【看護師の面接対策】将来のビジョンの答え方!好印象を残すコツと例文5選

「将来のビジョンをどう伝えたら良いかわからない」「どのような答え方が好印象なのか知りたい」
将来のビジョンについての質問は、キャリアの考え方や、当院でどのように活躍したいと思っているかを知るための重要な問いかけです。採用担当者は、応募者がどのような看護師になりたいのか、目標に向かってどう努力していくのかを知ることで、意欲や適性を見極めています。
この記事では、看護師の面接で将来のビジョンを聞かれた際の答え方や例文を紹介します。採用担当者に響く将来のビジョンの答え方がわかるため、経験や強みを最大限に活かし、自信を持って面接に臨めるようになるでしょう。
看護師の面接で将来のビジョンを聞かれる理由
看護師の面接で将来のビジョンを聞かれる理由は、応募者のキャリアに対する考え方や、当院でどのように貢献できるかを知るためです。日本看護協会「2024年病院看護実態調査」によると、2023年の離職率は新卒採用者8.8%、既卒採用者16.1%と報告されており、病院は長く活躍してくれる人材を探しています。
そのため、当院の理念や目標と応募者のビジョンが合致しているかを見極めたいと考えています。具体的には、次の点が挙げられます。
- 入職後のミスマッチを防ぐため
- 主体性や向上心があるか確認するため
- 当院への貢献度を測るため
- 長期的なキャリア形成を支援するため
このように、将来のビジョンを問うことで、応募者の意欲や適性、当院との相性を判断しているのです。
看護師の面接で「将来のビジョン」を答え方と好印象を残すコツ
看護師の面接で将来のビジョンを効果的に伝えるには、いくつかのポイントがあります。
- 自分の経験と興味からビジョンにつなげる
- 自分の言葉で具体的に話す
- 施設や診療科の特徴に合わせる
- 実現可能なビジョンを語る
- 将来のビジョンを実現するための計画を伝える
これらのコツを押さえることで、採用担当者に好印象を与え、応募者の熱意や適性をアピールできるでしょう。
自分の経験と興味からビジョンにつなげる
看護経験で印象に残った出来事や心惹かれた分野があれば、それを将来のビジョンに結びつけると、説得力があり熱意を伝えられます。
「小児科で心室中隔欠損症の方を支えた経験から、小児専門看護師を目指して、高度な知識とスキルで患者さまとご家族に安心できるケアを実施したいです」のように経験と感情を交えて話すことで、ビジョンがリアルに伝わります。
しかし、新卒看護師の場合、臨床の場での経験がなくエピソードが思い浮かばないこともあるかもしれません。その際は、実習経験やこれまでに出会った看護師の印象から話してみることをおすすめします。
自分の言葉で具体的に話す
ありきたりな言葉や抽象的な表現では、応募者の個性や熱意が伝わりにくいため、自分の言葉で具体的に話すことが大切です。
「病気で苦しむ方に寄り添いたいです」だけでは不十分です。
「患者さまの不安を軽減できるよう、傾聴を大切にし、ご家族さまにも丁寧に説明することで、精神的なケアに努めたいです」のように、行動を詳しく伝えることで、応募者の意志がはっきりと伝わります。
施設や診療科の特徴に合わせる
施設側は、自院のニーズに合った人材を必要としているため、施設や診療科の特徴に沿ったビジョンを語ることが大切です。
事前にホームページや求人情報をしっかり読み、その病院の理念や力を入れている分野、診療科の特色などを把握しておきましょう。
たとえば、地域包括ケア病棟を希望する場合は「在宅での生活も見据えてケアしたい」というビジョンを出すと、応募先の特色とあなたのビジョンをリンクできるため、理解度と入職意欲の高さをアピールできます。
実現可能なビジョンを語る
あまりにもかけ離れた夢物語では、現実味がないと判断されてしまうリスクがあるため、実現可能なビジョンを語りましょう。5年後、10年後といった期間で、現実に達成できる目標を設定することが大切です。
「フライトナースになって活躍する」という目標がある場合でも「救命救急センターの業務に慣れてからACLSの資格を取得します」といったステップを踏まえて話すことで、目標に向かって努力する姿勢を示せます。
将来のビジョンを実現するための計画を伝える
目標だけを語るのではなく、その目標をどのように達成していくのかという具体的な道筋をアピールすることで、計画性や主体性をアピールできます。
「緩和ケア認定看護師の資格を取得し、患者さまのQOL向上に貢献するために、緩和ケアチームで経験を積みます。認定看護師の教育課程の受講を検討し、学習を進めていきたいです」のように行動計画を伝えることが大切です。
応募者のビジョンに対する真剣度と、それを実現するための努力を惜しまない姿勢を伝えられます。
看護師の面接で将来のビジョンを語る例文5選
ここでは、看護師の面接で将来のビジョンを語る際の具体的な例文を紹介します。
- 例文1:「5年後・10年後」のキャリアビジョンを意識する
- 例文2:応募先の理念とリンクしたキャリアプランにする
- 例文3:患者さまへの貢献を軸にした将来像を語る
- 例文4:資格取得やスキルアップへの意欲を示す
- 例文5:将来の役職やキャリアデザインを交える
これらの例文はあくまで一例です。これまでの経験や「こうなりたい」という気持ちに合わせて、例文を調整し、応募者の言葉で目標を語りましょう。
例文1:「5年後・10年後」のキャリアビジョンを意識する
5年後、私は貴院の消化器外科病棟で、主任看護師としてリーダーシップを発揮したいと考えています。まず消化器外科の専門知識と看護技術を深め実践力を高めたうえで、リーダーシップやマネジメントなどの研修に参加していきたいです。10年後には、患者さまが安心して自宅へ戻れるよう、クリニックや訪問看護ステーションとの連携を強化していきます。地域包括ケアシステムの勉強会にも参加し、多職種連携における役割を確立していきたいです。 |
具体的な年数を挙げてキャリアプランを語ることで、計画性と長期的な視点をアピールできます。自身の成長段階と目標をしっかりと伝えましょう。
例文2:応募先の理念とリンクしたキャリアプランにする
急性期病院での勤務で、私は手術後の患者さまをケアしてきて、退院後の生活支援の重要性を感じるようになりました。地域に戻る患者さまが抱える不安や、安心して療養できる環境づくりの必要性を肌で感じております。将来的には「地域に根差した医療を提供する」という理念をもとに、貴院の訪問看護ステーションで、生活に合わせたケアを提供し、利用者さまが安心できるようにサポートしたいです。在宅看護の知識や多職種連携のスキルを学び、地域医療の一翼を担えるよう尽力いたします。 |
応募先の病院の理念や特徴に共感していることを示し、自身のビジョンがどのように貢献できるかを具体的に伝えましょう。病院への理解と入職意欲が伝わります。
例文3:患者さまへの貢献を軸にした将来像を語る
私はがん病棟での経験があり、患者さまが身体的な苦痛だけでなく、精神的な不安や孤独感と闘う姿を見てきました。将来は、がん患者さまの精神的なケアに力を入れたいと考えており、貴院の緩和ケアチームやがん専門看護師が提供されている支援体制に感銘を受けました。患者さまが抱える心の負担を軽減し、治療中も前向きに過ごせるように支えていきたいです。 |
患者さまへの貢献を重視する姿勢は、看護師として重要です。具体的なケアの内容や、患者さまのどのように寄り添いたいかをしっかりと伝えましょう。
例文4:資格取得やスキルアップへの意欲を示す
将来的には、クリティカルケア認定看護師の資格を取得し、高度な専門知識とスキルで重症患者さまのケアに貢献したいと感じております。貴院のICUは最新の医療機器が導入されており、質の高いケアを実施していると伺いました。まずは貴院のICUで経験を積み、実践を通して学びを深めます。その後、資格取得に向けた勉強を計画的に進め、チームの一員として貢献できる人材になりたいです。 |
資格取得やスキルアップへの意欲は、向上心や専門性を高めたいという熱意を示すものです。具体的な資格名や、その資格がどのように活かせるかを語ることで志望度の高さが伝わります。
例文5:将来の役職やキャリアデザインを交える
私は将来的に、看護管理の分野にも携わりたいです。貴院では、キャリアパスが明確に示されており、ステップアップできる環境が整っていると伺いました。まずは臨床経験を積んで看護実践能力を高め、病棟の看護師長として、スタッフの育成や働きやすい環境づくりに携わりたいです。リーダーシップやマネジメントについて学び、チーム全体を支える人材になれるように努めます。 |
将来的な役職やキャリアデザインに言及することで、リーダーシップ志向や組織への貢献意欲をアピールできます。具体的な役割と、そのために必要な学びを伝えましょう。
NG例から学ぶ!看護師の面接で避けたい将来のビジョンの答え方
面接で将来のビジョンを語る際、好印象を与える答え方がある一方で、避けるべきNGな回答もあります。ここでは、採用担当者にマイナスな印象を与えてしまう可能性のある答え方を紹介します。
- 「特にありません」という回答
- 採用担当者に「すぐに辞めるのかな?」と思われる答え方
- 抽象的な伝え方
これらのNG例を理解することで、応募者の意欲や計画性を伝え、自信を持って面接に臨む準備ができます。強みを最大限にアピールできるよう、これらのポイントを避けましょう。
「特にありません」という回答
応募者の意欲や計画性のなさを示してしまうため「特にありません」という回答は避けてください。
たとえ漠然としたイメージしかなくても、何かしらの目標や、今後学びたいこと、挑戦したいことを伝える努力をしましょう。この回答は、当院への興味がない、あるいは看護師としての成長意欲がないと捉えられてしまう恐れがあります。
採用担当者に「すぐに辞めるのかな?」と思われる答え方
病院や施設は長く働いてくれる人材を求めているため「すぐに辞めるのかな?」と思われるような答え方は控えましょう。
「いずれは地元で働きます」や「将来は別の分野に転職する予定です」といった回答は、早期離職を予感させ、採用をためらわせる原因となります。
もし、長期的なキャリアとして別の目標がある場合でも、応募先の病院でどのように貢献し、どのようなスキルを身につけていきたいかを具体的に伝えることが大切です。
抽象的な伝え方
具体性に欠ける回答は、応募者の考えがはっきりしていない、あるいは深く考えていないという印象を与えてしまう可能性があります。
「患者さまのために頑張ります」といった漠然とした回答では、具体的な行動や貢献度が伝わりません。どのような患者さまに、どう貢献したいのか、そのためには何のスキルが必要なのかなど、掘り下げて話すことが重要です。
関連記事:看護師のキャリアプランの答え方とは?転職面接での伝え方や例文も紹介
将来のビジョンが決まっていない看護師が取るべき対策3STEP
将来のビジョンがまだ明らかになっていない方は、次の3STEPで整理してみましょう。
- STEP1:自分の経験やスキルを洗い出す
- STEP2:病院のホームページや求人情報を確認する
- STEP3:なりたい看護師を書き出して将来像をイメージする
これらの対策をおこなうことで、応募者の強みや興味がはっきりとして、面接で自信を持って将来のビジョンを語れるでしょう。
STEP1:自分の経験やスキルを洗い出す
これまでの経験に、応募者の興味や強み、将来のビジョンにつながるヒントが隠されています。
これまでの看護経験を振り返り、どのような分野にやりがいを感じたか、どのようなスキルを習得してきたかなどを具体的に書き出してみましょう。
「心療内科の患者さまとのかかわりで、もっと専門的な知識を身につけたいと思った」「心臓血管外科の処置が得意で、もっとスキルアップしたい」といった気づきが、将来のビジョンを見つけるきっかけになります。
STEP2:病院のホームページや求人情報を確認する
病院の理念や特徴、力を入れている分野などを把握することで、自分のビジョンと合致する点を見つけやすくなります。次のポイントに沿って、病院のホームページや求人情報をチェックしてみてください。
- 病院の沿革
- 診療科の紹介
- 看護部の方針
- 教育制度
これらの情報をもとに「小児科領域の治療に力を入れているから、私もNICUで貢献したい」「教育制度を活用して、マネジメントスキルを身につけたい」といったビジョンを考えられます。
STEP3:なりたい看護師を書き出して将来像をイメージする
なぜなら、漠然としたイメージを具体的な言葉にすることで、ビジョンがはっきりとします。
- どのような患者さまをケアしたいか
- どの分野の専門性を高めたいか
- どういった働き方をしたいか
- どのようなスキルや資格を習得したいか
これらの問いに対する答えを書き出すことで、応募者の理想とする看護師像が見えてくるはずです。
関連記事:看護師にキャリアプランは必要?ない場合はどうする?
面接で将来のビジョンに悩む看護師によくある質問
面接で将来のビジョンについて悩む看護師から、よくある質問に回答します。
Q1:新卒看護師の将来ビジョンの例文を知りたいです!
新卒看護師の場合、臨床経験がないため、将来のビジョンを語るのが難しいと感じるかもしれません。しかし、新卒だからこそ、熱意や成長意欲を伝えることが重要です。
<例文> 貴院の産婦人科で、出産されるお母さまとご家族さまに寄り添い、安心と喜びを提供できる看護師になりたいです。実習で命の誕生に立ち会い、看護師の役割の大きさを実感しました。貴院の研修制度や先輩方から学び、基本的な知識と技術を習得し、出産後の育児支援や女性の健康全般をサポートできる看護師を目指します。 |
具体的な診療科への興味や学生時代の経験を交え、謙虚さと向上心を示すと良いでしょう。
Q2:正直に「キャリアプランがない」と回答すると採用されませんか?
採用担当者は、応募者の入職意欲や成長性を評価しているため、正直に「キャリアプランがない」と回答することは避けるべきです。
もし現時点で明らかなキャリアプランがないのであれば「漠然としたイメージですが、経験を積み、興味や得意な分野を見つけたいと考えています。小児科で専門性を高めたいという気持ちがあります」と、ポジティブな姿勢と成長意欲を伝えましょう。
Q3:将来のビジョンはどこまで具体的に話すと良いですか?
将来のビジョンは、具体的かつ現実的に話すことが重要です。
「患者さまに寄り添いたい」ではなく「循環器内科の患者さまに、状態の悪化にすぐに気づきケアや治療につなげたい」のように詳しく述べましょう。
また、そのビジョンを実現するための計画も加えると、説得力が増します。
看護師の面接で将来のビジョンで好印象を残して自分に合った働き方を見つけよう
看護師の面接において、将来のビジョンを語ることは、応募者のキャリアの考え方や熱意、応募先の病院との相性をアピールする絶好の機会です。
自分の経験を振り返り、興味のある分野を明らかにして、応募先の病院の特色とビジョンをリンクさせることが重要です。自信を持って将来のビジョンを語り、自分に合った働き方を見つけ、看護師としてのキャリアを築いていきましょう。
自分に合った職場を見つけるためには、さまざまな求人情報を比較検討することが大切です。訪問看護に特化した求人サイトである「NsPaceCareer」では、希望や条件に合った看護師の求人を多数掲載しています。将来のビジョンを実現できる職場探しを、ぜひ活用してみてください。
<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。