看護師は転勤するの?パートナーの転勤でも後悔しない転職のコツ5選

「パートナーの転勤が決まったけど自分の仕事はどうすれば良いの?」「転勤先で子育てと両立できる病院を見つけられるか不安…」
このように悩んでいる看護師の方も多いでしょう。看護師は、一般企業のような転勤はほとんどないため、パートナーの転勤が決まった場合、退職して新しい職場で働くことになりがちです。
この記事では、パートナーの転勤が決まった看護師が後悔しない転職をするためのポイントや、転勤の準備について解説します。転勤先での仕事探しや、新しい生活と仕事の両立といった不安を解消できるため、新しい土地でもキャリアアップして働ける職場を見つけられるでしょう。
看護師の転勤事情!看護師の転勤は少ない
看護師には、一般企業のような転勤は少ないです。全国に支社や支店を持つ企業と異なり、それぞれの病院やクリニックが独立した組織であることが理由の1つに挙げられます。
そのため、一度採用されると、退職するまではその病院で働くのが一般的です。
看護師が転勤するのではなくパートナーの転勤についていくケース
パートナーの転勤が決まった場合、看護師は現在の職場を退職し、転勤先で新しい職場を見つけるケースが多くあります。
転居を伴う転職には、退職や引き継ぎ、新しい職場探しのほかに、住居を決めたり、保育園を探したりなど、準備しなければならないことばかりです。スムーズに転職できるように、パートナーと協力しながら計画的に進めることが大切です。
看護師で転勤があるケース
看護師の転勤は基本的に稀ですが、国立病院機構や日本赤十字社、医療法人グループの病院に勤めている場合は、転勤がある可能性があります。これらの組織は、全国に複数の病院があり、人事異動によって転勤になるからです。
たとえば、看護師としての専門性を高めるために、グループ内の別の病院へ異動を打診されることがあります。このような転勤はキャリアアップにつながるため、前向きに検討できるでしょう。
所属する法人の規模や方針を確認しておくことで、転勤の可能性について理解できます。
パートナーの転勤が決まって看護師がすべきこと
パートナーの転勤が決まったら、早めに準備を始めることが重要です。ここでは、パートナーの転勤が決まった看護師がすべきことをお伝えします。
- 生活場所や育児についてパートナーと話し合う
- 退職のタイミングを現在の職場に報告する
- パートナーの転勤先で職場を見つける
退職や転職活動は想像以上に負担がかかるため、計画的に進めていきましょう。
生活場所や育児についてパートナーと話し合う
パートナーの転勤が決まったら、まずは生活場所や育児について話し合いましょう。お互いの希望や条件をすり合わせることで、転勤後の生活を効率良く進められます。
東京都から地方へ転居することになった場合、子育て中の看護師にとって、保育園の空き状況や待機児童の問題は不安要素です。自治体のホームページで保育園の情報や待機児童の数を調べることで、どの地域に住むべきかをイメージできます。
また、通勤時間や子どもの送迎についてどう分担するかも決めておくことで、引越し後も安心して生活できるでしょう。
退職のタイミングを現在の職場に報告する
パートナーの転勤が決まったら、退職のタイミングを現在の職場に早めに報告しましょう。引き継ぎを十分におこなうことで、職場に迷惑をかけずに円満退職ができるためです。
たとえば、ICU勤務で夜勤や急変対応の経験が豊富なベテランである場合、あなたの退職は職場にとって痛手となります。退職を伝えるタイミングが遅くなると、後任の看護師を育成する時間も、引き継ぎをする時間もありません。
スケジュールに余裕を持って退職を報告することで、後任の看護師に知識や経験をしっかりと伝えられ、職場にも迷惑をかけずに済みます。
パートナーの転勤先で職場を見つける
パートナーの転勤先で新しい職場を見つけるためには、計画的に転職活動を進めることが大切です。
転勤先の地域の医療体制や病院ごとの特色を調べたり、面接のスケジュール調整をしたりと、やるべきことが多くあるため、転職活動はパートナーと協力して進めましょう。
看護師がパートナーの転勤で直面する課題
パートナーの転勤で看護師が転職する場合、いくつかの課題に直面する可能性があります。
- 看護師の仕事と子育ての両立が難しい
- 新しい生活に慣れるまで夜勤や残業が制限される
- 看護師としてのキャリアアップが中断する可能性がある
それらの課題を把握し、対策を立てることで転職後の後悔を減らせるでしょう。
看護師の仕事と子育ての両立が難しい
パートナーの転勤に伴う転職では、仕事と子育ての両立が難しくなる場合があります。転勤先の地域では、保育園や学童保育の状況が把握しづらいからです。
新しい職場の環境に慣れることに加えて、馴染みのない土地での子育てに奮闘することになり、心身ともに負担がかかってしまうかもしれません。
新しい生活に慣れるまで夜勤や残業が制限される
新しい生活に慣れるまでは、夜勤や残業が制限される可能性があります。
転居による生活環境の変化や、子どもの転園など、新しい生活に慣れるまでには時間や労力がかかります。この時期に無理をしてしまうと、心身ともに疲れてしまい、仕事にも影響が出てしまうかもしれません。
看護師としてのキャリアアップが中断する可能性がある
パートナーの転勤をきっかけに、看護師としてのキャリアアップが中断してしまうかもしれません。それぞれの医療機関によって、病院の規模や専門分野は異なるためです。
たとえば、がん看護専門看護師やクリティカルケア認定看護師の資格があっても、転勤先のエリアに同じ分野の求人がない場合は、専門性を十分に活かせない可能性があります。
また、新しい病院では、胸腔ドレーンの介助ひとつにしても使う物品が異なり、手順が変わる場合もあるため、新しい知識や手順を覚えなければならないといった声もあります。
転勤によって、これまで積み上げてきた看護師としてのキャリアが中断してしまう可能性もあるのです。
転勤先で看護師が後悔しない転職の5つのコツ
パートナーの転勤で後悔しない転職をするためには、しっかりと準備することが重要です。ここでは、転勤先で看護師が後悔しない転職をするためのコツをお伝えします。
- なるべく早めに情報収集を始める
- 譲れない条件と妥協できる条件を整理する
- 日勤中心で残業が少ない求人を探す
- 病院の教育体制をチェックする
- 託児所や保育園支援など家庭との両立を支援する制度を確認する
これらは、新しい環境でスムーズに働き始めるための重要なポイントです。
なるべく早めに情報収集を始める
後悔しない転職をするためには、情報収集に早めに取りかかることが大切です。
パートナーの転勤が半年前や1年前にわかったら、その時点で転勤先の医療体制や、病院のホームページ、求人サイトなどから情報を集めましょう。「急性期病院で忙しそうだけど給与は高め」「クリニックは残業がほとんどなくて家庭との両立がしやすそう」など、情報収集をすることで転職活動をスムーズに進められます。
情報収集を早めに取りかかることで、自分に合った職場をじっくりと探せます。
譲れない条件と妥協できる条件を整理する
転職活動を始める前に「譲れない条件」と「妥協できる条件」を整理することが重要です。条件を整理することで、自分に合った求人を見つけやすくなります。
子育て中の看護師であれば「夜勤なし」「残業は月10時間まで」といった条件は譲れないかもしれません。一方で、「土日どちらか休みが取れれば良い」「給与は前職より少し下がっても構わない」といった条件は妥協できる場合もあります。
条件を明らかにすることで、求人サイトで検索する際にも、自分に合った職場に絞り込めるため、転勤先でも働き続けられるでしょう。
日勤中心で残業が少ない求人を探す
転勤後は、新しい生活に慣れるまで心身ともに余裕を持てるように、日勤中心で残業が少ない求人を探してみてください。
パートナーの転勤で知らない土地へ引っ越した場合、住居の近隣情報や公共交通機関、スーパーの場所などを把握しなければならず、新しい生活に慣れるまでには苦労しがちです。また、子どもの転園や転校があれば、子どものケアも必要です。
この状況に夜勤の大変さが加わることで心身ともに疲れてしまう可能性があるため、日勤中心で残業が少ない職場で働き、仕事とプライベートのバランスを保ちましょう。
病院の教育体制をチェックする
病院の教育体制が整っていると、スムーズに仕事に慣れられるため、転勤先の教育体制をチェックすることが大切です。
転職先の病院で、前職とは異なる診療科で働く場合、専門知識やスキルが不足しているかもしれません。その際に、次のような研修制度が整っている病院であれば、新しい業務を不安なく覚えられます。
- プリセプター制度
- クリニカルラダー制度
- 定期的な研修
また、研修の際に同期の看護師と交流を深められるため、慣れない土地でも心強い存在を見つけられるでしょう。
託児所や保育園支援など家庭との両立を支援する制度を確認する
子育てをしながら働く看護師にとって、家庭との両立を支援する制度を確認することが大切です。たとえば、次のような支援を確認してみてください。
- 院内託児所
- 保育料の補助
- 短時間勤務制度
これらの制度があれば、子どもの預け先探しに苦労することもなく、経済的、心理的な負担も軽減されます。また、病児保育に対応している託児所であれば、急な発熱といった体調不良にも対応できるため、心強い存在になるでしょう。
関連記事:看護師が転職を成功させるための10のポイントとは?年代別でも解説
看護師がパートナーの転勤で転職した実例
ここでは、パートナーの転勤で転職した看護師の実例を2つ紹介します。
実例1:夫婦で話し合い子どもの保育園を調整した例
夫の転勤が決まり、転職を決意したAさん。転勤先は、東京都から大阪府でした。3歳の子どもがいるため、気がかりだったのは転勤先の保育園の空き状況でした。そこで、夫婦で話し合い保育園を調べました。役所にも相談した結果、自宅から通いやすく、夜間保育にも対応している院内託児所がある病院を見つけ、ゆとりを持って働けるようになりました。 |
とくに、保育園や託児所の問題は、仕事に直結するため、早めに解決しておくことが転職成功のカギです。
実例2:転勤をきっかけに夜勤を制限した例
夫の転勤を機に、北海道から東京都へ転職したBさん。急性期病棟で夜勤もこなし、キャリアアップを目指していましたが、東京都での生活に慣れることを最優先に考え、夜勤を制限することにしました。電車通勤の混雑や、慣れない土地での生活のストレスを避けるため、クリニックへの転職を決めました。その結果、仕事と家庭の両立ができるようになりました。収入は少し減りましたが、家族との時間が増えたことに満足しています。 |
新しい生活環境に慣れるまでは、仕事内容や勤務時間を調整して無理のない働き方を選ぶことが大切です。夜勤を制限することで、生活リズムが安定し、プライベートな時間を確保できます。
パートナーの転勤が多い看護師が働きやすい職場
ここでは、パートナーの転勤が多い看護師が働きやすい職場を紹介します。
- 全国に展開している病院
- 保育施設がある病院
- 多様な働き方ができる訪問看護ステーション
- 夜勤や残業が少ないクリニック
これらの職場は、転勤による環境の変化にも対応しやすく、看護師としてのキャリアを継続できる可能性が高いです。また、子育てや家事など、プライベートとの両立も図りやすいため、安心して新しい生活を始められるでしょう。
全国に展開している病院
全国に複数の病院がある国立病院機構や日本赤十字社といった医療機関は、パートナーの転勤が多い看護師にとって働きやすい職場です。
同じグループの病院に転勤することで、電子カルテの操作方法や教育システムが変わらないため、問題なく異動できる可能性があるためです。新しい病院のルールを覚えるストレスを減らせるでしょう。
また、これまでの経験やスキルを活かしてキャリアを継続できるため、ブランクなく働きたい看護師にとってメリットです。
保育施設がある病院
保育施設がある病院は、子育て中でパートナーの転勤が多い看護師にとって働きやすい職場です。
保育施設が併設されているため、子どもの急な体調不良などにも対応しやすいためです。また、通勤時間や送迎の手間を省けるため、仕事と家庭の両立がしやすくなります。

多様な働き方ができる訪問看護ステーション
訪問看護ステーションは、多様な働き方ができるため、パートナーの転勤が多い看護師にとって働きやすい職場です。勤務時間や曜日を調整しやすい職場もあり、家庭と両立しながら働けます。
また、訪問看護師として働くと年収アップが期待できます。厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は508万1,700円です。一方で「令和5年度介護事業経営実態調査結果」によると、訪問看護師の平均年収は556万7,124円です。
ただし、訪問看護ステーションの規模や看護師のスキルによって平均年収は変わります。
さらに、訪問看護ステーションでは、パートやアルバイトなどの非常勤で働くことも可能です。転勤してすぐは非常勤として働き、生活に慣れてから正社員になることも検討できます。
関連記事:訪問看護師のパートの時給は?10のメリットときついといわれる理由
夜勤や残業が少ないクリニック
夜勤や残業が少ないクリニックは、パートナーの転勤が多い看護師にとって働きやすい職場です。
生活リズムが安定するため、新しい生活に早く慣れることができるためです。また、子育てや家事など、プライベートとの両立もしやすいでしょう。
看護師の転勤についてよくある質問
看護師の転勤について、よくある質問をまとめました。
Q1:パートナーの転勤に伴う転職の準備はいつ始めるべきですか?
パートナーの転勤が正式に決まったら、すぐに転職活動の準備を始めましょう。
退職や引き継ぎ、引越し、新しい職場の面接などやるべきことがたくさんあるため、可能な限り早いタイミングが好ましいです。
Q2:転勤で看護師としてのキャリアが途切れないようにするには?
転勤でキャリアが途切れないようにするには、専門性を活かせる求人を探すことが大切です。これまでの経験やスキルを活かすことで、新しい職場でも即戦力として活躍できるためです。
大学病院や専門病院など、専門分野に特化した病院を探してみましょう。
Q3:パートナーの転勤で転職先が見つからない場合はどうすれば良いですか?
パートナーの転勤で転職先が見つからない場合は、求人サイトを活用してみましょう。
求人サイトには、求人が豊富に載っており、比較検討しながら新しい職場を見つけられます。また、履歴書や職務経歴書の書き方や面接対策などのコンテンツを用意している求人サイトであると、円滑に転職活動を進められます。
看護師が転勤するケースは少ない!パートナーの転勤に備えた準備が必要
看護師が転勤するケースは稀であり、パートナーの転勤に帯同する場合が多い傾向にあります。
パートナーの転勤先で後悔しない転職をするためには、パートナーと話し合い、早めに準備を始めることが大切です。また、自分に合った働き方や職場を見つけるためにも、求人サイトを活用して情報収集しましょう。
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<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。