外来看護師の役割と仕事内容とは?求められる能力や病棟看護師との違い

外来勤務に興味はあるけれど、「本当に私に向いているの?」「病棟と比べて、外来は給料が下がるの?」と悩んでいる看護師の方はいらっしゃいませんか。
外来看護師は、日中の限られた時間で多くの患者さまに対応する、病院の「顔」といえる存在です。ワークライフバランスの取りやすさから人気がありますが、その役割や求められる能力は病棟看護師とは異なります。
この記事を読むと、外来看護師の役割や業務内容、病棟にはない独自のメリット・デメリットが明らかになります。自分の適性を深く理解し、外来で働くことで理想のワークライフバランスを実現できるかどうか、自信を持って判断できるようになるでしょう。
外来看護師の役割と業務内容
ここでは、外来看護師の役割と具体的な業務、1日の流れを詳しく紹介します。自分の適性を確認しながら、外来勤務での働き方をイメージしてみてください。
外来看護師の役割
外来看護師の役割は「患者さまの診察が円滑に進むように支援すること」「病棟へつなぐ役割を果たすこと」です。
外来看護師は、患者さまが最初に接する医療従事者として、体調や不安を迅速に把握します。ときには、病状の悪化を早期にアセスメントして、必要に応じて病棟への入院や緊急処置を促すこともあります。
外来看護師の仕事内容
外来看護師の業務は多岐にわたりますが、おもに次の4つにわけられます。
- 診療補助:問診、バイタルサイン測定、診察に必要な器具の準備
- 処置・検査:検査(採血、点滴、心電図など)の実施、処置の介助
- 患者さまの指導:生活習慣についての指導
- 受付対応:患者さまの案内、次回の予約調整
これらの業務は、いずれも限られた時間のなかで効率的におこなう必要があり、病棟看護師とは異なるスピード感が求められます。また、規模が小さいクリニックでは、「電話対応」「器具の消毒」「クリニック内の清掃」などが求められることもあり、業務はさまざまです。
外来看護師の1日のスケジュール
外来看護師の1日のスケジュール例を紹介します。
| 時間 | 業務内容の例 |
| 8:30 | 通勤、情報収集、診察室の準備(器具や消耗品の補充) |
| 9:00 | 午前の診療開始。問診、診察の補助、採血や注射の実施 |
| 12:30 | 午前の診療終了。午後の診療準備、カルテ整理、検査結果の確認 |
| 13:00 | 休憩 |
| 14:00 | 午後の診療開始(午前と同様の業務) |
| 17:00 | 診療終了。器具の片付け、補充、明日の準備 |
| 17:30 | 終業・退勤 |
外来の多くは予約制であり、診察時間は決まっているため、残業は少ない傾向がありますが、施設による差が大きいのが実際です。
しかし、勤務先によっては午前と午後の診察時間が2~3時間くらい空くため拘束時間が長くなったり、夜遅くまで対応していたりするところもあります。
病院によって働き方が異なるため、転職する際には実際の勤務時間や勤務形態も確認しましょう。
外来看護師の給料事情
外来看護師の給与水準は、病棟看護師と比較するとやや低くなる傾向があります。基本給は同等であっても、夜勤がなく手当が支給されない分、差が出る可能性があるからです。
日本看護協会「2024年度 「看護職員の賃金に関する実態調査」 結果」によると、2交代制の場合の夜勤手当は、1回あたり平均1万1,815円です。仮に、1ヶ月に5回夜勤があるとすると、年間70万円(1万1,815円×5回×12ヶ月)近く、病棟の看護師よりも低くなります。
ただし、外来看護師の給料は施設の規模や専門性、残業代によっても変わります。そのため、夜勤手当の差額だけでなく、賞与や職場の給与体系も確認することが、応募先の給料事情を正しく把握するために重要です。
外来看護師に求められる能力
外来看護師として活躍するために求められる能力は、おもに次のとおりです。
- 接遇・コミュニケーション能力
- 観察力・判断力
- 多職種との連携能力
- 効率的な業務マネジメント
これらの能力は、外来業務を円滑に進めるだけでなく、患者さまに安心感を与えるために欠かせません。外来看護師の適性についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:外来看護師に求められる能力9つ!向いている人やきついとされる理由
外来看護師のメリットとデメリット
外来看護師になると、安定した生活が送れるようになるというメリットに惹かれる方は多いでしょう。しかし、どのような働き方にもデメリットがあります。外来勤務への期待と現実のギャップを埋めるためには、両面を把握しておくことが重要です。
メリット
外来での勤務は、病棟勤務で疲弊しがちな看護師にとって、心身の健康を保ち専門性を活かせる利点があります。とくに、私生活を充実させたい看護師にとって、そのメリットは大きいでしょう。
- 生活リズムが安定しやすい:日勤のみのためワークライフバランスを重視できる
- 体力的な負担が少ない:夜間の緊急対応や身体介助が少なく負担を軽減できる
- 幅広い知識が身につく:病院の外来の場合、複数の診療科を兼任することが多く、さまざまな疾患や処置の知識を習得できる
看護師は外来で働くことで、精神的な負担が軽減され、心にゆとりを持ちながら患者さまに向き合えるでしょう。
デメリット
外来看護師の働き方は魅力的である一方で、デメリットもあります。これらを理解せずに転職すると、後悔する可能性があるため注意が必要です。
- 給与が低い:夜勤がない分、病棟勤務に比べると年収が低くなる傾向がある
- 業務がルーティン化しやすい:検査や採血など業務が固定化され看護師によっては単調に感じる
- 高いコミュニケーション能力が求められる:短時間で患者さまの不安を取り除き、情報を引き出す高いスキルが必要である
とくに、給与面や業務の単調さに対する不満は、外来看護師にありがちな悩みです。自分の対処法を考えておくことが、外来で長く働くために大切です。
病院とクリニックにおける外来看護師の違い
外来看護師と一口に言っても、施設の規模や専門性によって求められる役割や業務内容が異なります。
| 特徴 | 病院の外来看護師 | クリニックの外来看護師 |
| 規模・診療科 | 大規模で診療科が多く、専門外来も担当する | 医師の専門分野に特化し診療科が限られる |
| 業務内容 | 診療補助、処置、多職種連携 | 診療補助、処置、受付 |
| 給与水準 | クリニックより高い傾向にある | 病院より低い傾向にある |
病院とクリニックの違いを知っておくことで、自分のキャリアプランに合った職場を選べるでしょう。
関連記事:病棟看護師とは?役割と7つの種類、外来看護師との違いを解説
外来看護師と病棟看護師との違い
外来看護師と病棟看護師には、夜勤、休日、業務内容などに違いがあります。これらの違いを理解することが、最適な働き方を見つけるためには欠かせません。
| 外来看護師 | 病棟看護師 | |
| 夜勤 | 日勤が基本(救急外来は除く) | 夜勤は必須 |
| 休日 | カレンダー通りの休みが多い | 勤務表によるシフト制 |
| 業務内容 | 採血、注射、点滴、検査説明、初期アセスメントが中心 | 身体介助、投薬管理、ケアプランの立案・実行が中心 |
夜勤
外来看護師は基本的に夜勤がないため、規則正しいリズムで生活しやすいというメリットがあります。また、ほぼ決まった時間で終業できるため、夕食の準備や趣味の時間などプライベートの時間を確保しやすいです。
一方、病棟は24時間体制のケアが必須であるため、2交代制または3交代制の夜勤が避けられません。夜勤明けの疲労回復や夜勤前の睡眠確保など、生活リズムを整える工夫が必要になります。
休日
外来看護師は、土日や祝日が休みとなる施設が多く、家族や友人と予定を合わせやすい傾向があります。カレンダーに合わせて夏季休暇や年末年始の休みを取得できるため、家族との旅行や学校行事にも参加しやすくなります
対して、病棟看護師は、患者さまの入院状況やほかの看護師の事情に応じてシフト制で働くため、土日や祝日も勤務するのが一般的です。病棟で希望の休みを取るためには、ほかの看護師との調整が必要で、希望が通るとは限りません。
業務内容
外来看護師は、採血や注射、問診といった診療補助と処置に重点を置き、短時間で多くの患者さまに対応します。
これに対し病棟看護師は、バイタルサイン測定や病状のアセスメントのほかに、排泄や入浴介助などの身体的なケアもおこないます。
外来看護師に向いている人の特徴
外来看護師は、病棟とは異なる独自の環境で働くため、適性にも特徴があります。とくに、短時間で多くの患者さまに対応する必要があるため、スピード感やコミュニケーション力を発揮したい人に向いています。外来看護師に向いている人の特徴は、おもに次のとおりです。
- 時間管理能力が高い人
- 接客や接遇が好きな人
- 優先度をつけてテキパキ働ける人
これらの特徴がある人は、外来勤務でストレス少なく活躍できるでしょう。
関連記事:外来看護師に向いている人の特徴5選!役割ときついとされる理由を解説
外来看護師の求人を探すコツ
希望の条件に合う外来看護師の求人を見つけるために、次のコツを活用しましょう。
- 病院・クリニックの特徴を把握して求人を選ぶ
- 募集要項の給与と手当を比較する
- 求人サイトを活用する
- 現場見学で職場の雰囲気を確認する
これらのコツを実践することで、給与や待遇だけでなく、働きやすさや職場の人間関係を含めたミスマッチが起こりにくい転職先を見つけられるでしょう。
病院・クリニックの特徴を把握して求人を選ぶ
求人を探す際は、病院の外来とクリニックの外来、どちらを希望するか明らかにしましょう。
とくに、クリニックを選ぶ際は、皮膚科や内科といった診療科の専門性と自分のスキルが合っているか確認することが重要です。
募集要項の給与と手当を比較する
外来看護師には夜勤手当がない分、基本給や手当を比較検討しましょう。これは、夜勤手当がないことによる病棟看護師との収入の差を、基本給やほかの手当でカバーできているかを確認するためです。
また、給与が「月給制」か「時給制」か、残業代の支給実績も事前に確認できると、金銭面での不安を解消し、納得して働き始められます。
求人サイトを活用する
求人サイトを活用することは、外来看護師の仕事を見つけるために効率的な手段です。
これは、求人サイトが外来看護師に特化した求人情報を豊富に掲載しており、豊富な選択肢から希望条件に合った職場を探せるからです。
具体的には、求人サイトの検索機能を利用して求人を絞り込めるほか、履歴書の書き方を学べたり、無料の転職サポートサービスを利用して専門家による相談を受けられたりします。
求人サイトは求人情報を提供するだけでなく、採用活動に必要な知識やサポートを得られるため、納得のいく転職先を見つけられるでしょう。
現場見学で職場の雰囲気を確認する
書類や求人情報だけではわからない職場の雰囲気、スタッフ同士の連携、患者さまの層などを確認するために、現場見学を希望しましょう。
実際に働く看護師の姿を見ることで、入職後のミスマッチを防げます。
外来看護師についてのよくある質問
ここでは、外来看護師についてのよくある質問に回答します。内容を確認して、転職活動に役立ててください。
Q1:新人でも外来看護師として働くことはできますか?
施設によっては、新人でも外来看護師として勤務できます。
ただし、外来では、短時間で数多くの患者さまに対応しなければならず、幅広い知識も必要となるため、即戦力に近い能力を求められる傾向があります。
一般的には、病棟で2~3年経験を積んでから外来に異動する方が、アセスメント能力や基本的な手技が身についているため、スムーズに業務を始められるでしょう。
新人で外来配属を希望する場合は、プリセプターの有無や研修制度について、事前に確認することが重要です。
Q2:外来看護師がきついといわれる理由は何ですか?
外来看護師は、おもに次の理由から「きつい」と感じることがあります。
- 時間的なプレッシャー:予約時間と待ち時間のバランスを取りながら業務をこなすため、時間的なプレッシャーがかかる
- 人間関係のストレス:病棟に比べると人数が少なく、スタッフ間の関係が固定化されやすい
- 専門性の固定化:眼科、皮膚科など特定の診療科に配属されると、ほかの知識が身につきにくいと感じる
これらの要因は、緊張感やキャリアの停滞感につながることがあります。外来を選ぶ際は、これらの大変さを知っておくことが重要です。
Q3:外来看護師で採血や注射の経験が浅い場合はどうすれば良いですか?
外来では、採血や注射は日常的におこなう業務となります。経験が浅い場合は、研修制度が充実している病院を選ぶか、採血や注射の研修があるかを確認しましょう。
また、クリニックによっては、採血のスキルが高い看護師を優先して採用するところもあるため、自分のスキルレベルを伝えることで、入職後のミスマッチを防げます。
外来看護師はワークライフバランスを重視する方におすすめ!
外来看護師は、夜勤がなく、生活リズムを安定させやすいため、家庭やプライベートとの両立を重視する方におすすめです。
即戦力として、コミュニケーション能力や迅速な判断力を活かしたいと考えている方にとっては、外来看護師はやりがいのある職場となるでしょう。また、夜勤がない働き方で、利用者さまと深く向き合う看護を求めるなら、訪問看護という選択肢もあります。
夜勤のない働き方を考えるなら、外来に加えて訪問看護も候補になります。訪問看護は、より深く利用者さまと関わることができ、専門性を高めやすい領域です。
自分の理想とする働き方を実現するため、訪問看護に特化し、高待遇の求人を取り扱うNsPaceCareerで、最適な求人を見つけてみませんか。
<参考サイト・文献>
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
