看護師のワークシートのテンプレート集7選!申し送りや処置が円滑になる方法

公開日:2025/09/08 更新日:2025/09/08
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「情報収集の漏れや業務のミスが心配…」「もっと使いやすいワークシートがほしい」

このような悩みを抱える方に役立つのが、日々の業務を効率化するワークシートの活用です。

看護業務に特化したワークシートを使うと、情報整理やタイムマネジメントがスムーズに進みます。ただし「どのようなワークシートを使うと、業務を効率的に進められるのかわからない」と感じている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、用途別や部署別のワークシートのテンプレートを紹介します。ワークシートを活用して、看護業務の効率化やアセスメント能力を高め、看護師として自信をもって働きましょう。

【用途別】看護師のワークシートのテンプレート

日本医労連「2022年の看護職員の労働実態調査」によると「1年前と比べて仕事量が増えた」と答えた看護師は全体の65.0%にのぼりました。業務量の増加は、情報の整理や優先順位付けを難しくしており、現場では効率的に動くためのワークシートは欠かせません。

ここからは、日々の業務に役立つワークシートを用途別に紹介します。

基本の形が知りたい方に|情報収集シート

情報収集は看護業務の基本です。受け持ち患者さまの情報を正確に、かつ効率よく整理するために活用してみてください。

項目内容
患者氏名/年齢/入院日
主疾患/治療内容
バイタルサイン
意識レベル
ADL
食事/水分
排泄
処置/管理
ドレーン/ライン
感染対策
申し送り事項

夜勤明けの看護師から申し送りを受ける際にこのワークシートを使うと、聞き逃しや抜け漏れを防げます。

また、受け持ち患者さまが多いときは、緊急性の高い処置や観察項目に優先度がわかるようにレ点や◯マークなどでチェックしましょう。

処置やケアの時間管理に|タイムスケジュール管理シート

日勤帯や夜勤帯など、限られた時間のなかで多くの業務がある看護師にとって、タイムスケジュールは不可欠です。このワークシートを活用すると、一日の流れを可視化でき、業務の優先順位をつけやすくなります。

時間帯予定業務対象患者・実施内容チェック備考
8:00情報収集・申し送り
8:30検温・バイタルサイン測定
9:00与薬・点滴開始
9:30処置・清拭・体位変換
10:00カンファレンス・家族対応
10:30食事介助準備
11:00昼食配膳・食事介助・配薬
12:00休憩
13:00~午後検温・記録・処置対応など

処置が重なる時間帯を事前に把握しておくと、ほかの看護師に処置を手伝ってもらいたいときに、依頼するタイミングを考えやすくなります。また、終わった業務をチェックすると、タスクをクリアする達成感が得られ、モチベーション維持にもつながるでしょう。

申し送り準備に|SBAR対応シート

患者さまの急な状態変化や医師への報告、ほかのスタッフへの申し送りなど、医療現場では正確で、簡潔な情報伝達が求められます。そこで役立つのが、医療現場で広く使われている「SBAR(エスバー)」形式のワークシートです。

S(状況)B(背景)A(アセスメント)R(提案)
例:発熱が続いている(38.5℃)術後3日目、ドレーンありCRP高値、創部の腫脹や感染の可能性医師に報告し、抗生剤継続の指示を仰ぎたい

受け持ち患者さまの状態変化をSBAR形式でまとめておくと、夜勤明けの申し送りや医師への報告時に、漏れなく情報を伝えられます。情報の整理と思考の訓練にもなるため、新人看護師にもおすすめです。

【部署別】ワークシートのテンプレート例

ここからは、代表的な部署ごとに、専門的で使いやすいワークシートにするための、具体的な項目やアセスメントの視点を紹介します。

  • 内科病棟
  • 外科病棟
  • 精神科病棟
  • 小児科病棟

前述した「基本の情報収集シート」に、次で紹介する部署ごとの項目を追加する形で活用してみてください。部署の特性に合わせたワークシートを使うと、業務効率が上がり、質の高いケアを提供できるようになるでしょう。

内科病棟

内科病棟では慢性疾患の患者さまのケアが中心で、再発予防のための生活指導も重要です。バイタルサインや検査データ、患者さまの訴えから病状の変化をアセスメントする能力が求められます。

【追加する項目例】

・検査値(HbA1c・BNP・Cr・eGFRなどの推移)
・食事と水分摂取(摂取量・バランスの変化)
・呼吸状態(酸素投与の有無・SpO2値・努力呼吸の有無)
・排泄状況(排尿や排便の有無・回数・性状)
・浮腫(部位・程度の変化)
・精神状態(せん妄・不穏の有無や兆候)

急変のサインを見逃さない視点が重要です。ワークシートに「昨日との比較」欄を作ると、わずかな変化に気づきやすくなります。

外科病棟

外科病棟の看護では、周術期の管理が重要です。手術の影響による身体の反応を理解し、術後合併症の兆候を早期に発見する観察力とアセスメント能力が重要視されます。

【追加する項目例】

・手術情報(手術名・術式・術後日数)
・ドレーン(種類・排液量・性状・前日の排液量)
・創部(発赤・腫脹・滲出液の有無や程度)
・疼痛コントロール(薬剤名・効果・副作用の有無)
・消化機能(食事開始状況・排ガス・排便の有無・腸蠕動音の有無)
・禁忌事項(体位制限・食事制限など)

術後管理は時間軸で変化するため「術後〇日目」が記載できるようにしておくと、術後経過のトラブルの早期発見に役立ちます。

精神科病棟

精神科看護では客観的なデータが少ない分、患者さまの内面に目を向け、信頼関係にもとづいたコミュニケーションが大切です。表情や雰囲気といった情報を記録する観察力と対話のスキルが求められます。

【追加する項目例】

・主疾患・服薬(服薬状況・内服拒否・副作用の有無)
・家族関係(面会状況・家族との関係性)
・日中活動(離床・会話・興味関心の有無)
・感情(イライラ・落ち込み・混乱の有無や変動)
・自傷・他害(リスクの有無・程度)
・スタッフ対応メモ(声かけの反応・効果的なかかわり方)

ワークシートに時間帯ごとの印象を記録する枠を作っておくと、患者さまのわずかな変化をキャッチしやすくなり、多職種カンファレンスでも役立つでしょう。

小児科病棟

小児科では、年齢や発達段階に応じた細やかなケアが求められます。子どもだけでなく、保護者の精神的なサポートも重要です。

【追加する項目例】

・基本情報(年齢・体重・発達段階)
・保護者(関与度・不安の有無や様子)
・食事(摂取量・好み・食事形態)
・排泄(おむつ使用・トイレトレーニングの状況)
・遊び(プレイルームの利用状況・遊びの傾向)
・処置・採血(理解度・協力度)

子どもの行動の変化が病状悪化のサインの場合もあるため、普段との違いを意識して記録する工夫が大切です。また、保護者とのコミュニケーション内容も記録しておくと、多職種で情報を共有しやすくなります。

看護師のワークシートのメリット3つ

看護師が業務のなかでワークシートを活用するメリットは、次のとおりです。

  • 頭のなかが整理され、アセスメント能力が上がる
  • 業務の優先順位が一目でわかる
  • 申し送りがスムーズになる

それぞれ詳しく解説します。

頭のなかが整理され、アセスメント能力が上がる

ワークシートを埋めていく作業は、バラバラだった情報を「疾患」「バイタルサイン」「検査データ」といったように、カテゴリーごとに整理するプロセスです。

このプロセスを経ると「この検査データの異常は、この症状に関連しているかもしれない」というように、情報と情報のつながりが見えるようになります。ワークシート上で情報を並べると、患者さまの全体像を把握しやすくなり、アセスメント能力の向上につながります。

業務の優先順位が一目でわかる

業務の優先順位づけは、看護師に求められる重要なスキルです。タイムスケジュール型のワークシートを使えば、時間軸に沿ったタスクが一目でわかり「この時間にやるべきこと」がはっきりします。

また、患者さまごとの情報収集シートに「緊急度」「重症度」といった欄を設けておくと、業務の優先順位をつけやすくなります。

申し送りがスムーズになる

申し送りは、患者さまの情報を正確に伝える重要な業務です。

情報収集の段階からSBARのワークシートに書き込んでいくと、勤務終了時の申し送りメモがほぼ完成している状態になります。それを読み上げるだけでわかりやすく、抜け漏れのないスムーズな申し送りが可能になるため、業務の効率化につながるでしょう。

看護師の手作りワークシート作成術

自分に合ったワークシートを作るには、既存のテンプレートを活用しながら、手作りするのがおすすめです。ここからは、その手順を5つのステップで解説します。

STEP1:ベースとなるテンプレートを印刷してみる

白紙の状態からテンプレートを作り始めるのは、時間と労力がかかります。まずは、この記事で紹介したテンプレートから、使ってみたいものを印刷してみてください。

既存のテンプレートをベースにすると、効率的に作成を進められます。

STEP2:自分の受け持ち患者さまに合わせて「足りない項目」を書き出す

印刷したテンプレートを1日使ってみて、業務が終わった後に振り返ってみましょう。実際に使ってみると、必要な項目やあまり使わない項目が見えてくるはずです。

自分の部署の特性や、受け持ち患者さまの状況に合わせて、足りない項目や不要な項目をテンプレートに書きこんでみましょう。

STEP3:情報を書く順番(=見る順番)を考える

次に、項目の「配置」を考えます。仕事中、どの順番で情報を見ることが多いかを思い出してみてください。

たとえば「①患者さまの基本情報②バイタルサイン③今日の予定④詳しいケア内容」といった流れで情報収集する方もいるでしょう。この流れに沿って項目を配置すると、業務中の視線の移動がスムーズになり、効率的に情報を確認できます。

STEP4:実際に使ってみて、使いにくい部分を修正する

作成したワークシートは、使って初めて気づく点があります。項目の配置やサイズなど、使いにくいと感じた部分は積極的に修正しましょう。

修正を繰り返すうちに、自分の行動計画に合ったワークシートが完成に近づきます。

STEP5:最終的に自分だけのテンプレートを作成する

自分にとって最適なワークシートが完成したら、業務はこれまでより効率的に進むようになります。

完成したワークシートは、チームのスタッフに共有してフィードバックをもらうのも良いでしょう。思わぬ気づきが得られるかもしれません。

ワークシートをより活用するための工夫

ここからは、自分に適したワークシートをさらに使いこなすための、ちょっとした工夫をご紹介します。

色分けする

ペンやマーカーで項目を色分けすると、情報の重要度が一目でわかるようになります。たとえば、次のような色分け方法はいかがでしょうか。

  • 緊急性のあるもの:赤
  • 重要なタスク:青
  • すでに完了したもの:緑

このように自分なりの色分けルールを決めておくと、視覚的に情報を整理できます。

自分だけのマークや記号を決める

ワークシート記入の時短につながる、記号やマークを決めておくのもおすすめです。

  • ★:必ず申し送ること
  • 〇:完了
  • △:未対応・要確認
  • ◎:とくに注意が必要なこと

簡単な記号を活用すると、記録にかかる時間を短縮できるでしょう。

看護師のワークシートに関してよくある質問

ここからは、ワークシートの活用を考える際によくある疑問にお答えします。

Q1:電子カルテがあるのに、紙のワークシートは必要ですか?

電子カルテは記録や情報の共有には便利である反面、リアルタイムで動きながら情報を整理するには不向きな一面もあります。

患者さまの情報を一覧で把握したいときや、タイムスケジュールを立てるときには、電子カルテと併用する形で紙のワークシートを活用することで、効率性が高まるでしょう。

日本医療機能評価機構「医療安全情報No.193」によると「薬剤の投与経路ミス」といった基本的な情報確認ミスによる事故が報告されているのが現状です。ワークシートに目視で確認できるように情報を整理しておくと、ミスを防止するきっかけにもなります。

Q2:勤務中にワークシートを書く時間がありません

時間がないと感じている看護師ほど、ワークシートの活用がおすすめです。

書くことで情報が整理され、優先順位や動き方がはっきりとするため、結果的に業務効率が上がるのです。すべてを細かく記載する必要はなく「今日の検査や処置の予定」「申し送りで必ず伝えること」などを記入することから始めてみましょう。

自分に合ったワークシートで、効率的に動ける看護師になろう

看護業務におけるワークシートは、うまく活用すれば、業務の優先順位づけや情報整理がスムーズになります。その結果、残業時間の減少やケアの質向上にもつながります。

今回紹介したテンプレートを参考に、まずは「これなら使えそう」というものを選んでみてください。実際に使いながら、自分の働き方や病棟の特性に合わせて、必要な情報を追加したり、あまり使わない情報は削除したりなど、試行錯誤することが重要です。

働きやすさを高めるための一歩として、ぜひワークシートの活用に取り組んでみてください。自分らしく効率的に働ける看護師を目指しましょう。

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<参考サイト>

「2022 年看護職員の労働実態調査」記者発表資料|日本医労連・全大教・自治労連

医療安全情報No.193|公益財団法人 日本医療機能評価機構

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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