看護評価の書き方がわかる!例文・記入の流れ・注意点を解説

公開日:2025/12/15 更新日:2025/12/15
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「看護計画の評価を書くのが苦手」「評価をどのように書けば良いかわからない」

看護計画の評価は、実施したケアの効果を振り返り、今後の方針を決めるための大切なプロセスです。

しかし、何をどう書けば良いのかわからず、手が止まってしまうという声も多く聞かれます。

そこで本記事では、看護計画の評価の書き方や、手順と例文をわかりやすく解説します。ポイントを押さえれば、自信を持って評価が書けるようになります。

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看護計画における評価とは?目的と役割

看護計画の評価とは、計画に沿って看護ケアを行ったあとに「目標がどの程度達成できたか」を振り返る作業です。ここでは、評価の目的と役割をわかりやすく整理します。

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評価は看護計画の効果を判断し次のケアにつなげるステップ

評価とは、看護計画に沿ってケアや観察を行ったあと「目標がどれくらい達成できたか」を振り返る作業です。評価を行うことで、計画をそのまま継続するのか、修正が必要なのか、終了して良いのかを判断できます。

日本看護協会の「看護記録に関する指針」では、看護実践は「観察と査定、支援内容の明確化、計画立案、実行、評価」という一連の過程でおこなわれるとされています。定期的に評価を続けることで、患者さまの状態に合わせた適切なケアを提供できるのです。

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評価を記録することで看護の質向上につながる

看護記録の作成は、看護師の大切な業務のひとつです。日本看護協会では、看護記録を「看護実践の向上に不可欠な資料」と位置づけています。

評価を記録することで、自身の看護を振り返るだけでなく、チーム全体で患者さまの状態やケアの効果を共有できます。「このケアで症状が改善した」「目標が達成できなかった理由」などの情報を共有することで、チーム全体で看護の質を高められるのです。

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看護計画の評価の書き方|準備段階で押さえるべきこと

看護計画の評価を書く前には、必要な情報を整理しておくことがポイントです。準備段階では、次の3つを押さえましょう。

  • 設定した看護目標を再確認する
  • 実施してきた看護ケアの内容を振り返る
  • 患者さまの変化と観察データを期間全体で整理する

それぞれ解説します。

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設定した看護目標を再確認する

評価を書く前に「何を目指していたのか」を確認しましょう。

たとえば「歩行器でふらつきなく25m歩行できる」「退院後の生活に必要な知識を習得できる」など、計画を立案したときに設定していた目標を見直します。目標があいまいなまま評価を書き始めると、達成度の判断がぶれてしまいます。

看護目標を再確認することで「どこまで達成できたか」を正確に判断しやすくなるのです。

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実施してきた看護ケアの内容を振り返る

評価期間中に行った看護ケアを、時系列で振り返りましょう。

「毎日午前中にリハビリの見守りを行った」「退院指導を3回に分けて実施した」など、実際に行ったことを具体的に整理します。

実施内容が明確になることで、計画の達成度を正確に判断できます。

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患者さまの変化と観察データを期間全体で整理する

評価期間中の患者さまの状態変化を、時系列で振り返ります。ADLの改善、症状の軽減、心理面の変化など、さまざまな角度から確認します。

整理する情報は、バイタルサイン、検査データ、観察記録、患者さまの発言などです。これらを評価期間全体でまとめておくと、目標達成度を判断しやすくなります。

「元気そうだった」「痛みがないように思えた」といった看護師の主観的な感想ではなく「血圧が130/80mmHgから120/75mmHgに低下した」「疼痛スケールが7から4に改善した」など、客観的なデータで整理しましょう。

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看護計画の評価の書き方

看護計画の評価の書き方は、次の3つのステップで進めます。

  1. 目標の達成度を判定する
  2. 達成・未達成の要因を分析する
  3. 計画の継続・修正・終了を決めて記載する

それぞれ見ていきましょう。

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ステップ1:目標の達成度を判定する

看護計画を評価する前に、整理したバイタルサインや患者さまの発言といったデータを見直し「目標が達成できたか」を考えます。

達成度は「達成」「部分的に達成」「未達成」の3段階で評価することが一般的です。たとえば、目標が「適切な疼痛コントロールにより安楽に過ごせる」の場合、疼痛スケールが4から1に低下し、患者さまから「痛みが楽になった」という発言があれば達成と判断できます。

患者さまの発言やバイタルサイン、検査データなど、客観的な情報をもとに達成度を判定しましょう。

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ステップ2:達成・未達成の要因を分析する

目標の達成度を判定したら、次に「なぜそうなったのか」理由を分析します。

達成できた場合は、どのケアが効果的だったのか、患者さまのどのような状態から良い方向に働いたのか、反対に、達成できなかった場合は、何が障壁になったのかを考えます。

分析する際は「〜だと思う」といった主観的な表現は避け「〜と考える」「〜と判断する」など、事実にもとづいた客観的な表現を用いましょう。

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ステップ3:計画の継続・修正・終了を決めて記載する

分析結果をふまえて、看護計画を「継続」「修正」「終了」のいずれかに決定します。

継続する場合は、継続する理由と観察ポイント、再評価の時期を明記しましょう。修正する場合は「何を」「どのように」変えるかを具体的に記載します。

たとえば「訪室回数を1日2回から3回に増やす」「体位変換の方法を見直す」などです。終了する場合は、終了の理由を明記します。「目標達成のため」「退院のため」など、終了に至った経緯を記載してください。

関連記事:看護サマリーとは?必要な4つの理由と、施設に移る際や退院時の書き方の例文

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看護計画の評価の書き方例文集

ここからは、場面別の評価例文を紹介します。評価の記録フォーマットは職場によって異なりますが、基本的な考え方は共通しています。次の例文を参考にしてみてください。

  • 移動動作についての評価例文
  • 食事についての評価例文
  • 疼痛管理についての評価例文
  • 退院指導についての評価例文
  • 家族支援についての評価例文

これら5つの場面について、それぞれの評価例文を紹介します。

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移動動作についての評価例文

【患者背景】
Aさん/67歳/男性。ラクナ梗塞で入院中。発症後より早期離床を目的にリハビリを実施。右上下肢に軽度の筋力低下あり。

【看護目標】
自力で病棟内を歩行できる(評価期間:12月1日〜7日)

【実施した看護ケア】
 ●リハビリ時の見守りと転倒予防
 ●病棟内移動時の付き添いと観察
 ●ナースコール使用の声かけ
 ●疲労度・ふらつきの有無の確認

【評価例文】

部分的に達成。見守りがあれば病棟内を安全に歩行できるようになった。杖使用で5m程度の歩行が可能となり、歩行中のふらつきや歩行後の疲労感の訴えもなくなっている。ただし、転倒リスクが残存しており、見守りが必要な状況である。

リハビリを継続的に行ったことで、右上下肢の筋力が徐々に回復してきたと考える。一方で、右下肢の筋力低下が残存しており、長距離歩行には不安定さが見られるため、自立には至っていない。

今後の方針:看護計画を継続する。引き続き転倒予防に注意しながら、リハビリ職と連携して歩行訓練を継続する。疲労度やふらつきの有無を観察しながら、段階的に歩行距離を延ばし、自立歩行を目指す。1週間後に再評価を行う。

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食事についての評価例文

【患者背景】
Bさん/75歳/女性。誤嚥性肺炎で入院中。むせ込みがあり、食事摂取量が低下していた。

【看護目標】
誤嚥なく食事を摂取でき、摂取量が8割以上になる(評価期間:1月8日〜14日)

【実施した看護ケア】
 ●食事前後の口腔ケア
 ●90度座位での食事介助
 ●食事ペースの調整と見守り
 ●食事摂取量と嚥下状態の観察

【評価例文】

部分的に達成。評価期間中、むせ込みなく食事を摂取でき、食事摂取量は5割から8割に増加した。表情も明るくなり「食事がおいしく感じる」との発言も聞かれた。食事前の口腔ケアと適切な座位保持により、誤嚥リスクが軽減したと考える。

また、食事ペースをゆっくりにし、一口量を調整したことで、安全に食事を摂取できるようになったといえる。本人も食事時間を楽しみにする様子が見られ、意欲的に食事に取り組めたことも、摂取量増加につながった。

今後の方針:看護計画を継続する。食事の摂取量は増加したが、誤嚥リスクは残存しているため、引き続き食事時の見守りと口腔ケアを継続する。疲労時や体調不良時は誤嚥リスクが高まる可能性があるため、患者さまの状態を注意深く観察する。1週間後に再評価を行う。

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疼痛管理についての評価例文

【患者背景】
Cさん/52歳/男性。腰椎椎間板ヘルニアの術後3日目。術後疼痛の訴えあり。

【看護目標】
疼痛コントロールにより、日常生活動作が安楽におこなえる(評価期間:12月15日〜17日)

【実施した看護ケア】
 ●定時の疼痛評価(疼痛スケール使用)
 ●鎮痛薬の投与と効果判定
 ●安楽な体位の調整
 ●疼痛増強時の対応

【評価例文】

部分的に達成。疼痛スケールは術後直後の8から5に低下し、鎮痛薬投与後は4〜5時間程度疼痛が軽減している。「動くと痛いが、じっとしていればなんとか我慢できる」との発言があり、安静時は比較的安楽に過ごせている。ただし、体動時の疼痛は強く、日常生活動作に支障が出ている。

鎮痛薬が一定の効果を示しており、疼痛は徐々に軽減傾向にあると判断する。安楽な体位調整も疼痛緩和に役立っていると考える。一方で、体動時の疼痛が残存している要因として、術後間もない時期であり、創部痛が強いことが挙げられる。

今後の方針:看護計画を修正して継続する。鎮痛薬の投与間隔を見直し、主治医に相談のうえ、疼痛コントロールの方法を調整する。体動時の疼痛を軽減するため、体位変換の方法を工夫し、疼痛が強い時間帯を避けて実施する。3日後に再評価を行う。

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退院指導についての評価例文

【患者背景】
Dさん/68歳/女性。糖尿病で入院中。退院後は自宅で血糖自己測定とインスリン自己注射が必要。

【看護目標】
退院後に必要な血糖自己測定とインスリン自己注射を正しく実施できる(評価期間:4月18日〜24日)

【実施した看護ケア】
 ●血糖自己測定の手技指導(3回実施)
 ●インスリン自己注射の手技指導(3回実施)
 ●低血糖症状と対処法の説明
 ●理解度の確認と不安の傾聴

【評価例文】

達成。血糖自己測定とインスリン自己注射を正しい手技でおこなえるようになった。評価期間中、看護師の見守りのもと、3回連続で正確に実施できた。低血糖症状についても「手が震えたり冷や汗が出たりしたらブドウ糖をとる」と理解している。繰り返し手技指導を行ったことで、技術が定着したと考える。

また、本人が「自分でできるようになりたい」と意欲的に取り組んだことも、習得を早めた要因といえる。不安な点については、その都度説明し、理解を深められたことで、自信を持って実施できるようになった。

今後の方針:看護計画を終了する。目標が達成され、退院後の自己管理に必要な技術を習得できたため。退院前日に最終確認を行い、不明点があれば再度説明する。退院後の外来受診時にも継続して支援する。

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家族支援についての評価例文

【患者背景】
Eさん/82歳/男性。脳梗塞後遺症で入院中。退院後は自宅で妻が介護を行う予定。妻は70歳で、介護に不安を抱えている。

【看護目標】
患者家族が退院後の介護方法を理解し、不安が軽減する(評価期間:6月25日〜30日)

【実施した看護ケア】
 ●妻への移乗介助の指導(5回実施)
 ●食事介助の方法説明
 ●介護サービスの情報提供
 ●妻の不安や疑問の傾聴

【評価例文】

部分的に達成。妻は移乗介助と食事介助の基本的な方法を習得し、看護師の見守りのもとで実施できるようになった。介護サービスについても理解し「デイサービスを利用したい」と前向きな発言があった。一方で「自分の体力で介護を続けられるか心配」との不安は残っている。繰り返し指導を行ったことで、基本的な介護技術は習得できたと判断する。

また、介護サービスの情報提供により、支援を受ける選択肢があることを理解できた。しかし、妻の体力や長期的な介護への不安は完全には解消されていない。

今後の方針:看護計画を継続する。退院前にケアマネジャーを交えたカンファレンスを実施し、具体的な介護サービスの利用計画を立てる。妻の体調面にも配慮し、無理のない介護体制を整える。退院後の訪問看護の利用については、主治医へ訪問看護指示書の発行を依頼し、ケアマネジャーや訪問看護ステーションと情報共有する。必要な支援内容(服薬管理、ADL見守り、創部観察など)を退院前カンファレンスで明確にし、患者・家族へ説明する。1週間後に再評価を行う。

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看護計画の評価を書くときの3つの注意点

評価を書く際には、質を高めるために意識すべきポイントがあります。次の3つに注意しましょう。

  • 医師の視点ではなく看護師の観察と判断を記載する
  • あいまいな表現ではなく具体的なデータで示す
  • 評価で終わらず今後の方針を明らかにする

これらの注意点を守ることで、看護実践の根拠が明確になり、ほかのスタッフへの情報伝達の質が向上します。論理的で客観的な評価を心がけましょう。

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医師の視点ではなく看護師の観察と判断を記載する

看護計画の評価では、医師の診断や治療方針ではなく、看護師が観察した内容を記載します。たとえば、術後の創部の観察では「創部を清潔に保てており、発赤・腫脹・浸出液は見られない」といった形で記載します。

患者さまの生活に密着した変化を、看護師の目線で詳細に記録することが大切です。

関連記事:看護師の観察力とは?求められる理由と鍛える方法を解説

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あいまいな表現ではなく具体的なデータで示す

「少し良くなった」「やや改善」といったあいまいな表現は避けましょう。

これらの表現では、どの程度改善したのかが伝わりません。「疼痛スケールが7から4に低下した」「食事摂取量が5割から8割に増加した」など、数値や事実で記載してください。

日本看護協会の「看護記録に関する指針」でも「事実を正確に記載する」ことが求められています。チームの誰が読んでも患者さまの状態が正確に伝わるよう、具体的に記録しましょう。

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評価で終わらず今後の方針を明らかにする

「計画を継続する」とだけ書いて終わらないよう注意しましょう。継続する場合は、観察ポイントや注意事項、再評価時期を詳しく記載します。修正する場合は「何をどのように変えるか」を明確に、終了する場合は終了理由を記載してください。

ほかの看護師が読んだ際に、今後の方針がわかるように記録することが大切です。

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看護評価の書き方についてのよくある質問

ここでは、看護評価の書き方についてのよくある質問に回答します。

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Q1:評価の内容が毎回似てしまいますが問題ないですか?

患者さまの状態が安定している場合、評価内容が似るのは自然なことです。ただし「前回と同じ」「変化なし」で済ませず、その期間の観察データや患者さまの反応を具体的に記載することで、継続的に観察をおこなっている証拠になります。

患者さまの状態が安定していても「表情が明るくなった」「リハビリへの意欲が高まった」など小さな変化を見逃さずに記載しましょう。

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Q2:看護計画の評価はどのくらいの期間でおこなえば良いですか?

評価期間は、患者さまの状態や看護目標の内容によって異なります。

急性期の疼痛管理など短期目標は数日単位、生活指導や自己管理能力向上などの長期目標は1〜数週間で評価するなど、根拠をもって期間を調整することが重要です。

また、患者さまの状態が変化した場合は、予定より早めに評価を行うこともあります。職場の基準や患者さまの状態に応じて、柔軟に評価期間を設定しましょう。

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Q3:評価を書くときに使ってはいけない表現はありますか?

「〜だと思う」「〜な気がする」など主観的であいまいな表現は避け「〜と考える」「〜と判断する」を使いましょう。

また「もっと頑張りたい」「次回は丁寧にかかわりたい」など、看護師の感想や抱負は評価には載せません。客観的なデータにもとづいた事実と、それに対する看護師の分析・判断を記載することを心がけてください。

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看護評価の書き方は基本を押さえれば上達する

看護計画の評価は、3つのステップに沿って進めることで、適切に記録できるようになります。最初は時間がかかっても、基本を意識しながら繰り返し書いてみてください。評価を丁寧に行うことで、ケアの質向上につながります。

評価スキルは、どの職場でも求められる看護師の大切な能力です。評価の基本を身につけたうえで新しいキャリアに挑戦したい方は、訪問看護という選択肢もあります。訪問看護専門の求人サイト「NsPace Career」をチェックしてみてください。

<参考サイト・文献>

看護記録に関する指針 日本看護協会

改訂版 看護にかかわる主要な用語の解説 日本看護協会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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