看護ケアとは?内容一覧と基本から具体例までわかりやすく解説【記録対応】

「看護ケアって、どこまでを指すの」「チームに評価される看護ケアの記録を書けるようになりたい」と、不安や疑問に感じる方は多いのではないでしょうか。
日々の業務に追われていると、バイタル測定や処置をこなすことで精一杯になります。そんなとき、「これは本当に看護ケアと言えるのだろうか」と立ち止まることはありませんか。
看護ケアの本質は「患者さまがその人らしく過ごせるよう、心と身体を支えること」にあります。
この記事では、看護ケアの内容を一覧で整理し、ケアの考え方を解説します。日々のケアに自信が持てるようになり、患者さまの満足度と自身のキャリア、いずれも向上できるでしょう。
看護ケアとは?
看護ケアとは、看護師が専門的な知識・技術・判断をもとに、患者さまの心身や生活を支えるために行う援助を指します。「何が看護ケアにあたるのか」を理解するうえで、整理しておきたいのが、医療行為との違いです。
- 医療行為:診断や治療を目的として行われる、医療的な処置や対応
- 看護ケア:治療を受けながら生活する患者さまに直接かかわり、専門的判断にもとづいて心身や生活を支える援助全体
この2つの視点を持つことで、「これは看護ケアか」「なぜこの援助が必要か」を考えながら、質の高い看護ケアを提供できるようになります。
看護ケアの内容における3つの視点
より良い看護ケアを提供するためには、患者さまの行動の背景にある目的を理解することが欠かせません。次の視点から看護ケアを捉え直してみましょう。
- アセスメント
- 援助
- 指導と教育
視点を意識することで、看護ケアの根拠がはっきりとして、多職種連携や看護記録の質も向上します。
アセスメント
看護ケアには、患者さまの現状を正しく分析するアセスメントが大切です。正確に判断できなければ、効果的な看護ケアを提供できません。
たとえば、バイタルサインや検査のデータなどに加えて、患者さまの表情や発言から「何に困っているのか」「何が不安なのか」というニーズを読み解きます。
情報収集で終わらせず、その背景にあるリスクや原因を突き止めるアセスメントこそが、質の高い看護ケアには必要です。
援助
アセスメントにもとづき、患者さまの心身に介入するのが援助です。分析した課題に対して具体的な援助を行うことで、患者さまが安全に、安心して生活できるよう支えます。
具体例として、皮ふの乾燥によるかゆみがある患者さまに対し、清拭後に保湿剤を塗布し、肌当たりの良い衣類に整えます。看護ケアに「かゆみを緩和する」という目的を明らかにすることで、患者さまの回復を早め、苦痛を最小限に抑えているのです。
指導と教育
患者さまやご家族が自立して生活できるように、知識や技術を伝える指導と教育も重要な看護ケアです。退院後には、看護師がそばにいなくても安心して生活できるようにする必要があります。
具体的には、インスリン自己注射の手順を一緒に確認したり、ご家族に介助のコツを伝えたりする介入を指します。看護師が一方的に教えるのではなく、患者さまの理解度や生活スタイルに合わせることで、症状を管理して、悪化しないようにするために大切です。
代表的な看護ケアの内容一覧【日常生活援助】
日常生活援助は、患者さまが安心して療養に専念するために欠かせない看護ケアです。次のようなかかわりは、患者さまの生活の質を高め、心身の回復を促します。
- 環境調整
- 食事や栄養のサポート
- 排泄ケア
- 活動や休息の支援
- 清潔介助
これらの援助に根拠を持ち、患者さまに合わせてサポートすることで、患者さまとの信頼関係が深まり、満足度の高い看護ケアになります。
環境調整
患者さまが安心して過ごすために欠かせないのが環境調整です。
病気やケガで心身が弱っているときは、ちょっとした環境の不備が転倒転落や感染といったリスクにつながります。
たとえば、病院ではナースコールがすぐ手に届くか確認し、ベッド周囲を整理します。訪問看護では「本当はこう暮らしたい」という希望を伺いながら、手すりの位置や段差の解消を一緒に考え、転倒転落を防ぐのです。
食事や栄養のサポート
食事のサポートの本質は、必要な栄養素を摂取するということだけではなく、安全に食べる喜びを支えることにあります。適切な栄養摂取は回復を早める一方、食事による誤嚥や窒息といったリスクへの配慮も欠かせません。
麻痺がある患者さまには、嚥下機能に合わせた食事形態を選択し、食事を摂取するときのポジショニングを調整します。また、食欲がない方には、好みや生活背景に合わせた献立の工夫をおこないます。
排泄ケア
排泄は、患者さまの尊厳や自立に深くかかわる、非常にデリケートな行為です。思い通りに排泄できないことへの恥ずかしさや遠慮は、心の負担となり、生活の質(QOL)を大きく低下させる要因になります。
そのため、看護師はプライバシーに細心の注意を払って、次のような排泄ケアをおこないます。
- 自立に向けた歩行介助
- おむつや排泄の介護支援
- 失禁時のスキンケア
- ストーマや膀胱留置カテーテルの管理
患者さまの羞恥心に寄り添い、その人らしさを損なわないように配慮することで、心身ともに健やかな生活を支えていきましょう。
活動や休息の支援
患者さまが健やかなリズムで1日を過ごせるよう活動と休息のバランスを整えることも、重要な看護ケアです。
具体的には、夜間にしっかり眠れるように照明や室温を調整したり、日中にリハビリやレクリエーションを取り入れて離床を促したりします。
清潔介助
清潔介助は、身体の清潔保持だけでなく、心身をリフレッシュさせ、全身状態を観察する機会です。
全身清拭を行うことは、皮膚の汚れを落とすだけではなく、皮膚の温かさや色調、浮腫などを観察し、異常の早期発見につなげます。また、ご家族に介助方法を伝えることで、退院後のケアに対する不安を和らげる役割もあります。
心理的なケアや不安への介入
患者さまが抱える心の痛みに寄り添い、不安を和らげるかかわりは治療を支える看護ケアです。不安が強い状態では、眠れなくなったり食欲が落ちたりして、結果として回復を遅らせます。
看護師は、沈黙を大切にした傾聴や、不安を吐き出しやすい環境作りなどをおこないます。また、リハビリの悩みは理学療法士、退院後の栄養管理の不安は管理栄養士など、必要に応じて適切な専門職につなぐことも看護ケアです。
代表的な看護ケアの内容一覧【医療処置・管理技術】
病棟や在宅の現場では、専門的な医療処置・管理が欠かせません。ここでは、代表的な看護ケアを紹介します。
| 看護ケア | 内容 |
| 健康状態の観察 | バイタルサイン、生活状況や生活歴、ご家族の状況の把握 |
| 呼吸・循環の管理 | バイタルサイン、人工呼吸器や在宅酸素、水分出納バランスの把握、ドレーン管理 |
| 創傷の管理 | 褥瘡、創傷管理 |
| 与薬 | 内服、点滴、座薬、貼付薬などの与薬 |
| 緊急時の対応 | 急変時、災害時、訪問看護での緊急対応 |
それぞれの看護ケアのポイントを確認し、患者さまに安全に実施できるようにしましょう。
健康状態の観察
バイタルサインの測定に加え、患者さまの全体像を捉える観察が看護ケアの基本です。
血圧や体温の数値だけではなく、生活歴や家族構成、普段の表情の変化などにも目を向け、異常の徴候が隠れていないか確認します。また、過去のデータと比較して「いつもと違う」という違和感を持つことが、重症化の予防や最適なケアの選択に不可欠です。
呼吸・循環の管理
命に直結する呼吸や循環の管理は、専門性と細心の注意が求められる看護ケアです。わずかな設定のミスや観察漏れが、重大なインシデントになる恐れがあります。
人工呼吸器や在宅酸素の管理、水分出納のバランス把握に加え、患者さまの呼吸音や浮腫の状態などを観察することで、異常の早期発見と早期治療につなげます。
創傷の管理
褥瘡や手術創などの創傷管理は、痛みの緩和と早期治癒を目指す大切な看護ケアです。
創部の状態が悪化すると、感染症のリスクが高まり、患者さまのADLが低下します。そのため、医師の指示に従った薬剤塗布やドレッシング材の交換に加え、除圧のためにポジショニングをおこないます。
与薬
与薬ケアとは、単に薬を飲んでもらうだけでなく、効果や副作用を観察・評価することまでを含みます。
6R(正しい患者・薬剤・量・方法・時間・目的)の確認を徹底し、与薬を実施します。また、患者さまが安心して治療を継続できるよう、飲み方の工夫や説明を行うことも重要な役割です。
緊急時の対応
急変や災害などの緊急事態において、冷静に行動することが看護師には求められます。急変時には、最初の数分間の対応が、患者さまの予後を左右します。
一次救命処置の実施や医師への報告がスムーズにできるように、日頃からシミュレーションを重ねておくことが大切です。
代表的な看護ケアの内容一覧【指導・教育】
指導と教育は、患者さまが退院した後も、自分らしく安心して過ごすために大切なケアです。知識を伝えるだけでなく、患者さまの生活背景や思いに寄り添いながら、自立に向けてかかわりましょう。
自己管理に向けた指導・教育
患者さまが自分の病気と向き合い、日常生活の中で安全に療養を続けるためには、自己管理に向けた指導と教育が欠かせません。
たとえば、医師の治療方針を踏まえながら、糖尿病のある患者さまには、血糖測定の方法やインスリン注射の手技だけでなく、低血糖時の対応や生活リズムの整え方までを含めて支援します。
また、自己導尿が必要な方には、手技の習得だけでなく、感染予防や不安への配慮を行いながら、その人の生活に無理なく取り入れられる方法を一緒に確認します。
ご家族への支援
ご家族に対しては、精神的な支援に加え、介護に関する指導や相談対応も行います。ご家族が疲れると、患者さまの療養環境に影響し、共倒れするかもしれません。
たとえば、移乗や排泄介助の方法、食事介助時の注意点などを具体的に伝えることで、ご家族が自信を持って介護に取り組めるよう支援します。
また、介護負担が過度にならないよう、ご家族の思いを聴きながら、無理のない介護方法や社会資源の活用について一緒に考えることも看護ケアの重要な役割です。
看護ケアをするために大切なこと
看護ケアをするためには、次のポイントに沿って「患者さまにとって何が最善か」を問い続ける姿勢が大切です。
- 患者さまを中心に考える
- 根拠にもとづいたケアを行う
- 話を聞く姿勢と力
- 安全と倫理への配慮を忘れない
- 多職種連携で患者さまをケアする
看護ケアに根拠と優しさを持つことで、患者さまを支えられるでしょう。
患者さまを中心に考える
看護ケアでは、患者さまの価値観や人生を尊重する姿勢が必要です。医療的に正しいことが、患者さまの幸せと一致するとは限らないのです。
まずは患者さまが歩んできた人生や、生活習慣を知ることから始めましょう。
根拠にもとづいたケアを行う
質の高い看護ケアを提供するためには、「なんとなく」や「昔からの慣習」に頼らず、根拠にもとづいて実施する必要があります。根拠がないと良かれと思ったことでも、患者さまに負担をかけたり回復を遅らせたりする可能性があります。
最新のガイドラインやエビデンスを確認し、評価することを意識してみましょう。
話を聞く姿勢と力
患者さまのニーズをキャッチするためには、傾聴力と観察力が不可欠です。言葉にならないつらさや願いは、何気ない会話や仕草に隠れていることが多くあります。
患者さまに目線を合わせ、あいづちを打ちながら、話を遮らずに聴くことを心がけましょう。信頼関係を築くことで、患者さまは本音を話しやすくなり、個別性の高い看護ケアの実践が可能になります。
安全と倫理への配慮を忘れない
看護ケアでは、患者さまの安全確保と自尊心の保護は両立させる視点が重要です。
たとえば、転倒防止の工夫をおこないながらも、安易な身体拘束は避け、着替えの際には露出を最小限にするなど、患者さまの羞恥心への配慮が求められます。倫理的な視点を持つことが、患者さまの心と身体を守ることにつながります。
多職種連携で患者さまをケアする
看護師だけで問題を抱え込まず、多職種と連携することで最適な看護ケアを提供できます。さまざまな視点を組み合わせることで、看護師だけでは気づけなかった課題が明らかになることもあります。
リハビリスタッフや薬剤師、ソーシャルワーカーと情報を共有し、目標を統一しましょう。
関連記事:看護師にとって大切なこと9つ!これから看護師に求められることも解説
看護計画や記録で使える看護ケアの書き方
忙しい業務の中では、看護計画や記録は簡潔になりがちです。しかし、ポイントを意識するだけで、看護師の観察やケアの内容が伝わるようになります。
- 誰が読んでもイメージできる書き方をする
- 看護ケアの結果や変化を書く
- なぜその看護ケアが必要なのかを言葉にする
- 次の看護ケアにつながる評価を書く
事例を交えながら、どう書けば伝わる記録になるのか、コツを押さえていきましょう。
誰が読んでもイメージできる書き方をする
看護記録は、チームメンバーが状況を共有するためのものです。あいまいな表現が多いと、情報の受け取り方に差が生まれ、ケアの質の低下や事故につながる恐れがあります。
共通の医療用語を用いつつ、患者さまやご家族の発言はそのまま記載します。また、「多量」「少量」といった抽象的な表現ではなく「300mlの排尿あり」「食事摂取量は6割」と数値化することで、誰が読んでも現場の状況を正しくイメージできるでしょう。
看護ケアの結果や変化を書く
記録には、看護ケアをおこなったという事実だけでなく、患者さまがどう変化したかを残すことが重要です。ケアの効果が記載されていなければ、その介入が適切だったかを評価できません。
具体的には、鎮痛薬を投与した場合は、「投与後30分で、痛みがスケール8から3に低下した」といった事実の変化を記載します。
実施後の反応を残すことで、看護計画の妥当性が検証され、次の担当者も迷わず継続的なケアをおこなえるようになります。
なぜその看護ケアが必要なのかを言葉にする
看護ケアの意図や根拠を記録に添えることで、チームのケアに一貫性と説得力が生まれます。目的が共有されないままでは、流れ作業のような援助になってしまうかもしれません。
たとえば、足浴実施とするのではなく、「末梢循環不全の改善とリラックスのため足浴実施」と記録しましょう。
なぜそのケアを選んだのかという思考過程を言語化することは、看護の専門性を示すことにもつながります。
次の看護ケアにつながる評価を書く
記録の最後には、看護計画の評価と方向性を示します。
看護記録は報告であると同時に、次のケアを改善するための指針でなければなりません。「発赤は縮小傾向にあるためプラン継続」や「咀嚼が難しいため食事形態の見直しを検討」など次に行動できるように意識します。
評価を積み重ねることで、看護計画が患者さまの状態に合ったものに更新され、質の高い看護ケアを提供できます。
関連記事:看護評価の書き方がわかる!例文・記入の流れ・注意点を解説
看護ケアの内容についてのよくある質問
現場の看護師からよく寄せられる代表的な不安や疑問にお答えします。
Q1:看護ケアと看護技術の違いは何ですか?
看護技術は「具体的な手段」であり、看護ケアはその技術を用いた「援助全体」を指します。
たとえば、点滴や清拭といった行為は看護技術です。しかし、それだけでは看護ケアとはいえません。「声掛けで不安を和らげる」「皮膚の状態を観察する」といった心身への配慮が加わって、看護ケアになります。
Q2:看護ケアは医師の指示が必要ですか?
看護ケアのうち、医療処置や治療に直結する内容は医師の指示のもとで行います。
一方で、観察・日常生活援助・心理的支援についても、疾患や症状によっては医師から具体的または包括的な指示が出されることがあります。
その指示や治療方針を踏まえたうえで、看護師は専門的判断をもとに、患者さまの状態に応じた看護ケアを実施します。
たとえば、「食事は見守り」と医師から指示が出ている場合でも、食事の姿勢や介助方法、注意すべきポイントまでは細かく示されていないことがあります。
看護師は、嚥下状態や疲労の程度を観察し、姿勢を調整したり、ひと口量を工夫したりしながら、安全に食事が摂れるよう援助します。
Q3:記録にはどこまで詳しく書くべきですか?
看護記録には細かな書式の法的指定はありませんが、看護師の判断と援助を第三者が理解できるよう記録することが求められます。
先輩や看護師長に、記録の手順や看護ケアをどのように残すか確認しておくと良いでしょう。
看護ケアの内容を理解すると看護の質が上がる!
看護ケアは、患者さまの療養生活を支えるために欠かせません。
今の職場で作業になっていると感じたら、立ち止まって患者さまの生活に目を向けてみてください。あなたにしかできない看護があるはずです。
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<参考サイト・文献>
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
