【看護師の面接対策】「10年後の自分は?」の好印象な伝え方4つと例文

看護師の面接を控え「どのような質問をされるのか」と不安を感じていませんか。
なかでも「10年後の自分はどうなっていたいですか?」という質問に、どう答えれば好印象なのか迷う看護師も多いでしょう。
10年後の姿について質問されるのは、採用担当者に明確な意図があるためで、その意図を押さえた回答を準備することが大切です。
この記事では、看護師の面接で「10年後の自分」を聞かれる理由や答え方のコツ、例文を紹介します。自分の考えを整理でき、面接で自信を持って想いを伝えられるはずです。
10年後の自分について看護師の面接で聞かれる理由
「10年後の自分はどうなっていたいですか?」と聞く採用担当者の意図は、次のとおりです。
- 長く働いてくれそうか
- どのようなキャリアプランを意識しているか
- 病院・施設との相性は合いそうか
- 自分で考えて動けるか
- 大変なことにも向き合えるか
たとえば「10年後も看護師として現場で成長を続けていたい」といった前向きな姿勢を示すことで、長期的に貢献できる人材として信頼感を与えられます。
厚生労働省の「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」によると、看護師・准看護師の有効求人倍率は2.20倍である一方で、全職業は1.19倍です。つまり、看護師は人手不足の状況であるといえます。
安定して働き続ける意欲や将来性を持つ人材は、面接でも高く評価されやすい傾向であるため、長期的な視点を意識した回答を準備しましょう。
10年後の自分について看護師の面接で印象良く伝えるコツ4つ
採用担当者に「一緒に仕事したい」と思ってもらえるようなコツを4つ紹介します。
- 目指したい看護師像を具体的に話す
- キャリアプランのイメージを伝える
- 病院や施設でどのように活かせるかを明らかにする
- 具体的な行動目標と学ぶ意欲を示す
採用担当者の意図を汲んだ回答を準備し、面接で良い結果を得られるように準備しましょう。
1.目指したい看護師像を具体的に話す
まずは目指したい看護師像を明らかにすることが大切です。
これまでの経験や自己分析をもとに、なりたい姿を具体的に描いてみてください。たとえば、次のように職種や役割、価値観を盛り込むことで、熱意と方向性が伝わりやすくなります。
- 地域連携のスペシャリストになりたい
- 子どもやご家族の不安に寄り添う小児看護のプロになりたい
- 新人看護師が安心できるようにサポートする教育担当者になりたい
「立派な看護師になりたい」だけでは、採用担当者には響きません。どこでどのようになりたいのか、詳しいイメージを伝えると強く印象づけられるでしょう。
2.キャリアプランのイメージを伝える
看護師には、次のようにさまざまなキャリアパスがあります。
- 認定看護師や専門看護師などの臨床のスペシャリスト
- 看護師長や看護部長などの管理職
- 訪問看護や在宅診療で活躍する訪問看護師
- 教育に関わり後進を育てる教育職
- 保健指導や健康管理に携わる保健職
自分が進みたい方向性を考えるには、どのような選択肢があるのかを知らなければなりません。目指したい姿が明らかになったら「その姿にどうやって近づいていくのか」という道筋を示すと、10年後の自分のビジョンが見えてくるはずです。
面接の際に、この10年後の自分の姿に向かうプロセスを盛り込んで語れると、計画性と実行力があると判断され、高い評価を受けられます。
3.病院や施設でどのように活かせるかを明らかにする
10年後にどのようなスキルを身につけ、病院や施設にどう貢献できるかを伝えると、即戦力としての期待感が高まります。
たとえば「教育体制を活かして成長し、後輩の指導に貢献したい」「看護研究に携わりながら、チーム全体の質の向上に寄与したい」など、求められる人物像と自分のキャリアビジョンを重ねて伝えると効果的です。
また、応募先の特徴や理念をふまえて「この職場だからこそ実現したい」といった前向きな意欲を加えると、説得力ある志望動機になります。
4.具体的な行動目標と学ぶ意欲を示す
「急性期医療の知識を深めるために勉強会に参加したい」「看護研究に取り組んで現場のケアに活かしたい」など、日々の業務にどう成長を取り入れていくかを伝えることが大切です。
また、いきなり10年後を考えるのではなく「5年後には後輩指導ができるようプリセプター制度を学ぶ」といった段階的な目標があると、計画がしっかり立てられている印象を与えられます。
はっきりとした道筋と学ぶ姿勢を示すことで、採用担当者にアピールできるでしょう。
「10年後の自分」を看護師の面接で聞かれたときの例文【立場別】
面接で「10年後の自分」について質問されたときは、立場に応じた視点で伝えることが大切です。
- 看護学生の場合
- 若手の看護師が転職する場合
- ベテラン看護師が転職する場合
- ブランクがある看護師の場合
それぞれの状況にふさわしい目標と行動計画を盛り込むことで、採用側に「この看護師と働きたい」と思ってもらえる可能性が高まります。詳しく見ていきましょう。
看護学生の場合
<回答例> 10年後は、地域医療に貢献できる看護師になっていたいと考えています。まずは基本的な看護技術と臨床での判断力をしっかりと身につけ、経験を積んだあとは、患者さまの生活により近い場である在宅医療にかかわりたいと思っています。看護学校で学んだ多職種連携や、患者さまの生活に配慮したケアの重要性を、実践で深めていきたいです。 |
まだ臨床経験がない看護学生の場合でも、将来どのように働いていきたいかを伝えることで、主体性や意欲をアピールできます。明確なビジョンを持つことで、採用担当者に「将来の成長が楽しみな人材」と受け取ってもらえ、就職活動を有利に進められます。
若手の看護師が転職する場合
<回答例> 10年後にはリーダーシップを発揮し、チーム全体のケアの質を高められるような看護師になりたいと考えています。急性期病棟で得た観察力や状況判断力を活かし、貴院の教育体制や多職種連携の機会を通じて、組織マネジメントや後輩指導についても経験を積んでいきたいです。将来的には、現場の声に沿った働きやすい職場づくりにも貢献できるようになりたいです。 |
ある程度の経験を積んだ若手看護師は、これまでのスキルをどう高めていきたいか、どのような役割を担いたいかをしっかりと伝えましょう。転職後にどのような環境で学び、組織にどう貢献したいかまでを話すと、実現性の高いキャリアプランとして好印象です。
ベテラン看護師が転職する場合
<回答例> これまで培ってきた回復期リハビリテーション病棟での経験を土台に、10年後には在宅看護の分野で専門性を深め、医療と生活をつなぐ役割を担いたいと考えています。複数の疾患を抱える患者さまのケアに力を入れ、チームの看護力を高める支援役となれるよう努めたいです。また、これまでの現場経験をもとに、後進育成にも積極的にかかわっていきたいと思っています。 |
経験豊富なベテラン看護師は、今後どのような専門性を深めたいか、またチームや地域にどう貢献していきたいかを語ることで、即戦力としての期待感を高められます。
近年、在宅での医療ニーズが高まるなか、ベテラン看護師が担える役割も広がっています。
これまでの経験を活かして地域医療に貢献したい方は、訪問看護を検討してみてはいかがでしょうか。訪問看護に特化した求人サイトである「NsPaceCareer」をご活用いただければ、自分に合った働き方や希望する環境の職場が見つかるはずです。
ブランクがある看護師の場合
<回答例> しばらく臨床を離れていましたが、10年後には集中治療室の現場で、幅広い疾患や生活背景に応じたケアができる看護師になりたいと考えています。復職後はまず、貴院の研修制度を活用しながら基礎を学び直し、現場に少しずつ適応していきたいです。そのうえで、実践を通して自信と判断力を養いながら努力を続けていきたいと思います。 |
ブランクのある看護師は、現場復帰後にどう働きたいか、どのように努力をしてスキルを再習得していくかを前向きに伝えることが大切です。不安があっても、適応していく姿勢や、学び続けようとする意欲が伝われば、将来性のある人材として受け止めてもらえます。
10年後の自分を看護師の面接で聞かれたときの注意点
面接で「10年後の自分はどうなっていたいですか?」と質問されたときは、ただ理想を語れば良いわけではありません。採用担当者に好印象を与えるために、注意すべきポイントを知っておきましょう。
- あいまいな表現は避ける
- ネガティブな表現は使わない
- 応募先の方針とズレた内容は控える
それぞれを具体的に見ていきましょう。
あいまいな表現は避ける
「成長していたい」「人の役に立てる存在でありたい」といった抽象的な言い回しだけでは、明確なキャリア像が伝わりません。
採用担当者は、応募者がどのように職場で貢献してくれるかを知りたいため、具体的な役割やスキルを示しながら話すことが大切です。
たとえば「急性期病棟での経験を活かし、5年後にはプリセプターとして後輩を育成、10年後には管理職として病棟を支えたい」と、段階的な成長のイメージをアピールしましょう。
ネガティブな表現は使わない
転職や将来の展望を話すときに「今の職場が合わない」「長時間労働に疲れた」といった否定的な表現を使ってしまうと、消極的な印象を与えてしまいます。
たとえ事実でも、面接の場ではポジティブな動機に変えて伝えましょう。
「多様な疾患を学ぶために環境を変えたい」「生活と両立しながらスキルアップを目指せる職場で成長したい」といったように、キャリアへの前向きな姿勢を軸にすると、好印象につながります。
応募先の方針とズレた内容は控える
語るビジョンがどれほど魅力的であっても、応募先の方向性とかけ離れている内容では「この職場では実現が難しそう」と判断されてしまう恐れがあります。
たとえば、地域密着型の看護を重視している施設で「先進医療の分野でキャリアを築きたい」と話してしまうと、ミスマッチと受け取られるかもしれません。
面接前に、応募先の理念や力を入れている分野をしっかり確認しておきましょう。
「この職場でこそ叶えたい目標」としてキャリアプランを語れば、施設との相性の良さも伝わりやすくなります。
看護師の面接でよく聞かれる「10年後の自分」についての質問
面接本番で不安なく答えられるように、看護師がよく疑問に思う「10年後の自分」についての質問と対策を紹介します。万全に準備しておけば、より自信を持って面接に臨めるようになります。
Q1:看護師の面接の逆質問で10年後の自分やキャリアアップについて語るのは良いですか?
逆質問でキャリアアップや将来像に触れることは、採用担当者に良い印象を与えられます。向上心や長期的なビジョンがあると判断され、高く評価されるからです。
たとえば「10年後には皮膚・排泄ケア認定看護師の資格取得を目指しています。貴院ではそのような研修や支援制度はありますか?」といった聞き方をしてみましょう。
自分の目標と応募先との相性を確かめつつ、前向きな意欲も伝えられます。事前に施設の特徴や育成方針を調べたうえで質問できれば、より説得力のあるやり取りが可能です。
関連記事:看護師の面接の逆質問と最後に一言への対策!例文10選を紹介
Q2:中途採用の看護師の面接で「10年後の自分」以外にどのようなことを聞かれますか?
中途採用では即戦力が求められがちで、これまでの経験や職場への適応力、今後の貢献度がとくに重視されます。
そのため「10年後の自分」以外にも、過去の実績や考え方を問われる質問が多い傾向です。代表的な質問例は、次のとおりです。
- なぜ転職をしようと思ったのか
- 前職ではどのような業務を担当していたか
- チーム内での自分の役割は何だったか
- これまででもっとも印象に残った看護経験は何か
- 今後どのような働き方をしたいか
- 当院を選んだ理由は何か
- 看護師としてどのように成長したいか
こうした質問に対しては、単に事実を述べるだけでなく、エピソードを交えて自分の考えや姿勢を伝えましょう。事前に自分の経験を振り返り、答えやすい形を準備しておくと、本番も落ち着いて受け答えできます。
Q3:看護師としてのキャリアプランがない場合「10年後の自分」はどう答えれば良いですか?
はっきりとしたキャリアプランがまだ見えていない場合でも、自分が「どのような看護師でありたいか」という姿勢を自分の言葉で語ることが大切です。
たとえば「10年後も、患者さまの声に耳を傾け、信頼してもらえる看護師でありたいです」といった答えであれば、価値観や人柄が伝わり、誠実な印象を与えられます。
背伸びせず、自分の等身大の思いを丁寧に伝える姿勢が、好印象につながります。
10年後の自分を語れる看護師は面接で有利!キャリアプランをしっかり考えましょう
看護師の面接で「10年後の自分」を聞かれたとき、自分の理想や成長意欲を具体的に語れる方は、採用担当者に好印象を与えやすくなります。
将来を見据えたキャリアプランがあることは、主体的に行動できる人材としての評価にもつながります。
あいまいな表現を避け、応募先の方針に合ったビジョンを描くことがポイントです。面接前に自分の目指す看護師像や行動目標を整理し、自信を持って未来を語りましょう。
<参考サイト・文献>

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