看護師のお礼奉公中に辞めたいときの対処法!一括返済や転職の不安を解消

公開日:2025/10/28 更新日:2025/10/28
記事サムネイル画像

「人間関係がつらくて、もう限界。でも、お礼奉公中だから辞められない——。」

そんなふうに心の中で葛藤している看護師の方は、決して少なくありません。

お礼奉公とは、看護師養成校の在学中に病院などから奨学金を受け取る代わりに、卒業後に一定期間その医療機関で勤務することを約束する制度です。経済的な不安を減らし、看護師としてのスタートを支えてくれる一方で、「途中で辞められない」「辞めたらお金を返さないといけない」といった心理的な縛りになることもあります。

「もし辞めたら、奨学金は一括返済?」「違約金が発生すると聞いたけど本当?」「そもそも退職しても問題ないの?」
そんな不安や疑問が、あなたの気持ちを押さえつけてはいないでしょうか。

この記事では、お礼奉公の制度のしくみから、途中で辞める場合に起こりうるリスク、返済義務や法律上のポイント、そして転職後の不安を減らすための現実的な対処法まで、わかりやすく解説します。

「辞める=逃げ」ではなく、「自分らしい働き方を選び直すための選択」かもしれません。今の悩みを整理し、未来への一歩を踏み出すためのヒントとして、ぜひ読み進めてみてください。

事業所からスカウトがもらえる

お礼奉公中に看護師を辞めることは可能!

お礼奉公中であっても、退職や転職することは可能です。というのも、日本の憲法(第二十二条)では「職業選択の自由」が保障され、民法(第六百二十七条)では「期間の定めのない雇用契約は申し入れの日から2週間で終了する」とされているからです。

そのため「お礼奉公中は絶対に辞められない」という契約は、退職の自由を不当に制限する恐れがあります。

ただし、法律で辞めることが認められていても、お礼奉公中に安易に退職することは望ましくありません。トラブルになるリスクもあるため、お礼奉公中の退職や転職は慎重に検討しましょう。

事業所からスカウトがもらえる

お礼奉公中に看護師を辞めるとどうなる?リスクと現実

お礼奉公中に「辞めたい」と感じた場合、金銭的な問題と転職活動への影響に不安を感じる看護師は多いでしょう。

  • 奨学金の一括返済義務が発生する
  • 違約金やペナルティは発生しないことが多い
  • 転職が不利になる可能性はほとんどない

これらのポイントを把握すれば「辞められない」というプレッシャーの軽減が期待できます。それぞれのリスクと現実を紹介します。

事業所からスカウトがもらえる

奨学金の一括返済義務が発生する

契約期間を満了せずに退職する際のリスクは、奨学金の残額(または全額)の一括返済を求められることです。返済額の計算方法は、次のように病院によって異なります。

  • 働いた期間にかかわらず「全額返済」
  • 働いた期間に応じて返済が一部免除される「残額のみ返済」

一例として、3年契約で1年勤務した場合、奨学金の1/3が免除され、2/3の返済で済むこともあります。

いずれの計算方法でも退職時に返還を求める傾向にあり、数百万円の準備ができない場合は経済的な負担になることでしょう。ただし、これらはあくまで例です。途中退職時の返済義務・金額は貸与機関(病院)・契約条項・実際の貸与額・免除期間などにより様々です。

できれば契約時に詳細を確認しておきましょう。

事業所からスカウトがもらえる

違約金やペナルティは発生しないことが多い

契約書に「途中で退職した場合、違約金として〇〇万円を支払う」といった規定が書かれていても、違約金の支払いは発生しない可能性があります。

労働基準法(第十六条)により「労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定したりする契約」は無効と定められているからです。

ただし、奨学金・研修費用などが金銭消費貸借契約として別設計され、かつ合理的な返還期間・免除条件などを備えていれば、有効と判断された例もあります。

事業所からスカウトがもらえる

転職が不利になる可能性はほとんどない

「お礼奉公を途中で辞めた」という事実だけで、転職活動が不利になることはないでしょう。

日本の憲法(第二十二条)では「職業選択の自由」が保障されています。転職事実そのものが違法というわけではないが、前職の退職理由、職場間の契約義務(お礼奉公の実務的繋がり)・奨学金返済の状況などが転職先でマイナス材料になる場合があります(特に系列病院・地元密着型病院などでは)。

事業所からスカウトがもらえる

お礼奉公中に看護師が転職を成功させる方法

奨学金の返済義務があるからといって、現在の職場で我慢し続ける必要はありません。可能な限りスムーズに退職できるように次の方法で行動してみてください。

  • 奨学金の契約内容を確認する
  • 分割返済を交渉する
  • 転職先で新たなお礼奉公をお願いする
  • 日本看護協会や労働基準監督署に相談する

それぞれを詳しく見ていきましょう。

事業所からスカウトがもらえる

奨学金の契約内容を確認する

お礼奉公中に転職することを決めたら、まず契約書の次の項目を確認しましょう。

  • 返済免除の条件:何年勤務すれば全額免除になるのか
  • 途中退職時の返済額:働いた期間による減額措置があるのか、全額返済なのか
  • 返済期限:退職後、一括返済の期限は何日以内と定められているか
  • 違約金:違約金の支払いが必要になるのか

「違約金」の条項があっても、労働基準法により無効になる可能性を認識することが落ち着いて行動するために大切です。わからないことがあれば、人事課や総務課などの担当者に早めに相談することをおすすめします。

事業所からスカウトがもらえる

分割返済を交渉する

契約内容に一括返済の必要性が書かれていて対応が難しい場合は、病院の担当者に、分割返済を認めてもらうように交渉しましょう。

奨学金の全額を回収できなくなるよりは、時間をかけてでも確実に回収したいと考える病院もあるため、分割返済に柔軟に応じてくれるケースもあります。また、交渉の際は「1ヶ月◯万円ずつ返済。令和◯年◯月までに返済完了予定」と、返済計画を提示することが重要です。

事業所からスカウトがもらえる

転職先で新たなお礼奉公をお願いする

「奨学金肩代わり制度」を設けている病院を探すのも有効な手段です。転職先の病院が、現在の病院の奨学金残額を代わりに一括返済してくれるというものです。

この方法であれば、自己資金なしで経済的な問題を解決できます。現在の病院への退職を申し出る前に、求人サイトや転職エージェントなどを活用して、この制度がある病院の情報収集をしてみましょう。

ただし、転職先の病院で新たなお礼奉公が発生するため、慎重に検討すべきです。

事業所からスカウトがもらえる

法テラスや労働基準監督署に相談する

病院との交渉がうまくいかない場合や、違法な違約金を求められた場合は、次の公的機関に相談することで対応してもらえる可能性があります。

  • 法テラス:奨学金問題について相談できる
  • 労働基準監督署:違約金や不当な労働条件を強いられた際に、労働基準法違反として相談できる

また、法テラスのように弁護士に相談する方法もあります。これらの公的機関や専門家を頼ることは安心感につながり、冷静に対処できるでしょう。

関連記事:看護師の転職は何年目がおすすめ?経験年数別に転職のメリットとデメリットを比較

事業所からスカウトがもらえる

看護師のお礼奉公についてのよくある質問

看護師のお礼奉公についてよくある質問に回答します。

事業所からスカウトがもらえる

Q1:お礼奉公を途中で辞めたら看護師免許に影響しますか?

お礼奉公中に退職しても、看護師免許に影響はないでしょう。奨学金の返済義務は、病院と個人の間の契約であり、公的な免許停止や失効とは関係ありません。

事業所からスカウトがもらえる

Q2:奨学金の返済を拒否すると訴えられて裁判になりますか?

奨学金の返済を拒否し続けた場合、病院から民事訴訟を起こされて裁判になる可能性はゼロではありません。

実際に、2024年に大阪府内で社会医療法人の病院と看護専門学校がトラブルになり、訴訟に発展した事例もあるようです。

病院は奨学金の返済を求める権利があります。トラブルを避けるためには、病院の担当者としっかり連絡を取り、返済の意思を示すことが大切です。

事業所からスカウトがもらえる

Q3:お礼奉公の奨学金は返済不要と聞きましたが本当ですか?

お礼奉公の奨学金は「卒業後に指定病院で一定期間勤務する」ことを条件に返済が免除される制度です。

ただし、これは契約期間を全うした場合に限ります。途中で退職した場合は、働いていない期間に相当する奨学金には返済義務が発生します。

事業所からスカウトがもらえる

Q4:お礼奉公を続けるメリットはありますか?

お礼奉公を続けるメリットは、奨学金が免除され、経済的負担から解放されることです。

数百万円の借金がなくなることに加え、その病院で働き続けることで、勤続年数に応じたキャリアとスキルが身につきます。とくに、新卒で入職した場合、3年間の勤務経験は、将来的に専門病院や大学病院、訪問看護ステーションなどへ転職する際の強みになるでしょう。

現職への不満が「耐えられるレベル」なら、免除達成まで続けるのは1つの選択肢といえます。

事業所からスカウトがもらえる

Q5:お礼奉公中に人間関係がつらい場合、どうすれば良い?

お礼奉公中に人間関係がつらいと感じた場合、まずは看護主任や看護師長に相談しましょう。

日本看護協会「2024年病院看護実態調査 報告書」によると、退職した新卒看護師について看護管理者が考える退職理由で4番目に多いのが「上司・同僚との人間関係(29.8%)」となっています。人間関係に悩む看護師は少なくありません。

お礼奉公の義務は「病院で働くこと」であり「特定の部署で働くこと」ではないため、部署異動を願い出ることも、現状を変える方法です。

異動が難しい場合は、病院の人事部や労働基準監督署などに相談し、精神的な負担を軽減しつつ、円満退職に向けた準備を進めるべきです。体調を崩してしまうと、その後のキャリアにも響くため、専門家の力を借りて解決を目指しましょう。

事業所からスカウトがもらえる

看護師のお礼奉公は乗り越えられる!不安を解消して希望のキャリアに進もう

お礼奉公中の退職には、奨学金の返済という不安が伴います。

しかし、看護師には「職業選択の自由」が保障されており、制度や交渉を上手に活用することで、負担を軽減しながら新たな一歩を踏み出すことも可能です。重要なのは、奨学金の契約内容をしっかりと把握し、自分にとって納得できる形で行動を選ぶことです。

今の環境が合わないからといって、自分の将来まであきらめる必要はありません。あなたが本当にやりたい看護とは?どんな働き方が自分に合っているのか?それを見つめ直すことで、次のキャリアが前向きな一歩になります。

たとえば、より自立した働き方や患者さんとの深い関わりを求める方には、訪問看護という選択肢もあります。もし訪問看護ステーションへの転職を検討されているなら、

訪問看護に特化した求人サイト「NsPaceCareer」の利用がおすすめです。

あなたの希望に合った職場を見つけ、安心して次のキャリアをスタートさせるために、ぜひ活用してみてください。

<参考サイト・文献>

日本国憲法|e-GOV法令検索

民法|e-GOV法令検索

労働基準法|e-GOV法令検索

2024年病院看護実態調査 報告書|日本看護協会

SNSシェア

  • LINEアイコン
  • facebookアイコン
  • Xアイコン
記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

関連する記事

NsPaceCareerとは-PCイメージ画像左 NsPaceCareerとは-SPイメージ画像左

NsPaceCareerとは

訪問看護・在宅看護に特化した
求人情報検索・応募のほか、
現役の訪問看護師や在宅経験者への無料相談や、
事業所への事前見学申し込みが可能です。

NsPaceCareerとは-PCイメージ画像右 NsPaceCareerとは-SPイメージ画像左