看護補助者とは?看護助手との違いや給与事情、5つの仕事内容を解説

公開日:2025/08/22 更新日:2025/08/22
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医療現場での仕事に興味はあるけれど「資格がないから無理かも…」「看護補助者は看護師や看護助手と何が違うの?」と、一歩踏み出せない方はいらっしゃいませんか。

看護補助者は、無資格や未経験からでも医療現場で活躍できる、やりがいのある仕事です。看護師や患者さまをサポートする大切な役割を担っており、医療チームの一員として活躍できます。

この記事では、看護補助者の仕事内容や給与、看護助手との違いを解説します。看護補助者の仕事が自分に合っているかどうかが明らかになり、医療現場で働くという夢への第一歩を踏み出すきっかけになるはずです。

看護補助者とは?看護チームの一員として補助業務を担う職種のこと

看護補助者は、病院や診療所などの医療機関で、看護師の指示を受けて補助業務をおこなう職種です。資格は不要なため、看護補助者は看護師のような医療行為はおこないません。ここでは、看護補助者の定義や看護助手との違いを紹介します。

看護補助者の定義

看護補助者は、看護チームの一員として、看護師の指示を受けて業務を遂行する職種のことです。

たとえば、患者さまが快適に入院生活を送れるように身の回りのお世話をしたり、療養環境を整えたり、食事や清拭、排せつなどの介助をおこなったりします。患者さまと接する機会が多く、やりがいのある仕事です。

看護補助者と看護助手との違い

看護補助者と看護助手は、名称こそ異なりますが、どちらも看護師をサポートする職種であり、仕事内容や役割に大きな違いはありません。

病院や施設によっては「ナースエイド」「看護アシスタント」「ケアワーカー」などと呼ぶこともあります。求人情報で呼び方が違っても、仕事内容が同じであるケースは多く見られます。

関連記事:看護助手とはどんな仕事?資格の必要性や向いている人の5つの特徴

看護補助者の業務内容

看護補助者のおもな業務内容は、次の5つです。患者さまの日常生活のサポートから、医療機器の準備まで多岐にわたります。

  • 患者さまの日常生活のサポート
  • 検査や診察のつき添いと搬送
  • 医療機器の準備や片づけ
  • 環境整備の実施
  • 診療材料の補充や整理

これらの業務は、看護師が患者さまのケアや処置に専念できるようにサポートする、看護補助者の重要な役割です。患者さまが安心して療養生活を送るためには、看護補助者のきめ細やかなサポートが欠かせません。

患者さまの日常生活のサポート

患者さまの日常生活をサポートすることは、看護補助者の重要な仕事です。

たとえば、食事の準備や配膳・下膳、入浴や排せつの介助など、患者さまの状態に合わせて必要なサポートをすることで、回復を助けることにもつながります。

また、身の回りのお世話を通して、患者さまの小さな変化に気づくことで、その情報を看護師の判断に役立てられるでしょう。

検査や診察のつき添いと搬送

患者さまの検査や診察につき添い、搬送することも大切な仕事です。

車いすやストレッチャーでの移動のお手伝い、診察室への誘導をすることで、患者さまが安心して治療を受けられるようにサポートします。

移動中には「お気分は変わりないですか?」と、患者さまの様子に注意を払い、体調の変化がないかを確認することも安全を守るうえで欠かせない役割です。

医療機器の準備や片づけ

医療機器の準備や片づけは、看護師が処置やケアに集中できるよう支える重要な業務です。

一例として、使用後の医療器具の洗浄や消毒をし、次の処置に備えて準備します。患者さまが退院した後は、酸素吸入器の本体やチューブの交換、輸液ポンプの拭き上げや片づけなども看護補助者の仕事です。

医療器具をいつでも使える状態に保つことで、医療現場の安全性と業務の効率が高まります。

環境整備の実施

患者さまが快適に療養できる環境を整えることは、感染対策のためにも重要です。

たとえば、病室の清掃やベッド周りのゴミの片づけ、シーツ交換をおこないます。ドアノブや手すりなど多くの患者さまが触れる場所のアルコール消毒や、ベッドサイドのテーブルを拭くことも環境整備の一環としておこなわれる業務です。

清潔で安全な環境を保つことが、患者さまの療養のサポートにつながります。

診療材料の補充や整理

診療材料の補充や整理も、円滑な医療提供のために欠かせない業務です。

ガーゼや絆創膏、消毒液などのケア用品や消耗品の整理整頓、補充をおこなうことで、備品が不足することなく、看護師や医師が安心して治療に専念できる環境を整えます。

シリンジポンプが足りなくなった際に、保管庫に取りに行ったり、ほかの病棟から借りてきたりすることもあります。必要な備品を管理することで、チーム医療全体がスムーズに機能するのです。

看護補助者の給与事情

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、看護補助者の給与は次の表のとおりです。

項目平均額
月収23万5,200円
賞与46万3,300円
年収328万5,700円
参考:令和6年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

看護師の平均年収は519万7,000円であるため、約191万円の差です。

ただし、看護補助者の給与は経験年数や働く医療機関によって変わります。経験年数が増えるにつれて給与も上がる傾向にあるため、長く働くほど安定した収入を得られる可能性があります。

看護補助者の1日のスケジュール

ここでは、看護補助者の日勤の基本的なスケジュールを紹介します。

時間業務内容
8:00出勤・夜勤者からの申し送り
8:30環境整備
9:00患者さまのケア、検査室への搬送
11:30昼食準備、食事介助、口腔ケア
12:30休憩
13:30患者さまのケア、検査室への搬送
15:00機材の消毒、物品の補充、点滴カートの補充
16:30夜勤者への申し送り
17:00退勤

上記は一例であり、勤務する病棟や医療機関の方針によって細かなスケジュールは変わります。しかし、患者さまの食事や排せつなどの介助、環境整備、そして看護師のサポート業務が中心となる点は共通しています。

看護補助者として働くメリット

看護補助者として働くことには、いくつかのメリットがあります。

  • 看護師の資格がなくても始められる
  • 医療や介護の現場を経験できる
  • 未経験やブランクがあっても応募しやすい
  • 患者さまの役に立っているとやりがいを感じられる

看護補助者は、無資格や未経験からでも医療現場で貢献できる貴重な存在です。このようなメリットがあるため、医療・介護分野でのキャリアを考えている方にとって、看護補助者は挑戦しやすい職種だといえます。

看護師の資格がなくても始められる

看護補助者は、特別な資格がなくても働くことができます。年齢や学歴を問わない求人も多く、医療業界で働きたいと考えている方にとって始めやすい職種です。

多くの病院では研修制度を設けており、業務に必要な知識やスキルは働きながら身につけられます。未経験でも安心してスタートできる環境が整っているため、医療業界への第一歩としておすすめです。

医療や介護の現場を経験できる

看護補助者として働くことで、看護師や医師の仕事を間近で見られ、医療や介護の現場を経験できます。

具体的には、医療現場の専門用語や感染対策の知識、患者さまへの接し方などを実践的に学べます。将来、看護師や介護士を目指す方にとって、実務経験を積む良い機会になるでしょう。

未経験やブランクがあっても応募しやすい

看護補助者の仕事は需要が高く、雇用が安定している傾向にあります。この背景には、有効求人倍率の高さが関係しています。厚生労働省「職業情報提供サイトjob tag」によると、令和6年度の看護補助者の有効求人倍率は4.12倍と高く、自分の希望に合う求人を見つけやすい状況です。

たとえば、短時間勤務が可能な病院もあり、子育て中の方でも応募しやすいです。また、全国に医療機関があるため、ライフスタイルの変化に合わせて転職しやすいでしょう。

このように多様な働き方ができるため、さまざまなライフスタイルに合わせて働けるメリットがあります。

患者さまの役に立っているとやりがいを感じられる

看護補助者は、身の回りのお世話を通じて、患者さまから感謝されることがやりがいにつながります。

たとえば、食事介助や身の回りの整理を手伝うことで、患者さまから「ありがとう」と感謝の言葉を直接もらえる機会が多くあります。患者さまが元気に退院する姿を見ると、この仕事の魅力を改めて感じられるでしょう。人の役に立っていることを実感できる仕事です。

看護補助者として働くデメリット

看護補助者として働くメリットがある一方で、次のようなデメリットもいくつかあります。

  • 医療行為ができないため業務の幅が限られる
  • 身体的に負担がかかる場面がある
  • 業務の重要性が評価されにくいことがある
  • キャリアアップには学習の時間や費用が必要

こうしたデメリットは、働く前に理解しておくことが大切です。仕事内容や待遇について正確に知っておくことで、働き始めてからのギャップを減らし、長く働き続けられるでしょう。

医療行為ができないため業務の幅が限られる

看護補助者は、医師や看護師の指示のもとで働きますが、注射・点滴・採血などの医療行為はおこなえません。そのため、主な役割は、日常生活の援助や環境整備、物品管理など看護師のサポート業務に限定されます。

一方で看護補助者は、患者さまの身近な存在として、観察力や気配りを活かして貢献できる大切なポジションです。医療現場の第一線での経験を積む場として、大きな意味があります。

身体的に負担がかかる場面がある

看護補助者の仕事は、身体的な負担が大きくなる場合があります。次のように体力を使う仕事が多くなりがちです。

  • 入浴のサポート
  • 体位交換
  • 移動介助
  • おむつ交換

しかし最近では、福祉用具やリフトなどの機器を活用した介助方法が導入されている職場も増えており、スタッフ同士で声を掛け合いながら2人以上で介助するなど、安全に働ける環境づくりも進められています。働きながら正しい介助技術を習得することで、身体への負担を軽減できます。

業務の重要性が評価されにくいことがある

看護師のサポート業務がおもであるため、仕事内容が評価されにくいと思うかもしれません。備品整理や環境整備など目立たない業務が多いことも、つらいと感じる理由の1つとして挙げられます。

ただ、患者さまやスタッフの誰かが、あなたの支えに気づいています。たとえば、清潔な環境の維持は感染予防に直結しますし、物品の整理が適切であることが医療の安全にもつながります。地味に見える仕事こそ、医療チームを支える大切な一歩です。

キャリアアップには学習の時間や費用が必要

看護補助者は無資格で始められる一方、看護師や介護福祉士などの専門職に進むには、新たに資格取得が必要になります。専門学校や通信教育、国家試験の受験など、時間と費用がかかるのは確かです。

ですが、病院や自治体によっては奨学金制度や支援制度を設けている場合もあります。働きながら通学を支援する制度が整っている職場を選ぶことで、キャリアアップのハードルを下げることができます。

看護補助者に向いている人・向いていない人の特徴

ここでは、看護補助者に向いている人と向いていない人、それぞれの特徴を紹介します。これらの特徴から、看護補助者として働くことが自分の性格や適性に合っているかどうかを判断する助けにしてみてください。

向いている人の特徴

看護補助者に向いている人には、次のような特徴があります。

  • コミュニケーション能力が高い人
  • 責任感が強い人
  • 向上心がある人

これらの特徴に当てはまる人は、看護補助者としてやりがいを感じながら働ける可能性があります。患者さまやスタッフと円滑な人間関係を築き、医療現場で重要な役割を果たせるでしょう。

向いていない人の特徴

看護補助者には向いていない可能性がある人の特徴は次のとおりです。

  • 人と話すのが得意ではない人
  • 体力に自信がない人
  • 医療行為に今すぐ携わりたい人

これらの特徴に当てはまる場合でも、看護補助者になれないわけではありません。人とのコミュニケーションは、臨床で多くの患者さまやスタッフと接するうちに自然と慣れていくものです。また、体力に自信がない方も、正しい介助方法を習得することで身体への負担を軽減できるでしょう。

看護補助者についてのよくある質問

ここでは、看護補助者への転職や就職を検討している方からよく寄せられる質問にお答えします。あなたが抱えている疑問や不安を解消するために、ぜひ参考にしてください。

Q1:看護補助者と准看護師の違いは何ですか?

看護補助者と准看護師の違いは、次の表のとおりです。

項目看護補助者准看護師
資格不要(無資格・未経験でも可)必要
業務内容医療行為はおこなえず看護師の補助業務点滴、注射、バイタルサインの測定
(医師や看護師の指示が必要)
勤務先病院、クリニック、介護施設病院、クリニック、訪問看護ステーション、介護施設

看護補助者は資格が不要で働けるため、医療・介護の現場で初めて働く人にも人気のある職種です。

Q2:看護補助者の仕事できついと感じるのは?

看護補助者の仕事では、次のような点できついと感じることがあります。

  • 看護師との人間関係で悩む場面がある
  • 体力を使う場面が多い
  • 雑務が多いと感じることがある

とはいえ、こうした課題を乗り越えることで、得られるやりがいも大きいものです。チームの一員として積極的にコミュニケーションを取ったり、正しい介助方法を習得したりすることで、仕事への自信がついていきます。

看護補助者としての経験は、人を支える力や柔軟な対応力といったスキルの向上にもつながるでしょう。

Q3:看護補助者はどのような職場で働けますか?

看護補助者は、おもに次のような職場で働けます。

  • 病院
  • クリニック
  • 介護施設

とくに、病棟勤務が多い傾向にありますが、外来病棟や小さなクリニックでは、受付業務を兼任することもあります。職場によって求められる役割が異なるため、自分に合った環境を選ぶことが大切です。

看護補助者は未経験から医療現場で活躍できる第一歩!

看護補助者は、資格がなくても医療現場で働くことができ、患者さまの療養生活を支える大切な存在です。

体力を使う仕事や、人間関係で悩むこともあるかもしれませんが、それ以上にやりがいを感じられる仕事です。看護補助者は、未経験からでも医療現場で活躍できる第一歩となるでしょう。

<参考サイト・文献>

看護補助者(看護助手、看護アシスタント、ナースエイド、ケアワーカー等) の確保について|厚生労働省

令和6年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

職業情報提供サイトjob tag|厚生労働省

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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