看護師の夜勤手当はいくら?相場や高い病院の5つの特徴【2025年度版】

「夜勤手当ってほかと比べて高いの?安いの?」「手当を増やしたい…どうすれば良いの?」
このように疑問を感じている看護師はいらっしゃいませんか。
夜勤は心身に負担がかかる勤務ですが、その分夜勤手当は収入を増やす大切な要素です。夜勤手当の適正額や好条件の職場を知ることは、働きがいやキャリア設計に役立ちます。
この記事では、看護師の夜勤手当の仕組みや相場、手当が高い病院の5つの特徴までを詳しく解説します。夜勤手当を正しく理解できると、より良い条件で働くためのヒントが得られるでしょう。

看護師の夜勤手当の相場
勤務 | 1回あたりの平均手当額 |
2交代制の夜勤 | 1万1,368円 |
3交代制の準夜勤 | 4,234円 |
3交代制の深夜勤 | 5,199円 |
看護師の夜勤手当は、勤務形態や病院の種類によって異なります。相場を知ることは、現在の手当が適正であるか、また転職を検討する際にどの水準を目指すべきかを判断するために必要な情報です。ここでは、2交代制と3交代制それぞれの夜勤手当の平均額を見ていきましょう。
2交代制の夜勤の手当は平均1万1,368円
年度 | 1回あたりの平均手当額 |
2019年 | 1万1,026円 |
2020年 | 1万1,286円 |
2023年 | 1万1,368円 |
2交代制夜勤の1回あたりの平均手当額は、2023年で1万1,368円です。過去のデータと比較すると、夜勤手当は増加傾向にあります。
3交代制の準夜勤の手当は平均4,234円
年度 | 1回あたりの平均手当額 |
2019年 | 4,141円 |
2020年 | 4,154円 |
2023年 | 4,234円 |
3交代制の準夜勤の1回あたりの平均手当額は、2023年で4,234円です。こちらも少しずつ増加しています。
3交代制の深夜勤の手当は平均5,199円
年度 | 1回あたりの平均手当額 |
2019年 | 5,033円 |
2020年 | 5,122円 |
2023年 | 5,199円 |
3交代制の深夜勤の1回あたりの平均手当額は、2023年で5,199円です。準夜勤と同様に、緩やかな上昇が見られます。
看護師の夜勤手当の仕組みと計算方法
看護師の夜勤手当とは、夜間働いた際に支給される追加の賃金です。夜勤手当の金額は、労働基準法で定められた「深夜割増賃金」と「病院独自の規定による加算」によって変わります。
手当額は病院ごとに差があるため「自分の手当は妥当なのか?」と不安に感じる方も少なくありません。自身の夜勤手当がどのような仕組みで決められているのかを知って、納得して働くための一歩にしてください。
労働基準法で定められた「深夜割増賃金」
「深夜割増賃金」は、夜勤手当のベースとなる、国が義務づける最低限の割増賃金です。夜間に働く看護師の心身への負担を考慮し、保護するために法律で定められています。
22:00から翌5:00までの時間帯に勤務した場合、通常の給料に25%以上の上乗せが労働基準法(第三十七条)で義務づけられています。
たとえば、通常の時間給が2,000円であれば、最低でも2,500円になる計算です。看護師の夜勤はこの深夜時間帯を含むため、すべての病院でこの深夜割増賃金が適用されます。これは、病院が独自に定める夜勤手当とは別途で、必ず支払われる賃金なのです。
病院独自の規定
労働基準法の25%割増賃金に加え、多くの病院では独自の夜勤手当が加算されます。この「病院独自の規定」による加算こそが、病院によって夜勤手当の総額が異なるおもな理由です。
たとえば、ある病院では一律5,000円、別の施設では勤務時間や業務内容に応じて変動するなど、具体的な金額は病院や施設によりさまざまです。
また、日本看護協会「2023年病院看護実態調査」によると、夜勤回数に応じて手当を支給している病院(20.5%)もあるようです。この独自の加算額が大きいほど、看護師の夜勤手当の総額は高くなる傾向にあります。
看護師の夜勤手当が高い病院の5つの特徴
夜勤手当は、看護師の収入を大きく左右する要素の1つです。どのような病院が高い手当を設定しているのか、その特徴を知ることが重要です。
- 急性期病院や救急対応のある医療機関
- 民間の病院・法人が運営する施設
- 夜勤専従看護師を積極的に募集している病院
- 人手不足・離職率が高めの環境
- 夜勤回数が多い契約条件の職場
高い手当には、それなりの理由や背景があります。ここでは、夜勤手当が高い病院の特徴を5つ紹介します。
急性期や救急対応のある病院は高額夜勤手当が期待できる
夜勤手当が高い病院は、急性期病院や救急対応のある医療機関が多い傾向です。その理由は、緊急性が高く、看護師の専門知識や判断力を求められるからです。
ICUやCCU、救命救急センターなどでは常に緊張感の高い状態で勤務するため、その業務負担に応じて手当も高めに設定されています。この責任の重さと多大な労力に対して、その分手当も手厚く設定されていると考えられています。
民間病院や医療法人は夜勤手当が手厚い傾向にある
夜勤手当が高い傾向にあるのは、民間の病院や法人が運営する施設です。これらは、公立病院に比べて給与体系の自由度が高いからです。
具体的には、福利厚生の一環として夜勤手当を手厚くしたり、看護師の定着を図るために高額な手当を設定したりするケースが見られます。民間の施設ならではの柔軟な運営が、看護師の収入アップにつながる要因の1つです。
夜勤専従を募集する病院はインセンティブが高くなりやすい
夜勤手当が高い病院の特徴として、夜勤専従看護師を積極的に募集している点が挙げられます。これは、病院が夜間の看護体制を安定させるために、この働き方をする看護師を必要としているためです。夜勤専従看護師は、夜間の人手不足を解消する貴重な存在なのです。
慢性的な夜間の人材不足に悩む病院では、通常の夜勤手当に加えて「夜勤専従手当」といった特別な加算を設け、高いインセンティブで募集をかけるケースが見られます。
もし夜勤手当を重視するなら、夜勤専従の求人に注目してみるのも良いでしょう。
離職率が高い病院は手当で人材を確保しているケースもある
人手不足や離職率が高めの病院は、夜勤手当が高い可能性があります。これはメリットに見えますが、その背景には、残っている看護師への業務負担が集中しやすいという背景があります。現場の看護師のモチベーションを維持するために、夜勤手当を厚く設定している場合があります。
たとえば、夜勤のシフトが埋まらず、1人当たりの夜勤回数が増えている病院では、手当が高くなっているかもしれません。ただし、このような環境では働き続けられない可能性があるため、手当の金額と業務量とのバランスの見極めが大切です。
夜勤回数が多い契約条件なら手当が高額になりやすい
夜勤手当が高い病院のなかには、夜勤回数が多くなることを前提とした契約のところがあります。
実際に、月に8回以上の夜勤に入る代わりに、1回あたりの手当が通常より高く設定されているケースもあります。夜勤手当を重視する看護師にとってはプラスになる選択肢ですが、体力的な負担も考えなければなりません。
関連記事: 看護師は夜勤で何している?8つの業務内容ときついときの対処法
看護師が夜勤をするメリット・デメリット
夜勤手当による収入アップは魅力的である一方で、生活リズムの乱れや身体的・精神的な負担などデメリットもあります。これらをしっかりと比較検討し、ライフスタイルやキャリアプランに合った働き方の選択が大切です。
看護師が夜勤をするメリット
看護師の夜勤勤務には、多くの利点があります。
- 給与アップが見込める
- 時間を有効活用できる
- スキルアップにつながる
とくに、収入面での恩恵は大きく、日勤のみの働き方にはない経済的な余裕を得られます。また、夜間ならではの業務経験は、看護スキルを向上させる貴重な機会にもなります。
看護師が夜勤をするデメリット
夜勤は収入増加やスキルアップといったメリットがある一方で、看護師の心身に負担をかける可能性もあります。
- 体調を崩しやすい
- プライベートとの両立が難しい
- 緊急時の対応が多い
夜間は日中に比べて少人数で緊急対応にあたる機会が増えるため、精神的なプレッシャーも大きくなりがちです。夜勤の頻度や自身の体力、生活環境をしっかりと考えて、無理のない働き方を選ぶことが重要です。
関連記事:看護師の夜勤の働き方とは?勤務体制やメリット・デメリットを解説
看護師が夜勤手当を重視して転職するときのポイント
「夜勤手当を増やしたい」と考えて転職を検討する看護師にとって、情報収集は重要です。単に金額が高いだけでなく、その内訳や条件まで細かく確認しなければ、入職後の後悔につながる可能性もあります。
- 夜勤手当は「1回あたり」で記載されているか確認
- 夜勤回数の上限・平均回数もチェック
- 夜勤手当以外の諸手当も重要
- オンコールや夜間呼び出しの有無にも注意
ここでは、夜勤手当の表示方法や夜勤回数、オンコールの実態など夜勤手当を重視して転職活動を進める際に確認すべきポイントを解説します。
夜勤手当は「1回あたり」で記載されているか確認
求人情報で夜勤手当を確認する際は「1回あたり」の金額が明らかになっているかをチェックしてください。
「月給30万円(夜勤手当含む)」と「月給25万円+夜勤手当1回1万円」では、夜勤回数によって後者の方が高くなる可能性があります。総支給額が変わるため注意が必要です。
夜勤回数の上限・平均回数もチェック
夜勤手当が高くても、夜勤回数が少なければ収入は増えません。逆に、夜勤回数が多すぎると体力的な負担が大きくなります。
たとえば、月に何回まで夜勤に入れるのか、現場の看護師が何回くらい夜勤をしているのかなどを確認すると、入職後のギャップを減らせます。
夜勤手当以外の諸手当も重要
夜勤手当だけでなく、住宅手当や皆勤手当、通勤手当などほかの手当も確認しましょう。
基本給は同じでも、住宅手当が月3万円支給される病院とそうでない病院では、年収に36万円の差が出ます。これらの手当が充実している病院は、総支給額が高くなる可能性があります。
オンコールや夜間呼び出しの有無にも注意
オンコールや夜間呼び出しがある場合、手当の対象になるのか、その際の金額はいくらなのかも確認が必要です。
オンコール待機で1回につき2,000円、実際に呼び出された場合には別途手当が支給されるなど、具体的な規定は病院によってさまざまです。待機時間や出勤した場合の手当について、詳しく確認しておきましょう。
看護師の夜勤手当についてのよくある質問
看護師の夜勤手当についての疑問は、働き方にかかわる重要なポイントです。ここでは、看護師が夜勤手当についての疑問について、わかりやすく解説します。
Q1:夜勤手当は残業代とは別に出ますか?
夜勤手当は、残業代とは別に支払われます。残業代は、法定労働時間を超えて勤務した場合に支払われる賃金のことです。
たとえば、夜勤中に緊急入院の対応で所定の時間を超えた場合、その超過分は残業手当として、夜勤手当とは別に支払われます。
ただし、病院によってどのくらい支払われるのかは異なるため、あらかじめ病院のホームページや求人情報をチェックしておきましょう。
Q2:一般の看護師より夜勤専従の方が手当は多くなりますか?
夜勤専従看護師は、日勤と夜勤を組み合わせた勤務形態の看護師よりも、1回あたりの夜勤手当が高く設定されているところが多い傾向です。通常の夜勤手当が1万円の病院でも、夜勤専従では1万2,000円と優遇されるケースがあります。
Q3:夜勤の手当の引き上げ額は今後も増えますか?
夜勤手当の引き上げ額は、病院の経営状況や人事戦略によって異なります。全国的な平均で見ると、緩やかな増加傾向にあり、今後も増えていくことが予想されます。
看護師の夜勤手当の実態を知って自分に合った働き方を見つけよう!
夜勤手当は看護師の収入に大きく影響するだけでなく、働き方や生活の質にもかかわる大切な要素です。この記事で得た知識を参考に、自身の状況や希望に合った働き方を見つけ、充実した看護師生活を送りましょう。
夜勤の負担を感じるようになってきたら、それはキャリアを見直すサインかもしれません。生活リズムを整えながら、専門性を活かせる訪問看護という働き方もあります。
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<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。