看護師の喫煙率は本当に高い?4つの理由と忙しい看護師でもできる禁煙の取り組み

公開日:2025/12/25 更新日:2025/12/25
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「看護師の喫煙率は高いの?」「患者さまに禁煙の指導をするけど、自分が吸っているのは考えもの」

このようなイメージから、看護師の喫煙率に漠然とした不安や疑問を持つ方は少なくありません。患者さまの健康をサポートする医療従事者として、自身の健康や倫理的な側面に悩む看護師も多くいます。

この記事では、看護師の喫煙率から、なぜ看護師の喫煙率が高いといわれるのか、その理由を解説します。忙しい現場で働く看護師でも成功できる禁煙の取り組みを紹介するため、ぜひ参考にしてください。

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看護職の喫煙率は7.5%

東京都看護協会がおこなった「2018年看護職のタバコ実態調査」によると、看護職の喫煙率は7.5%であることが報告されています。ここでは、看護職の喫煙の実態をさらに詳しく紹介します。

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看護職の性別の喫煙率

看護職の性別の喫煙率は、次のとおりです。

  • 女性看護職の喫煙率:7.5%
  • 男性看護職の喫煙率:7.7%

男性看護職と比べると、女性看護職の方が喫煙率はやや低いことがわかります。

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看護職の年代別の喫煙率

看護職の喫煙率は年代によって傾向がわかれます。

年代女性男性
20歳代4.8%データなし
30歳代3.7%20.0%
40歳代10.5%0%
50歳以上9.5%0%
参考:2018年看護職のタバコ実態調査|東京都看護協会(男性のデータは有効回答数346件のうち3.8%と少ないことに注意)

女性は40代、男性は30代でピークになっています。業務の責任が増す年代や、子育てと仕事の両立などでストレスがかかりやすい年代が、喫煙しやすいと考えられます。

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看護師の喫煙率の比較

看護師の喫煙率は、ほかの職種や一般社会と比べて本当に高いのでしょうか。具体的なデータと比較してみましょう。

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ほかの職種との比較

医師の喫煙率(2020年)は男性6.9%、女性0.9%と報告されています。

また、介護職の喫煙率は22.2%とされていることから、調査によって差はあるものの、介護職の喫煙率は看護師や医師よりも高いことがわかります。

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日本全体の喫煙率との比較

厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査結果の概要」の調査によると、喫煙率(2023年)は15.7%(男性25.6%、女性6.9%)です。

看護職の喫煙率は7.5%であるため、全体平均で見れば半分以下の水準です。

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看護師の喫煙率が高いといわれる4つの理由

看護師の喫煙率が実際は低いにもかかわらず、「高い」と勘違いされてしまう背景には、医療機関という特殊な環境における喫煙行動の目立ちやすさや、社会的なイメージが関係しています。

  • 医療従事者としてのギャップが目立つ
  • 特定の喫煙コミュニティが外から見えやすい
  • ストレスの大きさと息抜きの必要性
  • 過去の喫煙率の高さと古いイメージの継続

これらの要因により、喫煙する看護師が実際よりも多く感じられ、誤解が広がりやすくなります。偏見ではなく、背景にある職場環境や社会的なイメージを理解することが重要です。

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医療従事者としてのギャップが目立つ

患者さまに健康指導を行う立場の看護師が喫煙していると、その行動と立場とのギャップが、一般社会の職業よりも強く印象づけられます。

喫煙者である看護師の存在が倫理的な問題として記憶に残りやすく、少数であっても「看護師=喫煙者が多い」というイメージになりがちです。

患者さまやご家族からの期待値が高いため、わずかな喫煙者の存在が過大に認識されているのかもしれません。

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特定の喫煙コミュニティが外から見えやすい

多くの病院では敷地内の全面禁煙が徹底されています。喫煙する看護師は、休憩時間になると病院の敷地外の特定の場所に集まることになります。

決まった場所に、集まって喫煙する姿が、外来患者や地域住民から目撃されやすいため、「たくさんの看護師が喫煙している」という誤解を生みやすくなるのです。

関連記事:新人看護師が直面するストレス7選!つらい気持ちを乗り越える方法

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ストレスの大きさと息抜きの必要性

看護師の仕事は、責任が重く、身体的・精神的なストレスが大きいことが知られています。

実際に、看護職のたばこ対策委員会によると、ストレスについて「あり」と回答した者は86.4%で、看護職の10人に約9人がストレスを自覚していました。

この過酷な労働環境が社会的にも認知されているため、ストレス発散としてタバコに頼っているだろうという憶測や偏見が生まれやすいです。短時間で気分を切り替える手段が必要なほど多忙である、という現状の裏返しとして、「喫煙=ストレス解消」というイメージになります。

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過去の喫煙率の高さと古いイメージの継続

かつては、女性の喫煙率が現在よりも高かった時代があり、看護師の喫煙率も一般女性を上回っていた時期がありました。日本看護協会「看護職とたばこ」によると、1998年の成人女性の喫煙率が13.4%に対して、女性看護師は24.5%でした。

この過去のデータやイメージが、現代になっても残り続けている可能性があります。

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喫煙している看護師の悩み

喫煙している看護師は、健康面だけでなく、医療従事者としての倫理的なジレンマも抱えています。

  • 健康面の不安
  • 患者対応時の匂い・印象の悪さ
  • 医療者としての倫理・イメージへの影響

これらの悩みは、自身の健康を守る責任と医療従事者としての社会的責任がぶつかり合うことで生まれます。このジレンマを解消することが、禁煙成功へのモチベーションとなるでしょう。

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健康面の不安

看護師は、自身の知識から、喫煙による健康リスクを理解しています。実際には、次のようなリスクがあります。

  • COPD
  • 悪性腫瘍
  • 骨粗鬆症
  • 白内障
  • 手術の際の創傷部位の治癒の遅れ
  • 術後の呼吸器合併症の増加

喫煙している看護師は、「このままタバコを続けて大丈夫だろうか」という健康不安を強く感じています。

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患者対応時の匂い・印象の悪さ

タバコの匂いは、服や髪、呼気を通じて広がり患者さまやご家族に不快感を与えます。とくに、気管支喘息やCOPDなどの呼吸器疾患を持つ患者さまには悪影響を及ぼす可能性があります。

匂いに配慮して手洗いや換気をおこなっても、「看護師なのにタバコ臭い」というネガティブな印象を持たれることへの後ろめたさを感じているのです。

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医療者としての倫理・イメージへの影響

健康増進を促すべき立場でありながら、自身が喫煙しているという事実は、医療者としての倫理観や専門家としての信頼性に影響を及ぼします。

患者さまやご家族から「説得力がない」「看護師なのに自己管理ができていない」といったネガティブなイメージを持たれることへのジレンマを抱えがちです。

この印象の悪さは、後ろめたいという感情にとどまらず、患者さまへの禁煙指導や生活習慣病の指導といった健康指導の説得力低下にも直結するでしょう。

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禁煙したい看護師の具体的な取り組み

忙しい看護師でも実行しやすい、禁煙への取り組みをご紹介します。

  • 看護師仲間と一緒に禁煙する
  • 飲み物やガムなど置き換え行動を作る
  • ストレスマネジメントに取り組む
  • 禁煙外来を利用する

禁煙は、自己管理能力を高め、自信を取り戻すための挑戦です。ストレスをタバコ以外で解消する習慣を身につけ、プロのサポートも活用しながら禁煙に取り組みましょう。

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看護師仲間と一緒に禁煙する

職場の同僚や先輩と一緒に禁煙を始めると、お互いを監視し合い、モチベーションを維持しやすくなります。

まずは禁煙する理由をはっきりさせて、同僚や先輩に禁煙する決心を伝えましょう。禁煙しやすい環境を強制的に作れるメリットもあります。

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飲み物やガムなど置き換え行動を作る

タバコを吸いたくなったら、すぐに口にできる代替品を用意してみてください。カフェインの入っていないハーブティーやシュガーレスガム、ミントタブレットなどを活用したりしましょう。

また、タバコを吸いたくなる場面で「喫煙行動」の代替として次のような行動をするのもおすすめです。

タバコを吸いたくなる場面代替行動
起床してすぐすぐに顔を洗う
食事をした後歯磨きをする
通勤中の車大声で歌う

これらの行動で衝動的な「吸いたい気持ち」のピークを乗り切ることが大切です。

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ストレスマネジメントに取り組む

「タバコでストレスが減る」と感じるのは、一時的な錯覚にすぎません。喫煙者がタバコを吸ってホッとするのは、ニコチン切れによる禁断症状が一時的に収まっただけなのです。

禁煙に成功すれば、このイライラから解放され、精神的な健康状態も良くなることがわかっています。喫煙の原因となっているストレスを、次の方法で逃がすスキルを身につけましょう。

  • スポーツをする
  • 趣味を持つ
  • リラクゼーションを心掛ける

また、ストレスを悪いものと捉えるのではなく、「乗り越えるべき課題」と前向きに捉え直す工夫をすることも、ストレス管理には有効です。

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禁煙外来を利用する

自己流の禁煙で挫折した経験がある場合は、禁煙外来を利用してみましょう。一般的に、保険適用の禁煙治療は12週間に5回のプログラムとなっています。治療のプログラムは次のとおりです。

  • ニコチン依存度の判定:問診でどれだけニコチンに依存しているか判定
  • 呼気一酸化炭素濃度測定:喫煙によりどのくらい息が汚れているか検査
  • ニコチン依存度の判定に合わせた処方:貼り薬や飲み薬を処方
  • アドバイス:禁煙できるコツやモチベーションを保つ秘訣をお伝え

ただし、治療期間や内容、流れなどは、病院の治療方針や本人の症状によって異なります。日本禁煙学会のホームページでは、全国の禁煙外来を紹介しているため、一度ご覧になってみてください。予約制の病院が多いため、確認したうえで予約すると良いでしょう。

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看護師の喫煙率についてのよくある質問

看護師の喫煙率についてよくある質問に回答します。疑問を解消して、禁煙への一歩を踏み出すための参考にしてください。

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Q1:喫煙している看護師は患者対応に影響ありますか?

タバコの匂いによる不快感を患者さまが抱く恐れがあります。

ユニフォームや髪、呼気に残る匂いは、敏感な患者さまにとってストレスとなり、指導やケアの信頼性を損なう可能性もあります。

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Q2:看護師でも禁煙できますか?

看護師でも禁煙できます。

看護師は病気の仕組みや禁煙の重要性を理解しており、禁煙の知識ベースが高いため、禁煙外来を利用すると、忙しい看護師でも成功率は上がるでしょう。

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Q3:喫煙率が高い職業は何ですか?

一般的に、肉体労働やサービス業など、労働時間が不規則でストレスレベルが高い職業は喫煙率が高くなる傾向があります。

看護師もこの「ストレスレベルが高い職業」に該当するため、喫煙率が注目されやすいのです。

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看護師の喫煙率は高いと誤解されがち!禁煙外来を利用して禁煙に取り組もう

看護師は、患者さまの健康を担う責任と、自身の過酷な労働環境との間で、喫煙のジレンマを抱えています。

「タバコは私には必要だ」と感じているかもしれませんが、その裏側には、解消すべき強いストレスや睡眠不足といった根本的な問題が隠れていることがほとんどです。健康的な身体は、看護師として長く活躍するために欠かせません。

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<参考サイト・文献>

2018年看護職のタバコ実態調査|東京都看護協会

第7回(2024年)日本医師会員喫煙意識調査報告|日本医師会

栗岡ら, 京都府下の高齢者介護施設のタバコに関する実態調査, 日本禁煙学会雑誌 第 13巻第1号 2018年.

令和5年国民健康・栄養調査結果の概要|厚生労働省

2021 年度 山梨県における看護職の喫煙に関する調査報告書|看護職のたばこ対策委員会

看護職とたばこ|日本看護協会

喫煙によるその他の健康影響|厚生労働省

禁煙の準備 – 禁煙7日前から行う、禁煙のコツを教えます!《準備編》|厚生労働省

たばことストレス|厚生労働省

禁煙治療ってどんなもの?|厚生労働省

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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