理想の看護師像を面接で聞かれる理由!面接で伝える方法と6つの例文

看護師の採用面接で「あなたの理想の看護師像は何ですか?」と聞かれるのは、珍しいことではありません。
この質問には、採用担当者が応募者の看護に対する考え方や、仕事の向き合い方を知りたいという意図があります。
厚生労働省「看護職員就業状況等実態調査結果」によると、退職した回数は「0回(39.4%)」が最も多く、次いで「1回(26.5%)」となっています。転職経験が少なく、採用面接に慣れていない看護師も多いため、いざというときに自己PRがうまくできない恐れがあります。
この記事では、採用担当者が理想の看護師像について質問をする理由や状況別の例文を解説します。面接に不安を感じている看護師も、自己PRを深めたい方も、理想の看護師像を語り、採用を勝ち取りましょう。
理想の看護師像を面接で聞かれる理由
面接官が理想の看護師像について質問するのは、いくつかの重要な理由があります。
- 看護師としての適性を判断するため
- 看護師として大切にしていることを確認するため
- 看護師としての将来像を描けているか確認するため
- 採用のミスマッチを防ぐため
それぞれの理由をしっかり押さえて、採用担当者にアピールしましょう。
看護師としての適性を判断するため
採用担当者は、理想の看護師像を通して、看護師という仕事にどれだけ適性があるのかを判断しようとしています。
応募者の考える理想の看護師像が、看護の現場で求められるコミュニケーション能力や臨機応変に対応できる能力といった資質と合致しているかを確認したいのです。
看護師として大切にしていることを確認するため
採用担当者は、看護の仕事で何を重要視しているかを知りたいと考えています。
それは、患者さま一人ひとりに親身なケアを提供することを大切に思うか、多職種との連携を重視するかといった、看護師としての価値観が病院の理念や看護部の考え方と合致するかどうかを確認するためです。
これから共に働く仲間として、同じ目標に向かって協力できるかを確かめる意図もあります。
看護師としての将来像を描けているか確認するため
採用担当者は、看護師の理想像を質問することで、将来どのような看護師になりたいと考えているのかを知りたいと思っています。
具体的には、専門性を高めて特定の分野で活躍したいのか、患者さまやそのご家族にとって心の支えとなるような存在を目指したいのかなどを確認します。
目標をしっかり持っているかどうか、そのために日々の業務でどのように学び、どのような努力をしていきたいと考えているのかを具体的に知りたいのです。
将来像を描けていることは、仕事への主体性や成長意欲の高さを示すことにつながるため、採用担当者に好印象を持たれるでしょう。
採用のミスマッチを防ぐため
採用面接において看護師の理想像を尋ねるのは、採用後のミスマッチを防ぐ重要な目的があります。
応募者の描く看護師としての理想と、病院が求める看護師像や実際の医療現場の状況が大きくかけ離れていないかを確認する必要があるためです。
たとえば、高度な専門性を追求したいという理想を持つ応募者にとって、ジェネラリストの教育を重視している職場環境である場合、入職後にギャップを感じる可能性があります。
したがって、看護師の理想像についての質問は、病院と応募者双方にとって、より長く、より満足のいく働き方を実現するための大切なプロセスなのです。
理想の看護師像を明確にするステップ
面接で自信を持って理想の看護師像を語るためには、事前にしっかりと自分と向き合い、明確にしておく必要があります。過去の経験を振り返ったり、尊敬する人の言動を分析したりするなかで、理想の看護師像が見えてくるはずです。
- ステップ1:過去の経験から「感動した看護」を掘り起こす
- ステップ2:尊敬する看護師の言動を分析する
- ステップ3:自分の強みと結びつける
- ステップ4:応募先の理念や特徴を理解する
- ステップ5:理想の働き方と照らし合わせる
5ステップについて、具体的に見ていきましょう。
ステップ1:過去の経験から「感動した看護」を掘り起こす
まず、過去に看護の現場で経験したなかで「人の温かさに触れた」「患者さまの笑顔が見られた」など、とくに心に残った出来事を思い出してください。
どのような看護師が、どのようなかかわり方をしていたかなど、当時の感情を思い起こすことで、大切にしたい看護の原点が見えてくるはずです。
詳細なエピソードを思い出すことが、理想の看護師像を形作る第一歩になります。
ステップ2:尊敬する看護師の言動を分析する
これまでに会った看護師で「患者さまの心のケアができる看護師になりたい」「急変時に的確にアセスメントして対応できる看護師になりたい」と感じた尊敬する人を思い浮かべてください。
患者さまへの接し方やチームでの役割、知識や技術の高さなど具体的にどのような点が素晴らしいと感じたのかを分析してみましょう。
尊敬する人の要素を取り入れることで、理想の看護師像が明らかになります。
ステップ3:自分の強みと結びつける
理想の看護師像が明確になったら、それを自分の強みと結びつけて考えてみましょう。
たとえば「患者さまに寄り添う看護師」が理想なら、応募者の共感性の高さや傾聴力をアピールできます。「チーム医療を大切にする看護師」が理想なら、あなたの協調性やコミュニケーション能力を強調できます。
自分の強みを理解し、理想の看護師像と結びつけることで、説得力のある自己PRになるはずです。
ステップ4:応募先の理念や特徴を理解する
応募先の病院や施設の理念や特徴をしっかりと理解することも重要です。
ホームページを見たり、病院見学に参加したりして情報収集し、どのような看護を大切にしているのか、どのような人材を求めているのかを把握しましょう。
理想の看護師像が、志望先の理念や特徴と合致している部分を強調して伝えることで、採用担当者に「この看護師はうちの病院に合っている」と感じてもらいやすくなります。
ステップ5:理想の働き方と照らし合わせる
最後に、理想の看護師像が、あなたが希望する働き方と合っているかをチェックしましょう。
専門性を高めたいのか、幅広い経験を積みたいのか、後輩看護師を教育したいのかなど、将来のキャリアプランと照らし合わせて考えます。
理想の看護師像と働き方が一致していることは、長期的なキャリア形成においても重要です。
ただし「自分の理想の看護師像がまだはっきりしない」と感じている方もいるでしょう。そのようなときは、訪問看護業界に特化した求人サイトである「NsPaceCareer」を活用してみませんか。
現役の訪問看護師に無料相談できたり、転職活動について情報収集できたりするため、自分の将来像をイメージできるきっかけになり、より良い職場を見つけられるでしょう。
面接で差がつく!理想の看護師像を伝えるポイント
面接であなたの理想の看護師像を効果的に伝えるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
- 結論から話す
- 具体的なエピソードを加える
- キャリアアップの方法をはっきりと示す
- 病院の理念や方針に沿った回答にする
それぞれのポイントを踏まえて面接に臨むと、好印象となり採用率がアップするでしょう。
結論から話す
面接で理想の看護師像について聞かれた際は、まずは結論を述べましょう。
「私の理想の看護師像は、患者さま一人ひとりに寄り添い安心を提供できる看護師です」のように、最初に理想像を明確に伝えることで、話が相手に伝わりやすくなります。
その後に、考える理由や具体的なエピソードを続けると、説得力が増します。
具体的なエピソードを加える
理想の看護師像を語る際には、具体的なエピソードを交えることが重要です。
過去の経験のなかで、理想とするケアを実践できた場面や、理想の看護師に出会った経験などを話すことで、具体的な行動や熱い思いが伝わります。
エピソードは、言葉に深みとリアリティを与えるため不可欠です。
キャリアアップの方法をはっきりと示す
面接では、将来どのように成長していきたいのかを示すことも大切です。
理想の看護師像を実現するために、どのような知識やスキルを身につけたいのか、どのようなキャリアパスを描いているのかを詳しく伝えましょう。
目標を持って努力する姿勢は、採用担当者に好印象を与えます。
病院の理念や方針に沿った回答にする
面接を受ける病院の理念や方針を事前に理解し、理想の看護師像が、その理念や方針とどのように関連しているかを意識して回答しましょう。
病院が大切にしている価値観に共感し、貢献したいという姿勢を示すことは、採用につながる重要なポイントです。
理想の看護師像を面接で聞かれたときの例文
ここでは、さまざまな状況の面接で、理想の看護師像を聞かれた場合の例文を紹介します。
- 看護学校の入試の例文
- 新卒看護師の面接の例文
- 看護師が転職する際の面接の例文
例文を暗記するのではなく、自分の体験や言葉に置き換えて採用担当者に伝えることが大切です。
看護学校の入試の例文
看護学校の入試で「あなたの理想の看護師像を教えてください」と聞かれた際の例文です。
患者さまに寄り添う看護師になりたい
<回答例> 私の思い描く看護師は、患者さんそれぞれの言葉にならない気持ちを受け止め、そっと支えられる存在です。以前、祖父が入院中に心細さを感じていた際、看護師が親身に話を聞いてくださり、祖父の表情が和らいだのを見て、私もそのような温かい看護ができる看護師になりたいと強く感じました。貴校で専門的な知識と技術を習得し、患者さんの心に寄り添える看護師を目指します。 |
患者さまの不安を和らげる看護師になりたい
<回答例> 私が目指す看護師像は、患者さんの心配な気持ちを察し、笑顔で安心感を与えられる人です。子どもの頃、入院した時に出会った看護師がいつも笑顔で優しく話しかけてくれたおかげで、心細さがなくなったのを覚えています。その経験から、私も患者さまの心の支えとなれるような看護師になりたいと思うようになりました。貴校での学びを通して、患者さんに安心してもらえる看護師になりたいです。 |
新卒看護師の面接の例文
新卒看護師の就職面接で「理想の看護師像は何ですか?」と聞かれた際の例文です。
緊急時でも冷静に対応できる看護師になりたい
<回答例> 私が理想とする看護師は、予期せぬ事態でも慌てずに状況を見極め、的確な処置ができる人です。学生時代の病院実習で、急に容体が変化した患者さまに、先輩看護師が素早く、そして正確に対応しているのを見て、私もどんなときでも患者さまのために最善を尽くせる看護師になりたいと強く思いました。貴院の高度な救急医療の現場で学び、緊急時にこそ頼られる看護師を目指したいです。 |
患者さまの状況に合ったケアができる看護師になりたい
<回答例> 私が目指す看護師は、患者さまそれぞれの状態や必要としていることをしっかり理解し、その人に合った質の高いケアができる人です。実習を通して、同じ病気でも、患者さまによって必要なケアは違うと感じました。患者さまを注意深く観察し、その時々に最善のケアを提供できるよう、貴院で多くのことを経験し、学び続けていきたいです。 |
看護師が転職する際の面接の例文
看護師が転職する際の面接で「あなたはどのような看護師になりたいですか?」と聞かれた際の例文です。
後輩育成で貢献できる看護師になりたい
<回答例> 私が理想とする看護師は、自分の経験や知識を活かして、後輩の育成に貢献できる人です。これまでの仕事を通して、教えることの重要性を感じてきました。貴院に入職した際には、これまでの経験を役立て、後輩たちが安心して成長していけるような指導をおこない、チーム全体の力を高めることに貢献したいと考えています。 |
集中治療室で患者さまの回復をサポートできる看護師になりたい
<回答例> 私が目指す看護師は、集中治療室で、状態が深刻な患者さまの変化を注意深く見守り、一日も早い回復をサポートできる、専門性の高い看護師です。集中治療室での仕事を通して、もっと専門的な知識や技術を深めたいと強く感じるようになりました。貴院の集中治療室で、患者さんの命を守る力となれるよう、自分のスキルを磨いていきたいと考えています。 |
まとめ:看護師の理想像を面接でしっかりと伝えて理想の働き方を実現しよう
看護師の面接で「あなたの理想の看護師像は何ですか?」と聞かれた際には、看護に対する熱意や、将来の目標を伝える絶好の機会です。
この記事でご紹介したステップや例文を参考に、自分の言葉で、理想の看護師像を具体的に語ってみてください。
しっかりと準備することで、自信を持って面接に臨むことができ、理想とする働き方を実現できるでしょう。
<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。