20代看護師の転職事情とは?5つの理由とおすすめの転職先を紹介

「今の職場で働き続けるべき?」「20代で転職するのは早すぎる?」
このように悩んでいる20代看護師の方は多いのではないでしょうか。20代はキャリアの基礎を築く重要な時期ですが、人間関係の悩みやハードな業務など、さまざまな理由から転職を考える方が多くいます。
この記事では、20代看護師の転職事情や、転職を成功させるための具体的な方法、おすすめの転職先を紹介します。転職の不安を解消し、理想の働き方を見つけるための第一歩を踏み出してください。
20代看護師の転職事情
働き始めて数年で新たなキャリアを模索する20代看護師も少なくありません。ここでは、20代看護師の転職事情を解説します。
- 20代看護師で転職経験があるのは18.4%
- 20代看護師がキャリアを考え始める3〜4年目
- 転職に至ったきっかけとして「無料の就職・求人サイト」を利用した人は39.0%
看護師の仕事は専門性が高く、ライフステージに合わせて働き方を変えやすいという特徴があります。この時期に転職することは、将来のキャリアプランを考えるうえで重要です。
20代看護師で転職経験があるのは18.4%
2021年看護職員実態調査によると、20代看護職員の18.4%が「転職した経験がある」と回答しています。
たとえば、急性期の病院から利用者さまともっと向き合える訪問看護ステーションに転職するケースや、業務や人間関係の負担から慢性期の病院に移るケースもあります。
転職は、キャリアの方向性をじっくり考え、自分の理想とする働き方を実現するために有効な手段です。
20代看護師がキャリアを考え始める3〜4年目
看護師3年〜4年目で転職を考える方は少なくありません。
臨床経験が3年〜4年になると、ある程度の業務を1人でこなせるようになり、リーダー業務も経験し始める時期です。この段階で「次はどんなスキルを伸ばすべきか」とキャリアプランを考える方が増えます。
また「3年働いて1人前」といった業界の認識があるため、転職市場でも即戦力として高く評価され、より良い条件や理想の働き方を求めて転職に踏み切る方もいるでしょう。
転職に至ったきっかけとして「無料の就職・求人サイト」を利用した人は39.0%
20代看護師は、転職に至ったきっかけとして「無料の就職・求人サイト」を活用して転職先を決める方が多い傾向にあります。転職先に就職したきっかけは次のとおりです。
転職先に就職したきっかけ | 割合 |
無料の就職・求人サイト | 39.0% |
ホームページの求人募集 | 32.0% |
友人や知人からの紹介 | 18.5% |
ハローワークからの紹介 | 12.0% |
ナースセンターからの紹介 | 11.0% |
求人サイトを利用すると、多くの求人を効率的に比較検討でき、希望条件に合う職場を見つけやすくなるため、転職を成功させられる可能性が高まるでしょう。
20代看護師が転職する5つの理由
20代の看護師が転職を考えるおもな理由は、次の5つです。
- 人間関係の悩み
- 夜勤や業務の負担
- 年収への不満
- ライフスタイルの変化
- 将来性への不安
これらの悩みは、20代というキャリアの初期段階に共通して直面しやすいものであり、転職を考えるきっかけとなります。
人間関係の悩み
人間関係の悩みは、20代看護師が転職を考える大きな理由の1つです。先輩や同僚とのコミュニケーションがうまくいかず職場に馴染めないと、働きにくさを感じやすいからです。
一部では、厳しい指導やパワハラと感じる指導方法によって、精神的に追い詰められてしまうケースもあります。看護師の仕事はチームでおこなうため、人間関係がうまくいかないと日々の業務にも支障をきたします。
夜勤や業務の負担
夜勤や業務負担が原因で転職を考える20代看護師も多くいます。ハードな夜勤や残業が続き、体力的・精神的に限界を感じてしまう方も少なくありません。
具体的には、患者さまの急変や緊急入院に対応して残業が続いたり、ナースコール対応で十分に休憩を取れなかったりして、疲労が溜まり、体調を崩してしまう方もいるでしょう。このような状態が続くと、心身ともに無理してしまうことになります。
年収への不満
年収への不満も、20代看護師の転職理由として挙げられます。
夜勤や残業が多く、体力的にもきつい仕事なのに、給料が思うように上がらないという不満を持つ方もいます。また、都心部の病院に転職した友人と比べて、自分の年収が低いことを知り、不満を感じる人もいるかもしれません。
このような理由で、自分の頑張りに見合った給与を求めて転職を決意します。
ライフスタイルの変化
ライフスタイルの変化は、20代看護師が転職を考えるきっかけになります。結婚や出産といった人生の節目を迎えることで、働き方を見直す必要があるためです。
たとえば、家庭と仕事を両立させるために夜勤のないクリニックや、残業が少ない施設への転職を希望する、また、出産を機に、短時間勤務で働ける職場を選ぶ傾向があります。
仕事よりも家庭を優先したい、子育てと両立しながら働きたいといった理由で、働き方を変えることを検討する20代看護師は多くいます。
将来性への不安
将来性への不安も20代看護師が転職を検討する理由の1つです。
今の職場で働き続けて専門的なスキルを身につけられるのか、管理職になれるのか、といったキャリアプランをイメージできないためです。
漠然とした不安を抱いた結果、病棟勤務しか経験がない方が、訪問看護師や企業看護師など、新しい分野に挑戦したいと考えるケースもあります。
20代看護師が転職するメリット
20代看護師が転職することにはいくつかのメリットがあります。
- キャリアアップとスキルが向上する
- 働きやすい転職先を選べる
- 年収がアップする可能性がある
- 体力があり重宝されやすい
20代は若さと柔軟性を兼ね備えているため、新しいキャリアに挑戦しやすく、将来の選択肢を広げられます。
キャリアアップとスキルが向上する
20代看護師は、転職によってキャリアアップやスキル向上を実現できます。専門性の高い病院やクリニックに転職すると、特定の分野の知識やスキルを深く学べるからです。
たとえば、救命救急センターや手術室、ICUでは心筋梗塞や脳卒中といった緊急性の高い症例を経験できます。また、訪問看護ステーションでは、利用者さまの生活背景を踏まえてケアをおこなうため、介護サービスや福祉用具の活用方法といった幅広い知識を身につけられます。
転職することで、自分が興味のある分野に挑戦し、看護師としてのスキルを広げられるのです。
働きやすい転職先を選べる
転職によって、自分の希望やライフスタイルに合わせた職場をじっくり探せるため、働きやすい職場を選べます。次のような職場は、20代看護師にとって働きやすいといえます。
- 1ヶ月の残業時間が5時間未満の病院
- 夜勤のないクリニック
- 土日祝日が休みの一般企業
これらの職場に転職すると、仕事とプライベートのバランスをうまく取れるようになるでしょう。
年収がアップする可能性がある
転職によって年収がアップする可能性があります。現在の職場の給与に不満がある場合、給与水準の高い職場に転職することで、収入を増やせます。
夜勤手当や資格手当が手厚い病院や、インセンティブ制度がある訪問看護ステーションに転職すると、希望する年収を得られるでしょう。
関連記事:20代看護師の平均年収は?初任給の実態と年収を上げる方法を解説!
体力があり重宝されやすい
20代看護師は夜勤やハードな業務にも対応でき、新しいスキルや知識をすぐに吸収できると期待されるため、多くの医療機関で重宝されます。
とくに、重症患者を多く受け入れている救命救急センターや、急性期の総合病院では、若手の柔軟性や対応力が大きな強みです。20代は転職市場で有利な立場にあり、希望条件に合った求人を見つけやすいでしょう。
20代看護師の転職で注意すべきポイント
20代看護師が転職する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。これらのポイントを把握することで、転職後に後悔せず理想のキャリアを築けるでしょう。
転職回数が多すぎると印象が悪くなる
短期間での転職を繰り返すと、採用担当者から「またすぐに辞めてしまうのではないか」と不安に思われる可能性があります。
たとえば「入職して数ヶ月で辞めている」「同じ理由で転職が続いている」といった場合、長く働き続けられるかどうかを疑問視されやすいのです。
そのため、転職理由を前向きに整理し、「この職場で腰を据えて働きたい」という意思を伝えることが大切です。
間違った転職先を選ぶとストレスが増える
十分な情報収集をせず、間違った転職先を選ぶと、かえってストレスが増える場合があります。というのも、新たな職場でも、現職と同じような問題に直面する可能性があるためです。
人間関係に悩んで転職したのに、次の職場でも同じような問題に直面するケースも珍しくはありません。また「残業が少ない職場」という理由だけで転職を決めた結果、仕事内容が自分のやりたいことと異なり、モチベーションが下がってしまうといったケースも考えられます。転職の目的をはっきりさせて、自分に合った職場を見つけることが大切です。
20代看護師が転職を成功させるコツ
20代の看護師が転職を成功させるためには、準備と戦略的なアプローチが不可欠です。
- 病院や施設の情報収集を徹底する
- 将来のキャリアプランを明らかにする
- 面接や履歴書で自分の強みを伝える
- 求人サイトを活用する
それぞれのコツをチェックして、満足感が高い転職を実現しましょう。
病院や施設の情報収集を徹底する
転職を成功させるには、病院や施設の情報収集を徹底することが大切です。給与や待遇だけでなく、職場の雰囲気や人間関係、教育体制などを把握することで、入職後のギャップを減らせるからです。
病院のホームページを確認するほかに、病院見学やインターンシップに参加して、看護師同士の会話や患者さまとのコミュニケーションの様子をチェックして、職場の雰囲気を感じましょう。
将来のキャリアプランを明らかにする
将来のキャリアプランをはっきりとすることが重要です。転職の目的や目標が明らかになると、自分に合った転職先を見つけやすいからです。
「皮膚・排泄ケア認定看護師になりたい」「看護師長を目指したい」などの目標があると、どのような職場を選ぶべきかがわかるようになります。
面接や履歴書で自分の強みを伝える
転職活動では、面接や履歴書で自分の強みをしっかりと伝えることが重要です。採用担当者に魅力をアピールすることで、採用の可能性を高められます。
前職での経験からどのようなスキルを習得したのか、チームでどのように貢献したのかを具体的に伝えてください。転職理由をポジティブに話すことで、前向きな姿勢をアピールできるでしょう。
求人サイトを活用する
20代の看護師が転職を成功させるためには、求人サイトの活用がおすすめです。次の希望や条件で情報を絞れるので、効率的に求人を探せます。
- 勤務地
- 勤務形態
- 給与や待遇
求人サイトのなかには「ユニフォーム貸与」「駐車場完備」「40代活躍」といった条件で探せるところもあるため、自分に合った職場を見つけられるはずです。
関連記事:看護師が転職を成功させるための10のポイントとは?年代別でも解説
20代看護師におすすめの転職先
20代看護師には、さまざまな目的に応じた転職先があります。ここでは、おすすめの転職先を紹介します。
- 大学病院や総合病院
- 訪問看護ステーション
- 専門クリニック
それぞれの職場を詳しく確認して、理想の働き方を実現しましょう。
大学病院や総合病院
スキルアップやキャリアアップを目指す20代看護師には、大学病院や総合病院がおすすめです。専門性の高い医療に触れられ、幅広い症例を経験できるからです。
がん専門病棟では、化学療法や放射線治療、緩和ケアなどがん看護の専門知識を深く学べます。また、循環器内科や消化器内科などの内科系病棟では、心不全や糖尿病などの慢性疾患の患者さまのケアや、生活指導のスキルが身につきます。
教育体制が充実しているため、ブランクがある方や、新たな分野に挑戦したい方も安心して働けるでしょう。
訪問看護ステーション
利用者さまとじっくり向き合いたいと考える20代看護師には、訪問看護ステーションがおすすめです。
病院とは異なり、利用者さまの生活に寄り添った看護を実践できるため、やりがいを感じやすいです。オンコール待機があるものの、夜勤がない事業所が多く、ワークライフバランスを重視したい看護師に向いている働き方といえます。
専門クリニック
特定の分野のスキルを身につけたい20代看護師には、専門クリニックがおすすめです。美容医療や不妊治療、透析など専門的なスキルを集中的に学べるためです。
美容クリニックでは、施術の介助やカウンセリング、美容医療の専門知識を深められます。日勤のみの勤務が多く、ワークライフバランスを保ちやすいことも魅力の1つです。
20代看護師で転職した実例
ここでは、実際に転職を経験した20代看護師の事例を紹介します。
事例1:総合病院から別の総合病院に転職した例
総合病院の外科病棟で働いていたAさん(26歳)。専門性を高めたいと考えていましたが、異動希望が叶わず、キャリアへの不安を感じていました。そこで、興味のあった救命救急センターがある別の総合病院への転職を決意。これまでの外科病棟での経験をアピールし、夜勤手当や役職手当が手厚い病院に転職できました。 |
この事例は、年収アップとスキルアップの両方を実現した例です。総合病院から別の総合病院への転職は、経験年数を活かしてキャリアアップを目指す20代看護師によく見られます。
事例2:総合病院から訪問看護ステーションに転職した例
総合病院で3年間勤務したBさん(25歳)。夜勤の多さやハードな業務に疲れ、利用者さまとじっくり向き合いたいという思いも強くなり、訪問看護ステーションに転職しました。転職後は、プライベートな時間が増えただけではなく、利用者さまと深い信頼関係を築けることにやりがいを感じ、仕事へのモチベーションも向上しました。 |
この事例は、ワークライフバランスを重視した転職の例です。訪問看護ステーションは、夜勤がない職場が多いため、体力的な負担を減らしたい看護師に人気の転職先です。
20代看護師の転職についてのよくある質問
20代の看護師が転職する際に、多くの方が疑問に思う点にお答えします。
Q1:看護師が20代で転職するのは早いですか?
20代で転職するのは決して早すぎません。看護師の転職市場では、若くて柔軟性がある20代は重宝される傾向にあります。
とくに、看護師経験が3年以上ある看護師は、リーダー経験もあることから、即戦力として期待されるため転職に有利です。
キャリアプランを明らかにして、次の職場でどのように貢献できるのかをしっかりと伝えることで、転職を成功させられるでしょう。
Q2:20代看護師が転職すると年収アップできますか?
20代看護師が給与水準の高い病院やクリニック、訪問看護ステーションに転職することで、年収アップを目指すことは可能です。また、転職の面接の際に給与交渉をおこなうことで、年収アップが期待できます。
Q3:転職後、最もしんどい時期はいつですか?
転職後、最もしんどい時期は、入職してから半年間といわれています。新しい職場の人間関係や未経験の業務内容に慣れるまでに時間がかかるためです。
新しい病院のルールやシステムを覚えるほかに、ほかの職種と人間関係を築いたり、業務手順を把握したりなど、慣れないことばかりでストレスを感じる人も多くいます。
実際に、清拭する際に、タオルや病衣はどこに保管されているのか、どのような手順で実施するのかなど、病院や施設によって異なる状況に戸惑う方も少なくありません。
しかし、この時期を乗り越えると、仕事にやりがいを感じられるようになり、楽しく働けるようになります。
20代看護師が転職で後悔したくないときは求人サイトの活用がおすすめ!理想の働き方を実現しよう
20代看護師が転職を考える理由は、人間関係や給与、ライフスタイルの変化などさまざまです。転職には不安が伴いますが、自分のキャリアを考えるうえで、大切な一歩となります。
転職で後悔しないためには、情報収集を徹底し、自分の希望に合った職場を見つけることが大切です。NsPaceCareerでは、20代看護師の転職の悩みを解決するために情報を発信しています。転職先の選び方や履歴書の書き方など、お気軽にチェックしてみてください。
<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。