看護師が効率よく動く7つのコツ!難しいときの対処法も解説

公開日:2025/08/06 更新日:2025/08/06
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「もっと効率よく動いてといわれたけど、どうしたらいいかわからない」「自分なりに頑張っているのに空回りしている気がする」

看護の現場はタスクが多いため、どの業務を優先すればよいのか迷う方も多いでしょう。

この記事では、現場で実践しやすい効率よく動くためのコツと、効率よく動けないときの対処法を事例つきで解説します。読み終える頃には、仕事に自信が持て、成長につながる行動のヒントが見つかるはずです。

看護師に効率よく動くことが求められる理由

看護師の業務は多岐にわたり、質の高いケアを提供するには「効率よく動く力」が不可欠です。日本看護協会も「新人レベル」から「自分で考えて動ける段階(Ⅰ)」になるには、この能力の習得が必須だとしています。

患者さまの急変や緊急入院など予想外のことが発生した際に、柔軟に対応するためには、効率的な業務遂行が必要です。さらに、厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」によると、看護師と准看護師の有効求人倍率は2.20倍と人手不足が続いているため、業務をスムーズに進めることが求められます。

ただし、成長のスピードには個人差があるため、今の自分にできることを考えて、着実にスキルを積み重ねていくことが大切です。

看護師が効率よく動くための7つのコツ

効率よく動くには「ちょっとした工夫の積み重ね」が大切です。とくに、次の7つを意識しましょう。

  1. 情報収集は「今日すべきこと」を意識しておこなう
  2. 1日の行動計画をワークシートに書き出す
  3. 業務開始前に優先順位を整理しておく
  4. 部屋を回る順番は動線を意識してムダをなくす
  5. 時間短縮を意識した準備を徹底する
  6. 先輩の動きを観察して真似してみる
  7. 自分の動きを振り返りひとつずつ改善する

それぞれを詳しく解説します。

1.情報収集は「今日すべきこと」を意識しておこなう

情報収集をおこなう時間は、単に記録を読むだけでなく「患者さまに何をすべきか」を整理する時間です。

たとえば「Aさまは退院予定であるため朝一で清拭をする」「Bさまは午後に造影CTの検査があるから午前中に輸液の確認をする」など、すべきことを意識すると業務の優先度が見えてくるはずです。

記録を読みながら「どう動くか」を考える意識を持つだけで、動きにムダがなくなり、次の行動へスムーズにつながります。

2.1日の行動計画をワークシートに書き出す

ケアや準備の順番を頭で覚えようとすると、情報を整理しきれず、業務の漏れや抜けが起きやすくなります。ワークシートを行動計画のメモとして使うと、動きやすさが変わります。

<ワークシートの記載例>
8:45 Aさま:清拭の準備
9:00 Bさま:内服の確認、Aさま:清拭の実施
9:50 Cさま:点滴の準備
10:00 Cさまの点滴の投与

このように、処置だけでなく「準備」のタイミングも書くのが効率的に動くコツです。行動に迷いがなくなり、次の予定にも余裕を持って対応できるようになるでしょう。

3.業務開始前に優先順位を整理しておく

情報収集を終えて、業務に向かう前に、患者さまの処置予定や状態から、おおまかな優先順位を組んでおくとスムーズに動き出せます。

たとえば「9時に手術を受けるAさまの準備をして、10時までにBさまを検査室に搬送する。Cさまは状態が落ち着いているから、その後でバイタルサインを測定する」といったように自分のなかで判断の軸を持つだけで動きに余裕が持てるでしょう。

これにより、突発的な業務にも落ち着いて対応できるようになります。

4.部屋を回る順番は動線を意識してムダをなくす

効率よく動くためには、処置の順番だけでなく、移動のルートも重要です。

同じ部屋や近くの部屋で複数のケアや処置があるときは、その都度、ナースステーションに戻るのではなく、一筆書きのように回るとムダが減ります。

たとえば、301〜303号室の患者さまに採血や点滴、バイタルサインの測定をおこなう場合、あらかじめ3人分の物品をまとめて準備し、順番に対応していくと何度もナースステーションに戻る必要はありません。

動き出す前にルートをざっくりイメージするだけでも、時間と体力のロスが減り、効率的に業務を進められるでしょう。

5.時間短縮を意識した準備を徹底する

効率のよい動きは、事前の段取りでほぼ決まります。たとえば、次のように先を見越して動くだけで、慌てる場面が減ります。

  • 午後に退院予定の患者さまの書類や説明資料は、午前中のうちに準備しておく
  • Aさまの更衣介助は手術室迎えの30分前には完了できるように訪室する

前倒しで準備が進んでいると、バタバタと病棟を動き回らなくて済むようになるため、患者さまへの安心感にもつながります。

6.先輩の動きを観察して真似してみる

効率よく動けている先輩には「自分なりの工夫」があるはずです。

たとえば、採血の順番をどう決めているか、清拭や記録のタイミングをどう考えているかなど、先輩の動きを観察して気づいたことは真似してみてください。「点滴の準備は、どのタイミングでしていますか?」と質問してみるのもおすすめです。

まずはうまくいっている先輩のやり方を真似るところから始めてみましょう。

7.自分の動きを振り返りひとつずつ改善する

忙しい日々のなかでも「自分の動きはどうだったかな?」と振り返る習慣が大切です。

たとえば「何度も倉庫に物品を取りに行ってしまった」と、反省点をメモしておくと次回に活かしやすくなります。また、信頼できる先輩や同僚に「私の業務の進め方で、どこか改善した方がいいところはありますか?」と聞いてみるのもよいでしょう。

自分では気づきにくいムダな動きについて、客観的なアドバイスをもらえることがあります。

看護師が効率よく動けると得られるメリット

動きにムダがなくなると、仕事の質が上がるだけでなく自分の心にも余裕が生まれます。ここでは、効率よく動けるようになると得られるメリットを解説します。

  • 業務に追われず心に余裕が生まれる
  • チームからの信頼が高まる
  • 自分の成長を実感できる

これらのメリットは、看護師としてのキャリアを長く続けるために重要です。業務の効率化は、看護師としての充実感や、より良いケアの提供につながるでしょう。

業務に追われず心に余裕が生まれる

効率よく動けるようになると、1日の流れがつかみやすくなり「常に何かに追われている」感覚が減っていきます。余裕を持って処置や記録に取り組めるようになると、患者さまへのケアも丁寧になるでしょう。

慌ただしいなかでも「今やるべきことがわかっている」「先回りできている」と感じられると、不安や焦りも軽減され、看護師の仕事そのものを楽しめるようになります。

チームからの信頼が高まる

テキパキ動けるようになると「○○さんが一緒だと安心」と思われる機会が増えます。

自分の業務をこなすだけでなく、周りの動きにも目を配れるようになるため、周囲をフォローでき、チームとしての連携もスムーズになるはずです。

効率のよい動きは「チームにとって頼れる存在になる第一歩」でもあるのです。

自分の成長を実感できる

効率よく動けるようになると「今日の動きはよかったかも」と自分で思える場面が増えていきます。

たとえば、優先順位をつけて動けた、先輩に指示される前に準備できたといった達成感の積み重ねが、成長の実感につながります。

できることが少しずつ増えていくと、仕事に自信が持てるようになり前向きに取り組めるきっかけになるでしょう。

看護師が効率よく動くのが難しいなら転職も選択肢

自分の行動を変えようと意識しても「今の職場ではどうしてもうまくいかない」と感じることもあるでしょう。そのようなときは、次の職場に転職するのも1つの手段です。

  • 訪問看護ステーション
  • 健診センター・クリニック
  • デイサービス・介護施設
  • 一般企業

詳しく見ていきましょう。

訪問看護ステーション|1対1でゆとりを持って対応できる

訪問看護ステーションでは、病棟のように複数の業務を同時進行でこなす必要がなく、自分のペースでケアの準備ができたり、ゆとりを持って利用者さまに対応できたりします。

また、訪問前に準備や情報収集を済ませてから出発できるため、段取りを整えやすいのも特徴です。「患者さまとじっくり向き合いたい」と感じている看護師にとって、訪問看護は働きやすい環境といえます。

健診センター・クリニック|決まった流れで動ける

健診センターやクリニックは、業務の流れがある程度パターン化されており、イレギュラーな業務が少ないのが特徴です。

急な対応に追われる場面も限られているため、効率よく動くことに苦手意識がある、まずは決まった業務で自信をつけたいといった看護師に向いています。落ち着いたペースで業務に取り組めるため、心身の負担も少なくなるでしょう。

デイサービス・介護施設|落ち着いた環境で働ける

デイサービスや介護施設では、医療処置よりも健康管理や日常生活のサポートが中心です。バイタルサインの測定や服薬確認などの業務も、比較的ゆとりのあるなかで対応できます。

「慌ただしい環境が苦手」「一人ひとりと丁寧にかかわりたい」といった、利用者さまとじっくり向き合いたい看護師に向いています。

一般企業|急変対応が少なく自分のペースが保てる

企業内で働く看護師(企業看護師)は、社員の健康管理や保健指導がおもな仕事です。

病棟のような急変対応はほとんどなく、記録や計画、予防的なサポートが中心となるため、時間の使い方を自分で調整しやすいのが特徴です。

臨床での経験やスキルを活かしながら、自分のペースで働ける環境を求める看護師に合っています。

看護師が効率よく動くことについてのよくある質問

看護師が効率よく動くときに抱きやすい疑問にお答えします。「自分は看護師に向いていないかもしれない」「どうすれば改善できるの?」と感じたときの悩みを解決するヒントになる内容をまとめました。

Q1:仕事が遅いと注意されたらどう受け止めればよいでしょうか?

上司や先輩看護師から注意を受けると落ち込んでしまいがちですが「もっと成長できる可能性がある」と期待されている証かもしれません。

まずは指摘された内容を振り返り「何に時間がかかっていたのか」「順番や段取りにムダはなかったか」など、冷静に分析してみましょう。1つずつ改善に取り組むことで、自然と動きにムダがなくなり、信頼回復にもつながります。

Q2:時間管理ができないのは看護師に向いていないのでしょうか?

時間管理が苦手でも、それだけで看護師に向いていないとはいえません。

看護師には「段取りが得意」な方もいれば、段取りが苦手でも「患者さまに寄り添うケアが得意」な方もいます。

苦手な部分があっても工夫で補え、自分に合った職場環境に変えることでその強みを発揮できることもあります。向いている、向いていないよりも「どう働くか、どのような環境で働くか」を考えてみましょう。

Q3:効率よく動けていない看護師の特徴はありますか?

看護師に次のような傾向があると、効率が悪い印象を持たれやすくなります。

  • 処置や記録の抜け・漏れが多い
  • 同じ場所を何度も往復する
  • 優先順位がつけられず動きが止まってしまう
  • 報告・連絡・相談が後手に回る

これらは、情報収集や業務の準備不足が原因になっているケースが少なくありません。ワークシートを活用して業務を洗い出す、業務に入る前に優先順位を整理するなど、基本的な工夫から見直せると、改善が期待できます。

看護師が効率よく動くにはコツがある!難しいなら自分に合う場所を探すのもおすすめ

看護師の仕事はやるべきことが多く、効率よく動けないと「仕事が終わらない」「チームに迷惑をかけた」と自信をなくしてしまいがちです。

しかし、効率よく動くにはコツがあります。情報収集の方法や優先順位の整理、動線を意識したルートなど、小さな工夫の積み重ねが「ムダを省く力」につながります。

それでも「どうしても合わない」と感じるときは、職場環境を変えるのも方法です。訪問看護やクリニック、健診センターなど、落ち着いて動ける職場があります。

「効率的に動けるスキルを磨きながら、やりがいのあるケアを実践したい」と考える看護師は「NsPaceCareer」で訪問看護の求人をチェックしてみてください。自分の強みに合った働き方が見つかれば、看護のやりがいや自信を取り戻せるでしょう。

<参考サイト・文献>

看護師のまなびサポートブック|日本看護協会

看護師等(看護職員)の確保を巡る状況|厚生労働省

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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