グループホームで働く看護師とは?3つの仕事内容と給料、求人を探すコツ

公開日:2025/07/29 更新日:2025/07/29
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「夜勤で体調が限界」「毎日慌ただしくて患者さんと話せない」——そんな思いを抱えながらも、看護の仕事を続けたいあなたへ。

グループホームという選択肢があります。認知症の方と生活を共にし、穏やかであたたかいケアができるこの職場は、看護師として“人と向き合う力”を発揮できる場所です。

この記事では、グループホームで働く看護師の仕事内容・給料・求人探しのポイントを徹底解説。新しいキャリアの選択肢として、あなたに合った道を一緒に探しましょう。

グループホームで働く看護師とは?

グループホームは、認知症の方が共同生活を送る施設で、65歳以上で、要支援2または要介護1以上に認定された方が入居できます。認知症対応型共同生活介護施設とも呼ばれます。ここでは、グループホームで働く看護師の役割や給料を紹介します。

グループホームで働く看護師の役割

グループホームの看護師の役割は、入居者さまの健康状態の管理と、安心して生活を送るための医療的なサポートです。

日々の健康観察や服薬管理、そして「生活に密着したケア」を求められるのが特徴です。入居者さま一人ひとりの状態に合わせたケアをおこない、住み慣れた地域での暮らしを支える重要な存在といえます。

グループホームで働く看護師の給料

厚生労働省「令和5年度介護事業経営実態調査結果」によると、グループホームで働く看護師の給料は37万9,779円です。

地域や施設の規模、経験年数などによって変動しますが、病院勤務と比較すると、医療処置が少ない分、給料がやや低い傾向にあるようです。

しかし、夜勤がない施設が多く、規則的な勤務時間で働けるため、ワークライフバランスを重視したい方にとっては魅力的な選択肢となるでしょう。昇給や賞与は施設によって異なるため、求人情報をしっかり確認することが大切です。

グループホームで働く看護師の仕事内容3選

グループホームの看護師は、病院のように医療処置をおこなう機会は少ないですが、その仕事内容は幅広く、多岐にわたります。

  • 健康管理
  • 医療的ケア
  • 日常生活のサポート

重要な3つの仕事内容に焦点を当て、具体的にどのような業務に携わるのかを詳しく紹介します。これまでの経験で得たスキルが、どのように活かせるのかを見ていきましょう。

健康管理

入居者さまのバイタルサインの測定、体調の変化の観察、健康相談などが業務です。

とくに認知症の方は、自身の体調不良をうまく伝えられない場合があるため、看護師の観察力とアセスメント能力が求められます。定期的に健康状態をチェックして、病気を早期に発見し、重症化を防ぐ役割も担います。

医療的ケア

グループホームで医療的ケアをおこなうのは看護師です。具体的には、次のような医療的なケアをおこない、入居者さまを支えています。

  • 服薬介助
  • インスリン注射
  • 経管栄養の管理
  • 褥瘡(じょくそう)処置
  • 痰の吸引
  • 酸素療法の管理

ただし、グループホームでは生活を共同で行う場であり、看護師の設置義務はありません。グループホームが医療連携体制加算を算定する際には看護職員(准看護師を含む)の配置が必要になります。このことから、グループホームで働く看護師には高度な医療技術はあまり必要とされません。事前にどんな医療的ケアが必要とされるかを確認しておくことが大切です。

日常生活のサポート

グループホームの看護師は、入居者さまが自立した生活を送れるようサポートします。

食事や洗濯、掃除といった家事のサポートのほかに、食事介助や排泄介助などを介護士と協力しておこなう場合があります。ただし、これらの業務は介護士がメインとなるため、病院勤務と比べて看護師の身体的な負担は少なめです。

グループホームで働く看護師の1日のスケジュール

ここでは、一般的なグループホームで働く看護師の1日の流れを、具体的な時間軸に沿って紹介します。

時間業務内容
9:00出勤・情報収集(夜勤からの申し送り・入居者さまの体調変化の確認)
9:30バイタルサインの測定・健康チェック・服薬介助・体調不良者の対応
11:00介護士との情報共有・ケアカンファレンスへの参加
12:00昼食準備・食事介助・口腔ケアの介助
12:30休憩
13:30記録業務・訪問医の診察補助・医療処置
15:00バイタルサインの測定・レクリエーションに参加
16:30翌日の準備・清掃・申し送り
18:00退勤

このスケジュールは一例であり、施設や入居者さまの状況によって業務内容は異なります。

グループホームで働く看護師のやりがいとメリット

グループホームは、少人数のアットホームな雰囲気のなか、入居者さまとしっかり向き合える職場です。そのため、看護師としてのやりがいや、働きやすさを感じるポイントがあります。

  • 夜勤がない・日勤のみの施設が多い
  • 少人数の入居者さまにじっくりかかわれる
  • 認知症ケアの専門性を身につけられる
  • 家族のような関係性が築ける
  • 介護士や多職種と協力しやすい職場が多い

病院とは違うスタイルでケアを続けたい方にとって、グループホームは魅力の多い職場です。ここでは、その魅力について詳しく紹介します。

夜勤がない・日勤のみの施設が多い

グループホームでは夜勤がなく、日勤のみの勤務体制が一般的です。そのため、生活リズムを整えやすく、プライベートの時間も確保しやすくなります。

子育て中の方や、ワークライフバランスを大切にしたい方にとっては、大きなメリットといえるでしょう。不規則な勤務による体力的・精神的な負担を減らせるため、家族と過ごす時間や自分の趣味にあてる余裕も生まれます。

少人数の入居者さまにじっくりかかわれる

グループホームは少人数制のため、入居者さまの個性や生活の背景、認知症の症状などを理解しながら、その方に合ったケアをおこなえます。

「その人らしさ」を尊重したケアの計画を立て実行することで、入居者さまの笑顔や安心した表情を見られる場面も多く、やりがいを感じられる仕事です。

認知症ケアの専門性を身につけられる

グループホームは、認知症ケアに特化した施設であるため、認知症の方とのコミュニケーション方法や行動・心理症状への対応など、専門性を高められます。

また、認知症ケア研修に参加する機会も多く、専門看護師や認定看護師を目指す人にもおすすめの職場です。

関連記事:認知症看護認定看護師になるには?役割や条件、学校にかかる費用を解説

家族のような関係性が築ける

少人数での共同生活という特性上、入居者さまやそのご家族との距離が近く、家族のような温かい関係性を築けます。「ありがとう」という感謝の言葉を聞く機会も多く、やりがいを感じやすい環境です。

入居者さまの人生の終盤を支え、穏やかな日々を提供することに喜びを感じられるでしょう。

介護士や多職種と協力しやすい職場が多い

グループホームは、看護師と介護士が密に連携するため、お互いの専門性を尊重し、協力し合う関係が築かれやすい環境です。

また、介護士だけでなく、ケアマネジャーや栄養士など多職種と連携する機会も多く、チームの一員として協力しながら入居者さまの生活を支える実感を得られます。

グループホームで働く看護師のデメリットと注意点

グループホームでの看護師の仕事には、多くのやりがいや魅力がある一方で、病院勤務とは異なる特徴もあるため、事前に理解しておくことが大切です。

  • 医療処置が少なくスキル維持が難しい
  • 看護師が1人配置で相談相手が少ない
  • 介護業務の負担が多いこともある
  • 急変時の対応に不安を感じる人もいる
  • 施設によって業務内容・雰囲気に差がある

グループホームで働くことを前向きに検討するためにも、これらの注意点やデメリットを正しく理解し、自分に合った職場を選ぶことが大切です。

医療処置が少なくスキル維持が難しい

グループホームでは、基本的に医療処置をおこなう場面が少ないため、看護技術の維持が難しいと感じる方もいます。とくに、高度な医療スキルを伸ばしたい看護師にとっては、物足りなさを感じることがあるでしょう。

ブランク後の再就職や将来的に急性期病院へ戻ることを視野に入れている場合は「今の環境でスキルが落ちていないか」と不安になることもあります。定期的に研修に参加したり、自主的に学んだりする姿勢が求められます。

看護師が1人配置で相談相手が少ない

グループホームでは、看護師が1人で勤務する施設も珍しくありません。先述した通り、法律上、看護師の常時配置が義務づけられていないためです。

そのため、もし入居者さまの体調が急変したり、医療的な判断が必要になったりしても、1人で対応しなければならないプレッシャーがあります。

とくに、看護経験が浅い方だと「これで本当に大丈夫?」と不安を感じたり、孤立して精神的にきつくなったりすることもあるでしょう。

介護業務の負担が多いこともある

グループホームでは、施設によって看護師が介護業務を担う割合が高いことがあります。

たとえば、食事や入浴の介助などを介護士と一緒におこなう場面も多く、看護業務と両立させるには体力的な負担を感じることもあるでしょう。

「看護師の仕事だと思って入職したのに、実際は介護が中心だった」と感じる人も少なくありません。こうしたミスマッチを防ぐためには、面接時に業務の内容や比率を確認しておくことが大切です。

急変時の対応に不安を感じる人もいる

グループホームでは日常的な医療行為が少ないため、入居者さまの容体が急変した際に、看護師が判断し迅速に対応する必要があります。そのため、普段から医療処置の機会が少ない環境にいると、いざというときに冷静に対応できるか不安を感じる方もいるでしょう。

こうした不安を軽減するには、急変時対応の研修やシミュレーションが定期的におこなわれているかどうかを、事前に確認しておくことが大切です。

施設によって業務内容・雰囲気に差がある

グループホームによって運営方針や入居者さまの状況、スタッフの雰囲気などが異なります。

求人情報だけではわからない部分も多いため、施設の見学や面接で、自身の希望に合った施設かどうかをしっかり見極めることが大切です。「A施設は夜勤がないのに、B施設はオンコールがある」「アットホームな雰囲気と聞いていたが、実際は人間関係が希薄だった」など、情報収集が必要になります。

グループホームで働く看護師に向いている人・向いていない人

グループホームでのケアは、病院勤務とは異なる特性があるため、看護師としての向き不向きがわかれます。この働き方が、理想と合致するかどうかを見極めることは、後悔のない転職を実現するために重要です。性格やキャリアプランと照らし合わせてみてください。

向いている人の特徴

グループホームの看護師に向いている人の特徴は、次のとおりです。

  • 認知症ケアに関心がある人
  • コミュニケーション能力が高い人
  • 観察力がある人
  • 生活支援にやりがいを感じる人
  • ワークライフバランスを重視したい人

認知症ケアは、ときに根気が必要な場面もありますが、入居者さまの笑顔や穏やかな日常を見ることが何よりのやりがいです。相手に寄り添いケアすることに喜びを感じる方は、この仕事で輝けるでしょう。

向いていない人の特徴

グループホームの看護師に向いていない可能性がある人の特徴は、次のとおりです。

  • 急性期の医療行為に携わりたい人
  • 単独業務に不安を感じる人
  • 介護業務に抵抗がある人
  • 変化の少ない環境に飽きやすい人

しかし、向いていないと諦める必要はありません。これらの特徴に当てはまる場合でも、認知症ケアへの興味や、生活に寄り添うケアへの熱意があれば、グループホームで働くことにやりがいを見出す可能性も十分にあります。

グループホームで働く看護師の求人を探すコツ

グループホームで働こうと思っても、数ある求人から自分にぴったりの職場を見つけるのは簡単ではありません。「思っていたのと違った…」というミスマッチを防ぐためには、事前に次のポイントを確認してください。

  • 医療行為の有無や看護師の配置体制を確認する
  • 介護業務の割合を面接でしっかり質問する
  • オンコールや夜間対応の有無をチェックする
  • 転職サイトでは「グループホーム」で絞り込む
  • 口コミサイトやSNSで現場の雰囲気も確認する

業務内容やオンコールの有無、職場の雰囲気などは、求人票だけでは見えてこない情報です。ここでは、希望に合ったグループホームの求人を効率的に探すためのコツを5つの視点から解説します。

医療行為の有無や看護師の配置体制を確認する

施設によって、医療行為の種類や看護師の配置人数は異なります。

面接時や見学時に「胃ろうの管理や褥瘡処置の頻度はどのくらいですか?」「看護師は2名体制ですか?」などを確認しましょう。具体的に質問すると、入職後の業務内容をイメージしやすくなります。

介護業務の割合を面接でしっかり質問する

看護業務と介護業務の割合も、施設によって変わってきます。

面接の際に「排泄介助や入浴介助は、看護師も担当しますか?」「看護業務に専念できる時間はどのくらいありますか?」など質問し、希望と合致するかを確認すると実際の業務負担を把握できます。

オンコールや夜間対応の有無をチェックする

日勤のみの施設が多いグループホームですが、なかにはオンコール体制や夜間対応が必要な場合もあります。

求人情報に記載がない場合でも、オンコールの頻度や手当の有無は重要な確認ポイントです。緊急時の対応についても詳しく聞いておくと安心です。

転職サイトでは「グループホーム」で絞り込む

看護師専門の転職サイトを利用する際は、職種や施設形態の絞り込み機能で「グループホーム」を選択しましょう。これにより、効率的にグループホームの求人情報を探せます。

非公開求人を紹介してもらえる可能性もあるため、登録して相談してみるのもおすすめです。キャリアアドバイザーに具体的な条件を伝えてみましょう。

口コミサイトやSNSで現場の雰囲気も確認する

実際に施設で働いている人の口コミや、SNSでの情報なども参考になります。

施設の雰囲気や人間関係、残業の有無など求人情報だけではわからないリアルな情報を得ることで、入職後のミスマッチを防ぐことにつながります。

ただし、個人が発信している情報の信頼性には注意が必要です。いくつかの情報源を確認し、総合的に判断しましょう。

グループホームで働く看護師についてのよくある質問

グループホームでの看護師の仕事は、病院勤務とは異なる点が多いため、さまざまな疑問や不安を抱えている方もいるでしょう。ここで疑問を解消し、グループホームでの働き方への理解を深めましょう。

Q1:未経験でもグループホームの看護師として働けますか?

未経験でもグループホームの看護師として働くことは可能です。

認知症ケアに興味があり、入居者さまに寄り添ったケアをしたいという意欲があれば、歓迎されるでしょう。

ただし、施設によっては、研修をおこなっていなかったり、採用の条件に一定の臨床経験を求めたりする場合もあるため、求人情報をよく確認してください。

Q2:グループホームで点滴のスキルって求められますか?

一般的に、グループホームでは点滴のスキルが求められることは少ないです。

軽度の体調不良であれば内服薬での対応が中心となり、点滴が必要な場合は、協力医療機関での受診や入院対応が一般的です。

ただし、看取りをおこなう施設では点滴をおこなうケースもあります。求人情報や面接時に確認すると良いでしょう。

Q3:グループホームで働く看護師が辞めたくなる理由ってなんですか?

グループホームで働く看護師が辞めたくなる理由としては、次のような点が挙げられます。

  • 医療スキル維持への不安
  • 1人で対応することの負担
  • 介護業務の負担
  • 給与への不満
  • 人間関係の悪さ

これらの課題は、グループホームで働く看護師が直面する現実です。しかし、これらの経験は、看護師としての視野を広げ、多様な状況に対応できる力を養う機会でもあります。培ったスキルと経験は次のステップにつながります。

グループホームで働く看護師の役割を知って自分に合った働き方を見つけよう!

グループホームで働く看護師は、認知症の方が穏やかに日常生活を送れるようにサポートするやりがいのある仕事です。

病院とは異なる環境で、一人ひとりの入居者さまと向き合い、生活を支えるケアに魅力を感じる看護師には、最適な働き方となる可能性があります。

なかには「施設よりも、もっと在宅に近い場所で個別ケアを提供したい」と感じた看護師もいるでしょう。訪問看護という働き方も、入居者さまと深くかかわり、生活を支える点でグループホームと共通する魅力があります。

訪問看護の転職サイト「NsPaceCareer」をぜひご利用ください。豊富な求人から現役の訪問看護師への個別相談まで、あなたの転職活動をバックアップいたします。

<参考サイト・文献>

令和5年度介護事業経営実態調査結果|厚生労働省

認知症対応型共同生活介護|厚生労働省

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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