『2023年病院看護実態調査 報告書』によると、1ヶ月当たりの夜勤回数は2交代制で平均4.9回、3交代制で7.5回です。平均を大きく上回る回数をこなしている場合は、無理が生じやすい状態といえます。
また、苦手なスタッフと夜勤が重ならないように配慮を求めることも、精神的な安定につながります。「今のままでは働き続けるのが難しい」と、看護師長にはっきり意思を伝えることが現状を変えるためには欠かせません。
一定期間休めないか相談する
どうしても夜勤がつらい場合は、看護師長や人事担当者に相談し、有給休暇や休職制度を利用して、現場から離れる時間を確保しましょう。たとえ数日間でも仕事を休むだけで、張り詰めていた気持ちが落ち着き、冷静に考えられるようになります。
「職場に迷惑をかけてしまう」「周囲の目が気になる」と感じるかもしれません。
しかし、心と身体を守れるのは自分だけであるため、限界を迎える前に、相談する勇気を持ちましょう。
それでも夜勤がつらい看護師の選択肢
今の職場で努力をしても夜勤のつらさが解消されない場合は、環境を変える決断も必要です。生活スタイルや健康を最優先に考え、ストレスなく働き続けられる方法を検討しましょう。
日勤のみの病棟へ異動する
今の職場が好きであれば、同じ病院内にある日勤のみの部署へ異動願いを出しましょう。具体的には、次の職場は夜勤がない、もしくは回数が少ない傾向にあります。
- 外来
- 手術室
- 地域連携室
異動であれば、これまでの人間関係や人事評価などを維持したまま、働き方を変えられます。まずは看護師長に、日勤のみで働ける枠がないか確認することをおすすめします。
夜勤のない働き方に変更する
現在の職場で夜勤のない働き方が選択できない場合は、転職を検討してみましょう。看護師資格を活かしながら、基本的に日勤のみで働ける職場には、次のような選択肢があります。
- 訪問看護ステーション
- クリニック
- デイサービス
ただし、勤務先によってはオンコール対応や土日の出勤が求められる場合もあるため、求人情報を事前にチェックしましょう。
夜勤があっても続けやすい人の特徴
夜勤を苦にせず、前向きに働いている看護師には共通した特徴があるようです。
- 切り替えが早い
- 体力回復が早い
- 夜勤手当をモチベーションにできる
たとえば、夜勤中に忙しい時間帯があっても、「今は今」「終わったら休めばいい」と気持ちをすぐに切り替えられる人は、精神的な消耗が少なく済みます。夜勤を働き方の1つとして捉えられる人は、長く夜勤と付き合っていけるでしょう。
夜勤との相性に悩みやすい看護師の特徴
一方で、夜勤を続けることで心身に不調をきたしやすい人もいます。これは能力や意欲の問題ではなく、体質や性格との相性によるものです。
- 睡眠の質が仕事に直結する
- 体調変化に敏感である
- 夜間の緊張状態が長引く
無理に適応しようとせず、自分の特徴を知ることが大切です。
夜勤に行きたくない看護師のよくある質問
夜勤に対する悩みは、多くの看護師が共通して抱えています。同じ境遇の看護師から寄せられる疑問や回答を確認して、不安が緩和できると幸いです。
Q1:夜勤がつらいのは看護師何年目までが多いですか?
夜勤のつらさは、1~3年目くらいまでがピークといわれています。業務に慣れていない時期は緊張感が強く、体力的にも精神的にも消耗しやすいからです。
しかし、ベテランになっても体力の衰えからつらさを感じる人は多くいます。基準を知ることよりも、自分の状況を知ることが大切です。
Q2:夜勤が嫌で転職すると不利ですか?
夜勤が嫌という理由で転職しても、不利になることはほとんどありません。「健康管理のために長く働ける環境を選びたい」と前向きに伝えると、採用担当者も納得するでしょう。
実際、日勤のみの求人は需要があり、同じ理由で職場を変えている看護師は多くいます。
Q3:夜勤が原因で体調を崩した場合、休職できますか?
夜勤による不眠やメンタル不調で業務に支障が出ている場合、医師の診断書があれば休職できます。
無理して働き続けるよりも、しっかり休んで治療に専念するほうが、結果的に長く看護師を続けられます。つらいと感じた段階で、看護師長に早めに相談することが大切です。
夜勤に行きたくない看護師は日勤メインの職場への転職がおすすめ!
夜勤に行きたくないという気持ちは、身体と心が発している重要なサインです。夜勤手当による収入も魅力ですが、健康を損なっては看護師を続けられない可能性があります。
日勤メインの職場に異動したり、働き方を整えたりすることで生活リズムを取り戻すことができます。自分の心と身体を考え、無理のない範囲で働ける場所を探しましょう。
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<参考サイト・文献>
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
