優秀なICU看護師に共通する特徴10選!優秀になるための行動と資格

ICU(集中治療室)は、1分1秒が命を左右する緊張感あふれる現場。
バイタルサインのわずかな変化を見逃さず、急変時にも冷静に動ける――そんな“優秀なICU看護師”には共通する力があります。しかし、どうすればそのような存在になれるのでしょうか。
この記事では、優秀なICU看護師に共通する特徴を10個に整理し、成長につながる行動や、取得しておくと役立つ資格をわかりやすく解説します。これからICUを目指す方はもちろん、今よりもっとレベルアップしたい方にも役立つ内容です。理想のICU看護師像を明らかにして、キャリアを一歩前へ進めましょう。
優秀なICU看護師に共通する特徴10選!
ICU看護師として働くなかで、患者さまの命を預かる責任を感じる場面は少なくありません。優れたスキルや人間性を持ち合わせることは、患者さまやご家族にとって大きな支えとなります。ここでは、とくに評価される10の特徴をご紹介します。
- 的確な判断力
- 高いアセスメント能力
- プレッシャーへの強さ
- 急変対応スキルの高さ
- 多職種との連携能力
- 丁寧で正確な記録を書くスキル
- 患者さま・ご家族とのコミュニケーション能力
- 医療知識のアップデート意欲
- 安全管理能力
- セルフケア能力
一つひとつの能力を高めることで、多くの患者さまの回復に貢献できます。日々の業務で、これらの能力を磨き、スキルアップにつなげましょう。
1.的確な判断力
優秀なICU看護師は、緊急時にも冷静に的確な判断ができます。患者さまの容態が急変することが多く、迅速な判断が求められるからです。
一例として、バイタルサインのわずかな変化から異常を察知し、すぐに医師に報告して治療を開始する、といった行動が術後の合併症や状態の悪化を防ぎます。
ベッドサイドで24時間ケアしている看護師だからこそ、いち早く変化に気づき、迅速に対応することが、患者さまの命を救う大切な行動となります。
2.高いアセスメント能力
ICU看護師が患者さまの身体的・精神的な状態や、検査データなどさまざまな情報から適切なケアにつなげるには、アセスメント能力が不可欠です。優秀な看護師は、これらの情報をしっかり読み取り、ケアの優先順位や対応をすぐに判断できます。
たとえば、意識レベルの微細な変化から脳卒中を疑い、すぐに報告や対応につなげる力は、優秀な看護師の証といえるでしょう。この能力は、日々の観察と経験の積み重ねによって磨かれます。
3.プレッシャーへの強さ
優秀なICU看護師は、緊張感のある現場でプレッシャーを感じやすい環境でも落ち着いて業務に取り組めます。
たとえば、緊急入院や複数の患者さまからの同時対応が求められる状況でも、慌てずに優先順位を判断し、一つひとつの業務を正確にこなします。また、リーダーシップを発揮して、周りのスタッフに指示することも可能です。
冷静さを保ち、正確なケアを提供できるのは、プレッシャーに強い証拠です。
4.急変対応スキルの高さ
ICUでは、重症患者さまが入室しているため、ほかの病棟に比べて急変が起こる可能性は高いといえます。このときにすぐに対応できるスキルは、優秀なICU看護師に共通する特徴です。
心肺停止状態の患者さまに対し、胸骨圧迫を開始し適切な薬剤を準備したり、医師に報告したりなど、一連の対応を迅速におこなえます。患者さまの命を守るためには、冷静に処置を進める必要があり、日頃からシミュレーション訓練を積んでおくことが大切です。
5.多職種との連携能力
ICUでは、医師や薬剤師、理学療法士など多くの医療従事者が協力して患者さまの治療にあたります。優秀なICU看護師は、それぞれの専門職とスムーズにコミュニケーションを取ることで良い医療を提供できます。
具体的には、栄養状態の改善のために、医師や管理栄養士と食事内容を相談し計画を立てることで、患者さまの早期回復につなげられるでしょう。
チームの一員として、積極的に意見を出し合い、より良いケアを追求できる姿勢が優秀な看護師といわれる特徴の1つです。
6.丁寧で正確な記録を書くスキル
優秀なICU看護師は、患者さまの様子やおこなったケアの反応を正確に記録できます。
正確な記録は、医療チーム全体が患者さまの状況を正しく理解し、適切な治療を進めるために不可欠です。
患者さまの意識レベルの変化や、皮膚の赤みなども細かく残すことで、ほかのスタッフが患者さまの状態を把握し、治療の方針を決めるのに役立ちます。このように、丁寧な記録が患者さまの安全と最適なケアにつながるのです。
7.患者さま・ご家族とのコミュニケーション能力
優秀なICU看護師は、患者さまやご家族が抱える不安な気持ちに寄り添い、状況をわかりやすく説明することで不安を和らげます。治療内容や今後の見通しを伝えることで、信頼関係も築けるでしょう。
たとえば、意識が回復した患者さまには、現在の状態や治療計画を丁寧に話し、質問に答えることで、不安を軽減し、治療への意欲を引き出します。患者さまやご家族が安心して過ごせるよう、心のケアを大切にするのも優秀なICU看護師の特徴です。
8.医療知識のアップデート意欲
新しい医療知識を学び続け、ケアに積極的に活かす姿勢も優秀なICU看護師に欠かせません。
病院の機能によってICUに入室する患者さまの病状は異なりますが、心臓血管外科や呼吸器外科の手術を受けた方、救急搬送された方など、幅広い診療科目への対応が求められます。
たとえば、新しい人工呼吸器の設定方法や、最新の感染対策ガイドラインについて情報収集をおこない、すぐに現場で実践に落とし込むことが重要です。
学会や研修にも積極的に参加し、新しい知識を吸収することで、安全で質の高いケアを提供できます。
9.安全管理能力
優秀なICU看護師は、患者さまの安全を優先し、リスク管理をおこなえます。ICUでは、一般病棟では使わないような医療機器で処置をおこなうため、わずかな見落としが重大な事故につながるからです。
実際に、日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ではICUでのインシデントが多数報告されています。点滴ルートのダブルチェックを徹底したり、医療機器の作動状況を常にチェックしたりすることで、これらの医療事故を防げる可能性があります。
安全に高い意識を持ち、確認を怠らない姿勢こそが、優秀なICU看護師には不可欠です。
10.セルフケア能力
優秀なICU看護師は、健康を保つために自分自身をケアできます。
というのも、ICUは命を預かる緊張感の高い環境で、ほかの病棟と比べて夜勤の回数が多くなりがちであり、心身に大きな負担がかかりやすいからです。健康でなければ、患者さまへ質の高いケアを提供できません。
実際に、休日にはカフェやマッサージに通うなど趣味の時間を設けたり、定期的に運動をしたりすることでストレスを解消し、疲れを溜めないように努めている方もいます。
心身のバランスを保つことが、優秀なICU看護師として長く活躍するためには重要です。
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優秀なICU看護師になるための行動
優秀なICU看護師になるためには、日々の業務で意識的に行動を変えていくことが大切です。ここでは、具体的にどのような行動が成長につながるのかを紹介します。
- 日々の振り返りと自己学習
- インシデントレポートの活用
- 急変対応のシミュレーション訓練
- 研修や学習会への参加
- 新人教育への関与
- チーム内のコミュニケーションの強化
これらに積極的に取り組むことで、自信を持って患者さまに向き合えるようになり、質の高いケアを提供できるようになるでしょう。
日々の振り返りと自己学習
患者さまのケアが終わった後に「なぜ、あのような対応をしたのか」「もっと良い方法があったのではないか」と振り返る習慣をつけましょう。振り返ることで、自分のケアを見つめ直し、課題を見つけられます。
また、疑問に思ったことをすぐに調べたり、先輩の看護師の意見を聞いたりすることも大切です。自己学習を続けることで、知識とスキルを向上させられるでしょう。
インシデントレポートの活用
インシデントレポートは、失敗事例を共有し、再発防止に役立てるための貴重な情報源です。
自分のインシデントだけでなく、ほかの看護師のレポートにも目を通しましょう。他者の事例から学ぶことで、同様のミスを防げます。
レポートを報告書として終わらせず、学びとして積極的に活用してみてください。
急変対応のシミュレーション訓練
急変対応は、ICU看護師にとって重要なスキルのひとつです。定期的に急変対応のシミュレーション訓練に参加しましょう。
自分の弱点を見つけ出し改善することで、いざというときに落ち着いて対応できるようになります。
研修や学習会への参加
最新の医療知識や看護技術を学ぶためには、院内外の研修や学習会への参加が欠かせません。
新しい知識や技術を習得することで、ケアの幅が広がり、質の高いケアを提供できるようになります。具体例として、次の学会主催の研修がおすすめです。
- 日本集中治療医学会
- 日本クリティカル学会
- 日本救急看護学会
これらの研修では、心電図の判読や人工呼吸器の管理、最新のガイドラインなどを学べます。疑問があれば積極的に質問し、ディスカッションに参加することでケアに活かせるようになるでしょう。
新人教育への関与
これまでの経験やスキルを新人看護師に伝えることも、自身の成長にもつながるでしょう。新人に教えることは、自分の知識の整理や再確認する機会になります。
新人看護師の疑問に答えたり、アドバイスをしたりして、新たな気づきを得られることもあります。教育をおこなうことで、チームのレベルアップにも貢献できるのです。
チーム内のコミュニケーションの強化
ICUでは、多職種連携が不可欠であり、チーム内の円滑なコミュニケーションは患者さまの安全にも直結します。チームメンバーとの情報共有や意見交換をしっかりとおこなうことは、問題の早期発見や解決につながります。
積極的に意見を出し合い、お互いを尊重し合うことで、より良いチーム医療を実現できるでしょう。
優秀なICU看護師になるために必要な資格
ICU看護師として専門性を高めるためには、関連する資格を取得することも有効です。ここでは、おすすめの資格を紹介します。
- ACLSプロバイダー
- 呼吸療法認定士
- 心電図検定(日本不整脈心電学会主催)
- クリティカルケア認定看護師
- 急性・重症患者看護専門看護師
- 特定行為研修修了者
これらの資格は、ICUでの実践の専門知識や技術を深め、キャリアアップにも役立つでしょう。
ACLSプロバイダー
ACLS(二次救命処置)プロバイダーは、心停止やそのほかの救急事態における高度な救命処置の知識とスキルを証明する資格です。
ICUでは、急変対応が発生しがちであるため、ACLSの知識は不可欠です。講習を受講し、試験に合格することで資格を取得できます。
呼吸療法認定士
呼吸療法認定士は、呼吸器系の疾患がある患者さまに対する専門的な知識と技術を持つことを証明する資格です。
ICUでは、人工呼吸器を装着した患者さまが多く、呼吸管理をおこなう際に役立ちます。
心電図検定
心電図検定は、心電図の判読能力を評価する検定です。
ICUでは、不整脈の早期発見や心臓疾患の管理において心電図の正確な判読が求められるため、この資格は有用です。1級~4級とレベルに応じて難易度がわかれています。
クリティカルケア認定看護師
クリティカルケア認定看護師は、重症患者さまに対する高度な看護実践能力と、看護師への指導、コンサルテーション能力があることを認定する資格です。
ICUの看護において、専門的な知識と実践力を発揮したいと考える方におすすめです。約6か月間の研修を修了し、認定審査に合格する必要があります。
急性・重症患者看護専門看護師
急性・重症患者看護専門看護師は、複雑な病態の急性期・重症患者さまに対して、高い水準のケアを提供する能力があることを認定する資格です。
クリティカルケア認定看護師と同様に、より高度な専門性を追求したい場合に取得を検討しましょう。約2年間の大学院での教育を受け、認定審査に合格する必要があります。
特定行為研修修了者
特定行為研修修了者は、医師の判断を待たずに、特定の医療行為を実施できる看護師です。ICUにおいて、患者さまの状態に応じた迅速な対応が求められる場面で強みとなります。
研修を修了して何かの資格を得られるわけではありませんが、指定機関で研修を修了すると、手順書に沿って特定行為を実施できるようになります。
ICU看護師についてのよくある質問
ICU看護師として働くうえで、よく寄せられる質問に回答します。
Q1:ICU看護師に向いている人にはどのような特徴がありますか?
ICU看護師に向いている人には、次のような特徴があります。
- 論理的思考力がある人
- 冷静な判断ができる人
- 変化の速い環境に適応できる人
- 新しい知識を積極的に学べる人
向上心を持ち、責任感を持って仕事に取り組める人が、ICU看護師として活躍できるでしょう。
ただし、これらの特徴に当てはまらないと感じる方も、活躍できる場は多岐にわたるため、心配する必要はありません。たとえば、訪問看護では、医療ニーズが高い利用者さまへのケアが求められます。ICUとは異なる環境ですが、利用者さまに寄り添うケアにやりがいを感じられるでしょう。
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関連記事:ICU看護師とは?向いている人の特徴や仕事内容・平均年収を解説
Q2:ICUで働く看護師のキャリアパスはどんなものがありますか?
ICUで働く看護師のキャリアパスはさまざまです。
経験を積むことで、主任や看護師長といった管理職を目指せます。また、クリティカルケア認定看護師や急性・重症患者看護専門看護師などの資格を取得し、専門家として活躍する道もあります。
臨床現場での経験を活かして、教育者や研究者としての道を進むこともできるでしょう。
優秀なICU看護師を目指す第一歩は学びと経験の積み重ね!
優秀なICU看護師になるには、日々の学びと経験の積み重ねが不可欠です。
患者さまの命と向き合うICU看護師として、向上心を持ち、学び続ける姿勢が、自身の成長や患者さまの回復へとつながります。一歩ずつ着実に、目標に向かって進んでいきましょう。
<参考サイト・文献>

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