看護師の当直と夜勤の違いは?夜勤なしで働ける場所も解説

公開日:2025/08/12 更新日:2025/08/12
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病院や介護施設で働く看護師にとって「当直」や「夜勤」は、日常的に耳にするものです。

しかし、当直と夜勤の違いを正しく理解している看護師は少ないかもしれません。看護師の当直と夜勤の違いは、待機が中心か、通常業務が中心かという点にあります。

この記事では「当直」と「夜勤」の定義・業務内容・手当の違いなどを、わかりやすく解説します。当直や夜勤がきついと感じる方に、それぞれの勤務が向いている人の特徴や、日勤中心で働くことのできる場所についても紹介します。看護師として無理なく働ける選択肢を見つけるヒントにしてください。

看護師の当直と夜勤の違いは「待機か業務か」

当直と夜勤の大きな違いは「待機が中心か、業務が中心か」という点です。

当直は、通常の勤務時間以外に、交代制や当番制で待機する働き方です。当直とは異なり、夜勤は、通常業務をおこなう働き方をいいます。両者の違いを、次の5つの点から深掘りします。

  • 届け出
  • 勤務時間
  • 仮眠や休憩時間
  • 業務内容
  • 手当

これらの異なる点が見えると、当直と夜勤の違いをより理解できるでしょう。

届け出

看護師が当直勤務をおこなう場合は、事業所は労働基準監督署長に宿日直許可を申請する必要があるのに対して、夜勤は通常勤務の範囲内とされており、届け出や許可は不要です。このように、当直と夜勤には法的な違いもあります。

勤務時間

当直は、労働基準監督署長から「宿日直勤務」の許可を受けた場合に限り、法定労働時間(週40時間)に含まれません。この許可を受けていない場合は、通常勤務と同様に労働時間として扱われます。       

一方で、夜勤は通常業務と同じ扱いとなるため、法定労働時間に含まれており、決められた勤務時間を超過した分は、時間外労働扱いになるのです。

※法定労働時間とは:労働基準法で定められている「労働時間の最大値」を指す。具体的には、1日に8時間・1週間に40時間を超える勤務を禁止。

仮眠や休憩時間

当直は、待機が主軸のため、睡眠時間を確保しやすいです。このため、事業所内に寝具類や仮眠場所などの設備を設置することがルールの1つです。

夜勤は、仮眠スペースの設置義務がない代わりに、休憩時間が労働基準法で決められています。たとえば、勤務時間が6時間を超えると45分以上、8時間を超えると1時間の休憩を定められています。

業務内容

当直は、定期的な巡回や電話の応対、非常時の対応などの業務が中心です。それ以外は待機時間となり、通常業務はおこなう義務はありません。

それに対して、夜勤は日勤と同じように点滴の管理やバイタルサインの測定、日常生活動作の介助など通常どおりの看護業務をおこないます。看護師1人当たりの受け持ち人数が多くなるため、患者さまの体調変化への迅速な把握や、仕事の優先順位の見極めが重要です。

手当

当直と夜勤では、手当の種類や支給の条件にも違いがあります。

勤務形態手当の種類支給条件
当直宿日直手当同じ作業に従事する労働者の1日平均賃金のうち、3分の1以上を支払う
夜勤夜勤手当22時~翌朝5時に勤務した場合、基本給の25%以上を割増しして支払う

深夜手当と似た言葉に、夜勤手当があります。夜勤手当は、それぞれの事業所ごとに定めるものであり、金額や支払いの有無は、事業所によって違うため注意が必要です。

回数

当直の回数は、原則1週間に1回以下と決められています。夜勤の場合は、3交代制で1か月に8回まで、そのほかのシフト制勤務は、労働時間に即した規定回数を選定できます。ただし、連続して働けるのは、どちらも2回が上限です。

このように、当直と夜勤は別の勤務形態であるため、自分の理想の働き方を考えたうえで、ライフスタイルに合わせて検討することが大切です。

関連記事:看護師の夜勤の働き方とは?勤務体制やメリット・デメリットを解説

看護師の当直と夜勤のスケジュールの違い

ここでは、当直と夜勤の一般的なスケジュールの例を挙げ、その違いについて解説します。

当直の看護師のスケジュール例

実際に、当直の看護師がどのようなスケジュールで動いているのかを一般的な例でご紹介します。

時間業務内容
17:00出勤・申し送り
18:00巡回・以降必要時に軽度かつ短時間の作業
19:00仮眠・待機
21:00巡回
22:00仮眠(職場内の仮眠場所で泊まり込み)
0:00巡回
1:00仮眠・待機
3:00巡回
4:00仮眠
6:00巡回
7:00申し送り準備
9:00日勤へ申し送り・退勤

当直の看護師は、巡回や電話応対、バイタルサイン測定など以外の時間は、仮眠や待機で過ごします。場合によっては、緊急時の対応を求められることはありますが、通常勤務の業務は原則おこないません。

夜勤の看護師のスケジュール例

夜勤の看護師の一般的なスケジュールも見てみましょう。

時間業務内容
16:30出勤・情報収集・申し送り
17:00夕食介助・配薬・排泄介助
18:00記録・ナースコール対応・バイタルサイン測定
19:00点滴管理・巡回
20:00患者さまの就寝準備・環境整備・就寝時薬の配薬
21:00消灯・記録・翌日の検査や入院準備
22:00巡回・ナースコール対応・おむつ交換・体位交換
23:00交代で休憩・仮眠
0:00巡回・ナースコール対応・おむつ交換・体位交換
※緊急入院や急変があれば、都度対応する
2:00巡回・ナースコール対応・おむつ交換・体位交換
3:00ナースコール対応・記録
4:00巡回・ナースコール対応・おむつ交換・体位交換
5:00巡回・起床介助開始
6:00検温・バイタルサイン測定・採血
7:00朝食介助・配薬・排泄介助
8:00記録・環境整備・申し送り準備
9:00日勤へ申し送り・退勤

当直の看護師とは違い、仮眠は2〜3時間で交代しながらとるのが一般的です。通常の業務をおこないながら、急変対応や入院などの緊急事態が発生した際には可能性が高く、臨機応変な判断力が求められます。

具体的な業務内容は、次の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:看護師の夜勤時間はどれくらい?夜勤のスケジュールやメリット・デメリット

看護師の当直と夜勤できついのは「夜勤」

当直と夜勤を比較すると、働き方や業務の内容の違いから、夜勤の方が身体的にも精神的にも負担になりがちです。

ただし、当直でも急に呼び出され、緊急対応を強いられる可能性があるため、ストレスに感じることもあります。

夜勤がきついと感じる人は、訪問看護や健診センターなどの日勤がメインの職場で働くのも良いでしょう。

ただし、日勤中心の職場でも繁忙期や緊急対応による負担は発生する場合があるのでよく調べましょう。

看護師の当直と夜勤それぞれに向いている人

看護師で当直や夜勤が向いている人には、特徴があります。それぞれにどのような特徴があるのか、見てみましょう。

当直に向いている人

当直に向いている人の特徴は、次の4つのタイプにわけられます。

  • 緊急時に冷静な判断ができる人
  • 長時間の待機勤務が苦にならない人
  • 細切れの仮眠でも体調を崩しにくい人
  • 1人での待機に不安を感じにくい人

当直は、通常業務とは異なる負担や緊張感がありますが、自分の特性に合っていれば、無理なく働ける勤務形態といえるでしょう。

夜勤に向いている人

夜勤に向いている人の特徴は、次の4つのタイプにわけられます。

  • 体力・気力がある人
  • 生活リズムの切り替えが得意な人
  • 多重業務や緊急対応が得意な人
  • 高収入をモチベーションにできる人

夜勤は、看護師の身体的・精神的な負担が大きい一方で、仕事内容と収入を両立できる働き方です。もし、苦手と感じる部分があれば、無理せず自分に合った働き方を検討しましょう。

看護師で当直と夜勤がない職場

看護師だからといって、必ず当直や夜勤をおこなわなければならないわけではありません。なかには、当直と夜勤のない職場もあります。

  • 訪問看護ステーション
  • デイサービス
  • 健診センター
  • 一般企業

今回は4つの職場を取り上げて、解説します。

訪問看護ステーション

訪問看護ステーションは、病気や障がいのある利用者が、自宅で安心して生活できるようにサポートする場所です。

訪問看護師は、担当の利用者さまの自宅へ訪問し、体調のチェックや薬の管理、医師の指示のもと、診察の介助や医療的ケアをおこないます。日中の決まった時間に働くため、原則として夜勤はなく、オンコールで対応するのが一般的です。利用者さまやご家族と、じっくりかかわれる職場です。

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デイサービス

デイサービスは、高齢者や障がいのある方に、日中に食事や入浴、リハビリテーションやレクリエーションなどをおこなう施設です。

デイサービスの看護師は、利用者さまの健康チェックや体調不良時の対応、薬の管理などをします。利用者さまをお迎えする朝から、自宅へ戻られる夕方までの勤務が中心です。

基本的には、利用者さまと一緒に過ごす時間が多く、コミュニケーションスキルが高い人ほど、適しているでしょう。

健診センター

健診センターは、健康診断を受けるための専門施設です。

採血や血圧測定、そのほか健康診断にかかわる検査の説明や問診、健康診断を受けた方の健康相談をおこなうのが仕事内容です。

1日にたくさんの方の健康診断をサポートするため、テキパキとした対応が求められます。

一般企業

一般企業でも、看護師資格を活かせます。会社や工場など医務室や健康管理室に勤め、働く人の健康を守るため、次のような業務をおこないます。

  • 従業員の健康相談
  • ケガをした際の応急処置
  • 健康診断のサポート
  • 職場の衛生管理

会社の勤務時間に合わせて働くため、当直や夜勤はほとんどないのが一般的です。

看護師の当直と夜勤の違いについてのよくある質問

看護師の当直や夜勤について、よくある質問にお答えします。

Q1:「オンコール」と「宿直」の違いはなんですか?

オンコールは、当直や夜勤とは異なり、勤務時間外に自宅や職場の近くで待機し、緊急時の呼び出しがあれば出勤、もしくは電話対応する勤務形態です。

施設から「〇分以内に到着できる」「常に電話に出られる状態にしておく」などの制限が設定されていることが多く、呼び出しがなければ出勤の必要はありません。

Q2:看護師で当直のパートやアルバイトの仕事はありますか?

医療機関や福祉施設などで、当直のパートやアルバイト求人募集が出ることはあります。理由としては、慢性的な看護師不足が挙げられます。

実際に、厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」では、2022年度の有効求人倍率は、全職種が1.19倍であるのに対して、看護師および准看護師は2.20倍です。このことから、看護師の確保がいかに難しいかがわかります。

当直バイトのメリットは、体力的な負担が夜勤よりも軽い傾向にあり、日中の仕事と掛け持ちしやすい点です。ただし、夜間の急変や緊急対応が必要なため、未経験よりは臨床経験があった方が採用の確率は高まるでしょう。

また、日中の仕事とのシフト調整が難しかったり、夜勤バイトに比べて給料が低かったりなどのデメリットもあります。

看護師の当直と夜勤の違いを押さえて自分に合った求人を見つけよう!

当直は、通常業務をおこなわず待機が必要である一方、夜勤は、通常業務をおこなう勤務のことをいいます。

看護師の当直と夜勤、どちらが向いているかは人それぞれで異なります。当直は待機中心ですが、患者さまの病状が悪化した際には冷静な判断が必要です。夜勤では、少ない人数で病棟や施設全体の患者さまをケアする必要があり、体力や判断力が欠かせません。

夜勤や当直がつらければ、訪問看護など夜勤がない職場に就職することも考えましょう。自分に合った働き方を選ぶのが、看護師として長く働いていくためのポイントです。

<参考文献・サイト>

医師、看護師等の宿日直許可基準について|厚生労働省

断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について|厚生労働省

労働基準法|厚生労働省

夜勤・交代制勤務に関するガイドライン|日本看護協会

看護師等(看護職員)の確保を巡る状況|厚生労働省

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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