看護師寮ってどんなところ?メリットやデメリット、寮付きの求人を探すコツ

看護師にとって、看護師寮は経済的なメリットや通勤の便利さから魅力的な住まいです。
しかし、「プライバシーは守られる?」「どのようなルールがあるの?」といった不安を感じる方も多いでしょう。
この記事では、看護師寮の基本的な情報、メリット・デメリット、自分に合った寮付き求人を見つけるためのコツを詳しく解説します。この記事を読んで、安心して新生活をスタートさせましょう。
看護師寮とは?
看護師寮とは、病院が看護師のために用意している福利厚生の住居です。病院の敷地内や、徒歩圏内に位置しており、看護師の生活をサポートし、働き続けられるようにすることを目的として提供されます。
- 看護師寮に入る条件と規定
- 看護師寮の間取り
- 看護師寮の初期費用の相場
病院によってルールや設備は異なるため、入居前にこれらの情報をしっかりと調べて、自分のライフスタイルに合った環境か見極めることが重要です。
看護師寮に入る条件と規定
看護師寮の利用条件や規定は、運営する病院によって異なりますが、一般的な条件や規定には次のようなものがあります。
| 項目 | ポイント |
| 対象者 | ・常勤職員である ・通勤時間が一定以上かかる職員を優先する ・「入居できる期間は入職後3年目まで」と利用期間の制限がある |
| おもな規定 | ・門限があり外泊には届け出が必要である ・共用部分(キッチン、浴室など)には利用ルールが決められている ・家族や友人などの来客について制限がある |
多くの寮では、看護師が安心して生活を送るために必要なルールが設けられています。
看護師寮の間取り
看護師寮の間取りは、施設の築年数や地域によってさまざまですが、おもに次の2種類にわけられます。
| 種類 | 特徴 | おもな間取り |
| ワンルーム・アパート型 | 完全に独立した住居でありプライバシーを確保できる | 1R、1K、築年数が浅い物件では1DK |
| 集合寮・社宅型 | 建物内に複数の個室があり、一部設備を共有する | 個室(共同キッチン、共同浴室など) |
近年では、プライバシー保護の観点からワンルームやアパートを借り上げる形式の寮が増加傾向にあります。
看護師寮の初期費用の相場
一般的に賃貸住宅を借りる場合、敷金、礼金、仲介手数料などで家賃の3〜5ヶ月分の初期費用がかかります。一方、看護師寮の初期費用は安く抑えられる傾向にあります。
具体的に、看護師寮の初期費用の相場は家賃の無料〜3ヶ月分程度であり、敷金や入寮費のみで済むことが多く、礼金や仲介手数料は不要なケースがほとんどです。また、東京都保健医療局「看護職員等宿舎借り上げ支援事業補助金」が立ち上がっており、補助を受けている病院の看護師寮を活用すると、費用負担が押さえられる可能性があります。
この初期費用の安さが、看護師寮を利用する魅力です。
看護師寮のメリット
看護師寮を選ぶことには、金銭面から精神面まで多くのメリットがあります。
- 家賃や生活費を安く抑えられる
- 通勤時間が短縮できる
- 同僚とのコミュニケーション・サポートが得られる
- 生活用品が揃っている場合もある
- 初めての一人暮らしでも安心して生活できる
初期費用や毎月の固定費を削減できる点は、看護師にとって経済的な安心感につながるでしょう。
家賃や生活費を安く抑えられる
看護師寮の家賃は、一般の賃貸相場と比較して低く設定されている傾向があります。
地域や間取りにもよりますが、家賃が5,000円〜3万円程度と、安価なケースが多く、手取り収入が増えたのと同じ効果があります。
とくに、新卒や若手看護師にとって、経済的な負担を減らす助けになるでしょう。
通勤時間が短縮できる
多くの看護師寮は、病院の敷地内や徒歩5分〜15分圏内といった場所に位置しています。
総務省「令和3年社会生活基本調査」によると、全国の通勤・通学の平均時間は1時間19分(往復)です。看護師寮で生活すると、この長い移動時間を短縮できます。
夜勤明けや悪天候の日でも通勤の負担が少なく、疲労回復やプライベートに時間を使えます。また、通勤ラッシュのストレスがない点も、生活の質向上につながるでしょう。
同僚とのコミュニケーション・サポートが得られる
看護師寮での生活は、同じ職場で働く同僚と交流する場になるでしょう。
看護師寮内で顔を合わせたり、共有スペースを利用したりする機会が増えることで、職場の人間関係や業務の悩みを壁なく、気軽に相談できるようになります。これにより、精神的なストレスをため込まずに済むのです。
とくに、初めての職場や慣れない1人暮らしの場合、身近に頼れる存在がいることは安心感につながります。
生活用品が揃っている場合もある
病院によっては、福利厚生として次のものが備えられている場合があります。
- 主要な家電製品:冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなど
- 生活に必要な設備:エアコン、照明など
- 通信環境:Wi-Fi
これらの設備が揃っている場合、引っ越し費用や家具・家電の購入費用を節約でき、すぐに新生活を始められます。
初めての一人暮らしでも安心して生活できる
初めて親元を離れて生活する新卒看護師にとって、病院が管理している寮は安心感があります。
看護師しか住んでおらず不特定多数の部外者の出入りが少ないため、防犯面の安心感につながる場合があります。また、管理人が常駐している看護師寮もあり、設備の故障やトラブルの際にすぐに対応してもらえるかもしれません。
看護師寮のデメリット・注意点
看護師寮はメリットが多い一方で、デメリットや注意点などもあります。
- プライバシーや自由度が低い
- 規則やルールが厳しい場合がある
- 生活環境や部屋の設備に差がある
- 通勤以外の生活圏が狭くなりがち
- 入職年数・勤務形態による制限がある
職場や同僚との距離が近いという点が、人によってはオンとオフの切り替えが難しく感じ、ストレスの原因となる可能性があります。
プライバシーや自由度が低い
看護師寮が集合寮タイプの場合、キッチンや浴室、洗面所などの設備を共同で使用するため、生活音や利用時間に気を遣う必要があります。
また、共同生活を円滑にするために、ゴミ出しの曜日や共用スペースの利用時間など、一般的な賃貸住宅にはない細かな寮独自のルールが定められているケースがあります。
そのため、プライベートな時間や空間、自由な生活リズムが制限されるかもしれません。
規則やルールが厳しい場合がある
寮生活には、共同生活を維持するために独自のルールが設定されていることがあります。
- 門限や外泊の制限
- 共用部分の清掃当番
- 異性の立ち入り制限
これらの規則が、自身のライフスタイルに合わないとストレスになる恐れがあります。
生活環境や部屋の設備に差がある
築年数が古い看護師寮では、建物が老朽化していたり、温水洗浄便座やオートロックなどの設備がなかったりする場合があります。
実際に、築年数が経っている集合寮では、エアコンが旧式で電気代がかさむ、ユニットバスが狭い、インターネット回線を自分で引かないといけないといった問題が起こりがちです。
また、病院から提供される「借り上げアパート」の場合でも、築年数や間取りは物件によって異なります。見学なしで入居すると、イメージとのギャップを感じる可能性があるため注意が必要です。
通勤以外の生活圏が狭くなりがち
看護師寮が病院の近くにあるというメリットの裏返しとして、病院以外のスーパーや駅などの生活圏が遠い場合があります。
具体例として、寮から最寄りのコンビニまでは徒歩5分でも、大きなスーパーやドラッグストアまで車で20分かかるケースなどです。とくに、車を持っていない場合や、リフレッシュのために遠出したい人にとっては、不便さを感じるかもしれません。
また、平日や休日にかかわらず、同じ生活圏で暮らすこととなり、近所のスーパーで顔を合わせる場合もあり、公私の切り替えが難しくなると感じる看護師もいます。
入職年数・勤務形態による制限がある
看護師寮の利用には、「入職後3年まで入居可能」といった期間制限が設けられている場合があります。
3~5年となっているケースが多いため、その後の住居をどうするか寮生活中に考えておきましょう。また、常勤職員のみを対象とし、パートやアルバイト、夜勤専従者は利用できないケースもあります。
関連記事:看護師の初任給はいくら?手取りや賞与事情、差が出る4つの要因
看護師寮付きの求人の探し方
希望に合った看護師寮を見つけるためには、情報収集の仕方が重要です。
- 病院のホームページを活用する
- 病院見学で寮をチェックする
- 先輩看護師やSNSで情報収集する
- 求人サイトを活用する
これらの方法を組み合わせることで、看護師寮の家賃や立地だけでなく、実際の生活環境まで把握でき、入居後のミスマッチを防げます。
病院のホームページを活用する
多くの病院は、公式ホームページの福利厚生のところに看護師寮の情報を掲載しています。
間取り図や外観、内装の写真が載っているか確認しましょう。また、具体的な費用をチェックすると、入寮後に慌てなくて済みます。
病院所有の寮よりも、借り上げアパートの方が、一般的に築年数が浅くプライバシーが確保されやすい傾向があります。
病院見学で寮をチェックする
求人情報だけではわからない実際の看護師寮の生活環境を知るために、病院見学の際に寮の見学も依頼してみてください。
徒歩圏内にスーパーやコンビニがあるか、共同設備が清潔に保たれているかなどをチェックします。病院のホームページやGoogleマップなど事前に情報を確認しておくと、見学当日に細かくチェックできます。
見学を拒否される場合もありますが、入居後のミスマッチを防ぐために積極的に相談しましょう。
先輩看護師やSNSで情報収集する
病院で働いている先輩看護師から、寮の住み心地や実際のルールを聞くのも有効です。
XやInstagram、看護師の掲示板などで情報を検索してみるのも、看護師寮の実情を知るための1つの手段です。
ただし、古い情報や不正確な情報も含まれるため、鵜呑みにせず参考程度に留めましょう。
求人サイトを活用する
求人サイトの検索機能で「寮・アパートあり」「住宅手当」といった条件で絞り込むと、効率的に寮付きの求人を見つけられます。
とくに、多くの求人サイトには、病院の公式ホームページには掲載されていない写真や情報が掲載されている場合があります。
また、求人サイトの担当者が空き状況や築年数、寮内の環境などの最新情報を知っている場合もあり、個人で探すよりも詳細で正確な情報が得られやすいです。
看護師寮についてのよくある質問
看護師寮について、多くの方が抱く疑問にQ&A形式で回答します。
Q1:看護師寮には個室はありますか?
看護師寮は、個室が基本です。現在の看護師寮の多くは、ワンルームマンションの借り上げや、独立した個室がある集合寮となっているようです。
ただし、看護師寮のなかでも築年数の古い寮では相部屋の形式が残っている場合もあります。プライベートな空間を重視したい場合は、「個室かどうか」を確認しましょう。
Q2:看護師寮に家族や彼氏は入っても良いんですか?
看護師寮の規定によって異なりますが、家族や彼氏など入居者以外が入ったり泊まったりすることを制限している場合があります。
寮によっては、異性の立ち入りが厳しく禁止されていたり、立ち入り時間に制限があったりするケースがあるため、事前の確認が必要です。
借り上げアパート型の場合、比較的自由度が高い傾向にありますが、事前に寮の規定をチェックしましょう。
Q3:ペット可の看護師寮はありますか?
ペット可の看護師寮は少ないといえます。多くの病院の寮は、建物の管理や衛生上の理由からペット飼育を禁止しています。
しかし、借り上げアパートのなかには、元々ペット可の物件を病院が契約していることもあります。ペットを飼いたい場合は、求人情報で「ペット可」を検索するか、求人サイトの担当者や病院の採用担当者に問い合わせてみましょう。
Q4:看護師寮はやめとけといわれる理由は何ですか?
看護師寮はやめとけといわれるのは、おもに次の理由が挙げられます。
- プライバシーの確保が難しい
- 人間関係にストレスを感じる
- 仕事とプライベートを切り替えられない
ただし、これは集合寮タイプに多く見られる特徴です。借り上げアパートタイプを選べば、これらのデメリットの多くは解消されます。
Q5:男性看護師も寮を利用できますか?
男性看護師も利用できる病院が増えています。
一方で、厚生労働省「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、看護師の91.4%が女性であるため、女性寮の方が男性寮よりも多い傾向にあるでしょう。
関連記事:看護師の一人暮らしはいくらかかる?家賃の相場や生活費をおさえる4つのコツ
看護師寮を活用して安心・快適な生活を送ろう
看護師寮は、家賃負担の軽減や通勤の利便性など、とくにキャリアのスタートや転職後の生活基盤を築く方にとってメリットがあります。
デメリットや注意点も踏まえて、自分に合った看護師寮を選べば、快適な生活を送ることが可能です。
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<参考サイト・文献>
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
