新人看護師の夜勤の目標設定で大切なこと4つ!振り返りのポイントも解説

公開日:2025/07/28 更新日:2025/07/28
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「夜勤の目標ってどう立てれば良いの?」「夜勤の評価シートに何を書けば良いのかわからない」

このように悩む新人看護師は少なくありません。夜勤は、日勤と違って先輩の数も少なく、判断力や自立性が求められるため、不安やプレッシャーを感じやすい勤務です。

しかし、適切な目標設定と振り返りのコツがわかれば、夜勤への不安はなくなり、安心感を持ちながら業務に取り組めます。

この記事では、夜勤に入り始めた時期ごとの目標設定のポイント、夜勤業務にもとづく目標例、目標達成のための行動や振り返りのコツを詳しく解説します。読み終える頃には、自信を持って夜勤に臨めるようになるはずです。ぜひ参考にしてください。

新人看護師の夜勤の目標設定で大切なこと4つ

新人看護師が夜勤での目標を立てる際は、次の4つを意識しましょう。

  • 具体的で達成可能な目標を立てる
  • 主体的な姿勢が見える目標を設定する
  • 安全意識が高まる目標を意識する
  • 振り返りができる目標にする

これらの視点で目標が設定できると、自分の行動を評価しやすく、着実にステップアップできます。

1.具体的で達成可能な目標を立てる

夜勤前に目標を立てる際は、具体的で達成できそうな内容の設定が大切です。

「3人の患者さまのバイタルサイン測定を時間内に実施する」「Aさんの意識レベルと呼吸状態を1時間ごとに観察し、異変があればすぐに先輩に報告する」といった目標が良いでしょう。

実現可能で具体的な目標を立てることで、行動に迷いが生じにくくなり、自信を持って動けるようになります。

2.主体的な姿勢が見える目標を設定する

夜勤では指示待ちではなく、自ら考えて行動する力が求められます。

「申し送りの前に自分で情報を整理して日勤帯の看護師に伝える」「緊急対応の手順を復習しておく」など、自分で学ぶ姿勢を示す目標を立てましょう。

主体的な目標を立てておくと「どうすればできるか」を考える習慣が身につくため、わからないことがあっても立ち止まらずに行動できます。

3.安全意識が高まる目標を意識する

夜勤中は、看護師の人数が少ない、疲労や眠気によって判断力が低下しやすいなどの理由から、医療事故のリスクが高まる時間帯といわれています。そのため、常に安全管理を意識して行動しなければなりません。

「点滴・投薬前にダブルチェックを必ず実施する」「転倒リスクがある患者さまのベッド周囲をラウンド時に毎回チェックする」といった目標にすると、安全な行動がとれます。

こうした行動の習慣化によって安全への意識が身につき、夜勤中のトラブルを防ぐ力が養われます。

4.振り返りができる目標にする

看護師の夜勤は、多くの場合で少人数での対応になるため、自分の判断で行動する場面が増えます。

だからこそ、自分の行動を客観的に振り返り「どの判断が良かったか・改善すべきか」の整理が大切です。

「患者さまの状態変化に気づいた際は、すぐに先輩に報告する」「ラウンドするときはチェックリストでベッド周囲の環境整備をおこなう」といった、行動を評価しやすい目標を立てましょう。

振り返りしやすい目標を積み重ねることで、自分の成長を実感しやすくなり、次の勤務への改善にもつながります。

新人看護師が夜勤で成長するための時期別の目標設定

新人看護師が夜勤で成長するためには、自分の成長段階や夜勤の時期に応じた目標設定を立てることが重要です。

  • 夜勤を始めたての時期|夜勤の生活リズムと業務の流れに慣れる
  • 夜勤に慣れてきた時期|優先順位を考えて行動する判断力を養う
  • 夜勤の独り立ち前|他職種やチーム内の連携を意識する

詳しく見ていきましょう。

夜勤を始めたての時期|まずは夜勤に慣れる

夜勤を始めて1〜2回目の頃は、生活リズムの変化や夜勤特有の業務の流れ、病棟の夜間の雰囲気などに戸惑う時期であるため、まずは夜勤の勤務形態に慣れることが最優先です。たとえば、次のような目標を設定しましょう。

  • 夜勤帯の業務の流れを把握する
  • 先輩の指示を確実に実行する
  • 夜間の緊急連絡体制や連絡方法を把握する

先輩看護師の指導を受けながら、夜勤独自のペースや役割を理解し、流れや雰囲気に慣れることを目指しましょう。

関連記事:新人看護師が直面するストレス7選!つらい気持ちを乗り越える方法

夜勤に慣れてきた時期|優先順位を考えて行動する

夜勤に入って3回目以降は、自分で判断して行動する場面が増えてきます。

限られた時間とスタッフ数のなかで、患者さまの安全を守りながら効率良く動くには、業務の優先順位を考える力が必要です。そのため、次のような目標を立ててみてください。

  • 緊急性のある業務を先におこなう
  • 複数のナースコールが重なった場合、優先度を判断して対応できる
  • 業務の途中で別の指示が入っても優先順位を再考し行動できる

この時期は、先輩看護師に教えてもらいながら、自分で考えて判断する力や状況に合わせて対応する力を身につけていく大切な段階だと捉えましょう。

夜勤の独り立ち前|周囲との連携を意識する

夜勤に入り始めてから6か月くらい経つ、1年目の11月~12月頃は、次の新人看護師が入職することを意識して「そろそろ独り立ちしなければ」と考える時期です。

宮坂佐和子らの「新人看護師の夜勤独り立ち時期と夜勤独り立ちにおける看護実践能力および新人指導体制との関連」によると、ある病院では新人看護師の75.5%が11月までに夜勤の独り立ちをしていました。年内に独り立ちを目指すのが1つの目安といえます。

この時期は、次のことを目標にしましょう。

  • 申し送りで要点をわかりやすく伝える
  • 夜間のトラブル時に落ち着いて報告する
  • 他職種と積極的にコミュニケーションを取り協力する

これらの目標を立てることで、必要な情報を正確に伝える力がつきます。周囲との連携を大切にして独り立ちを目指しましょう。

夜勤業務から考える新人看護師の夜勤の目標と具体例

夜勤業務は少人数体制であるため、夜勤特有のリスクや業務の流れを意識した目標設定が大切です。

  • 患者さまの安全管理
  • 異常の早期発見や報告
  • 業務の優先順位
  • 緊急時の対応
  • 医療事故・ヒヤリハット防止

ひとつずつ解説します。

患者さまの安全管理

夜間は看護師の目が行き届きにくく、患者さまがベッドサイドで転倒したり、薬を間違えて多く飲んでしまったりするリスクが高まる可能性があります。

こうした事故を防ぐには、普段から周囲の環境を整え、危険を予測して行動することが大切です。たとえば、次のような目標をあげて行動しましょう。

  • ベッド周囲の転倒リスクを確認する
  • 離床センサーやナースコールの作動を定期的に確認する
  • 患者さまが薬を自己管理できる状態なのか確認する
  • 持参薬と処方薬が混同しないよう薬の情報を見直す

このような取り組みを続けることで、患者さまが夜間も安心して過ごせる環境を整えられます。

異常の早期発見や報告

夜勤では医師やスタッフが限られるため、患者さまの異常にいち早く気づき、適切に報告する力が必要です。次のような具体的な目標を立てると良いでしょう。

  • バイタルサイン測定時の異常にすぐ気づける
  • いつもと違う様子があったらすぐに報告する
  • 変化があった際はSBARを使って簡潔に伝える訓練をする

SBAR(エスバー)とは、情報を整理して端的に伝えるための報告の手法です。状況、背景、評価、提案の4つの視点でまとめて報告します。

異常に早く気づき、タイミングを逃さずに報告することが、患者さまの命を守る大切な一歩になります。

業務の優先順位

夜勤では、ナースコールが重なったり、予期せぬ急変対応が必要になったりと、複数の業務が同時に発生することがあります。そのため、すべてを適切にこなすには、状況を見て優先順位を判断する力が不可欠です。次のような目標を設定してみましょう。

  • 複数のナースコールが重なった場合でも、優先度を判断してスムーズに対応できる
  • 業務の途中で急ぎの対応が必要になっても、冷静にタスクを再構成できる
  • 記録や点滴のタイミングを見極めて、時間内に業務を終えられる

優先順位を正しく判断できるようになることで、夜勤中も落ち着いて行動できるようになります。

緊急時の対応

夜勤中の急変対応では、人手が限られるため、正確な判断と迅速な行動が求められます。対応手順を事前に確認し、必要な準備を整えておくことが重要です。たとえば、次のような目標を意識しましょう。

  • 急変時の対応手順を確認しておく
  • 緊急時は先輩にすぐ報告し、自分ができることを把握しておく
  • 酸素投与や吸引など、基本的な処置に備えて物品の場所を確認しておく

こうした準備をしておくことで、万が一の場面でも落ち着いて対応できる力が養われます。

医療事故・ヒヤリハット防止

夜勤中は人員が限られ、業務に追われる中で確認が不十分になりやすく、ミスやヒヤリとする場面が発生しやすくなります。医療事故を未然に防ぐためにも、次のような目標を意識して行動しましょう。

  • ダブルチェックを徹底する
  • ヒヤリハットを防ぐためのチェックリストを活用する
  • 少しでも不安がある場合は、自己判断せず先輩へ相談する

こうした行動の積み重ねが、安全なケアにつながります。

新人看護師が夜勤の目標達成のためにすべき具体的な行動

目標を立てるだけでなく、その目標を達成するために日々どのような行動をとるかが成長のカギです。

  • 受け持ち患者さまの情報収集を徹底
  • 夜勤中の円滑なコミュニケーションを意識
  • 次回の行動に結びつける振り返り

夜勤中に意識しておきたい具体的な行動を、3つの視点で紹介します。

受け持ち患者さまの情報収集を徹底

夜勤ではスタッフが少ない分、一人ひとりの患者さまの状態をしっかりと把握しておくことが重要です。スムーズな対応につなげるために、次の情報をあらかじめ確認しておきましょう。

  • 既往歴
  • 意識レベルの変化
  • バイタルサインの傾向
  • 日中の様子

情報が整理されていれば、急変時にも落ち着いて対応できます。

夜勤中の円滑なコミュニケーションを意識

夜勤では、限られた人員で安全に看護をおこなうため、的確なコミュニケーションが欠かせません。

とくに、新人看護師のうちは自分だけで判断せず、チームで状況を正確に把握し、安全に対応するために適切な相談・報告が大切です。

気になる点はあいまいなままにせず共有する、状況説明は経過や観察内容も含めて簡潔に伝えるなどを意識して行動しましょう。

次回の行動に結びつける振り返り

目標達成には、毎回の夜勤後の丁寧な振り返りが欠かせません。

ただ反省するのではなく、次にどう活かすかを考えることで、着実にスキルアップしていけます。振り返りでは、次の視点を持つと効果的です。

  • 今回できたこと・うまくいったこと
  • 判断に迷った場面・対応できなかった点
  • 次回に向けた具体的な改善案

また、先輩からのフィードバックも積極的に受け入れるようにしましょう。自分では気づきにくい強みや改善点が明らかになり、成長の助けになります。

関連記事:看護師の夜勤で大切なこと5選!安全管理の意識と順応できる心構え

新人看護師の夜勤の目標に関するよくある質問

夜勤での目標設定に戸惑う新人看護師が抱きやすい悩みや疑問に対して、ひとつずつ回答します。自身の成長を目指せる目標設定の参考にしてください。

Q1:夜勤で目標が達成できなかったら叱られますか?

目標を達成できなかったからといって、すぐに注意されたり叱責されたりすることは基本的にありません。

新人看護師にとって、目標は「評価基準」ではなく「成長の指標」として位置づけられており、達成の有無よりも取り組む姿勢や学びが重視されます。

重要なのは、思いどおりに進まなかった点を振り返り、次回にどう活かすかを考えることです。目標は、自身の看護観や実践力を深めるための材料として活用していきましょう。

Q2:どのような目標を立てたら良いか全く思いつきません。どうしたら良いでしょうか?

目標に悩んだときは、過去の勤務や周囲の声からヒントを得ることが大切です。具体的には、次のとおりです。

  • 前回の勤務でうまくいかなかったこと
  • 先輩からフィードバックされた内容
  • 不安や苦手意識を感じた業務

振り返りを通じて「次はこうしたい」と思えるポイントを見つけられると、自然と目標が見えてくるはずです。

Q3:毎回同じ目標でも大丈夫ですか?

毎回同じ目標を設定しても問題ありません。一定期間同じテーマに取り組むと、技術や意識が定着しやすくなります。

ただし、以下のように少しずつレベルを上げる工夫が必要です。

目標例:患者さまの異常の早期発見に努める
夜勤1回目バイタルサインの変化を見逃さず、わずかなことも報告する
夜勤2回目バイタルサインの変化、表情や言動から異常を察知し報告する
夜勤3回目異常を察知したら速やかに報告し、指示のもと適切な対処をおこなう

同じ目標でも行動内容に段階づけると、自分の成長を実感しやすくなります。目標の質を高めることを意識しましょう。

新人看護師の夜勤の目標を具体的に設定!一歩ずつ看護師として成長しましょう

夜勤は、限られた人員のなかで判断力や対応力を問われる場面が多く、新人看護師にとって成長のチャンスでもあります。目標を具体的に設定し、日々の業務を振り返ることで、自信と実力も少しずつ身についていきます。

とはいえ「今の働き方が自分に合っているのか不安」「将来的には夜勤のない働き方も考えたい」と感じる新人看護師もいるでしょう。

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<参考サイト・文献>

新人看護師の夜勤独り立ち時期と夜勤独り立ちにおける看護実践能力および新人指導体制との関連|宮坂佐和子、金子さゆり

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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