「看護師を辞めたい」と感じる7つの理由!辞めるべき人・続けるべき人の特徴を解説

看護師の仕事は、命にかかわる責任の重さ、不規則な勤務、複雑な人間関係など心身にストレスがかかるため、「辞めたい」「もう限界かもしれない」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、看護師が辞めたいと感じる理由を深掘りし、「辞めるべき危険サイン」と「立ち止まって考えるべきケース」の2つに分けて解説します。安心して長く働けるキャリアを選ぶために、今の気持ちとしっかりと向き合いましょう。
看護師の79.2%が「仕事を辞めたい」と感じている
日本医療労働組合連合会の調査によると、79.2%は「辞めたいと思うことがある」という回答をしています。ただし、意識割合であり、実際の離職や確実な退職予定を示すものではありません勤務形態別に見ると次のとおりです。
| 勤務形態 | 割合 |
| 日勤のみ | 17.4% |
| 3交代 | 25.9% |
| 2交代(夜勤は12時間以上16時間未満) | 26.3% |
| 2交代(夜勤が16時間以上) | 27.3% |
この表から、長時間夜勤の負担が大きいことが伺えます。辞めたいと思うのは、意志の弱さではなく、過酷な労働環境が原因の1つである可能性があります。
看護師が辞めたいと感じる7つの理由
看護師が辞めたいと感じる背景には、さまざまな要因があります。ここでは、よく聞かれる7つの理由を解説します。
- 人手不足で仕事がきつい
- 給料が見合わないと感じる
- 休暇を十分に取れない
- 夜勤がつらい
- 仕事の達成感がない
- 人間関係のストレスが大きい
- 家族に負担をかけている
これらの理由は複雑に絡み合い、心身の疲労として現れます。個人の努力で解決できる問題ではなく、職場環境や労働条件に起因しているケースも多くあります。
1.人手不足で仕事がきつい
多くの医療機関は、慢性的な人手不足であり、これにより看護師の負担を増やしているのが現状です。実際に、厚生労働省の調査によると、2024年度の看護師の有効求人倍率は2.41倍と、求人に対して働き手が不足していることがわかります。
忙しい毎日の中で患者さまのケアに時間をかけられず、理想と現実のギャップに苦しんだり、残業が増えたりすることが、心身の疲労に直結します。
2.給料が見合わないと感じる
命にかかわる責任ある業務や不規則な夜勤など、心身に大きな負担を抱えながら働いているにもかかわらず、「今の給与では割に合わない」と感じている看護師は少なくありません。
とくに、残業代が適切に支払われなかったり、努力を続けても昇給が期待できなかったりする環境では、仕事へのやりがいや達成感が失われ、モチベーションの低下につながります。給与に対する不満は、働き続けることへの不安や転職を考えるきっかけにもなります。
3.休暇を十分に取れない
年次有給休暇やリフレッシュ休暇が取りにくい環境も、離職理由の上位に挙がります。
看護師は日常的に交代制勤務を行っている方が多く、友人や家族と予定が合わなかったり、ゆっくり休むことが難しかったりします。
また、人手不足のため、希望する日に休みが取れなかったり、体調不良でも無理して出勤せざるを得なかったりするケースもあります。日本医療労働組合連合会の調査によると、年次有給休暇をすべて取得している看護師は全体の6.4%にとどまる現状です。この状況が続くと、心身を回復させる機会がなく疲弊してしまいます。
4.夜勤がつらい
夜勤は、看護師の心身に負担をかける要因の1つです。
生活リズムの乱れによる睡眠障害や自律神経のバランスが崩れることで起こりやすい不調、日勤に比べて少ない人数での責任の重さ、夜間の緊張感などによりストレスが溜まります。「もう夜勤はしたくない」「夜勤がつらい」という理由で退職を選ぶケースは多いようです。
5.仕事の達成感がない
日々の業務に追われ、患者さまとじっくり向き合う時間が取れず、「決められた業務をこなすだけ」と感じてしまうことがあります。
本来大切にしてきた「患者さまの力になりたい」「寄り添った看護をしたい」という看護観と、現場の忙しさとのギャップが大きくなることで、仕事へのやりがいや達成感を感じにくくなります。その結果、「何のために働いているのだろう」と自分のキャリアに疑問を抱くきっかけになるのです。
6.人間関係のストレスが大きい
女性が多い職場特有の難しさ、看護部門の上司や医師からの厳しい指導など、人間関係のストレスは離職理由になりがちです。
また、看護師の職場では、チーム医療ならではの上下関係や多職種との連携に加え、指導やコミュニケーションの難しさからも、人間関係のストレスを感じやすい傾向があります。
業務そのものだけでなく、周囲への気遣いや職場の雰囲気に馴染もうとする負担が重なることで、精神的な疲労が蓄積します。こうした状態が続くと、「この環境で働き続けるのはつらい」と感じ、退職を考えるようになるケースも少なくありません。
7.家族に負担をかけている
夜勤やオンコールの呼び出しが多くなると、子育てや介護中の看護師は、家族に負担をかけていると感じることもあるでしょう。
とくに、小さい子どもがいる看護師は、保育園や学童のお迎え、急な病気の対応が難しくなり、「家庭と仕事の両立ができない」という悩みに直面します。家庭を優先できる働き方へ変えるために退職を考えるのです。
経験年数別の看護師が辞めたいと感じる理由
辞めたい理由は、看護師の経験年数によって傾向が異なります。
- 看護師歴1~3年目の若手
- 看護師歴3年目以降の中堅
- 看護師歴10年目以上のベテラン
キャリアに共通する悩みを知ることで、個人的な悩みではないことがわかり、次はどのように行動すべきか冷静に判断できるようになります。
あくまで一例ですので、必ずしもすべての看護師の方が該当するわけではありません。
自分に当てはまるものを参考にしてください。
看護師歴1~3年目の若手
看護師歴1~3年目の若手が辞めたいと感じる理由は次のとおりです。
- リアリティショック:理想と現実のギャップの大きさ
- 技術・知識への不安:経験不足からくる自信のなさ
- 先輩からの指導:慣れない環境での人間関係のストレス
この時期は、環境への適応とスキル習得の過程でつまずきやすく、精神的なストレスが大きくなります。
看護師歴3年目以降の中堅
看護師歴3年目以降の中堅が退職を考える理由は次のとおりです。
- 業務量と責任の増加:後輩指導やチームリーダーを任され負担が増加
- 給与への不満:責任の重さに対して給与が上がらないことへの不満
- キャリアへの疑問:今の職場でのキャリア形成や将来への不安
この時期は、仕事に慣れたからこそ、キャリアの停滞や待遇への不満を抱きやすいのです。
看護師歴10年目以上のベテラン
看護師歴10年目以上のベテランは、次のような理由から退職を考えます。
- 体力の限界:長年の夜勤や重労働による身体的な疲労、体力の衰え
- マネジメントへの移行:管理業務が増え、直接ケアにかかわることが少なくなりやりがいを失う
- 家庭との両立:子育てや親の介護など、ライフイベントとの調整の難しさ
長年の経験があるからこその疲労や、ライフステージの変化が退職を考えるきっかけとなります。
看護師を辞める前に立ち止まって考えたほうがいいケース
次のケースに当てはまる場合は、看護師を辞める前に一度立ち止まって、部署異動や働き方の変更を検討してみましょう。
- 人間関係は1人の先輩だけがつらい
- 病棟を変えれば解決する可能性がある
- 夜勤を減らせば続けられる
- 看護師1年目であり慣れれば落ち着くケースもある
今の悩みを環境や条件を変えることで解決できるのであれば、まずはその選択肢を検討しましょう。
人間関係は1人の先輩だけがつらい
特定の先輩や上司との関係だけがストレスの原因である場合、部署異動によって人間関係の悩みが解消する可能性があります。
部署内で苦手な先輩がいる場合、看護師長や人事部門に相談し、外科から内科、あるいは病棟から外来など部署やチームを変えることで、顔を合わせる機会を減らせます。原因を特定できているなら、まずは病院内の環境を変えてみることが、労力が少なく、キャリアを継続しやすい判断といえます。
病棟を変えれば解決する可能性がある
退職を考える前に、病棟の業務内容や特性が変わる部署への異動を検討してみましょう。
勤務先が嫌いではないものの、「病棟の業務量が体力的に厳しい」「急性期のスピード感が合わない」といった業務内容とのミスマッチが原因で不満を感じているケースがあります。
たとえば、重症度が高く忙しい急性期病棟から慢性期病棟へ、あるいは夜勤のない外来や手術室へ異動することで、業務量や精神的なプレッシャーを軽減できるかもしれません。病院に愛着がある場合、環境だけを変える方が転職よりも負担が少なくて済みます。
夜勤を減らせば続けられる
夜勤による心身の負担が理由で退職したい場合、働き方を「夜勤なし」に切り替えることで仕事を継続できる可能性があります。
看護師長に夜勤回数を減らす相談をするか、あるいは日勤のみの働き方に変更するかなど、夜勤のない勤務形態に切り替えましょう。夜勤の負担を解消することが、悩みを根本的に解決するための有効な手段です。
看護師1年目であり慣れれば落ち着くケースもある
看護師1年目の辞めたいという悩みは、医療現場の特殊な環境やプレッシャー、知識の習得に追われることでリアリティショックを受けており、一時的なものかもしれません。これは、多くの新人が経験することであり、個人の能力の問題ではないでしょう。
一般的には、3年目頃から業務に慣れ、技術や知識に自信が持てるようになるといわれています。まずは、周囲のサポートを受けながら続ける選択肢もあります。
関連記事:看護師1年目はつらい?辞めたい理由や7つの乗り越え方を詳しく紹介
辞めたい看護師が「辞める前」に試すべき対処法
すぐに退職を決断する前に、現在の職場で状況を改善するためにできることを試してみましょう。
- まずは休む
- 異動願いを出す
- 働き方を変える
- 看護師長や同僚に相談する
これらの対処法は、あなたの心身を守り、次のキャリアを見極めるために重要です。行動することで、今のつらい状況を変えられる可能性があります。
まずは休む
心身の疲労が限界に達していると感じたら、まずは看護師長や人事課に相談して、有給休暇やリフレッシュ休暇で、まとまった休みを取りましょう。
極度の疲労やストレスがある状況では、衝動的に退職を決めて後悔する可能性があります。心身を休ませることで、辞めるべきか続けるべきか冷静に判断できるようになります。
異動願いを出す
人間関係や特定の業務が原因で辞めたいと感じている場合は、看護師長に部署異動の希望を伝えましょう。
病院側も大切な人材を失いたくないため、退職を避けるために異動を検討してくれる可能性があります。
働き方を変える
夜勤や残業が原因であれば、就業規則を確認したうえで、夜勤の免除や土日休みなど勤務変更を看護師長に相談してみましょう。
また、時短勤務やパート勤務などライフスタイルに合わせた働き方に変更することで、今の仕事を続けられる場合があります。
看護師長や同僚に相談する
辞めたい気持ちを1人で抱え込まず、信頼できる看護師長や同僚に相談して、客観的な意見を求めることも大切です。
1人で悩んでいると視野が狭くなり、問題がより深刻に感じられますが、他者に話すことで気持ちが整理され、現実的な解決策が見つかる可能性があります。
職場の状況をよく知る人だからこそ、現実的な解決策や異動先の情報などを得られたり、「この人に話したら楽になった」と感じたりするでしょう。
今すぐ辞めることを考えた方がいい看護師の危険サイン
次のサインに当てはまる場合、心身が限界を迎えている可能性があります。
- 眠れない・食べられないなど身体症状が出ている
- 仕事を考えると涙が出る
- 「今日職場に行きたくない」と考えるのが続く
これらのサインは、心と身体のSOSかもしれません。看護師自身の甘えではなく、心が限界だとサインを出している状態です。
勤務を続けることで、さらに身体症状が現れたり、精神疾患につながったりする恐れがあるため、休息を取りまずは受診することをおすすめします。また、主治医と相談し今の職場を離れることも検討しましょう。
看護師を辞めると決めた場合の「正しい辞め方」
退職を決意したら、円満に職場を離れるために、法律や職場のルールに則った「正しい辞め方」を知っておきましょう。
- 退職の伝え方
- 退職を引き止められたときの対処法
- 辞めた後のことを考え転職先を検討しておく
さまざまな対処法を試しても状況が変わらず辞めたいと考えるケースでも、次のキャリアに影響が出ないよう、できる限り円満退職を目指すことが大切です。
退職の伝え方
退職する意思を固めたとき、まずは看護師長に報告しましょう。
法律上は2週間前で問題ありませんが、職場規定に従い2〜3ヶ月前に伝えると、引き継ぎや退職の手続きなどをスムーズに進められます。
退職を引き止められたときの対処法
退職を報告する際、「人が足りないから」「もう少し頑張ってみない?」など引き止められることがあります。
しかし、現職を続けても問題が解決する可能性は低いため、あいまいな返事は避け、退職の意思が固いことを丁寧に伝えましょう。
関連記事:看護師の退職で強い引き止めにあう理由10選!退職しやすい理由を解説
辞めた後のことを考え転職先を検討しておく
退職を決めたからといって、必ずしもすぐに転職しなければならないわけではありません。心身の不調がある場合や、強い疲労を感じている場合は、まずしっかりと休養を取ることが最優先です。
一方で、退職後に慌てて次の職場を探すことにならないよう、在職中から「どのような働き方が自分に合いそうか」「どんな選択肢があるのか」と情報収集を進めておくことは安心材料になります。生活費や将来への不安から十分に検討せず転職先を決めてしまうと、「思っていた働き方と違った」と後悔につながることもあります。
なお、ブランク期間があるからといって、必ずしも転職が不利になるとは限りません。体調回復や家庭の事情など、理由をきちんと説明できれば、看護師の経験や資格を評価してくれる職場も多くあります。自分のペースで次のキャリアを考えることが大切です。
看護師を辞めた後の進路や働き方の選択肢
看護師を辞めた後も、資格と経験を活かせる選択肢は豊富にあります。自分の希望や条件に合った職場を見つけましょう。
病棟以外の働き方
病棟以外の職場では、夜勤がない、業務内容が比較的限定されているなど、心身の負担を抑えやすい働き方が可能な場合があります。
たとえば、病院の外来やクリニック、介護施設などは、生活リズムを整えたい看護師から選ばれています。また、訪問看護では利用者さまと一対一で向き合い、これまで培ってきた看護観を大切にしながら、じっくりとケアを行うことができます。
病棟を離れても、看護師としての経験はさまざまな現場で活かせます。今の自分に合った環境を選ぶことが、長く安心して働き続けるための一歩となるでしょう。
資格を活かしたキャリアチェンジ
看護師資格は、さらなる専門性を追求したり、他分野へ進出したりするための強力な武器となります。
看護師の医療知識やコミュニケーション能力、アセスメント能力は、医療や介護、一般企業など幅広い分野で需要があります。キャリアチェンジによって、現在の不満を解消できるかもしれません。
具体的には、専門性を高めるなら助産師や保健師、介護分野で活躍するならケアマネジャーへの資格取得などがあります。また、医療機器メーカーや治験コーディネーターなどでは、製品開発サポートや営業職として活躍することも可能です。
現職を辞めたいと感じている看護師からよくある質問
看護師を辞めたいと感じている方からのよくある質問に回答します。
Q1:「看護師を辞めてよかった」と感じることはありますか?
「看護師を辞めてよかった」と感じることはあるようです。
とくに、「夜勤がなくなり生活リズムが整った」「人間関係のストレスから解放された」といった、生活の質が向上したことを実感する声があります。
Q2:看護師で優しい人はなぜ辞めるのですか?
看護師の中でも、特に優しく責任感の強い人ほど、仕事の負担を一人で抱え込みやすく、結果として辞めてしまうケースがあります。優しさや思いやりが、知らず知らずのうちにストレスや疲労の蓄積につながってしまうためです。
看護師の仕事では、患者さまの苦痛に共感し、寄り添う姿勢が大切にされます。しかし共感力が高いほど、患者さまや周囲のつらさを自分のことのように受け止めてしまい、心の負担が大きくなりがちです。
その結果、患者さまや同僚を優先するあまり、自分の休息やセルフケアを後回しにしてしまうことがあります。また、職場の不公平さや理不尽な状況を見過ごせない正義感から、人間関係で孤立し、退職を選ぶケースも見られます。
Q3:30代や40代で看護師を辞める人は多いですか?
どの年代が退職しやすいかは一概に言えません。ですが、30代や40代の看護師は年代的にライフイベントが変化しやすい時期です。結婚、出産、子育て、親の介護など人生の転換期を迎えるため、働き方を見直すタイミングにもなります。
また、この経験年数であれば、転職市場での需要も高く、より良い条件の職場を見つけやすいため、退職を選ぶケースは少なくありません。
関連記事:40代の看護師が辞めたい4つの理由!働き方の選択肢と転職の注意点
看護師を辞めたいと感じる人は少なくありません!大事なのはあなたが安心して働ける環境を選ぶこと
看護師の仕事は、責任の重さや不規則な勤務、心身への負担が大きいため、「辞めたい」「このまま続けていいのだろうか」と感じる人は決して珍しくありません。実際、各種調査でも、離職や転職を考えた経験がある看護師が多いことが報告されています。
看護師を辞めたいと感じること自体は、逃げや甘えではなく、現在の働き方や環境が自分に合っていない、あるいは心や身体に無理がかかっているサインである可能性があります。
大切なのは、無理を重ね続けることではなく、心身ともに健康を保ちながら、安心して長く働ける環境を選ぶことです。今の職場を離れる決意が固まった場合は、焦らずに次のステップに向けた準備を進めていきましょう。
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<参考サイト・文献>
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