リハビリ病院の看護師はきつい?5つの理由と後悔しない求人の選び方

「リハビリ病院の仕事って実際どうなの?」「きついって聞くけど、自分に向いてるか不安」
このような悩みや不安を感じていませんか。
この記事では、リハビリ病院のリアルな実情に加えて、やりがいや求人選びのポイントを徹底解説します。あなたに合った職場を見つけるための一歩を踏み出せるでしょう。
リハビリ病院の看護師がきついといわれる5つの理由
リハビリ病院とは、回復期や地域包括ケアの病院を指すことが多く、急性期病院での治療を終え、社会復帰に向けてリハビリテーションをおこなう医療施設とされています。
そのようなリハビリ病院で働く看護師のなかには「思ったよりも大変だった」という声もあります。5つの特徴を理解すると、その理由が見えてきます。
- 患者さまの入院期間が長く、精神的にしんどくなる
- 医療行為が少ないことに物足りなさを感じる人もいる
- 人間関係が濃く合わないとストレスになる
- 介助業務が多く体力が必要な場面もある
- 急性期よりケアの成果が見えにくくやりがいを感じづらい
こうした特徴を知らずに転職すると「こんなはずじゃなかった」と後悔することもあります。だからこそ、自分に合った職場かどうかを見極めることが大切です。
患者さまの入院期間が長く、精神的にしんどくなる
リハビリ病院では、患者さんの入院期間が2〜3か月と長くなることが多く、看護師にとって精神的な負担を感じやすい職場の可能性があります。
傷病名 | 在院日数 |
(大脳)半球の脳内出血、皮質下 | 79.6日 |
脳梗塞、詳細不明 | 72.1日 |
脳動脈の塞栓症による脳梗塞 | 68.9日 |
長く接するからこそ、患者さまの回復が思わしくないときや、ご家族の精神的なつらさに寄り添うときに、看護師も疲れてしまうことがあります。また、トラブルがあった患者さまのケアを続けることに、きつさを感じる方もいるでしょう。
医療行為が少ないことに物足りなさを感じる人もいる
リハビリ病院では、患者さまの生活を取り戻すサポートが中心になるため、点滴や採血などの医療処置はあまり多くありません。そのため、急性期病院でたくさんの医療行為を経験していた看護師のなかには「なんだか物足りないな」と感じることがあります。
とくに、急変時の対応や医療機器の操作など、医療スキルを磨きたいと思っている方にとっては、刺激が少ない環境に感じるかもしれません。
人間関係が濃く合わないとストレスになる
リハビリ病院は、リハビリスタッフや介護士など多職種が協力して患者さまをケアするため、人間関係が密になりがちです。
人間関係が良好であれば働きやすいですが、もし合わない人がいたり考え方が違ったりしてぶつかると、ストレスになることもあります。毎日顔を合わせるからこそ、小さなすれ違いでも疲れてしまうことがあるのです。
介助業務が多く体力が必要な場面もある
リハビリ病院では、病気やケガで日常生活に介助が必要な患者さんが多いため、食事や入浴の介助といった業務が増える傾向にあります。
とくに、体重の重い患者さまの移乗介助やおむつ交換などでは、身体的な負担を感じることもあるでしょう。
急性期よりケアの成果が見えにくくやりがいを感じづらい
リハビリ病院では、患者さまの回復がゆっくり進むため、ケアの成果が目に見えにくいことがあります。
急性期病院では、容態が劇的に回復する方も多く変化がわかりやすいですが、リハビリ病院では、変化を感じにくいことがあります。歩行訓練では、目に見える変化があらわれるのは、数週間から数か月かかることも珍しくありません。
そのため「自分のケアは役立っているのか」と疑問や不安を感じる看護師もいるでしょう。
リハビリ病院の看護師のやりがいとメリット
リハビリ病院の看護師の仕事は、きついと感じる側面がある一方で、やりがいやメリットもあります。
- 急変が少なくゆとりある勤務がしやすい
- 患者さんと長くかかわれるため信頼関係が築ける
- リハビリテーションを専門的に学べる
- 仕事と家庭を両立しやすい職場が多い
- 訪問看護や回復期病棟でスキルを活かせる
これらのメリットは、リハビリ病院で働く看護師が、専門性を高めつつ、豊かなキャリアを築けることを示しています。やりがいを見つけ、長く活躍できる職場を選びましょう。
急変が少なくゆとりある勤務がしやすい
リハビリ病院は、急性期病院に比べて急変が少ないため、看護師はゆとりをもって働けます。患者さま一人ひとりと向き合う時間が増え、落ち着いて仕事に取り組めるでしょう。
緊急入院や手術後の患者さま対応に追われることが少なく、業務を計画的に進められます。
患者さんと長くかかわれるため信頼関係が築ける
リハビリ病院の看護師は、患者さまと信頼関係を深く築けることにやりがいを感じられます。
たとえば、起き上がれなかった患者さまが、看護師やリハビリスタッフのサポートによって歩けるようになり「ありがとう」と退院していく姿を見るときに、患者さまとの絆を感じられるでしょう。
リハビリテーションを専門的に学べる
リハビリ病院で働くことで、看護師はリハビリテーションの知識やスキルを深められます。理学療法士や作業療法士といったリハビリテーション専門職と連携しながら働くため、最新のリハビリテーション技術や考え方を日常的に学べるからです。
実際に、患者さまの機能訓練を補助するなかで、どのような運動が効果的か、どのように介助すれば安全かといった実践的な知識を習得できます。
ケアの専門性を高めたい看護師にとって、貴重な経験を積める環境といえます。
仕事と家庭を両立しやすい職場が多い
リハビリ病院は、仕事と家庭を両立しやすい傾向にあります。というのも、残業が少ないため、定時で帰りやすい職場が多いからです。
また、子育て中の看護師への理解があり、時短勤務や日勤のみの勤務など多様な働き方に対応している病院もあります。家庭と仕事のバランスを重視する看護師にとって、働きやすい環境といえます。
訪問看護や回復期病棟でスキルを活かせる
リハビリ病院で培った知識やスキルはさまざまな分野で活かせます。患者さまの在宅復帰を支援するためには、リハビリテーションの視点を持つことは不可欠です。
たとえば、患者さまの自宅での療養を想定した生活指導や、福祉用具の活用についてのアドバイスなど、退院後の生活を見据えた支援は、訪問看護や回復期病棟でのケアで役立ちます。
キャリアパスを広げるうえでも、リハビリ病院での経験は強みとなるでしょう。
関連記事:訪問看護におけるリハビリテーションとは
リハビリ病院の看護師の仕事内容
リハビリ病院の看護師の仕事内容は、患者さまの日常生活の支援や多職種との連携が中心です。次の3つのポイントを解説します。
- 日常生活動作の支援や生活リハビリが中心
- リハビリスタッフとの情報共有やカンファレンス
- 患者さまとご家族への退院支援
看護師は患者さまの自立を促し、生活の質の向上に貢献します。一人ひとりに寄り添う、やりがいのある仕事といえます。
日常生活動作の支援や生活リハビリが中心
リハビリ病院の看護師は、患者さまの日常生活動作の支援や生活リハビリが中心におこないます。具体的には、次のように患者さまをサポートします。
- 嚥下機能が低下している患者さま:とろみをつけた食事への変更やむせにくい姿勢の指導
- トイレ動作の自立を目指す患者さま:排泄のタイミングの記録や移乗動作の練習
- 歩行訓練をする患者さま:転倒を予防するための見守り
このように、患者さまの自立を促し、生活の質を高めることが看護師の重要な仕事です。
リハビリスタッフとの情報共有やカンファレンス
リハビリ病院の看護師にとって、リハビリスタッフとの情報共有やカンファレンスは欠かせません。
その理由は、リハビリテーションの効果を上げるためには、看護師とリハビリスタッフが連携し、患者さまの状況や目標を共有することが不可欠だからです。
たとえば、歩行訓練について、看護師からは病棟での歩行時の様子、リハビリスタッフからは見守る際の注意点を共有し、安全で効果的な計画を立てるために意見交換します。多職種との連携により、患者さまにとって最善のケアを提供できます。
患者さまとご家族への退院支援
リハビリ病院の看護師にとって、患者さまとご家族への退院支援も重要な仕事です。具体的に、次のようにサポートします。
- 在宅での生活環境の調整
- 介護サービスの利用調整
- 福祉用具の導入支援
実際に、転倒予防のために自宅に手すりの設置を提案し、申請手続きを案内することもあります。患者さまとご家族が安心して自宅で生活できるように支援をおこないます。

リハビリ病院の看護師の給料事情
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は519万7,000円です。
リハビリ病院の看護師の給料は、病院の規模や地域、経験などによって異なりますが、夜勤手当や時間外勤務手当などが減る可能性があるため、この平均年収よりもやや低くなる傾向があります。
リハビリ病院の看護師に向いている人・向いていない人の特徴
リハビリ病院の看護師の仕事は、向き不向きがあります。適性を理解し、後悔のない選択をすることが大切です。
リハビリ病院の看護師に向いている人の特徴
リハビリ病院の看護師に向いている人の特徴は次のとおりです。
- じっくり関わり回復をサポートしたい人
- わずかな変化に気づける観察力がある人
- 生活の視点でケアできる人
患者さまの可能性を信じ、共に目標に向かって努力できる看護師は、リハビリ病院で充実感を得られるでしょう。
リハビリ病院の看護師に向いていない人の特徴
一方で、次の特徴に当てはまる人は、リハビリ病院の看護師に向いていないかもしれません。
- すぐに目に見える成果を求める人
- スピード感ある環境を好む人
- 患者さまとのかかわりより業務効率を優先したい人
リハビリの現場では、患者さまの生活に寄り添いながら、回復を支えていくケアが中心です。そのため、自分の目指す働き方やキャリアと合っているかをよく考えることが大切です。
リハビリ病院の看護師の体験談
実際にリハビリ病院で働く看護師の声は、転職を考えている看護師にとって貴重な情報になります。
- 急性期から転職した看護師
- 子育て中に復帰する際にリハビリ病院を選んだ看護師
- 精神的にきつかったけど乗り越えた看護師
3つの体験談を見ていきましょう。
急性期から転職した看護師
急性期病棟で働いていた頃は常に緊張感があり、処置や急変対応に追われる日々でした。体力的にも精神的にも限界を感じ、転職を決意。リハビリ病院に移ってからは、患者さまとじっくり向き合える時間ができ、回復を一緒に喜べ、やりがいを感じるようになりました。小さな成長を実感できる毎日が、今の私の原動力になっています。 |
急性期のスピード感ある現場に疲れた方には、患者さまとのかかわりが深いリハビリ病院が向いているでしょう。
子育て中に復帰する際にリハビリ病院を選んだ看護師
育児休業明けの職場復帰にあたって、家庭と両立ができる職場を探していました。リハビリ病院は残業が少ないと聞き、思い切って応募。実際に働いてみると、ゆったりとした雰囲気のなかで患者さまとかかわれて、子どもの体調不良にも理解ある職場でした。仕事も家庭も大切にできる環境で、毎日充実しています。 |
リハビリ病院は時間に追われにくいため、家庭と両立したい看護師の復職先として人気があります。
精神的にきつかったけど乗り越えた看護師
リハビリ病院に転職した当初は、患者さまのゆっくりした回復ペースに「自分は役に立てているのか」と不安を感じ、やりがいを見失いかけた時期がありました。でも、患者さまから「あなたがいてくれて安心する」といわれたことがきっかけで気持ちが変化。信頼関係が積み重なっていくリハビリ看護の深さを知り、今では自信を持って働けています。 |
リハビリ看護は結果が見えにくい分、患者さまとの信頼関係や継続的なかかわりがやりがいになります。
リハビリ病院の看護師の求人を探すコツと選び方
後悔しないリハビリ病院の求人選びには、いくつかのポイントがあります。
- 自分の働き方に合った勤務形態を確認する
- 急性期との違いを理解して志望動機につなげる
- 見学でスタッフの雰囲気や人間関係をチェック
- 「回復期リハ」「地域包括ケア」など病棟名も意識する
自分に合った職場を見つけるために、次のコツを押さえましょう
自分の働き方に合った勤務形態を確認する
リハビリ病院の求人を探す際は、ライフスタイルや希望に合った勤務形態を確認することが大切です。
夜勤が難しい場合は日勤の求人を探したり、子育てのため時短勤務ができる病院を選んだりなど、自身の状況に合わせることで、長く働き続けられる職場を見つけやすくなります。
急性期との違いを理解して志望動機につなげる
急性期病院との違いを理解し、志望動機につなげることが重要です。
リハビリ病院では、患者さまの生活の質向上を目的としたケアが中心となるため、その点に魅力を感じていることを伝えられるからです。
具体的なエピソードを交え「急性期で培った観察力を活かし、リハビリ病院で患者さまの回復をサポートしたい」と伝えることで、より説得力が増します。
見学でスタッフの雰囲気や人間関係をチェック
求人に応募する前に、病院見学をして、職場の雰囲気やスタッフの人間関係を肌で感じることをおすすめします。
看護師同士のコミュニケーションの様子やリハビリスタッフとの連携状況など、働きやすい環境であるかを見極める良い機会となります。見学することで入職後のミスマッチを防ぎ、安心して働けるでしょう。
「回復期リハ」「地域包括ケア」など病棟名も意識する
リハビリ病院と一言で言っても「回復期リハビリテーション病棟」や「地域包括ケア病棟」など、さまざまな病棟があります。
看護師の役割や患者さまの特性が少しずつ異なるため、どのようなケアをしたいのかを明らかにして、希望する病棟の求人を選ぶことが大切です。
関連記事:回復期リハビリテーション病棟の看護師の仕事内容7つ!やりがいとメリット
リハビリ病院の看護師についてのよくある質問
リハビリ病院の看護師について、よくある質問とその回答をまとめました。
Q1:未経験でもリハビリ病院で働けますか?
未経験でも、リハビリ病院で働くことは可能です。実際に、急性期病院での経験しかない看護師や、ブランクのある看護師も採用しています。
Q2:急性期からリハビリ病院に転職するとスキルが落ちますか?
急性期病院からリハビリ病院に転職すると、医療処置の機会は減るため、一部の医療スキルを使う機会が少なくなり、スキルが落ちる恐れがあります。
その一方で、生活援助のスキルや患者さまのADLを評価する能力、多職種連携のスキルなどの専門的なスキルが向上します。そのため、スキルが落ちるのではなく、新たなスキルが身につくと考えるのが適切です。
Q3:ブランクがあってもリハビリ病院に復帰できますか?
ブランクがある看護師でも、リハビリ病院に復帰することは可能です。
リハビリ病院は、急性期病院と比較して落ち着いて働ける環境が多いため、ブランクのある看護師にとって復帰しやすい職場といえるからです。再就職支援プログラムや、配属前に基礎的な看護技術を確認できる研修を用意している病院もあります。
リハビリ病院の看護師はきついといわれることも!向いている人にはやりがいのある職場
リハビリ病院の看護師は、きついと感じる側面がある一方で、患者さまの回復を長期的にサポートできる、やりがいのある仕事です。急変が少なくゆとりをもって働け、患者さまと深く信頼関係を築けるといったメリットがあります。
もし、あなたが患者さまの生活に寄り添い、その人らしい人生を取り戻す支援をしたいと考えているなら、在宅ケアにも視野を広げてみませんか。
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<参考サイト・文献>

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