看護師の常勤とは?非常勤との違いや常勤で働く5つのメリットを解説

公開日:2025/08/06 更新日:2025/08/06
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「安定した収入が欲しいけど、プライベートの時間も大切にしたい」「今の働き方のままでは将来のキャリアが不安」

このような悩みのある看護師にとって、常勤での働き方は仕事とプライベートの両方を充実させるための有効な選択肢の1つです。

常勤は夜勤や残業が多くて大変なイメージを持たれがちですが、日勤のみや残業が少ない職場など、その働き方は多岐にわたります。そのため、自分の希望に合った職場を選ぶことで、無理なく働き続けられるでしょう。

この記事では、常勤と非常勤の違いや常勤のメリットとデメリットなどを詳しく解説します。最適な働き方を見つけるため、ぜひ最後まで読んでみてください。

看護師の常勤とは

看護師の常勤とは、勤務先に正規雇用されている働き方で、就業規則にもとづき、一定の時間は継続して働く勤務形態です。ここでは、次の3つのポイントに沿って解説します。

  • 勤務時間
  • 種類
  • 給与

常勤の看護師の働き方を理解することは、自分のライフスタイルやキャリアプランに合った職場を見つけるために重要です。それぞれを詳しく見ていきましょう。

勤務時間

日本看護協会「2024年病院看護実態調査」によると、就業規則の所定労働時間は週40時間と定めている職場が最も多く(全体の34.5%)、実際の平均労働時間は38.7時間となっています。

しかし、2交代制の夜勤がある職場では1回の勤務が16~17時間と長くなることもある一方で、病院の外来やクリニックなど日勤だけの職場もあります。

自分に合った職場を見つけるためには、夜勤の有無や1回の勤務時間などをしっかり確認することが大切です。

種類

看護師の働き方は多様です。日勤だけの職場もありますが、入院患者さまや利用者さまのいる施設では、夜勤が欠かせません。また、救急外来や手術室など緊急性の高い部署では、当直制を導入しているところもあります。

また、正規雇用の看護職員を対象にした調査では、次のように多様な働き方を導入しています。

働き方割合
短時間勤務正職員(育児・介護休業法に定める場合を除く)31.9%
職務限定正職員7.4%
勤務地限定正職員2.0%
いずれも導入していない62.0%
参考:2024年病院看護実態調査報告書 | 日本看護協会(無回答1.5%)

導入している割合はまだ少ないものの、働き方の選択肢が少しずつ広がってきています。日勤と夜勤の交代制だけでなく、さまざまな働き方から希望する勤務形態を選べるようになってきているといえるでしょう。

給与

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は519万7,000円です。

ただし、各種手当や給与の制度は職場によって違いがあるため、転職を検討している方は基本給だけでなく、手当の種類や退職金制度なども確認する必要があります。

関連記事:看護師のパートの年収は約190万円!高時給で働く5つのコツを解説

看護師の常勤と非常勤の違い

常勤と非常勤では勤務時間や雇用形態などが異なります。4つの違いを一覧表にまとめたため、参考にしてみてください。

項目常勤非常勤
勤務時間1日8時間、週40時間が一般的週40時間未満(例:週3日、午前のみ)
給与体系月給制
(賞与・昇給・退職金制度あり)
時給制・日給制
(賞与・退職金なしが多い)
福利厚生社会保険の加入に加えて住宅手当や家族手当などもあり常勤に比べて制限されることがある

非常勤の看護師には、はっきりとした定義はありませんが、週5日・1日8時間未満の短時間勤務で働く看護師のことを指すのが一般的です。時間や福利厚生に違いがあるものの、常勤と非常勤では仕事内容は大きく変わらないことが多いようです。

また、常勤と非常勤にはそれぞれメリットがあるため、ライフステージやキャリアプランに合わせて働き方を選びましょう。

看護師が常勤で働くメリット

看護師が常勤で働くメリットは、おもに次の5つです。

  • 安定した収入が得られる
  • 福利厚生が充実している
  • キャリアアップのチャンスが広がる
  • 勤務スケジュールが比較的安定する

それぞれについて説明するため、チェックしておきましょう。

安定した収入が得られる

看護師が常勤で働くメリットの1つは、収入の安定です。月給制が基本であるため、働いた時間に左右されにくく、毎月ほぼ決まった金額が支給されます。家賃やローンの支払などの見通しが立ち、生活設計しやすいでしょう。

また、多くの職場では、基本給に加えて、賞与や毎年の昇給が期待できるため、長期的な視点で資金計画を考えられることも魅力です。

福利厚生が充実している

看護師の常勤は、健康保険や厚生年金などの社会保険に加入できるだけでなく、病院独自の福利厚生も利用できます。具体的な福利厚生の例は次のとおりです。

  • 結婚・出産・弔事への給付
  • 住居手当
  • 家事代行サービスやフィットネスジムの利用料補助
  • 図書館や保養施設の利用
  • 社員食堂の利用料補助
  • 院内保育所の設置

福利厚生の内容は各施設で異なり、うまく活用すると生活の質が向上します。転職する際には、給与だけではなく福利厚生の内容もチェックしてみてください。

キャリアアップのチャンスが広がる

常勤の看護師は、非常勤の看護師と比べて、責任ある業務を任される機会が多くなり、経験や専門知識を積み重ねることでキャリアアップのチャンスが広がります。

教育支援が充実している施設では、職場内の教育や定期的な事例検討がおこなわれるだけではなく、病院内外の研修や勉強会に参加できる場合もあります。さらに、費用補助の制度がある施設もあり、キャリアアップを後押ししてくれる環境が整っているといえるでしょう。

チームの一員として主体的にかかわれる

常勤の看護師は、日々のケアに加えてカンファレンスや委員会活動などにも参加し、職場運営に主体的にかかわります。

看護計画への意見や業務改善への提案などで自分の意見が反映される機会も多く、やりがいを感じやすい環境です。指示された業務をこなすだけでなく、自ら考え、より良いケアを追求できる点が常勤の良さです。

勤務スケジュールが比較的安定する

施設の就業規則にもとづきシフトが作成されるため、常勤の看護師の勤務スケジュールは比較的安定しやすいというメリットがあります。

とくに、日勤のみの常勤では勤務時間帯が固定されるため、生活リズムを整えやすく仕事とプライベートの両立もできるでしょう。

看護師が常勤で働くデメリット

看護師が常勤で働くメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。

  • 業務負担や責任が重い
  • 急な休みがとりにくい
  • 人間関係のストレスを抱えやすい

メリットとデメリットの両方を理解し、無理なく続けられる働き方を選びましょう。

業務負担や責任が重い

常勤の看護師は、日々の業務に加えて委員会活動や後輩指導などもおこなうため、責任が重くなり精神的なストレスを感じる場合があります。

厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」によると、20代看護師の退職理由には「精神的な理由」が上位に挙がっています。そのため、とくに若手の看護師に対して、心身のケアをしながら働き続けることが重要です。

もし負担が大きいと感じたら、1人で抱え込まず上司に相談して業務調整を依頼したり、リフレッシュする時間を作ったりしましょう。

急な休みがとりにくい

常勤の看護師はシフト制で働くため、子どもの体調不良や家族の介護などで急な休みが取りにくい傾向があります。

育児・介護休業法や労働基準法により家族の看護についての休暇は認められていますが、職場の人手不足や雰囲気によっては申請しづらく、精神的な負担が大きくなることもあります。

そのため、転職を考える際は、応募先には子育て中や介護中のスタッフが多いか、お互いに助け合える雰囲気があるかなどを確認することが大切です。また、日勤の常勤や時短の正社員など、柔軟な勤務形態を採用しているかどうかもチェックすると良いでしょう。

人間関係のストレスを抱えやすい

長期間同じ職場で働くため、人間関係によるストレスを抱えやすい傾向があります。多職種との連携が求められる現場ではかかわる人も多くなり、意見の対立や相性の問題が生じやすくなります。

そのため、精神的につらくなってきた場合は信頼できる同僚や上司に相談したり、働き方や職場の変更を検討したりしましょう。

関連記事:看護師の時短勤務とは?メリットデメリットや注意点などを解説

看護師で常勤に向いている人・向いていない人

常勤という働き方がすべての看護師にとって最適な選択とは限りません。価値観やライフプランに合わせて働き方を選ぶことが重要です。ここでは、常勤に向いている人と向いていない人の特徴をそれぞれ解説するためチェックしてみてください。

向いている人の特徴

看護師の常勤という働き方は、安定した収入や充実した福利厚生を重視し、長期的な視点でキャリアを築きたい方に適しています。具体的には次の特徴に当てはまる方が向いています。

  • 安定した働き方を求めている人
  • 責任ある業務にやりがいを感じる人
  • 不規則な勤務に対応できる人

安定志向の人や責任感、柔軟な対応力を兼ね備えた人は、常勤の看護師として活躍できるでしょう。

向いていない人の特徴

一方で、看護師で常勤の働き方が負担になる人もいます。具体的には、次の方は常勤に向いていない可能性があります。

  • 柔軟な働き方を優先したい人
  • 業務外の負担をできるだけ避けたい人
  • 職場の人間関係にストレスを感じやすい人

パートやアルバイトなど、ご自身の価値観やライフスタイルに合わせた働き方の検討が大切です。

看護師の常勤の求人を探すポイント

ここでは、看護師の常勤の求人を探すときのポイントを項目別に紹介します。

  • 【給与】年収だけでなく手当や昇給も総合的に判断する
  • 【勤務形態】ライフスタイルに合う勤務形態を優先する
  • 【職場環境】求人票にない「職場のリアル」を見極める

これらのポイントを踏まえることで、看護師としての長期的なキャリアプランをしっかりと見据えられるため、最適な職場を見つけられるでしょう。

【給与】年収だけでなく手当や昇給も総合的に判断する

基本給だけでなく、手当や賞与を含めた実質的な年収の確認が重要です。基本給が高く見えても手当や賞与が少なければ、年収が低くなる可能性があるからです。給与を比較する際は、次の項目を参考にしてチェックしてみましょう。

  • 賞与:年間の支給実績
  • 各種手当:夜勤や残業、資格手当などの種類と金額
  • 昇給・退職金:将来的な昇給のモデルや退職金制度の有無

給与についての情報が求人票に記載されていない場合は、面接や応募前の問い合わせで確認しましょう。

【勤務形態】ライフスタイルに合う勤務形態を優先する

収入も大切ですが、自分のライフスタイルに合った職場であるかどうかという視点は、無理なく働き続けるためには欠かせません。

常勤というと、夜勤ありのフルタイム勤務を想像しがちですが、日勤のみの常勤や残業の少ない職場、短時間正社員などといった柔軟な働き方も増えています。求人を探す際には、これらのポイントについても考えてみると良いでしょう。

  • 勤務形態:日勤のみか夜勤ありか、短時間正社員のような柔軟な働き方が可能か
  • 休日:年間休日数や休日の曜日、連休の取りやすさはどうか
  • 時間外労働:月平均の残業時間、オンコールの有無と頻度はどうか

看護師として楽しく働き続けるために、自分の生活や家族の状況に合う働き方を選ぶことが重要です。

【職場環境】求人票にない「職場のリアル」を見極める

職場の雰囲気や人間関係は働きやすさにつながります。そのため、求人情報のページだけではわからない職場のリアルな雰囲気や環境をしっかり確認することが不可欠です。

次の方法で情報を集めて、自分に合う環境かどうかを見極めましょう。

  • 病院の理念を確認:自分の看護観と合っているか公式ホームページで確認
  • 口コミサイトや転職エージェントを活用:離職率やスタッフの年齢構成などの内部のリアルな情報を確認
  • 病院見学への参加:スタッフの表情や職場の空気感、設備などを自分の目で確認

職場のさまざまな情報を集めて、気持ち良く働けるかどうかを冷静に判断しましょう。

看護師の常勤についてのよくある質問

常勤で働くことを考えている看護師からよくある質問にお答えします。

Q1.常勤で働きながら子育てと両立できますか?

常勤の看護師も、仕事と子育てを両立できます。

さまざまな法律で、子育てと仕事の両立を支援する制度が定められているからです。また、近年では短時間正職員の制度を導入している病院や、敷地内に院内託児所がある施設など子育て支援が充実した職場が増えています。

こうした環境を選ぶことで、子育てと仕事を両立しやすくなるでしょう。

Q2.夜勤なしの常勤でボーナスは出ますか?

夜勤なしの常勤でも、ボーナスは支給される可能性があります。

クリニックや健診センターのような日勤のみの職場でも、日勤常勤として採用されれば各施設の給与規定に沿った賞与が期待できます。

Q3.夜勤なしの常勤で働ける職場はありますか?

次の職場では、夜勤なしの常勤で働ける可能性があります。

  • 病院の外来
  • 訪問看護ステーション
  • クリニック
  • 健診センター
  • 保育園

ただし、施設によって求められるスキルや責任の重さが異なるため、自分が優先したいことを明らかにして、ライフスタイルや価値観に合った職場を選びましょう。

常勤の看護師で理想の働き方は見つけられる!自分にあった条件や職場を探してみよう

常勤の看護師でも、自分のライフステージやキャリアプランに合わせた働き方を選ぶことで長く働けます。まずはどのような職場があるのか情報収集をおこない、理想の働き方を見つけるための一歩を踏み出してみましょう。

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<参考サイト・文献>

2024年 病院看護実態調査 報告書 | 日本看護協会
令和6年賃金構造基本統計調査|厚生労働省
看護師等(看護職員)の確保を巡る状況 |厚生労働省

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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