夜勤看護師の受け持ち人数は?法律と受け持ちが少ない職場を選ぶ4つのコツ

公開日:2025/07/25 更新日:2025/07/25
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「また夜勤で15人も担当…限界かも」「ほかの病院ってどうなの?」

そんな悩みを抱える夜勤ナースの声は少なくありません。


本記事では、夜勤の受け持ち人数の実態と法的基準、そして負担を軽減できる職場選びのポイントを、現場目線で徹底解説します。

夜勤看護師の受け持ち人数の平均は10~15人

夜勤看護師の受け持ち人数は、一般病棟では10~15人が多い傾向にあります。

日勤帯よりも少ないスタッフで多くの患者さまを担当するため、1人あたりの受け持ち患者数は増えがちです。これは、勤務する病棟や患者さまの重症度などによっても変わってきます。

夜勤看護師の受け持ち人数は病棟の種類によって異なる

夜勤の受け持ち人数は、働く病棟によって異なります。

急性期病棟では医療処置が多く、患者さまの状態は不安定であるため、1人あたりの受け持ち人数は10人前後に抑えられることが一般的です。一方で、病状が安定している回復期や療養型病棟では、15人を担当することもあります。

また、ICUのように重症患者さまが多い職場では手厚いケアが必要なため、看護師1人で1~2人を担当します。

夜勤看護師の受け持ち人数は病院の規模や方針にも左右される

夜勤看護師が受け持つ患者さまの人数は、病院の規模や運営方針によっても変動します。

たとえば、大学病院や大規模な総合病院では、質の高い医療を提供するために看護師の配置を厚くし、1人あたりの受け持ち人数を少なめにする傾向があります。地域の中小病院や専門病院では、病院の機能や経営状況に応じた配置であり、患者さま15人以上を1人で受け持つ場合もあります。

病院ごとの方針や看護観によって、夜勤体制には違いが生まれます。自分に合った働き方を見つけるには、病院の特徴を事前に確認することが大切です。

夜勤看護師の受け持ち人数についての法律と計算方法

夜勤看護師の受け持ち人数は、病院が自由に決められるわけではありません。医療法や診療報酬の制度にもとづき、一定の人員配置が義務づけられています。

法的なルールや配置の仕組みを知ることは、安心して働くためにも重要です。自分の勤務状況を正しく理解するためにも、これらの基準を把握しましょう。

医療法にもとづく人員配置標準

夜勤看護師の受け持ち人数は、病院が自由に決められるわけではありません。医療法では、入院患者に対して必要な看護師数の「最低基準」が定められています。

この基準は、医療機関の種別や病床の機能に応じて異なり、「入院基本料」などの診療報酬にも大きく関わります。たとえば、急性期一般病棟では「7対1看護」「10対1看護」などの基準があり、1人の看護師が受け持てる患者数に上限が設けられています。

ただし、これらの基準は1日24時間を通した平均配置であり、必ずしも夜勤帯だけを対象としているわけではありません。そのため、夜勤時の看護師配置は、日中よりも手薄になりやすいという現実があります。

それでも、この法的な最低基準があるからこそ、極端な人員不足を防ぎ、患者さまの安全を守ることが可能になります。自分の働く職場がどの配置基準に該当しているかを知ることは、安心して働くための大切な判断材料となるでしょう。

診療報酬上の看護配置基準

診療報酬で決められた看護配置基準は、夜勤看護師の受け持ち人数に影響します。

診療報酬を受け取るためには、日勤と夜勤で基準を満たさなければならないからです。

たとえば「7対1看護」と「10対1看護」を比べると、数字が大きくなる「10対1看護」の方が、受け持ち人数が多くなります。配置基準を守っている病院では、看護師に負担がかかりすぎないよう配慮されているため、夜勤の受け持ち人数が少なめになる傾向があります。

夜勤看護師の受け持ち人数の決め方

夜勤看護師の受け持ち人数は、法律や基準だけで決まるわけではありません。現場の状況によって調整されています。具体的には、次のポイントが関係しています。

  • 患者さまの重症度と看護必要度で変わる
  • スタッフの経験年数や人数によって変動する
  • 看護師長の考え方や病院の文化で決まる

看護師と患者さまの人数だけで決めるのではなく、安全で質の高いケアをおこなうために、多くの要素が考慮されているのです。

患者さまの重症度と看護必要度で変わる

夜勤の受け持ち人数は、患者さまの状態や必要なケアによって変わります。次のような患者さまを担当する場合は、1人あたりの担当数が少なくなるでしょう。

  • 意識レベルが低下し見守りや声かけが必要な方
  • 呼吸管理や点滴など専門的なケアを要する方
  • 容態が変わりやすく早めの対応が求められる方
  • 動けないため日常生活のサポートが多く必要な方

逆に、状態が安定している患者さまが多い場合は、受け持ち人数が増えます。患者さまの状態に合わせて、適切なケアを提供できるように、柔軟に人数調整がおこなわれています。

スタッフの経験年数や人数によって変動する

夜勤の受け持ち人数は、夜勤に入る看護師の経験年数や人数によっても変動します。

経験豊富なベテランは、多くの仕事をこなせるため、受け持ち人数が増えがちです。一方で、新人看護師を指導するプリセプターや、チームをまとめるリーダーはサポート業務に時間がかかるため、受け持ち人数を少なめにすることもあります。

スタッフの経験や配置のバランスを見ながら、適切な受け持ち人数が決められています。

看護師長の考え方や病院の文化で決まる

夜勤の受け持ち人数は、看護師長の方針や病院の風土によっても決まります。

患者さまの安全を最優先に考える看護師長であれば、人手が不足していても、一人ひとりの看護師の負担が過度にならないように調整をおこないます。一方で、業務の効率化を重視する職場環境では、受け持ち人数が多くなる場合もあるでしょう。

こうした看護師長のリーダーシップや病院の理念が、夜勤の受け持ち人数に影響するのです。

夜勤看護師の受け持ちが多いときの負担とリスク

夜勤で多くの患者さまを受け持つことは、看護師の負担を増やすだけでなく、次のようなリスクを伴います。

  • 患者さまとのコミュニケーション不足による影響
  • 医療事故やインシデント発生のリスク
  • 看護師の慢性的な疲労やストレス蓄積による健康被害
  • 看護師の身体的負担によるケガや腰痛のリスク
  • 看護記録や情報管理ミスによるトラブル
  • 感染対策の不徹底による院内感染のリスク
  • 新人看護師の離職のリスク

ここでは、夜勤で受け持ちが多いときの負担とリスクについて解説します。

患者さまとのコミュニケーション不足による影響

夜勤で受け持ち人数が多いと、患者さま一人ひとりとじっくり向き合う時間が減ってしまいます。その結果、患者さまとのコミュニケーションが不足し、わずかな変化や訴えを見逃す恐れがあります。

患者さまの表情や言動から異変を感じ取る機会が減ると、病状の悪化のサインを見落とすかもしれません。また、不安や要望をしっかりと聞き取れないことで、患者さまとの信頼関係が築きにくくなり、満足度の低下にもつながります。

コミュニケーション不足は、質の高いケアを提供するうえで障害となります。

医療事故やインシデント発生のリスク

日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業2021年 年報」による医療事故の報告件数は6,583件で、その内訳は次のとおりです。

職種報告件数
医師3,362件
看護師2,730件
歯科医師114件
薬剤師59件
診療放射線技師47件
参考:医療事故情報収集等事業2021年 年報|日本医療機能評価機構

看護師の報告件数は、医師に次いで2番目の多さとなっている現状です。

受け持ち人数が増えている状況では、いくつもの業務を同時にこなさなければならないため、十分に確認できなくなることがあります。その結果、医療事故やインシデントが発生しやすくなるのです。

たとえば、薬剤の準備や投与時に確認不足が生じたり、点滴の流量設定をミスしたりするリスクが高まります。

医療事故は患者さまの生命にかかわる重大な問題であり、看護師の責任問題にもつながるため注意が必要です。

看護師の慢性的な疲労やストレス蓄積による健康被害

夜勤は生活リズムを乱しやすく、受け持ち人数が多くなると業務量も増えるため、心と身体の負担が大きくなりがちです。

日本医療労働組合連合会「2022年看護職員の労働実態調査」によると、看護師の受け持ち人数が多いほど「休日も回復せずいつも疲れている」ことがわかりました。実際に、十分に眠れないことで集中力が落ちたり、イライラしたりする看護師も少なくありません。

こうした状態が長く続くと、うつ病といったメンタルの不調や、生活習慣病につながる可能性もあるため、早めの対策が求められます。

関連記事:看護師の夜勤の働き方とは?勤務体制やメリット・デメリットを解説 

看護師の身体的な負担によるケガや腰痛のリスク

夜勤で受け持ち人数が増えると、移動介助や体位変換などの場面が多くなります。こうした負担が続くと、腰痛やケガのリスクが高まります。

たとえば、患者さまを1人で支えようとして腰を痛めてしまったり、体重の重い患者さまを体位変換しようとして、腕や肩を痛めたりするケースも珍しくありません。

十分な休憩が取れず、疲れが抜けないまま働くことで、判断力が落ち、思わぬ事故につながる可能性もあります。

看護記録や情報管理ミスによるトラブル

夜勤で受け持ち人数が多いと、限られた時間で患者さまの情報を記録・管理しなければならず、焦りからミスが起きやすくなります。

たとえば、バイタルサインの記録漏れや誤記、投薬時間の記載ミスなどが発生することがあります。さらに、申し送りの際に情報を正確に伝えきれず、トラブルにつながるケースもあるでしょう。

患者さまに安全な医療を提供するためには、正確な看護記録と情報管理が大切です。

感染対策の不徹底による院内感染のリスク

夜勤で担当する患者さまが増えると、忙しさから感染対策がおろそかになり、院内感染のリスクが高まります。

患者さまのケアやナースコール対応を急ぐあまり、しっかりと手を洗わなくなったり、アルコール消毒や手袋の交換を忘れてしまったりすることがあります。また、マスクの着用が不適切になることも、ウイルスや細菌が広がる要因です。

新人看護師の離職のリスク

夜勤で担当する患者さまが多い職場では、新人看護師が早い段階で辞めてしまう恐れがあります。というのも、十分なサポートを受けられず、不安やストレスが大きくなるためです。

質問しづらい雰囲気や緊急時に先輩看護師からのフォローがない職場では、孤立感や自信喪失につながり退職したという実例もあります。

新人看護師が辞める→人手不足→夜勤の負担増…まさに“負のスパイラル”が起きるのです。

関連記事:看護師の夜勤時間はどれくらい?夜勤のスケジュールやメリット・デメリット 

夜勤看護師の受け持ちが多いときの対処法

夜勤で受け持ち人数が多いと感じたとき、そのまま我慢し続けるのは心身の健康やキャリアにとって良くありません。状況を改善するためには、いくつかの対処法があります。

  • 同僚と相談して協力体制をつくる
  • 受け持ちが少ない部署への異動を相談する
  • パートや非常勤など働き方を変える
  • 夜勤の負担が少ない職場への転職を検討する

それぞれの具体的な対処法を見ていきましょう。

同僚と相談して協力体制をつくる

夜勤で受け持ち人数が多いと感じた場合、同僚と相談し、助け合う体制を整えることが大切です。

たとえば、急変時に声をかけ合ったり、記録業務が立て込んでいるときに協力したりすることで、業務の効率が上がります。日頃からコミュニケーションを取り、お互いの状況を把握することがスムーズな連携に欠かせません。

受け持ち人数が少ない部署への異動を相談する

受け持ち人数の多さに負担を感じる場合は、ゆとりのある部署への異動を検討してみましょう。

病院内には、急性期病棟のように重症患者が多い部署があれば、回復期や慢性期など落ち着いた環境の部署もあります。今の職場が合わないと感じたら、看護師長に相談し、自分の状況や希望を伝えることが大切です。

たとえ異動が難しくても、相談することで現状を理解してもらえるきっかけになる可能性があります。

パートや非常勤など働き方を変える

夜勤の負担が大きい場合は、パートや非常勤など働き方を見直すのも1つの方法です。

たとえば、短時間勤務に切り替えたり、夜勤のないシフトに変更したりすることで、心身の負担を軽減できます。夜勤手当がない分、収入が減る可能性はありますが、無理なく働き続けるための選択肢として検討しましょう。

勤務形態の変更には病院ごとのルールがあるため、看護師長や人事担当者に相談してみてください。

夜勤の負担が少ない職場への転職を検討する

夜勤の負担が大きいと感じる場合は、負担が少ない職場への転職を検討してみてください。

無理して働き続けることは、心や身体に不調をきたし退職にもつながります。次のような夜勤のない職場がおすすめです。

  • 訪問看護ステーション
  • クリニック
  • 介護施設

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夜勤看護師の受け持ち人数が少ない職場を選ぶ4つのコツ

夜勤の負担を減らし、働きやすい職場を見つけるためには、求人を探す段階から意識したいポイントがあります。ここでは、夜勤看護師の受け持ち人数が少ない職場を選ぶためのコツを紹介します。

  • 病院のホームページや求人情報の夜勤体制や看護配置をチェックする
  • 求人サイトや口コミで実際の夜勤状況を調べる
  • 面接や病院見学で「夜勤で何人受け持ちますか?」と質問する
  • 夜勤の負担を軽減する仕組みがあるか確認する

これらのコツを実践することで、希望に合った職場を見つけられるでしょう。

病院のホームページや求人情報の夜勤体制や看護配置をチェックする

病院のホームページや求人情報を見る際は、夜勤体制や看護配置を細かくチェックしましょう。

「夜勤看護師は4名体制」「7対1看護」といった記載があれば、人数や比率を確認できます。また「固定チームナーシング制」「プライマリーナース制」などを採用している場合は、チーム内で協力体制が整っている可能性も考えられます。

病院のホームページや求人票をしっかり読み込み、気になる点はメモしておきましょう。

求人サイトや口コミで実際の夜勤状況を調べる

実際に働いている人からの口コミや評判も参考にすることが重要です。

病院の口コミサイトやSNSなどで「夜勤の受け持ち人数は実際には何人くらいか」「急な欠員時の対応はどうか」といった情報を探してみましょう。

ただし、すべての情報が正しいとは限らないため、複数の情報から検討し信じすぎないことも大切です。

面接や病院見学で「夜勤では何人受け持ちますか?」と質問する

面接や病院見学の際には「夜勤では何人受け持ちますか?」と質問しましょう。

質問する際は「差し支えなければ、夜勤の受け持ち人数についてお伺いしてもよろしいでしょうか?」のように、丁寧な言葉遣いを心がけてください。また、実際に夜勤明けの看護師さんの様子や休憩スペースの状況なども観察することで、職場環境を深く理解できます。

夜勤の負担を軽減する仕組みがあるか確認する

夜勤の受け持ち人数だけでなく、夜勤の負担を軽減する仕組みがあるかどうかも確認しましょう。

たとえば、夜勤専従のスタッフがいたり、仮眠室が整備されていたりする病院は、夜勤看護師への配慮があると考えられます。また、急な欠員時にも応援体制が整っているか、といった点も確認しておくと安心です。

働きやすい環境が整っている職場であれば、夜勤の負担も感じにくいといえます。

夜勤看護師の受け持ち人数は働く場所で変わる!負担がない職場で働こう

夜勤看護師の受け持ち人数は、病院の規模や病棟の種類、患者さまの重症度など、さまざまな要因で変わります。

受け持ち人数が多い夜勤は、医療事故のリスクを高めるだけでなく、看護師の心身にも影響します。もし、現在の職場で夜勤の負担が大きいと感じるなら、転職も含めて検討しましょう。

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<参考サイト・文献>

医療法に基づく人員配置標準について|厚生労働省

医療事故情報収集等事業2021年 年報|日本医療機能評価機構

2022年看護職員の労働実態調査|日本医療労働組合連合会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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