看護師の深夜勤とは?シフト例やスケジュール、乗り切る5つのコツ

「深夜勤ではどのような仕事をするの?」「深夜勤って実際どのくらい大変なの?」
これから夜勤に入る看護師は、このような不安や疑問を感じていませんか。
この記事では、看護師の深夜勤の特徴や、上手に乗り切るコツを解説します。深夜勤に対する漠然とした不安が和らぎ自信を持って深夜勤に臨めるでしょう。
看護師の深夜勤は消灯後から朝食終了までの勤務
3交代制を採用している病院や施設では、夜間の勤務が「準夜勤」と「深夜勤」にわかれます。
深夜勤は、24:00頃から朝食終了までの時間帯を担当する勤務です。出勤後は、定期的な病室巡視、ナースコールへの対応、点滴の管理などをおこないます。患者さまの起床後は、バイタルサイン測定、採血業務、朝食の配膳が始まります。食事介助や朝の与薬も、深夜勤の業務です。
深夜勤は、普段であれば睡眠をとっている、深夜の時間帯に働く勤務形態です。そのため、通常の勤務以上に体調管理と集中力の維持が重要となります。
看護師の深夜勤と準夜勤の違い
深夜勤と準夜勤では、業務内容や勤務時間が異なります。
- 勤務時間とシフトの違い
- 仕事内容・スケジュールの違い
- 勤務の負担の違い
それぞれの違いについて見ていきましょう。
勤務時間とシフトの違い
準夜勤は16:00~24:00頃、深夜勤は24:00~翌9:00頃まで働くことが一般的です。また、3交代制の職場では、1週間の勤務シフトは以下のようになります。
曜日 | 月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 | 土曜 | 日曜 |
勤務 | 日勤 | 日勤 | 深夜勤 | 明け | 休み | 準夜勤 | 準夜勤 |
日勤終了後に一度帰宅し、仮眠をとってから、その日の夜に深夜勤に入るパターンがよく見られます。深夜勤の前日に日勤がある場合、午後から半休を取って早退できる制度を設けている職場もあります。シフトの工夫は職場によってさまざまです。
仕事内容・スケジュールの違い
準夜勤と深夜勤では、担当する業務内容にも違いがあります。それぞれのスケジュールと業務内容を見ていきましょう。
<準夜勤のスケジュール例>
時間 | 業務内容 |
15:30 | 出勤 |
16:00 | 日勤看護師からの申し送り |
16:30 | 担当患者さまへの挨拶・バイタルサイン測定 |
17:30 | 血糖測定・点滴交換 |
18:00 | 夕食配膳・食事介助・口腔ケア・与薬 |
19:00 | バイタルサイン測定・日常生活ケア |
20:00 | 休憩・排泄介助・体位交換 |
21:00 | 消灯・巡視 |
22:00 | 看護記録作成・ナースコール対応 |
23:00 | 巡視・点滴交換 |
24:00 | 深夜勤看護師への申し送り |
24:30 | 勤務終了 |
準夜勤では、日中の治療や検査を終えた患者さまの状態観察、夕食介助、夜間の環境整備が中心となります。
<深夜勤のスケジュール例>
時間 | 業務内容 |
23:30 | 出勤 |
24:00 | 準夜勤看護師からの申し送り |
1:00 | 巡視・排泄介助・体位交換 |
4:00 | 休憩・仮眠 |
5:00 | 巡視・排泄介助・体位交換 |
6:00 | 起床介助・バイタルサイン測定・採血 |
7:00 | 洗面介助・血糖測定 |
7:30 | 朝食配膳・食事介助・口腔ケア・与薬 |
8:00 | 日勤看護師への申し送り |
9:00 | 看護記録・勤務終了 |
深夜勤では、巡視による安全確認、急変対応、早朝のケアがおもな業務内容です。
一般的に、準夜勤のほうが深夜勤よりも業務量が多い傾向があります。これは、日中に治療や手術を受けた患者さまの状態観察や処置が夕方以降に集中するためです。
一方、深夜勤では患者さまが就寝中のため、落ち着いた時間帯には看護計画の見直しや研修資料の作成など、日勤では時間の取れない業務に集中できることもあります。
勤務の負担の違い
準夜勤と深夜勤、それぞれに負担があります。どちらが働きやすいかは、個人の体質や生活環境によって大きく変わります。
準夜勤の負担は、帰宅時間が深夜1:00頃になることです。この時間帯は人どおりが少なく「夜道を1人で歩くのが怖い」という悩みを抱える看護師もいます。準夜勤明けのスタッフが利用できるよう、病院側がタクシーを手配している職場もあるため、事前に確認しておきましょう。
一方、深夜勤は夜間から早朝の勤務となり、眠気と戦わなければなりません。長時間の夜勤により「体内時計が狂って昼夜逆転してしまう」「食事の時間がバラバラになる」など、生活リズムへの影響も深刻です。
どちらの勤務形態が自分に合うかは、経験してみることで見えてくる部分も多いといえます。
関連記事:看護師の準夜勤の働き方とは?スケジュールやきついといわれる5つの理由
看護師の深夜勤はきつい?よくある悩みと理由
深夜勤で働く看護師が抱えやすい悩みとして、以下が挙げられます。
- 生活リズムが乱れやすい
- 勤務中の精神的プレッシャーが大きい
- 休みがとりにくい
これらの悩みとその理由を知って、深夜勤の負担を軽減する方法や、ご自身のキャリアを考える上で役立てていきましょう。具体的な対策や工夫を知ることで、より健康的で充実した働き方を見つけるヒントになります。
生活リズムが乱れやすい
深夜勤で多くの看護師が悩むのが、生活リズムの乱れです。
生活リズムが不規則になると、睡眠不足に陥りやすくなります。「夜勤明けに家に帰ってもなかなか眠れない」「日勤の日に仕事中の眠気がひどくて困る」などの悩みを抱える看護師は少なくありません。
日勤と夜勤を繰り返すシフト勤務では、体内時計をうまく調整できず「いつも疲れがとれない」「身体が重だるい」といった慢性的な疲労感に悩まされるケースもあります。
勤務中の精神的プレッシャーが大きい
深夜勤では、少人数体制で多くの患者さまを担当するため、看護師1人あたりの業務負担が大きくなります。
とくに、患者さまの急変や緊急事態が発生した際のプレッシャーは相当なものです。医師が常駐しない施設では、看護師が初期対応の判断をしなければならない場面も多く、責任の重さを感じやすくなります。
休みがとりにくい
3交代制のシフト勤務では、スケジュール調整が複雑になり、まとまった休みをとることが難しくなります。
たとえば「日勤・準夜勤・休み・深夜勤・明け・休み・日勤」といったシフトでは、休日が1日ずつしかとれません。「連休に旅行したい」「実家に帰省したい」といった場合には、スケジュール調整が難しくなります。
関連記事:看護師の夜勤時間はどれくらい?夜勤のスケジュールやメリット・デメリット
看護師が深夜勤を少しでもラクに乗り切る5つのコツ
ここからは、深夜勤を少しでもラクに乗り切るコツを5つ紹介します。
- 勤務前後の睡眠・食事を意識する
- 休憩時間・仮眠の質を上げる
- カフェインの摂取タイミングを調整する
- 仕事中に頼れる人を決めておく
- 気持ちの切り替え方法を持つ
これらの方法は、あくまで一例です。自分に合う方法を見つけて、無理なく取り入れてみてください。
勤務前後の睡眠・食事を意識する
深夜勤前後の体調管理では、睡眠と食事のタイミングを意識することが重要です。日本看護協会の「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」においても、夜勤前後の生活習慣を整える大切さが示されています。
深夜勤の数時間前に2時間程度の仮眠をとることで、夜間の集中力を維持しやすくなります。
また、食事は消化の良いものを選び、栄養バランスを整えることも大切です。夜勤中の脱水を防ぐため、こまめな水分補給も忘れずにおこなってください。
休憩時間・仮眠の質を上げる
夜勤中の集中力や体力を維持するには、休憩時間や仮眠の質を高める工夫が重要です。
仮眠時間には、アイマスクや耳栓を活用し、光や音を遮断しましょう。病院の休憩室は完全に暗くならない場合もあるため、自分で仮眠グッズを用意しておくことがおすすめです。
たとえ30分程度の短時間でも、休憩中に横になることで疲労回復効果が期待できます。日本看護協会の「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」においても、夜勤中の仮眠が推奨されています。眠れないからと諦めずに、身体を休める時間として休憩時間を活用しましょう。
カフェインの摂取タイミングを調整する
コーヒーや緑茶などのカフェインを含む飲み物は、摂取するタイミングが重要です。
深夜明けの睡眠に影響しないよう、勤務後半でのカフェイン摂取は控えめにすることを心がけましょう。また、カフェインには利尿作用があり、摂り過ぎると脱水のリスクが高まります。適量に留めておくことが大切です。
仕事中に頼れる人を決めておく
深夜勤では、少ない人数で多くの患者さまを担当するため、先輩看護師に質問するタイミングを見つけにくくなります。事前に相談する先輩看護師やリーダーを決めておくと、困ったときに頼りやすくなります。
「急に熱が上がった患者さまがいるけど、すぐドクターコールすべき?」「ナースコールで眠れないといわれたけど、どう対応しよう?」このように迷ったり不安を感じたりしたときは、先輩看護師やリーダーに声をかけましょう。
声を出して助けを求めることも、安全な医療を提供するために必要なスキルのひとつです。
気持ちの切り替え方法を持つ
深夜勤のストレスや疲労に対処するために、自分なりの気持ちの切り替え方法を見つけておくことも大切です。
勤務中には深呼吸やストレッチなどの簡単なリフレッシュが効果的です。勤務後には、好きな音楽を聞いたり、軽い運動をしたりして気分転換を図りましょう。
看護師で深夜勤がどうしてもつらいときの選択肢
深夜勤による心身への負担が限界に達している場合、無理を続けることで体調を崩してしまう可能性があります。ここでは、深夜勤がつらいと感じたときに検討できる選択肢を紹介します。
- 上司にシフト調整を相談する
- 深夜勤のない部署へ移動する
- 深夜勤のない職場に転職する
自分の体調や生活スタイルに合った働き方を選ぶことで、健康を維持しながら長く看護師を続けられます。
上司にシフト調整を相談する
現在の職場で、シフトの調整が可能かどうか上司に相談してみましょう。状況によっては、深夜勤の回数を減らしたり、準夜勤のみの勤務に変更したりできることもあります。
人員配置の都合で、すぐには希望どおりの調整が難しいかもしれません。それでも、ほかのスタッフの退職や異動があったタイミングで希望を考慮してもらいやすくなります。
深夜勤のない部署へ移動する
同じ医療機関内でも、部署によって勤務形態は大きく異なります。
手術室や外来、透析室、健診センターなどは、基本的に深夜勤がない部署です。深夜勤のない部署に移動すれば、規則正しい生活リズムを保ちやすくなります。
ただし、時期によっては希望する部署に空きがない場合や、異動のタイミングが合わない場合もあります。夜勤がつらいと感じる看護師は、早い段階での相談がおすすめです。
深夜勤のない職場に転職する
現在の職場での調整や異動が難しい場合は、深夜勤のない職場への転職を検討することも、選択肢のひとつです。
- 訪問看護ステーション
- 美容クリニック
- デイサービス
このように、夜勤なしで働ける職場は数多く存在します。自分の健康と働きやすさを考えた転職は、長期的なキャリア形成にもプラスになるでしょう。
転職活動を効率的に進めたい場合は、看護師専門の転職サービスを活用することをおすすめします。「NsPaceCareer」では、訪問看護ステーションの求人情報を豊富に扱っています。情報収集をしながら、あなたに合った新しい働き方を探してみてください。
看護師の深夜勤についてのよくある質問
ここからは、深夜勤についてのよくある質問にお答えします。
Q1:深夜勤はどのくらいの頻度で入るのが一般的ですか?
3交代制を採用している病院では、準夜勤・深夜勤の合計が月に6〜10回程度が一般的です。日本看護協会「2023年病院看護実態調査報告書」によると、3交代制の病院における月の平均夜勤回数は、以下の表のようになっています。
月の夜勤回数 | 割合 |
4回未満 | 4.2% |
4~5回未満 | 3.5% |
5~6回未満 | 4.0% |
6~7回未満 | 11.5% |
7~8回未満 | 27.7% |
8回 | 9.6% |
8回超~9回未満 | 16.0% |
9~10回未満 | 9.6% |
最も多いのは「7~8回未満」の27.7%です。準夜勤と深夜勤の頻度が同程度だとすると、月に3~4回、深夜勤に入ることになります。夜勤専従や希望シフト制を取っている職場では、さらに多くの夜勤に入るケースもあります。

Q2:深夜勤は年収に影響しますか?
深夜勤を含む夜勤は、夜勤手当や深夜割増賃金がつくため、日勤のみの働き方と比べて年収が高いケースがほとんどです。
日本看護協会「2023年病院看護実態調査報告書」によると、平日夜勤1回あたりの夜勤手当額の平均は以下のとおりです。
夜勤形態 | 平日1回あたりの夜勤手当額 |
3交代制(準夜勤) | 4,234円 |
3交代制(深夜勤) | 5,199円 |
2交代制(夜勤) | 1万1,368円 |
夜勤をすることで月額3万~5万円ほどの収入アップが期待できます。年間にすると36万~60万円の差額となります。
Q3:深夜勤のある職場はWワークできますか?
深夜勤のシフトによっては、Wワークをしている看護師もいます。とくに夜勤専従として働いている場合、日中の時間を活用して別の仕事に従事することも可能です。
ただし、深夜勤は心身への負担が大きいため、次の点に注意しましょう。
- 体調管理を徹底する
- 勤務時間に無理が生じないようスケジュール管理をする
- 睡眠不足による判断力の低下を防ぎ、安全管理を徹底する
また、Wワークを始める前に、必ず現在の職場の就業規則を確認してください。医療機関によっては副業を禁止している場合もあるため、事前の確認が必須です。
看護師の深夜勤の不安を減らし、自分に合う働き方を見つけよう
深夜勤は生活リズムが乱れやすく、心身への負担を感じることもあります。
もし深夜勤が合わないと感じる場合は、職場での相談や働き方の見直しも検討してみてください。
また、看護師としてのキャリアにはさまざまな選択肢があります。深夜勤のない働き方に興味がある方は、訪問看護のように日勤が中心となる職場もおすすめです。自分らしい働き方を見つけて、長く充実した看護師生活を送ってください。
<参考文献・サイト>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。