ナーシングホーム看護師の仕事内容7つとは?病院との違いや求人を探すコツ

公開日:2025/07/24 更新日:2025/07/25
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「ナーシングホームの看護師って、どのような仕事をしているの?」「病院勤務と何が違うの?」

このように気になっている看護師はいらっしゃいませんか。

高齢化が進むいま、医療ニーズの高い高齢者を支える施設として、ナーシングホームの役割が注目されています。看護師としての専門性を活かしながらも、病院とは異なる働き方ができる場として、転職先に検討する人も増えています。

この記事では、ナーシングホームで働く看護師の具体的な仕事内容をはじめ、病院勤務との違いや求人探しのコツ、やりがいや大変さまで、現場の実情をわかりやすく解説します。「自分に合った働き方を見つけたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。

ナーシングホーム看護師の仕事内容7つ

ナーシングホームは「日本ではまだ明確な定義はなく、一般的に介護や医療のサービスを提供する施設」とされています。看護師は、利用者さまが安心して生活できるように、次の仕事をおこなって医療的な視点から利用者さまをサポートしています。

  1. バイタルサインの測定と状態の観察
  2. 医師の指示にもとづく医療行為
  3. 服薬の管理と投薬の介助
  4. 緊急時の対応
  5. 多職種との連携
  6. 感染対策や衛生管理業務
  7. ご家族への対応

それぞれの仕事内容を見ていきましょう。

1.バイタルサインの測定と状態の観察

利用者さまの体温・血圧・脈拍などを定期的に測定し、日々の変化に注意深く目を配ることが大切です。

たとえば、いつもより体温が高い、顔色が悪い、元気がないといったサインを見逃さずに医師に報告し、必要な対応につなげます。

日々の観察を丁寧におこなうことで、体調不良の兆候を見逃さず、重症化を防ぐことも看護師の重要な役割とされています。

2.医師の指示にもとづく医療行為

ナーシングホーム看護師は、医師の指示にもとづき、次の医療行為をおこなうこともあります。

  • 点滴の管理
  • 傷や褥瘡の処置
  • 経管栄養(胃ろう等)の実施
  • 酸素投与と吸引の実施

利用者さまの状況に合わせて医療処置をおこなうことで、生活の質の維持と向上に貢献します。

3.服薬の管理と投薬の介助

利用者さまが決められた時間に正しく薬を服用できるように管理することも仕事の1つです。

薬を飲み忘れないように声をかけたり、誤嚥しないように介助したりするなど、一人ひとりの状況に合わせた工夫が必要です。

利用者さまが安心して薬を服用し、健康を維持できるようにサポートします。

4.緊急時の対応

利用者さまの体調が急に悪くなった際には、看護師が素早く対応します。ナーシングホームには医師が常駐していないケースが多いため、看護師のアセスメントと行動が求められがちです。

たとえば、利用者さまが意識を失ったとき、意識レベルや呼吸状態をチェックし、すぐに提携している医師に連絡して指示をもらいます。必要に応じて救急車を呼びます。

そのような場面に備えて、緊急時の研修を受けたり、マニュアルを確認したりして、いざというときに落ち着いて動けるようにしているのです。

5.多職種との連携

ナーシングホームでは、看護師や介護士、理学療法士、ケアマネジャーなど、さまざまな職種が協力しながら、利用者さまの健康と生活を支えています。

実際に、理学療法士からリハビリテーション中の身体状況について情報を受けてケアに活かし、介護士から食事摂取量について報告を受けて栄養状態の改善策を検討します。

多職種と協力することで、利用者さま一人ひとりに合ったケアを提供できるでしょう。

6.感染対策や衛生管理業務

利用者さまが安心して暮らせるように、感染対策や施設内の衛生管理に取り組むことも看護師の役割とされています。

季節性インフルエンザが流行する時期には、利用者さまや職員に手洗いやうがいを指導したり、ドアノブや共用スペースの消毒回数を増やしたりします。

衛生管理を徹底することで、感染症の予防につなげ、利用者さまが清潔で安心できる環境で快適に過ごせるようサポートすることが大切です。

7.ご家族への対応

利用者さまの健康状態や日々の様子をご家族に報告し、相談に対応することも、ナーシングホーム看護師の仕事の1つです。

利用者さまの体調が優れないときに、現在の状況や今後の見通しをご家族に説明したり、利用者さまの生活についてご家族からの要望や相談に応じたりします。

ご家族が抱える不安や疑問を解消し安心できるように、丁寧なコミュニケーションを心がけることが必要になります。

ナーシングホームと病院勤務との違い

ナーシングホームと病院では、看護師の役割や働き方に違いがあります。

  • 医療処置の頻度と範囲
  • 急変対応と救急搬送の考え方
  • 患者さまではなく「生活者」としてのかかわり

それぞれの特性を理解することで、自分のキャリアプランに合った職場を見つけやすくなるでしょう。

医療処置の頻度と範囲

ナーシングホームでは、病院に比べて医療処置の回数や範囲が限定的になりがちです。

胃ろうや褥瘡ケア、インスリン注射など毎日の生活にかかわる処置が中心になります。

一方で、病院では、高度な医療機器を用いた手術や処置がおこなわれます。急性期の病院であれば、その回数も多くなるでしょう。

急変対応と救急搬送の考え方

ナーシングホームでは、医師が常駐していないことが多いため、利用者さまが急変したときには看護師が初期対応をおこなうこともあります。病院では医師と協力して対応することが一般的です。

ナーシングホームの利用者さまが急に息苦しくなった場合、楽な姿勢に整えて、酸素投与を検討すると同時に、かかりつけ医への連絡や救急車を呼ぶ必要があるかを判断します。

このように、ナーシングホームでは利用者さまの命を守るため、看護師の判断力と対応力が重要です。

患者さまではなく「生活者」としてのかかわり

病院では「患者さま」として病気の治療が中心ですが、ナーシングホームでは利用者さまを「生活者」として、毎日の生活をサポートします。

食事や入浴、排泄の介助はもちろん、レクリエーションや季節のイベントをとおして、生きがいや楽しみを見つけられるようにすることがナーシングホーム看護師の役割とされています

ナーシングホーム看護師の1日のスケジュール

ここでは、基本的なナーシングホーム看護師の1日のスケジュールを紹介します。

時間業務内容
8:00出勤・情報収集・朝礼
8:30バイタルサイン測定・モーニングケア・服薬介助
9:00医師回診の準備と介助・医療処置・記録作成
12:00昼食介助・口腔ケア・服薬介助
12:30昼食休憩
13:30医療処置・巡視・介護業務のサポート、
15:00レクリエーション参加
16:00記録作成・引き継ぎ
17:00退勤

このスケジュールはあくまで一例であり、施設の規模や利用者さまの状態によって変わります。糖尿病の利用者さまが多い施設であれば、食前の血糖測定やインスリン注射の時間が組み込まれるでしょう。

ナーシングホーム看護師のやりがいとメリット

ナーシングホーム看護師には、病院勤務とは異なる独自のやりがいとメリットがあります。ここでは、代表的なポイントを紹介します。

  • 利用者さまへの丁寧なかかわり
  • 高齢者ケアの専門性の向上
  • ワークライフバランスの充実

それぞれを詳しく見ていきましょう。

利用者さまへの丁寧なかかわり

ナーシングホームでは、利用者さまが長く生活するため、看護師は一人ひとりの性格や生活習慣、趣味などを理解できます。この理解が深まるからこそ、きめ細やかなケアを提供できるのです。

たとえば、利用者さまの好みをケアに取り入れたり、体調の変化にいち早く気づいて対応したりすることで、その人らしい生活を支えるケアが実践できます。

利用者さまに「ありがとう」と感謝され笑顔を見ることは、看護師のやりがいになるでしょう。

高齢者ケアの専門性の向上

ナーシングホームで働くことで、高齢者ケアの専門性を高められます。

高齢者の身体的・精神的な特徴や認知症ケア、看取りケアなど特有の知識やスキルを習得する機会が豊富な施設が多い傾向だからです。たとえば、次のような実践的なスキルを身につけられます。

  • 認知症の利用者さまが安心できるコミュニケーション方法
  • 誤嚥性肺炎を予防するための食事介助や口腔ケアの専門的なスキル
  • 終末期の利用者さまとご家族に寄り添ったケアや看取りの支援

ナーシングホームは高齢者ケアのスキルを磨き、将来にわたって活躍できる土台を作る場所といえます。

ワークライフバランスの充実

ナーシングホームは、病院と比較して緊急入院が少なく、残業もあまりないため、プライベートの時間を確保しやすいです。

平日の夜に趣味の時間を持ったり、週末に家族と過ごす時間を増やしたりできます。

趣味や家族との時間を大切にしたい方にとって、ナーシングホームは働きやすい職場です。

ナーシングホーム看護師の大変さとデメリット

ナーシングホーム看護師にはやりがいがある一方で、大変だと感じる側面やデメリットもあります。

  • 医療行為のスキルの低下
  • 医師が不在のなかでの急変対応
  • 介護業務との役割分担の難しさ

これらを事前に理解することで、入職後のミスマッチを防げるでしょう。

医療行為のスキルの低下

ナーシングホームでは、病院と比較して高度な医療行為をおこなう機会が少ないため、医療処置のスキルが低下する恐れがあります。

採血や点滴、医療機器の操作など病院でよくおこなっていた手技から離れると、スキルが鈍ることを気にする看護師もいます。

医師が不在のなかでの急変対応

ナーシングホームでは、利用者さまが急変した際には看護師が初期対応をおこなう場合もあります。

利用者さまが急に胸の痛みを訴えた場合、看護師は状況を判断し、かかりつけ医に連絡したり、必要なときは救急車を呼んだりします。

病院のように医師にすぐに相談できないため、判断に悩みストレスを感じる看護師もいるでしょう。

介護業務との役割分担の難しさ

病院では看護師が介護業務することもありますが、ナーシングホームでは介護士がおむつ交換や食事介助を担当します。

ただし、状況によっては看護師が介護業務をおこなうことで、介護業務に時間を取られ、本来の看護業務に集中できないことがあります。具体的には、次のような事例が考えられます。

  • 食事介助に手を取られ服薬管理が後回しになる
  • 入浴対応で医療物品の管理を進められない
  • 介護士が手薄な場合、介護業務を看護師が担い負担となる

介護業務との役割分担があいまいになると、看護師の負担が増えるという大変さがあります。

ナーシングホーム看護師の年収

ナーシングホーム看護師の年収は、400万円~550万円程度が目安です。

一般的に、病院勤務の看護師と比べると低めだといわれますが、働く施設の種類や地域などによって差があります。

また、医療ニーズが高い利用者さまが多いナーシングホームでは、専門的なスキルが求められる分、年収も高くなる傾向があります。

ナーシングホーム看護師に向いている人の特徴

ナーシングホーム看護師として活躍できる人には、次のような共通点があります。

  • 高齢者ケアに興味がある人
  • 病院勤務に疲れた人・ゆったり看護したい人
  • 多職種協働が得意な人
  • 介護・生活支援にも柔軟に対応できる人

ただし、ここに挙げた特徴に当てはまらなくても心配いりません。ナーシングホームでの経験を重ねるうちに慣れるでしょう。

高齢者ケアに興味がある人

ナーシングホームは高齢者が生活する場であるため、人生に寄り添い、安心して過ごせるようにサポートしたいと思う人に向いています。

たとえば、認知症の利用者さまが安心できるように、好きな歌を一緒に歌ったり、思い出話に耳を傾けたりすることにやりがいを感じる人です。

高齢者の身体や心の特徴を理解し、残された時間を豊かにしたいという思いがある人にぴったりの職場でしょう。

病院勤務に疲れた人・ゆったり看護したい人

病院の忙しさや不規則な勤務に疲れた看護師には、ナーシングホームでの勤務が向いているかもしれません。

ナーシングホームは、緊急対応が少なく落ち着いた環境で働けます。利用者さまとゆっくり会話をしたり、レクリエーションに参加したりする時間もとれます。

じっくり寄り添うケアをしたい人にとって、やりがいのある職場といえるでしょう。

多職種協働が得意な人

ナーシングホームでは、さまざまな専門職と協力して利用者さまをサポートします。

専門性を尊重し、積極的にコミュニケーションを取ってケアを進められる人は、ナーシングホームでの勤務に向いています。

介護・生活支援にも柔軟に対応できる人

ナーシングホームでは、医療ケアだけでなく、食事や排泄の介助、レクリエーションの支援など生活全般のサポートも看護師の役割です。

たとえば、利用者さまの髪を整えたり、一緒に散歩したりといったかかわりにも前向きに取り組める人が向いています。

生活支援も大切なケアの一部だと考え、柔軟に対応できる人は、ナーシングホームで活躍できるでしょう。

ナーシングホーム看護師の求人を探すコツ

ナーシングホーム看護師として理想の職場を見つけるためには、積極的に情報収集をおこなうことが大切です。

  • 求人情報で「施設の種類」と「医療体制」を確認する
  • 施設見学や職場体験に参加する
  • 口コミや評判をチェックする
  • 求人サイトや転職エージェントを活用する

それぞれのポイントを知って、自分に合った職場を見つけるための参考にしてください。

求人情報で「施設の種類」と「医療体制」を確認する

ナーシングホームは、医療的なサポートが必要な方が入所する施設ですが、その種類はさまざまです。

たとえば「医療特化型ナーシングホーム」であれば医療処置の機会が多くなる傾向にあります。「看取りケア重視」と記載があれば、終末期ケアにかかわる場面が多いことが想定されます。

求人情報だけでなく、施設のホームページも確認して、医療体制や提供しているサービス内容を把握しましょう。

施設見学や職場体験に参加する

ナーシングホームへの転職を検討する際には、施設見学や職場体験に参加することをおすすめします。自分の目で見て肌で感じることで、入職後のミスマッチを防げるからです。

  • 職場の雰囲気や人間関係
  • 利用者さまの様子
  • スタッフ間の連携

これらの情報は、長く働き続けるために重要です。機会があれば積極的に参加しましょう。

口コミや評判をチェックする

インターネットには、実際にその施設で働いている人や、働いていた人の口コミや評判が掲載されることがあります。

施設の大変な点といったリアルな情報を把握できるため、参考にすることをおすすめします。ただし、個人の意見であるため、複数の情報源から確認してください。

求人サイトや転職エージェントを活用する

ナーシングホームの求人は一般的な求人サイトだけでなく、看護師専門の転職サイトや転職エージェントでも扱われています。

転職エージェントを利用すると、非公開求人の紹介のほかに、面接対策や給与交渉などをサポートしてくれるため効率的に転職活動を進められます。

ナーシングホーム看護師についてのよくある質問

ここでは、ナーシングホーム看護師についての疑問や悩みに回答します。

Q1:ナーシングホームと特別養護老人ホーム(特養)の違いは何ですか?

ナーシングホームという名称には法的な定義がなく、施設によっては特別養護老人ホーム(特養)を「ナーシングホーム」と呼ぶケースもあります。

ただし、特別養護老人ホームは「介護保険法」に基づく介護福祉施設であり、原則として要介護3以上の方が入所対象です。

一方で、ナーシングホームには法的な分類がなく、医療依存度の高い高齢者向けの住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅が該当する場合もあります。

名称が似ていても制度上は異なる施設であるため、混同しないように注意しましょう。

関連記事:特別養護老人ホームの看護師の役割4つ!1日の流れやきつい理由も解説 

Q2:未経験・ブランクありでもナーシングホームでも働けますか?

未経験やブランクがある看護師さまもナーシングホームで働くことは可能です。

ただし、施設によっては医療依存度の高い利用者さまが多い場合もあるため、事前に医療体制や研修制度について確認しておくと安心です。

また、ブランク明けで施設勤務が不安な方は訪問看護もおすすめです。ナーシングホームと同じように、利用者さまにじっくり向き合えるため、自分のペースで働けます。先輩看護師のフォローも受けやすいため、着実にスキルアップできるでしょう。「NsPaceCareer」では、訪問看護の求人を取り揃えているため、ぜひ活用してみてください。

ナーシングホーム看護師の仕事内容は生活を支えるケア!理想の働き方を実現しよう

ナーシングホーム看護師は、医療の視点から日常生活を支える、やりがいのある仕事です。

病院勤務とは異なり、じっくりと利用者さまと向き合えるため「丁寧にかかわりたい」「ワークライフバランスを大切にしたい」と考える方に向いています。

医療行為の頻度が少ない傾向であることや、医師が不在のなかでの急変対応など大変な面もありますが、人生に寄り添い、利用者さまらしい暮らしを支えられるのは、この仕事ならではの魅力です。

自分らしい働き方を実現する選択肢として、ナーシングホーム看護師をぜひ検討してみてください。

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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