看護師1年目でつらい時期はいつ?つらくなる5つの理由と乗り越え方

「朝起きるとまた仕事のことが頭をよぎる。今日も先輩に怒られるのではと緊張する…」
看護師1年目。誰もが一度は「もう無理かも」と感じる瞬間があります。
この記事では、新人看護師が直面しがちな”つらい時期”を時期別に整理し、その原因と乗り越え方をリアルな体験談とともに紹介します。今まさに悩んでいるあなたのために、少しでも明日が楽になるヒントをお届けします。
看護師1年目でつらい時期とその理由
看護師1年目がつらいと感じやすいのは、環境の変化や業務への不慣れ、責任の増大などが重なる時期です。ここでは、具体的な時期と、その背景にある理由を詳しく解説していきます。
- 4月頃:社会人の生活リズムに慣れない
- 5~6月頃:現実とのギャップを感じやすい
- 8月~10月頃:夜勤を開始する
- 12月~1月頃:年末年始で業務量が増加する
- 3月頃:フォローがなくなる不安が強くなる
それぞれの時期に特有のつらさの理由を理解することで、事前に心構えができ、いざという時の対処法も見つけやすくなるでしょう。
4月頃:社会人の生活リズムに慣れない
4月は、学生から社会人へと生活が大きく変わる時期です。
たとえば、朝6時に起きて満員電車に揺られ、8時半には職場に着くといった新しいリズムに身体を慣らす必要があります。初めての職場では、先輩に挨拶するだけでも緊張するかもしれません。
また、患者さまのカルテの見方や点滴の準備、医療器具の名前などを先輩看護師に教わりながら「もし間違えたらどうしよう」という不安を感じるでしょう。
このように、時間管理や仕事のプレッシャー、人間関係といったさまざまな新しい要素が重なり、4月は心身に大きな負担がかかりやすい時期です
5~6月頃:現実とのギャップを感じやすい
5~6月は、希望に胸を膨らませて入職したものの、理想としていた看護と現実の医療現場のギャップに直面し、意気消沈しやすい時期です。
たとえば、「もっと患者さま一人ひとりに寄り添いたい」と思っていたのに、実際には時間に追われ、理想との違いに自信をなくしてしまうことがあります。
また、緊急時の対応では、学校で学んだ知識だけでは対応できない場面に直面し「自分は何もできない」と無力感を覚えるかもしれません。
8月~10月頃:夜勤を開始する
8月~10月は、多くの病院や施設で看護師1年目が夜勤業務を開始するため、生活リズムの急激な変化に戸惑いを感じやすい時期です。
たとえば、日中は眠ろうとしても寝られず、夜になると眠気と闘いながら点滴の管理や急変時の対応にあたるなど、昼夜逆転の生活に身体が順応できず、体調不良を引き起こしがちです。
また、夜間はスタッフの人数が少なくなるため、日勤以上にひとりでアセスメントし、行動しなければならない場面が増え、責任の重さや業務内容の違いに不安を感じることもあるでしょう。
夜間の巡回や体位変換など体力が必要となる業務も多く、日勤以上に疲労を感じやすくなります。
12月~1月頃:年末年始で業務量が増加する
12月~1月は、医療機関も多忙を極める時期です。
というのも、急患や体調を崩す患者さまが増えたり、年末年始で病院が閉まっているため、とくに大規模の病院で開いているところに患者さまが集中したりするからです。
この状況に人手不足も重なり、心身ともに疲弊してしまうことがあります。
3月頃:フォローがなくなる不安が強くなる
3月は、入職して1年が経ち、徐々に先輩看護師からの手厚いフォローが減ってくる時期です。これまで頼っていた存在がいなくなることへの不安や、本当に自分ひとりでやっていけるのかという自信のなさを感じやすくなります。
自分で考える場面が増えるため、責任の重さを改めて感じ、プレッシャーに押しつぶされそうになることがあります。
関連記事:新人看護師のよくある悩みとは?悩んだときの対処法も解説
看護師1年目の現状
看護師1年目は、理想と現実のギャップや業務のプレッシャー、新しい環境への適応など、多くの困難に直面しやすい時期です。その結果として、離職を考える人や心身の健康を害してしまう人も少なくありません。ここでは、看護師1年目の厳しい現状をお伝えします。
看護師1年目の離職率は8.8%である
日本看護協会「2024年病院看護実態調査」によると、新卒採用者(保健師・助産師・看護師・准看護師)の離職率は8.8%です。
看護師1年目の離職率が8.8%という数字は、決して低いとはいえないでしょう。これは、志を持った看護師が1年以内に職場を離れているという事実を示しており、看護師1年目が抱える困難さを物語っています。
看護師1年目で精神的疾患に悩むことがある
日本看護協会「2024年病院看護実態調査」によると、管理者が考える離職した看護師1年目のおもな退職理由は「健康上の理由(精神的疾患)」が第1位で52.5%であることが明らかになりました。
離職した半数以上が精神的な病気を理由に退職していることがわかります。
というのも、看護師1年目は慣れない業務や人間関係、夜勤などによる生活リズムの乱れから、心身ともに疲弊しやすく病気を発症するリスクがあるからです。
もし、気分が落ち込んだり、意欲が湧かなかったりするなどの症状があれば、ひとりで悩まずに誰かに相談することが大切です。
看護師1年目が来なくなった?つらい時期のリアルな体験談
ここでは、看護師1年目が実際につらいと感じたエピソードを紹介します。他者の体験談を知ることで「自分だけがつらいのではない」と感じ、共感や安心感を得られることがあります。
- 事例①:全体研修ばかりでつらい
- 事例②:ゴールデンウィ―ク明けで責任と仕事量が増してつらい
- 事例③:夜勤がうまくできずに自信を失ってつらい
- 事例④:独り立ちを求められてつらい
この事例をとおして、どのような状況でつらさを感じやすいのかを知ることで、自身の状況を客観的に見つめ直すきっかけになるでしょう。
事例①:全体研修ばかりでつらい
病院によっては、入職後の全体研修の期間が長く、なかなか実際の病棟業務に入れないことがあります。早く現場で経験を積みたいと意気込んでいた看護師1年目にとっては、座学中心の研修が長く続くことは、もどかしさや焦りにつながる場合があります。実践的なスキルを身につける機会が少ないと感じ、不安を覚えるでしょう。
事例②:ゴールデンウィ―ク明けで責任と仕事量が増してつらい
連休明けは、徐々に任される業務が増え始め、責任の重さを感じるようになる時期です。これまで先輩看護師の指導のもとでおこなっていた業務を、ひとりでおこなう場面が増えることで、プレッシャーを感じやすくなります。また、仕事量の増加に戸惑い、疲労を感じることもあるでしょう。
事例③:夜勤がうまくできずに自信を失ってつらい
夜勤は、日勤とは異なる業務内容や時間帯のため、看護師1年目にとっては大きな挑戦です。うまく対応できず、先輩看護師に迷惑をかけてしまうのではないかという不安や、自分の能力不足を感じて自信を失ってしまうことがあります。夜勤への適応には時間がかかることを理解しておきましょう。
事例④:独り立ちを求められてつらい
ある程度の期間が過ぎると、先輩看護師からのサポートが徐々に減り、独り立ちを促されるようになります。まだ十分に経験を積めていないと感じる看護師1年目にとっては、急にひとりで業務をおこなうことへの不安が大きいものです。誰に相談していいのかわからなくなり、孤独感が強まる瞬間もあるでしょう。
看護師1年目でつらい時期の乗り越え方
看護師1年目でつらいと感じたとしても、決してひとりで抱え込まないでください。状況を改善するための方法はいくつかあります。
- 自己分析をする
- 頼りになる上司や先輩看護師に相談する
- 研修や学会に参加して学ぶ
- 割り切って考える
- メンタルサポートを受けてみる
- 一時的に休職する
- 転職して職場を変える
これらの具体的な行動を知ることで、看護師1年目が次のステップに進みやすくなるでしょう。さらに、詳しい乗り越え方を知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
関連記事:看護師1年目はつらい?辞めたい理由や7つの乗り越え方を詳しく紹介
看護師1年目でつらいときに転職するメリット
看護師1年目で転職することは、一般的にはデメリットが多いと考えられがちですが、必ずしもそうではありません。早期の転職には、将来のキャリア形成や心身の健康を守るうえで、いくつかのメリットも存在します。ここでは、その利点について具体的に解説します。
- 自分に合った職場で成長できる
- 心と身体を守れる
- 「第2新卒」という強みを活かせる
- キャリアの方向性を見直すチャンス
それぞれのメリットを見ていきましょう。今のつらい状況を打開し、自分らしい働き方を見つけるヒントが得られるはずです。
自分に合った職場で成長できる
初めての職場で頑張ることも大切ですが「何か違う」と感じた場合、その違和感を放っておかずに新しい環境を探すことは、長期的なキャリア形成において重要です。
というのも、自分の価値観や得意な分野に合った職場であれば、モチベーション高く仕事に取り組め、結果として成長につながるからです。
たとえば、急性期に興味があるのに慢性期の病院に就職した場合、早期に急性期病院へ転職することで、専門的な知識やスキルを習得し、キャリアプランに沿った成長が期待できます。
また、早期にミスマッチを解消することでストレスから解放され、本来の能力を発揮できるでしょう。
心と身体を守れる
看護師1年目で転職を考える背景には、職場の人間関係や労働環境による心身の疲弊が挙げられます。
現在の職場で強いストレスを感じ、心身の健康に不安があるならば、思い切って環境を変えることは、自分を守るための賢明な判断です。
先輩看護師からの厳しい指導が負担になっている場合、プリセプター制度やメンター制度といった教育体制が整い、相談しやすい雰囲気の職場に移ることで、安心して業務に取り組めるようになります。
自分の心と身体を大切にすることは、看護師である以前に、ひとりの人間として重要です。
「第2新卒」という強みを活かせる
看護師1年目での転職は、一般的にキャリア段階での転職とは異なり「第2新卒」としての扱いを受ける可能性があります。
第2新卒は、社会人経験が浅いものの、基本的なビジネスマナーを備えており、新しい環境への適応力も高いと期待されるため、採用側にとって魅力的な人材となる場合があります。
経験が浅いことを過度に心配する必要はなく、ポテンシャルを評価してくれる職場を見つけやすいため、経験を活かしつつ、フレッシュな気持ちで再スタートを切れるでしょう。
キャリアの方向性を見直すチャンス
看護師1年目という早い段階で転職を経験することは、自身のキャリアの方向性を改めて見つめ直す貴重な機会となります。
最初の職場で感じたギャップや、実際に働いてみて初めて気づいた自分の興味や適性などを踏まえ、本当に自分が進みたい道を探れます。
さまざまな分野の医療機関や施設を検討することで「患者さまに寄り添う看護師になりたい」「集中治療室で活躍できる看護師になりたい」という目標が見つかります。
早期の軌道修正は、その後の人生において、充実感と達成感を得るための重要なステップとなるでしょう。
関連記事:看護師1年目で転職できる?離職理由や転職成功のポイントを解説
看護師1年目で転職するデメリット
看護師1年目で転職するメリットがある一方で、考慮すべきデメリットも存在します。安易な転職は、その後のキャリアに影響を与える可能性も否定できません。ここでは、転職を考える前に理解しておくべき注意点について説明します。
- ほかの看護師1年目と差ができる
- 給与や待遇が下がる可能性がある
- 転職先も合わないリスクがある
それぞれのデメリットを確認して、転職して後悔しないようにしてください。
ほかの看護師1年目と差ができる
看護師1年目で転職するデメリットのひとつとして、同期の看護師と比べて、経験値に差が生じる点が挙げられます。
というのも、早期に転職した場合、新しい職場で基礎から勉強しなければならず、結果として、同期の看護師よりも習熟度が遅れるからです。
また、職場によっては、経験年数を重視する風潮があるため、その後のキャリアアップにおいて、足かせとなるリスクも考えておかなければなりません。
給与や待遇が下がる可能性がある
看護師1年目での転職は、給与や待遇面が現状よりも悪化する恐れがあります。
とくに、経験年数が短い場合、転職先の病院や施設によっては、新卒と同等の扱いとなり、これまでの給与水準を維持できなくなる場合もあります。
住宅手当や賞与の支給額、有給休暇の付与日数など福利厚生についての条件も、転職先によっては以前よりも見劣りするかもしれません。
転職を検討する際には、給与や待遇だけでなく、仕事内容や職場の雰囲気などさまざまな条件から検討することが転職を後悔しないために重要です。
転職先も合わないリスクがある
看護師1年目で転職を決断したとしても、新しい転職先の職場環境が必ずしも自分に合うとは限りません。
事前の情報収集だけでは、職場の雰囲気や業務の進め方などの把握は難しく、入職後に「思っていたのと違った」と感じる可能性も否定できません。
再びミスマッチが生じると、短期間での再転職を考えることになりかねず、キャリア形成においてマイナスの影響を与えることも考えられます。
転職先を選ぶ際には、慎重な情報収集と自己分析が不可欠です。
看護師1年目におすすめの転職先と特徴
看護師1年目で転職を考える際、どのような職場を選ぶかは重要です。これまでの経験や、これからどのような看護師として成長していきたいかによって、最適な転職先は異なります。
- 教育体制が整っている診療科の多い病院
- 患者さまにじっくりケアできる慢性期病院
- 業務範囲が限定的で医療行為に集中できるクリニック
- 一人ひとりとかかわれ在宅医療のスキルが身につく訪問看護ステーション
ここでは、新人看護師にとって働きやすく、スキルアップしやすいと考えられる代表的な転職先と、その特徴を解説します。
教育体制が整っている診療科の多い病院
診療科が多い病院は、さまざまな症例を経験できるため、幅広い知識とスキルを習得するのに適しています。
とくに、教育体制が充実している病院であれば、看護師1年目に対する研修制度や先輩看護師によるOJT(職場内研修)が手厚く、安心して業務に取り組めます。
また、多くの看護師が在籍しているため、困ったときに相談しやすい環境であることも魅力です。
患者さまにじっくりケアできる慢性期病院
急性期病院のようなスピード感はありませんが、慢性期病院では、患者さま一人ひとりとじっくり向き合い、丁寧なケアを提供できます。
たとえば、食事や入浴といった生活援助や、機能回復に向けたリハビリテーションのサポートなどをおこなうことで、患者さまとの信頼関係を築けるでしょう。
患者さまのペースに合わせたケアを実践したい方、長期的な視点で患者さまの回復を支援したい看護師1年目に慢性期病院はおすすめです。
業務範囲が限定的で医療行為に集中できるクリニック
クリニックは、一般的に外来診療が中心であるため、病院と比較して業務範囲が限定的になります。
たとえば、内科クリニックであれば、次の基本的な医療処置のスキルを身につけられるでしょう。
- 問診の補助
- バイタルサインの測定
- 採血や注射
また、多くのクリニックでは夜勤がないため、規則正しい生活を送りたい看護師1年目にも適しています。皮膚科や眼科、耳鼻咽喉科など診療科によって求められるスキルや患者層が異なるため、関心のある専門分野のクリニックを選択すると、意欲的に働けるでしょう。
一人ひとりとかかわれ在宅医療のスキルが身につく訪問看護ステーション
訪問看護ステーションでは、患者さまの自宅を訪問し、療養上の支援や医療処置をおこないます。
たとえば、寝たきりの患者さまの清拭や排泄介助、カテーテル管理など患者さまやそのご家族とじっくりと向き合い、それぞれのニーズに合わせたケアをおこなえます。
また、在宅での医療や介護に関する知識やスキルを身につけられるでしょう。自立した看護を実践したい看護師1年目、患者さまの生活を支えることにやりがいを感じる方におすすめです。
「NsPaceCareer」は、訪問看護に特化した求人サイトであり、希望や条件から職場を検索できます。現役看護師をはじめとした在宅経験者へ無料相談もできるため、不安なく転職活動を進められるでしょう。
まとめ:看護師1年目でつらい時期は入職して10月頃まで!どうしてもつらいときは転職も視野に入れよう
看護師1年目は、環境の変化や業務のプレッシャーから、とくに入職から10月頃までがつらいと感じやすい時期です。
しかし、今回ご紹介したように、つらい状況を乗り越えるためのさまざまな方法があります。
もし、色々な方法を試してもどうしてもつらいと感じる場合は、無理に我慢せず、転職という選択肢も視野に入れることが大切です。心身の健康が第一であることを忘れないでください。
<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。