新人看護師の夜勤はいつから?5つの悩みと独り立ちの時期や基準を解説

「夜勤に入るなんて、まだ自信がない…」「ミスをしたらどうしよう」──新人看護師の多くが直面する“夜勤の壁”。この記事では、夜勤の開始時期の目安から、独り立ちまでの道のり、不安との向き合い方までを徹底的にサポートします。
新人看護師の夜勤開始時期と導入基準
新人看護師が夜勤に入る時期は、入職して2か月〜3か月目がひとつの目安です。
この頃には日勤業務に少しずつ慣れ、病棟の雰囲気や基本的な業務の流れも理解できるようになるためです。多くの場合、以下のポイントをクリアしていることが夜勤導入の基準となります。
- 患者さまの情報の正確な把握
- スムーズなケアの実施
- こまめな報告や相談
ただし、夜勤導入の時期は一人ひとりのスキル習得状況や病棟の特性、教育体制によって異なります。あくまでも一例として覚えておきましょう。
新人看護師の夜勤での5つの悩みと対処法
夜勤に対して新人看護師がとくに抱きやすい悩みは、次のとおりです。
- 急変やナースコール(看護師呼出装置)対応の不安
- 医療事故を起こすのではというプレッシャー
- 仮眠から起きられるかどうかの心配
- 日勤からの情報共有がうまくできるか不安
- 生活リズムが崩れてしまうことへの気がかり
あらかじめ対処法まで把握しておくと、いざという場面でも落ち着いて行動しやすくなります。詳しく見ていきましょう。
急変やナースコール対応の不安
新人看護師は「患者さまが急変したら対応できるか不安」「ナースコールが同時に3件鳴ったらどうしよう」と不安になりがちです。
とくに急変時は、的確な判断が求められるため、経験が浅いと焦って混乱してしまうものです。病棟の急変対応マニュアルを確認しておけば、落ち着いて初期対応ができます。
医療事故を起こすのではというプレッシャー
経験が浅く、状況を見極める力や判断に自信が持てないなかで、少人数の夜勤に入るのは、心理的プレッシャーにつながります。そのため、夜勤が始まるにあたって「自分の判断でミスをしたらどうしよう」と不安になることは、新人看護師にとって自然なことです。
たとえば「このまま点滴をつないでも大丈夫?」「トイレに行きたいといっているけど転ばないか心配」と迷ったときは、1人で抱え込まず、先輩看護師に相談してアドバイスを仰ぎましょう。
仮眠から起きられるかどうかの心配
「スマートフォンのアラームをセットしても、本当に起きられるかな」と不安になるのは、新人看護師によくある悩みです。
不安な場合は、同僚にPHS(携帯型院内電話)を鳴らしてもらうよう頼んでおくと安心して休めるでしょう。
夜勤したての頃は慣れない環境で仮眠をとれず、寝過ごせない緊張感で、かえって眠れない場合もあります。短い時間でしっかり休息できるよう、仮眠前はカフェインを避ける、アイマスクや耳栓で眠りやすい環境を整えることがおすすめです。
日勤からの情報共有がうまくできるか不安
夜勤では、ほとんどの場合で日勤より多い人数の患者さまを受け持ちます。そのため「申し送りで重要な情報を聞き逃したらどうしよう」「聞いたけど理解できないかもしれない」といった不安がつきまといます。
日勤であれば、周囲のスタッフに確認しやすいですが、夜勤では看護師の人数が限られるため、自分で判断しなければならない場面も増えます。
だからこそ、申し送り前にカルテを読んで患者さまの背景を把握しておくことが大切です。
たとえば「Aさんは発熱が続いている」と伝えられたとき、既往歴や検査値を確認しておくと、夜間の観察ポイントも明らかになります。
患者さまを観察する際に不安がある場合は、自分の視点が合っているか先輩看護師に声をかけるようにしましょう。
生活リズムが崩れてしまうことへの気がかり
「休日にずっと寝てしまって生活が乱れるのでは」と、夜勤による生活リズムの変化に戸惑う新人看護師は少なくありません。
実際、日本看護協会の「2023年度ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」によると、24歳以下の看護師のうち11.0%が夜勤の負担を理由に退職を考えると報告されています。これは、夜勤の負担が大きいことをあらわしています。
夜勤の負担を少しでも軽くするには、次の対策がおすすめです。
- 寝室は遮光カーテンを使用する
- 決まった時間に眠れる環境を整える
- 夜勤明けは無理に予定を入れず休息をとる
「自分に合った夜勤のペース」が見つかると、次第に夜勤の負担は軽減される可能性があるため、無理なく続けられる方法を取り入れてみてください。
新人看護師が夜勤で独り立ちする時期と基準
一般的には、新人看護師が夜勤で独り立ちする時期は、入職から6か月目がひとつの目安とされています。ただし、病院や病棟、先輩看護師の判断方法によって、この時期は異なります。具体的な評価の基準を見ていきましょう。
- 日勤業務をある程度こなせる
- バイタルサインの変化を理解できている
- 先輩・リーダー看護師への報告・連絡・相談ができる
- 基本的な看護技術を習得している
- 急変時の初期対応がおこなえる
なお、日本看護協会調査では明確な定義がないが、一般的には「新人看護師が、先輩看護師の指導がなくても自身で判断して看護実践ができる段階」とします。
日勤業務をある程度こなせる
まず前提となるのは、次の日勤業務を一通りスムーズにこなせるかどうかです。
- バイタルサインの測定
- 電子カルテへの記録
- 日常的なケア(清潔ケア、点滴投与など)の実施
- 医師やその他の多職種との連携
これらの業務をミスなく安定しておこなえているかどうかが、夜勤の独り立ちを判断する材料となります。先輩や教育担当者からの評価もふまえながら準備を整えていきましょう。
業務の優先順位を考えられる
夜勤では限られたスタッフで複数の業務を同時に進めることが多く、効率良く動かなければなりません。そのため、患者さまの状態や緊急度に応じて、優先順位を判断できる力が不可欠です。
たとえば、ナースコール対応中に緊急の処置依頼が入った場合「どちらを先にすべきか」を考えて行動できることが、独り立ちの指標のひとつです。
こうした判断力は、一つひとつの経験から少しずつ磨かれていくため、先輩看護師の指導を受けながら、確実に習得していきましょう。
バイタルサインの変化を理解できている
患者さまのバイタルサインに異変が見られたとき、それが何を示しているのかを理解し、次の行動につなげられる力も重要です。
夜間は医師がすぐに来られない場合もあるため「血圧が急に下がっている」といった変化に気づき、すぐに報告し対応できるという判断力が必要です。
まずは、少しの変化でも先輩看護師に報告することを習慣化すると良いでしょう。
先輩・リーダー看護師への報告・連絡・相談ができる
夜勤中は自分で判断しなければならない場面が増える一方で、すべてを1人で抱え込まず、適切なタイミングで周囲に頼る力も独り立ちに欠かせません。
「気になる症状があるけれど、このまま様子を見て良いのか不安」というとき、先輩・リーダー看護師に迷わず相談することが、患者さまの安全につながります。
迷ったときには、必ず誰かに声をかけることが、夜勤業務を安全におこなう基本です。
基本的な看護技術を習得している
夜勤はスタッフが少ないため、一つひとつの業務を自立しておこなわなければなりません。次のような看護技術は、確実に身につけておく必要があります。
- 点滴
- 採血
- 導尿
- 吸引
- 急変対応
これらの技術がスムーズにおこなえると、患者さまの不安や身体的な負担も軽減でき、夜勤でも安心してケアが提供できます。
急変時の初期対応がおこなえる
夜勤では医師が不在の時間帯もあります。とくに、急変時の初期対応力は、独り立ちの重要な基準のひとつです。その中でも、次の流れを冷静におこなえるかどうかが問われます。
- バイタルサインや状態の変化に気づく
- 人員を確保する
- 状況を説明する
- 先輩看護師の指示に従って動く
この一連の流れを落ち着いてこなせるようになることが、夜勤の独り立ちに向けたステップとなるでしょう。
新人看護師の夜勤独り立ちまでの流れ
新人看護師が夜勤を1人で任されるようになるまでには、さまざまなプロセスがあります。
- シャドーイング
- 先輩看護師のフォローで新人看護師が業務
- 少人数の受け持ち
- 独り立ち
無理なく経験を積みながら、少しずつ自信をつけていきましょう。
1.シャドーイング
まずは、先輩看護師に付き添って夜勤業務を観察する「シャドーイング」からスタートします。
夜勤業務の流れや職場の雰囲気を客観的に観察することで、全体像をつかむのが目的です。シャドーイングは、通常1~2回程度おこなわれるため、無理なく始められる安心感があります。
2.先輩看護師のフォローで新人看護師が業務
次の段階では、実際に新人看護師が夜勤業務をおこないます。
ただし、この段階でも先輩看護師がそばで見守りながらフォローに入ってくれるため、相談しやすい体制が整っています。
必要に応じてアドバイスをもらいながら、判断力や対応力を身につけていく大切な時期です。
3.少人数の受け持ち
夜勤にある程度慣れてきた段階で、受け持つ患者さまの人数を制限しながら自立を促すステップに進みます。
たとえば、通常の半分ほどの患者数を任されるため、精神的な負担を抑えながら実践的な力を養える時期です。
自分なりに優先順位をつけて動く練習ができるため、自信を育てることもできるでしょう。
4.独り立ち
先輩看護師の助言がなくても自ら判断し、患者さまに必要な看護を提供できるようになったと認められた時点で「独り立ち」となります。
夜勤において独り立ちするには、次のような能力が備わっているかが判断材料です。
- 優先順位をつけて行動できる
- 患者さまの変化に気づき対応を判断できる
- 多職種との連携を意識できる
- 急変時にも落ち着いて報告できる
こうした力を身につけていれば、1人で夜勤に臨む準備は整っているといえるでしょう。ただし、独り立ちした後でも、わからないことや不安なことがあれば確認して業務を進めてください。
新人看護師の夜勤チェックリスト
夜勤に備えるには、事前の準備、当日の心構え、終了後の振り返りが欠かせません。
ただし、夜勤後の振り返りは、経験を自信につなげる大切な時間でもあるため、うまくいかなかったことだけでなく、できたことにも目を向けるのが大切です。
下記の記事では、夜勤のチェックリストを紹介しています。うまく活用して、安心して夜勤に臨めるようにしましょう。
関連記事:新人看護師の夜勤チェックリスト!技術・知識・持ち物まで完全ガイド
新人看護師の夜勤についてのよくある質問
夜勤に関する不安や疑問は、新人看護師なら誰もが抱くものです。ここでは、よく寄せられる質問に対して回答します。
Q1:新人看護師が夜勤に入れない理由は何ですか?
新人看護師がすぐに夜勤に入れないのは、おもに次の3つが理由です。
- 技術・知識面の不足
- メンタルや体調面での配慮
- 病棟の教育方針や人員の問題
これらの理由から、多くの施設ではまず日勤で十分な経験を積んでから、夜勤に移行する体制をとっています。
Q2:新人看護師の夜勤の目標は何がありますか?
夜勤の新人看護師の目標は「安全に業務をおこなうこと」です。そのうえで、次のような力を伸ばしていくことが期待されます。
- 患者さまの小さな変化にも気づける観察力
- 判断に迷った際、適切に相談できる報告・連絡・相談の力
- 限られた時間と人員のなかで動ける優先順位の意識
これらは一朝一夕では身につかないため、夜勤ごとに目標を持って経験を重ねることが大切です。具体的な目標設定については、下記の記事も参考にしてください。
新人看護師の夜勤は不安がつきもの!少しずつ慣れていきましょう
新人看護師にとって、夜勤は心身ともに負担を感じやすい勤務であるため、不安や戸惑いを抱えて当然です。
しかし、小さな経験の積み重ねによって、自分なりのリズムや対処法が見えてきます。
焦らず、一歩ずつ慣れていくことを大切にしましょう。
それでも「夜勤がどうしてもつらい」「体調がついていかない」と感じたら、自分に合った働き方を見つけることもひとつの選択です。
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<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。