看護師向けのeラーニングとは?メリット・デメリット、導入の注意点を解説

公開日:2025/12/15 更新日:2025/12/15
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看護師教育で「集合研修の負担が重い」「新人教育にばらつきが出る」と悩む教育担当者や管理者に向けて、eラーニングの基礎・メリット/デメリット・選び方をわかりやすくまとめました。


この記事を読むことで、自院の研修に eラーニングをどう組み込むべきかが具体的にイメージできるようになります。

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看護師向けのeラーニングとは?

看護師向けのeラーニングは、従来の研修と時間や受講場所などが異なります。ここでは、教育担当者が知っておくべきeラーニングの基本について、院内研修との違いを含めて解説します。

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看護師向けのeラーニングとは何か

看護師向けのeラーニングとは、インターネットやデジタル機器(パソコン、スマートフォン、タブレットなど)を使って学ぶ研修形態です。これらは、次のような幅広いテーマの学習に活用されています。

  • 新卒看護師の研修
  • 中途入職者のオリエンテーション
  • 全職員を対象とした医療安全・感染対策研修
  • キャリアアップのための専門研修

時間や場所を選ばず、動画教材やオンラインテストを通じて、自分のペースで必要な知識やスキルを習得できるのが特徴です。

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看護師向けのeラーニングと院内研修との違い

eラーニングと院内研修の違いを、次の表にまとめました。

項目eラーニング従来の院内研修
学習場所・時間24時間どこでも受講可指定された日時・場所で受講
教材の形式動画、スライド、音声講義、資料、実技指導
学習の自由度自分のペースで繰り返し学習可一方的な情報伝達になりがち
教育担当者の負担教材作成・更新に注力講師・会場手配、当日の講義
理解度の確認オンラインテストで可視化レポート提出や実技チェックで把握

つまり、eラーニングは知識インプットを効率化し、院内研修は実技や対話を深める場として役割分担するのが効果的です。

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看護教育でeラーニングを導入する病院が増えている理由

看護教育でeラーニングの導入が進んでいる背景には、医療現場が抱える課題があります。

  • 研修負担の軽減
  • 新人教育のばらつき解消
  • 感染対策のため集合研修を減らす動き

これらを具体的に見ていきましょう。

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研修負担の軽減

日本看護協会が、人々の健康を守るために看護師の生涯学習が必要であると提言するなか、従来の院内研修は、教育担当者が資料作成、講師、会場準備などを担うため、時間と労力がかかっていました。

eラーニングを導入することで、知識伝達の部分をシステムに任せられるため、教育担当者は実技指導や個別フォローといった対面での指導に集中できるようになります。これは、教育担当者の働き方改革にもつながる施策といえます。

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新人教育のばらつき解消

看護師の教育は、担当するプリセプターや教育担当者の経験・スキルによって、指導内容にばらつきが生じやすいという課題があります。

eラーニングは、質の高い講師による動画教材を、誰でも見ることができるため、教育の内容を均一化できます。これにより、看護師が一定レベルの知識を習得できるのです。

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感染対策のため集合研修を減らす動き

コロナ禍以降、医療機関では感染リスクを最小限に抑えることが求められるようになりました。

大人数を集める集合研修は感染リスクが高まるため、医療安全や感染対策などをeラーニングに移行することで、看護師の安全を確保した教育を継続できます。

今後も感染症リスクへの対応として、eラーニングは不可欠なツールとなるでしょう。

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看護師向けのeラーニングの内容と種類

看護師向けのeラーニングで提供される教材は、新卒看護師から管理職まで、対象者や教育の目的に応じて多岐にわたります。

項目内容
基礎看護技術を学ぶ動画教材採血、清潔ケアの手順
医療安全・感染対策の動画教材正しい手指衛生、インシデント報告
疾患別・診療科別の専門知識糖尿病、循環器などの専門性の高い内容
新人研修・プリセプター向けプログラム指導方法、コミュニケーション方法
管理職向けリーダーシップ研修マネジメント、チーム運営

これらの教材は、看護師のキャリアや、病院が注力したい専門分野に応じて組み合わせられます。

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看護現場でeラーニングを導入するメリット

看護現場でeラーニングを導入することには、教育の質の向上と働き方の改善などのメリットがあります。

  • 研修を標準化できる
  • 24時間いつでも受講できる
  • 教育担当者の負担軽減につながる
  • 動画やテストなどで理解度を可視化できる
  • 院内感染対策や医療安全など最新情報をアップデートしやすい

看護師の学習機会を確保しつつ、病院の教育水準を引き上げられるでしょう。

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研修を標準化できる

eラーニングは、研修内容の標準化を実現し、教育の質を均一化できます。

従来のOJTや集合研修では、指導する先輩や講師によって教える内容や解釈にばらつきが出ることがありました。

eラーニングでは、共通のテキストや動画教材を全員に提供できるため、たとえば新人看護師にバイタルサインの測定を教える際も、手順やその根拠を統一できます。

指導者ごとの解釈の違いを防ぎ、新人看護師全員の知識レベルを一定に保つことができ、認識のズレなく業務に取り組めます。ただし、実技の習得には対面での指導が不可欠であり、eラーニングは知識習得をサポートする補助的な役割として活用することが重要です。

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24時間いつでも受講できる

eラーニングは集合研修と異なり、時間や場所に縛られないため、忙しい看護師でも無理なく自己学習を進められます。

具体的には、夜勤明けや休憩時間、通勤中といったすきま時間にスマートフォンで動画を視聴できます。不規則なシフトの合間でも学習機会を確保できるのです。

この受講の自由度が、看護師の学習継続率とモチベーションの向上につながります。

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教育担当者の負担軽減につながる

eラーニングは、教育担当者の業務負担を軽減し、対面指導の質を高めます。知識を伝える部分をシステムが担うため、ここに人員を割く必要がなくなります。

担当者はその浮いた時間を、現場での指導や実技演習といった、対面でのフォローに集中できるのです。なお、看護技術の習得は対面での実技指導が不可欠であり、eラーニングはあくまで基礎知識を補完する位置づけです。

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動画やテストなどで理解度を可視化できる

eラーニングを活用すると、受講者の理解度を客観的に把握できます。eラーニングでのテストの点数や動画の視聴完了率などのデータを自動で収集して分析できます。

実際に、テスト結果から認知症ケアの点数が低い看護師がわかるため、その看護師にフォローアップや補習指導をおこなえるでしょう。このデータにもとづいた個別指導により、現場で活かせる知識を習得できます。

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院内感染対策や医療安全など最新情報をアップデートしやすい

eラーニングは、院内ルールの変更や最新の医療情報をスピーディに周知徹底できます。日程調整や会場準備の必要がなく、教材の差し替えと同時に配信できるためです。

新しい感染症のガイドラインが発表された際、すぐに動画教材を更新し、スマートフォンに通知することで情報共有が完了します。

最新の情報で教育をおこなうことで、医療安全体制の強化につながるのです。

関連記事:現役看護師の勉強方法まとめ5選!忙しくても続けられるコツも紹介

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看護師向けeラーニングのデメリットや導入の注意点

一方で、現場では「本当に定着するの?」「実技はどうする?」といった不安の声もあります。eラーニングは効率的ですが、導入する際には、看護現場ならではの特性を考え、次のポイントに注意する必要があります。

  • 自主学習に頼りすぎると定着しない
  • 看護技術はeラーニングだけでは習得しにくい
  • デバイス操作が苦手な職員がいる場合のフォローが必要である
  • 管理が煩雑になる場合がある
  • 費用対効果が見えにくいケースもある

これらのデメリットを解消するためには、eラーニングと実技指導を組み合わせて適切に運用することでうまく導入できるでしょう。

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自主学習に頼りすぎると定着しない

eラーニングでの学習は、受講者の主体性に左右されます。

「やらされている」という意識で受講すると、動画を流し見するだけで内容が定着しません。eラーニング後のディスカッションや実技演習を組み合わせることで、知識の定着を図る必要があります。

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看護技術はeラーニングだけでは習得しにくい

採血や体位変換、移乗の介助といった看護技術は、知識だけでなく身体的なスキルが必要です。

動画で手順を学べても、実際の患者さまや物品に触れておこなう実技演習と、熟練者からのフィードバックがなければ看護技術は習得できないでしょう。

eラーニングは実技指導の予習・復習として位置づけるべきです。

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デバイス操作が苦手な職員がいる場合のフォローが必要である

看護師のなかには、パソコンやスマートフォンといった機器の操作に不慣れな人もいます。

eラーニングのシステムが複雑だと、操作でつまずき、学習意欲を損なうリスクがあります。操作のサポート体制を整え、いつでも相談できるシステムを選ぶことが重要です。

はじめのログイン方法や動画の再生手順を簡単にまとめた「操作のしおり」を用意するだけでも、現場の戸惑いは大きく減ります。

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管理が煩雑になる場合がある

eラーニングを導入しても、院内研修やOJTとeラーニングが別のシステムで管理されると、看護師ごとの学習進捗を把握するのが難しくなります。

なお厚生労働省は、法定の安全衛生教育をeラーニングで行う場合は受講管理が必要であると示しています。これは看護研修全体に義務づけられるものではありませんが、受講状況の可視化の重要性という点では参考になります。

進捗状況を一元管理できる学習管理システムを選ぶか、既存のシステムとの連携を検討する必要があるでしょう。

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費用対効果が見えにくいケースもある

eラーニングシステムの導入・運用には、初期費用や月額費用がかかります。

しかし、「学習効率がどれだけ上がったか」「インシデントがどれだけ減ったか」といった学習効果を数値で測ることが難しく、費用に対して効果が見えにくいと感じるケースがあります。

導入前に、「集合研修の工数を20%削減する」といった具体的な目標を明らかにしておくことが大切です。

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看護師向けeラーニングを選ぶポイント

eラーニングには、さまざまなシステムやコースがあります。看護師の教育の目的を達成するため、次のポイントで選びましょう。

  • 看護系コンテンツの質が高いか
  • スマートフォンでも受講しやすいか
  • 管理画面は使いやすいか
  • 費用は適切か
  • どの階層向けの教材が充実しているか

これらのポイントから比較検討し、自院の教育戦略と職員の学習スタイルに合ったシステムを選ぶことが重要です。

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看護系コンテンツの質が高いか

教材の内容が、最新のガイドラインに沿っている内容か、臨床経験が豊富な看護師が監修しているかを確認しましょう。

質の低い教材であると、誤った知識が定着するリスクがあるため、重要な選定ポイントです。

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スマートフォンでも受講しやすいか

多忙な看護師でも、通勤時間や休憩時間といったすきま時間を利用すると効率的に学習できます。

スマートフォンやタブレットの画面でも、動画視聴やテスト解答がストレスなくできるか、確認してから選びましょう。

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管理画面は使いやすいか

教育担当者が看護師の受講状況をすぐに把握でき、テスト結果の分析を簡単におこなえるシステムを選びましょう。

管理が複雑だと、教育担当者の負担が増えるかもしれません。

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費用は適切か

eラーニングの導入費用、月額利用料、コンテンツの追加料金などトータルコストが予算内で収まるか確認しましょう。

とくに、利用人数に応じた料金プランが、病院規模や今後の職員数増加に見合っているかを検討する必要があります。

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どの階層向けの教材が充実しているか

eラーニングを導入する目的が、新人看護師の基礎技術強化なのか、キャリアアップのための専門知識提供なのかによって、必要な教材が異なります。

病院の教育戦略に合ったコンテンツが充実しているかを確認してください。

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看護向けのeラーニングについてのよくある質問

ここでは、看護師向けのeラーニングについてのよくある質問に回答します。

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Q1:看護技術はeラーニングで習得できますか?

看護技術をeラーニングだけで習得するのは難しいです。

eラーニングは、手技の手順や根拠といった知識を学ぶことには優れていますが、患者さまの状態に応じた実践的なスキルは、OJTやシミュレーションなどの実技演習が習得しやすいでしょう。

eラーニングを実技演習の予習や復習として活用するのが効果的です。

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Q2:病院規模が小さくてもeラーニングを導入できますか?

病院規模が小さくても、eラーニングは導入可能です。

eラーニングには、小規模病院向けの低価格プランや、利用人数に応じて料金が変わるプランなどがあります。また、パッケージ化された教材のみを利用するシンプルなプランを選べば、費用負担も大きくならないでしょう。

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Q3:eラーニングの費用相場はどのくらいですか?

eラーニングの費用は、導入形態によって異なります。

一般的には数千円〜数万円帯のサービスも見られますが、機能や利用人数によって大きく変動します。具体的な費用は各社のプランを比較する必要があります。

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Q4:eラーニングはスマートフォンだけでログインして受講できますか?

eラーニングの多くは、スマートフォンだけでログインして受講できます。近年のeラーニングは、スマートフォンやタブレットでの受講に最適化されています。

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Q5:ブランクがあってもeラーニングの受講は役立ちますか?

ブランクがあってもeラーニングの受講は役立ちます。

eラーニングは、ブランク期間中に変わった医療知識や技術の最新情報を、自分のペースで確認できるため、復職前のキャッチアップに最適です。

とくに、医療安全や感染対策といった、復職後に必須となる最新のルールを整理するのに有効です。

関連記事:看護師の勉強をやり直したい!勉強方法5選とブランクがあっても復職しやすい職場

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看護師教育はeラーニングで効率化できるが実技との併用が必須!

看護師教育におけるeラーニングの導入には、教育の標準化、教育担当者の負担軽減、柔軟な学習環境の提供という、多くのメリットがあります。

しかし、eラーニングは知識の提供に特化しており、実技スキルや応用力は、OJTやシミュレーションといった対面指導と併用しなければ身につけられないでしょう。eラーニングを「集合研修の事前学習」や「復習ツール」として位置づけ、効果を最大化しましょう。

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<参考サイト・文献>

インターネット等を介したeラーニング等により行われる 労働安全衛生法に基づく安全衛生教育等の実施について|厚生労働省

生涯学習支援|日本看護協会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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