日本看護協会に入る5つのメリットと注意点!制度や特典をわかりやすく解説

「日本看護協会に入ると、どのようなメリットがあるの?」「年会費を払う価値はあるのかな?」
このように日本看護協会への入会を迷っている看護師は多いのではないでしょうか。日本看護協会は、看護師の専門職能団体として、専門性の向上と、より良い社会の実現に貢献することを目的としてさまざまな活動をおこなっています。
この記事では、日本看護協会に入会する5つのメリットと、知っておくべきデメリットや注意点を解説します。この記事を読めば、自分のキャリアにどう活かせるかがわかるため、入会を検討する際の判断材料にしてください。
日本看護協会に入会する5つのメリット
前提として、日本看護協会への入会は強制ではありません。実際に、日本看護協会によると、看護師の入会率は53.9%(2021年度で76万6,599人)です。ここからは、入会することのメリットを解説します。
- 日本看護協会が運営する賠償保険に加入できる
- 認定看護師・専門看護師などの資格取得に必須である
- 教育研修やeラーニングが充実している
- 最新の看護動向や制度改正の情報が手に入る
- キャリアやメンタルヘルスの相談を受けられる
これらのメリットは、看護師としてのキャリアを築くうえでの支えとなります。入会すると、看護の質の向上だけでなく、安心して働くためのサポートも得られるのです。
日本看護協会が運営する賠償保険に加入できる
日本看護協会に入会すると、看護職賠償責任保険に加入できます(掛金は年間2,650円)。
この保険に加入すると、看護師が業務をおこなう際、患者さまに損害を与えてしまった場合に備えられます。たとえば、次のような事例で、保険金が支払われる可能性があります。
- 医療機器の操作ミスでケガを負わせてしまった
- 薬剤の投与ミスで健康被害が生じた
- 患者さまの私物を壊してしまった
予期せぬ事故が起きたときの経済的な負担を軽減できるため、安心して業務に専念できるでしょう。
認定看護師・専門看護師などの資格取得に必須である
認定看護師や専門看護師などの資格取得を目指す場合、日本看護協会の認定審査に合格する必要があるため、入会は必須となります。
たとえば、専門看護分野の大学院修士課程を修了後、認定審査を受けるためには、日本看護協会の会員であることが条件の1つになっています。日本看護協会に入会することは、キャリアアップには欠かせません。
関連記事:専門看護師になるには?資格取得までの流れや必要な臨床経験、認定看護師との違いも解説
教育研修やeラーニングが充実している
日本看護協会は、看護師の継続的な学習を支援するために、教育研修やeラーニングを提供しています。
感染管理や医療安全、特定の疾患についての専門知識など、さまざまなテーマの研修を自分の都合に合わせて受講できます。また、日本看護学会学術集会での発表や、研究者として活動するためには日本看護協会の会員であることが必須条件です。
ほかにも、約5万冊を所蔵している図書館も利用でき、キャリアの段階や関心分野に合わせて学べる環境が整っているため成長し続けられます。
最新の看護動向や制度改正の情報が手に入る
日本看護協会の活動には、看護師の労働環境や待遇の改善、医療政策への提言なども含まれているため、日本看護協会に入会すると、これらの情報をいち早く手に入れられます。
たとえば、看護師に関係する法律が改正された場合や、新たな医療制度が導入される際にも、会員向けの会報「協会ニュース」やメールマガジンなどでわかりやすく情報が提供されます。
最新の情報を把握することで、自分の業務や働き方、キャリアプランに活かせるでしょう。
キャリアやメンタルヘルスの相談を受けられる
日本看護協会は、看護師の専門的な悩みに対し、キャリアやメンタルヘルスについての相談窓口を設けています。
たとえば「今のキャリアパスで良いかわからない」といったキャリアについての相談から「働き方がきつくて元気がない」といったメンタルヘルスについての相談まで、専門家が対応してくれます。
このように、悩みを抱え込まずに相談できるため、安心できる働き方につながるでしょう。
日本看護協会に入会するデメリットと注意点
日本看護協会への入会は多くのメリットがある一方で、デメリットや注意点もあります。ここでは、入会する前に知っておきたい4つの注意点を解説します。
- 年会費が高く感じられる
- 活用しなければメリットを感じにくい
- 都道府県ごとに特色や提供内容が異なる
- 会員向けのサービスを利用できない
これらの注意点を理解しておくことで、入会後のギャップを防げます。自分の状況や目的に合わせて、日本看護協会に入会するかどうかを慎重に検討することが大切です。
年会費が高く感じられる
日本看護協会の年会費は、年間で1万円から1万5,000円程度です。日本看護協会の年会費5,000円に加えて、都道府県看護協会の年会費がかかります。
たとえば、2025年時点の例として、東京都の場合は1万5,000円(東京都看護協会年会費・東京都看護協会会館維持管理費・日本看護協会費、各5,000円)、大阪府は1万円(大阪府看護協会費5,000円+日本看護協会費5,000円)です。
費用に見合ったメリットを得られるかどうかは、働き方や価値観によって異なるため、入会前に検討する必要があるでしょう。
活用しなければメリットを感じにくい
日本看護協会に入会しても、提供されるサービスや情報を活用しなければ、メリットを感じにくいでしょう。
入会しただけでスキルアップしたり、キャリアが向上したりするわけではありません。入会後の積極的な活用が重要となるため、自ら積極的に行動することが大切です。
都道府県ごとに特色や提供内容が異なる
日本看護協会は、各都道府県の看護協会と連携してサービスを提供しています。
しかし、研修の開催頻度や種類、相談窓口の体制など提供されるサービスの内容や質は、都道府県によって差がある可能性があります。
このように、入会前に地域の看護協会のサービス内容を確認し、納得したうえで入会を検討してみてください。
会員向けのサービスを利用できない
日本看護協会に入会しなければ、会員向けのサービスを利用できません。
たとえば、生命保険の団体割引やレジャー施設の優待、イベント特典など会員限定のサービスがあります。入会しなければ利用できないサービスがあるため、メリットを受けるためには入会が前提となります。
日本看護協会に実際に入っている看護師の声
ここでは、実際に日本看護協会に加入している看護師の体験談を紹介します。入会を検討する際の参考にしてください。
30代看護師が研修によりキャリアアップできた事例
専門分野でスキルアップを目指していた30代の看護師Aさん。日本看護協会の会員限定研修に積極的に参加したことで、最新の知識とスキルを習得できました。結果、病棟でのリーダー業務を任され、キャリアアップを実現。Aさんは「研修が自分の成長につながり、看護師としての自信を持てた」と話しています。 |
子育て中のパート看護師で働き方相談を受けられた事例
子育てと仕事の両立に悩んでいたパート看護師Bさん。日本看護協会のキャリア相談窓口を利用したところ、子育て中の看護師向けの働き方や、今後のキャリアプランについて専門家からアドバイスを受けられました。Bさんは「1人で悩んでいたことが解消され、自分に合った働き方を見つけられた」と話しています。 |
転職時に看護協会の研修歴が評価された事例
転職を考えていた看護師Cさん。これまでのスキルを活かせる職場を探していました。面接時に、日本看護協会の研修を定期的に受講していることを伝えたところ、学習意欲や向上心を高く評価されました。結果、希望する病院への転職に成功しました。Cさんは「看護協会での学びが自分の市場価値を高めてくれたと感じています」と話しています。 |
日本看護協会に入会して制度を活かせる人・活かせない人の違い
ここでは、日本看護協会の制度を活かせる人と活かせない人の違いを解説します。自分のキャリアプランや価値観と照らし合わせてみてください。
- キャリアアップや認定資格を目指す人
- 医療制度や看護政策に関心がある人
- キャリアの悩みを専門家に相談したい人
これらの項目に当てはまる人は、日本看護協会に入会することでメリットを得られる可能性があります。入会費用を上回る恩恵を受けられるでしょう。
キャリアアップや認定資格を目指す人
日本看護協会は、キャリアアップを目指す人にとってメリットがあります。
認定看護師や専門看護師などの資格取得には、日本看護協会への入会が必須であるため、キャリアプランがはっきりしている人は、入会後にも制度を活かせるでしょう。
対して、現在の業務内容に満足している場合は、日本看護協会の研修や制度を活用する機会が少ないかもしれません。
関連記事:認定看護師になるには?条件や取得までの流れ、資格取得によるメリットも解説
医療制度や看護政策に関心がある人
日本看護協会は、医療制度や看護政策に関心がある人にも適しています。
日本看護協会がこれらの分野で提言活動をおこなっており、会報やホームページを通じて、政策動向や看護の未来についての議論に触れられるためです。一方で、独自で最新の情報を収集できる人は、日本看護協会の情報提供サービスに魅力を感じないかもしれません。
キャリアの悩みを専門家に相談したい人
日本看護協会では、専門家が個別の状況に合わせてアドバイスしてくれるため、キャリアに悩んでいる人におすすめです。
しかし、自分のキャリアが明確で、相談窓口を活用する予定がない場合は、費用に見合ったメリットを感じられない可能性があります。
日本看護協会についてのよくある質問
ここでは、日本看護協会についてよく寄せられる質問にお答えします。
Q1:日本看護協会に入会するためにはどうすれば良いですか?
勤務先に施設代表者がいる場合は、施設代表者に入会方法を確認してから「入会申込書」を提出すると入会できます。職場の看護師長や人事課のスタッフに尋ねてみると良いでしょう。
施設代表者がいない、もしくは病院や施設に就業していない場合は、都道府県看護協会のホームページから申し込むか、電話で問い合わせることで手続きを進められます。
Q2:都道府県看護協会にだけ入れますか?
都道府県看護協会のみの入会はできません。
日本看護協会と都道府県看護協会は、入会する際は両方に同時に所属することになります。そのため、年会費も両方を合わせた金額を支払うことになります。
Q3:退会したいときにはどうすれば良いですか?
退会を希望する場合、所属している都道府県看護協会に連絡して手続きをおこなう必要があります。手続きの方法は、都道府県によって異なる場合があるため、各協会のホームページで確認してみてください。
Q4:新卒看護師でも入会する意味はありますか?
新卒看護師でも入会する意味は十分にあります。
新卒から入会することで、看護の専門職として早い段階から最新の知識や情報を得られます。また、研修やキャリア相談などを活用することで、今後のキャリアを計画的に築けるでしょう。
日本看護協会の制度をうまく活用して自分らしい働き方を実現しよう
日本看護協会は、看護師のキャリアアップや専門性の向上をサポートする、重要な役割を担っています。
入会には年会費がかかるというデメリットもありますが、賠償責任保険への加入や充実した研修制度などメリットを受けられます。
入会を検討する際には、自分のキャリアプランや働き方と照らし合わせ、日本看護協会の制度をどう活用したいかを考えることが重要です。この記事を参考に、日本看護協会の制度をうまく活用し、自分らしい働き方を実現しましょう。
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<参考サイト・文献>

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