新人看護師の夜勤チェックリスト!技術・知識・持ち物まで完全ガイド

公開日:2025/07/16 更新日:2025/07/16
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「もうすぐ夜勤に入る予定だけど、1人でちゃんとできるか不安」「夜勤で失敗したらどうしよう」

このような不安を抱えている新人看護師は多いのではないでしょうか。

夜勤は、限られたスタッフで多くの患者さまをケアするため、緊張や不安を感じるのは自然なことです。

しかし、必要な知識や持ち物を事前に確認し、心の準備をしておくことで、落ち着いて夜勤に臨むことができます。

この記事では、新人看護師の方が夜勤に入る前に確認しておきたい技術・知識・持ち物のチェックリストを紹介します。このチェックリストはあくまで一例ですので、ご自身の職場の方針やマニュアルを確認のうえ、ご活用ください。

新人看護師の夜勤チェックリスト【技術・知識】

夜勤に入る前には、必要な技術や知識が身についているか、確認しておくことが大切です。「自分がどこまでできているか」を把握できると、夜勤への不安を減らし、安全に勤務する準備を整えられます。

夜勤の技術チェックリスト

夜勤は日勤と比べて勤務人数が少ないことから、自分で判断して行動する場面が多くなります。そのため、基本的な看護技術を身につけておくことが必須です。チェックリストで、必要な看護技術を確認しておきましょう。

<夜勤の技術チェックリスト>
□ バイタルサインの測定と異常値の判断ができる
□ BLS(一次救命処置)が実施できる
□ 静脈内採血が安全におこなえる
□ 点滴管理(静脈内、皮下注射、筋肉注射含む)ができる
□ 血糖測定と異常値への対応ができる
□ 酸素吸入・酸素ボンベの管理ができる
□ 口腔・鼻腔吸引が適切におこなえる
□ ネブライザーの準備と使用ができる
□ 内服介助・外用薬の使用が適切にできる
□ 食事介助ができる
□ 口腔ケアができる
□ 排泄介助ができる移乗・移送が安全におこなえる
□ 体位変換が適切にできる
□ 環境整備・ベッドメイキングができる
□ 冷罨法・温罨法が適切におこなえる

これらは、夜勤をおこなうためには欠かせない技術ばかりです。基本的な手順と注意点を理解しておくことが大切です。

夜勤の知識チェックリスト

夜勤では、1人で判断をおこなう場面が多くなるため、業務についての知識も欠かせません。次の項目をチェックして、夜勤に備えましょう。

<夜勤の知識チェックリスト>
□ 報告や相談するタイミングを理解している
□ 夜勤中の看護記録の書き方とルールを理解している
□ 夜勤帯の申し送り内容とタイミングを理解している
□ 夜間の患者観察のポイントを把握している
□ 急変時における医師への連絡方法とタイミングを理解している
□ 転倒・転落リスクの評価と予防策を理解している
□ 夜間によく使用される薬剤の作用・副作用を把握している
□ 抗菌薬・抗ウイルス薬の副作用と観察ポイントを理解している
□ アレルギー反応が出現した際の初期対応を理解している
□ 漏れ・閉塞・逆流などの点滴トラブルへの対応ができる
□ 酸素療法中の観察ポイントを理解している
□ NRSスケールなどを用いた疼痛の評価と対応方法を理解している
□ 認知症患者さまへの対応方法を把握している
□ 夜間の排泄ケアと観察ポイントを理解している

上記は、夜勤で安全な看護を提供するために基本となる知識です。不安に感じる項目があれば、夜勤に入る前に先輩看護師に確認し、理解を深めておくことが大切です。

新人看護師の夜勤チェックリスト【業務】

夜勤の業務では、限られた人数で多くの患者さまを担当するため、効率的に業務を進める必要があります。

ここでは2交代制夜勤を例に、業務の流れをチェックリスト形式で紹介します。自身の職場のスケジュールと照らし合わせて確認してみてください。

<夜勤業務のチェックリスト>
16:30 出勤・情報収集
□ 勤務開始前に患者情報を収集できる
□ 受け持ち患者さまの優先順位を判断できる
□ 定時処置や与薬のスケジュールを作成できる

17:00 申し送り
□ 申し送りを正確に聞き取れる
□ 不明な点があれば積極的に質問できる

17:30 初回ラウンド
□ 患者さまへの挨拶と状態観察ができる
□ 点滴の滴下速度や残量を確認できる
□ 酸素療法中の患者さまの機器チェックができる
□ 環境整備ができる

18:00 夕食
□ 配膳業務をほかのスタッフと連携してできる
□ 食前薬の確認と配薬ができる
□ 食事介助が必要な患者さまを適切に介助できる

19:00~20:00 夕食後ケア
□ 口腔ケアを適切にできる
□ 夕食後薬の配薬ができる
□ トイレ誘導・排泄介助ができる
□ 体位変換・おむつ交換ができる

20:00~21:30 就寝準備
□ 眠前薬の配薬ができる
□ 患者さまへの消灯説明ができる
□ 病室環境を就寝に適した状態に整備できる

21:30~翌5:00 夜間業務
□ 定期的な巡視ができる夜間の与薬・処置を時間どおりに実施できる
□ 体位変換を定時にできる
□ 看護記録を作成できる休憩時の業務引き継ぎができる

5:00〜6:00 採血
□ 採血業務を安全にできる

6:00~8:00 起床時のケア
□ 患者さまへの起床時挨拶ができる
□ バイタルサイン測定ができる
□ 朝食前の環境整備ができる
□ 配膳・食事介助ができる
□ 朝食後薬の配薬ができる

8:30~9:30 申し送り・終了
□ 夜間の状況を的確に申し送ることができる
□ 看護記録の最終確認ができる
□ 日勤看護師への引き継ぎが適切にできる

ほかの看護師と協力しながら、患者さまの安全を最優先に業務を進めることが大切です。

参考記事:看護師の夜勤時間はどれくらい?夜勤のスケジュールやメリット・デメリット

新人看護師の夜勤チェックリスト【持ち物】

初めて夜勤に入る際「何を持参すれば良いのだろう」と悩む新人看護師もいます。夜勤は長時間にわたることが多いため、業務に必要なアイテムだけでなく、体調管理に役立つ物も準備しておくことが大切です。

ここからは、夜勤で必要な持ち物をチェックリスト形式で紹介します。

夜勤で使用する基本の持ち物

日勤で使用しているアイテムは、夜勤でも使います。勤務部署の業務内容に応じて調整しましょう。

<業務に必要な持ち物>
□ 多色ボールペン油性ペン
□ メモ帳・付箋
□ ナースウォッチ
□ ハサミ
□ 医療用テープ
□ 印鑑
□ 聴診器
□ アルコール手指消毒携帯ボトル
□ 替えのマスク・手袋
<夜勤特有のアイテム>
□ 携帯用ペンライト
夜間の病室巡視では、患者さまを起こさないように配慮して確認
□ 電卓(消音機能付き)
勤務中に電卓を使用する場合は、音が出ないタイプを選択
□ 腕時計(文字盤が光るタイプ) 暗い環境でも時間を確認できるよう、文字盤が光るタイプの腕時計があると便利

夜勤の体調管理に役立つ持ち物

夜勤では、自分自身の体調管理も安全対策のひとつです。集中力を維持し、安全に勤務を続けるために、役立つ持ち物を紹介します。

<水分補給・栄養補給>
□ 水分(500ml以上)
長時間の夜勤では脱水にならないよう、普段より多めに水分を持参

□ 軽食・夜食
おにぎり、サンドイッチ、栄養補助食品など消化に良く手軽に食べられるものがおすすめ
□ 飴やガム
空腹時の糖分補給、眠気覚ましに役立つ
<仮眠・リフレッシュ用品>
□ アイマスク
□ 耳栓
□ ブランケット・カーディガン
□ 歯ブラシ・洗顔用品

日本看護協会の「夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」においても、夜勤中の覚醒度と注意力を保つために、できる限り仮眠をとることが推奨されています。短時間でも質の良い仮眠をとれるよう、自分に合ったアイテムを活用しましょう。

看護師によって必需品は異なります。先輩看護師に「どのようなものを持参しているか」を聞いてみると、より快適に仕事ができる参考になるでしょう。

新人看護師の夜勤の導入基準4つ

ここからは、一般的な夜勤導入の基準を解説します。

  • 日勤の業務が独り立ちできているか
  • 夜勤の業務の流れを把握しているか
  • 緊急時の初期対応ができるか
  • 困ったときに先輩看護師に相談できるか

実際に、新人看護師が夜勤に入る時期や基準は病院により異なるため、所属する職場の基準に従いましょう。

日勤の業務が独り立ちできているか

日勤での基本的な看護業務を1人でおこなえることが、夜勤に入る前提となります。

夜勤は日勤と比べて看護師の人数が少なく、1人あたりの業務量も多くなります。管理者が不在で先輩看護師も余裕がないため、じっくりと指導を受けることが難しい環境です。

バイタルサイン測定、与薬、処置、申し送りなど日常的な看護技術を確実に身につけておく必要があります。

また、病棟内の物品の位置を把握しておくことも重要です。たとえば緊急時には、先輩看護師から「救急カートを持ってきて」「酸素ボンベを準備して」と指示されることがあります。慌てずに対応できるよう、普段から物品の配置を確認しておきましょう。

夜勤の業務の流れを把握しているか

日勤と夜勤では、業務の流れや内容が大幅に異なります。夜勤の業務手順や時間配分について、理解しておくことが大切です。

夜勤では、日勤より多くの患者さまを受け持つケースが一般的です。複数の業務を同時に進める必要があるため、焦りが生まれやすく、ミスやインシデントが発生しやすい環境になります。

不安や焦りの多くは準備不足から生まれます。事前に夜勤の流れを把握しておくことで、当日も落ち着いて勤務に臨めるでしょう。

緊急時の初期対応ができるか

夜勤帯に急変が起こった場合、限られた人数で対応しなければなりません。そのため、新人看護師にも、緊急時の対応能力が求められます。夜勤に入る前に、次の内容を確認しておくことが重要です。

  • 救急カートの設置場所
  • AEDの使用方法
  • 応援の要請方法
  • 医師への連絡方法

患者さまの急変や緊急入院など、予期せぬ出来事が夜勤帯に起こることは、十分に考えられます。緊急時に冷静に行動するために、準備をしておきましょう。

困ったときに先輩看護師に相談できるか

夜勤では、報告・連絡・相談がより重要となります。判断に迷ったときは、遠慮せずにリーダー看護師や先輩看護師に相談しましょう。

疑問点をそのままにして業務を続けることは、患者さまの安全にかかわります。日ごろから要点を押さえた報告ができるよう練習し、スムーズに伝えられるようにしておくことが大切です。

関連記事:新人看護師のよくある悩みとは?悩んだときの対処法も解説

新人看護師が夜勤初日につまずきやすい場面と対応策

初めての夜勤では、業務の流れに戸惑うことがよくあります。

  • リーダーへの報告・連絡・相談のタイミングがわからない
  • 夜勤の記録や申し送りで時間がかかる
  • 患者さまへの声かけ・観察がうまくいかない

よくあるつまずきポイントを事前に知っておくことで、対策を立てやすくなるでしょう。ここからは、新人看護師が夜勤で直面しやすい悩みと、その対応策を解説します。

リーダーへの報告・連絡・相談のタイミングがわからない

夜勤帯は看護師の人数が少ないため、先輩看護師やリーダーが忙しそうに見えて、話しかけづらさを感じることがあります。

患者さまの安全を守るためにも、判断に迷ったときや不安を感じたときは、リーダーや先輩看護師にすぐに相談することが大切です。「どのような場合に相談すべきか」について、先輩看護師と事前に打ち合わせをしておくと安心です。

夜勤の記録や申し送りで時間がかかる

夜勤では、限られた時間の中で看護記録や申し送りをおこなう必要があります。しかし、慣れないうちは時間がかかることもあるでしょう。

夜勤帯の記録に慣れるためにも、普段から先輩看護師の看護記録を読み、どのような観点で、どの程度の詳しさで書かれているかを確認しておくことが欠かせません。

また、申し送りが長くなってしまう場合は「次の勤務者が何を知りたいか」という視点で情報を整理すると効果的です。

患者さまへの声かけ・観察がうまくいかない

「夜中に患者さまに声をかけるタイミングがわからない」「起こしてしまわないか心配」と悩むこともあります。

夜勤帯に患者さまとかかわるシーンでは、日中とは異なる配慮が必要です。消灯後に声をかける際は、同室患者さまの睡眠を妨げないよう、普段より小さめの声でやさしく話しかけましょう。照明の使い方にも注意し、患者さまが眩しく感じないように気をつけてください。

先輩看護師が患者さまとどのようにかかわっているかを観察すると、参考になります。声のトーンや距離感、タイミングなど実際のやり方を積極的に見学すると夜勤業務の悩みを解決できます。

新人看護師が夜勤に不安を感じたときの向き合い方

「夜勤に入るのが怖い」「自分にできるだろうか」という不安を抱える新人看護師は少なくありません。不安に向き合うための3つの心構えを紹介します。

  • 完璧を求め過ぎない
  • 悩みを1人で抱え込まない
  • 不安を記録して振り返る

夜勤への不安は、責任感が強い証拠でもあります。それぞれの向き合い方を知って、不安を軽減しましょう。

完璧を求め過ぎない

「夜勤が不安」「うまくできないのではないか」という不安は、多くの新人看護師が経験するものです。

完璧を求め過ぎず「今日はひとつでも新しいことを覚えよう」「前回より少しでも成長しよう」という気持ちで取り組みましょう。少しずつ経験を積み重ねることで、必ず慣れていきます。

緊張や不安で身体が固くなったときは、深呼吸をして意識的に力を抜き、リラックスすることも大切です。

悩みを1人で抱え込まない

夜勤の悩みや不安は、1人で抱え込まずに周囲に相談しましょう。

プリセプターやリーダー看護師は、新人看護師への指導やサポートの役割を担っています。「こんなことを聞いても大丈夫かな」と遠慮せず、些細なことでも積極的に相談してみてください。同じ道を辿ってきた先輩からのアドバイスは、不安の軽減に役立ちます。

また同期との情報共有も、心の支えになります。「自分だけが悩んでいるわけではない」と気づくことで、気持ちが楽になることも多いでしょう。

不安を記録して振り返る

夜勤を何度か経験しても「同じところでつまずいている」「成長していないのではないか」と不安を感じるのは、よくあることです。

その場合は、仕事中の気づきや疑問、感じた不安などを記録しておくと、自分の成長を客観的に確認できるようになります。「できるようになった」という変化を実感できれば、自信につながります。

また、記録を振り返ることで、自分がどのような場面で不安を感じやすいのか、どのような対策が効果的だったかを分析することも可能です。前向きな気持ちで夜勤に取り組み、一歩ずつ成長していきましょう。

新人看護師が夜勤を辞めたいと感じたら「日勤のみ」も選択肢に

夜勤を頑張っていると「どうしても身体がついていかない」「精神的な負担が大き過ぎる」と感じることもあります。その場合は、働き方そのものを見直すことも選択肢です。

看護師の働き方は、病棟勤務だけではありません。次のような勤務場所は、規則正しい生活を送りながら活躍できます。

  • 訪問看護ステーション
  • クリニック
  • 健診センター
  • デイサービス

夜勤のない働き方に興味を持った看護師は、まず情報収集から始めてみましょう。

NsPaceCareer」では、訪問看護ステーションの求人を豊富に取り扱っています。訪問看護の仕事内容や魅力についても学べるため、働き方を検討する際の参考にしてみてください。

新人看護師の夜勤はチェックリストを活用して不安なく取り組もう

夜勤に必要な技術や知識、業務の流れ、持ち物など、事前に確認すべき項目は多岐にわたります。きちんと準備することで、不安を軽減し、安全な看護につなげられます。

夜勤は、経験を積むことで慣れていくため、不安が大きくても1人で悩まず、先輩看護師やプリセプターと相談しながら、少しずつ成長していきましょう。

<参考文献・サイト>

夜勤・交代制勤務に関するガイドライン|日本看護協会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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