看護師の夜勤の休憩時間は?過ごし方と十分に休める職場の4つの特徴

「夜勤の休憩時間はきちんと確保されているのだろうか?」「短い休憩時間をどのように有効活用すれば良いのだろう?」
夜勤中の看護師にとって、休憩時間は単なる休息時間ではありません。疲労を回復し、集中力を維持して患者さまへ安全なケアを提供するための重要な時間です。
この記事では、看護師の夜勤における休憩時間の実態や過ごし方、仮眠をうまく取る方法をお伝えします。休憩をしっかり確保できる職場の特徴も紹介するため、負担の少ない働き方を手に入れましょう。
看護師の夜勤における休憩時間の実態
看護師の夜勤における休憩時間の実態は、勤務時間や勤務体制によって異なります。ここでは、実際の休憩時間や休憩時間を取るタイミングなどを紹介します。
看護師の夜勤の休憩時間は2時間から3時間くらい
看護師の夜勤の休憩時間は、二交代制の場合は約2時間から3時間、三交代制の夜勤では、1時間程度が目安です。
看護師は仮眠を取ったり、食事をしたりしています。それぞれの過ごし方で、業務を乗り切るためのエネルギーをチャージしています。
夜勤の休憩時間の実態について、日本看護協会の調査結果を次の表にまとめました。
病棟機能 | 夜勤の休憩時間が「きちんと取れた」と回答した割合 |
急性期病棟 | 18.7% |
地域包括・ 回復期リハビリテーション病棟 | 24.5% |
回復期リハビリテーション病棟 | 30.6% |
地域包括ケア病棟 | 10.0% |
参考:安全、健康、生活を念頭においた看護師の1ヶ月72時間夜勤規制に関する研究報告書|日本看護協会
この調査結果から、夜勤の休憩時間がとれるかどうかは病院や施設によって異なり、なかには休憩時間をしっかりと取れない職場もあるといえます。
看護師の夜勤の休憩時間を取るタイミング
夜勤中の休憩に入るタイミングは、患者さまの状態やスタッフの配置によって柔軟に調整されます。一般的には、患者さまの状態が落ち着いた、次のようなタイミングで取ることが多いようです。
- 患者さまの夕食後の時間帯
- 深夜帯
- 明け方
1回でまとめて取る場合もあれば、食事休憩や仮眠休憩として何回かにわけて休憩を取ることがあります。
また、なかには、仮眠室が用意されている職場もあり、短い時間でも質の高い休息を取れるように工夫されています。
関連記事:看護師の夜勤の働き方とは?勤務体制やメリット・デメリットを解説
看護師の16時間夜勤で休憩なしは労働基準法違反
16時間もの長時間にわたる夜勤で、休憩が与えられないという状況は、労働基準法に違反する可能性があります。
看護師の健康と安全を守るために、労働時間に応じた適切な休憩時間の確保は義務づけられているからです。
具体的には、労働基準法の第三十四条では、労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間以上の休憩時間が必要とされています。
16時間勤務で休憩なしの場合は、これらの基準を大幅に下回り、疲れが抜けないため、医療ミスにつながりかねません。もしこのような状況で働いている場合は、自分の健康や権利を守るためにも、職場への相談や専門機関への相談を検討するべきです。
関連記事:看護師の夜勤時間はどれくらい?夜勤のスケジュールやメリット・デメリット
看護師の夜勤における休憩時間の過ごし方
夜勤中の限られた休憩時間をどのように過ごすかは、その後の業務のパフォーマンスに影響するため重要です。
疲労回復を最優先にする方もいれば、リラックスして気分転換を図る方もいます。ここでは、看護師が夜勤の休憩時間をどのように過ごしているか、例をいくつか紹介します。
- 仮眠を取って過ごす
- 横になって好きなことをして過ごす
- 軽食を食べながらテレビを見て過ごす
- スキルアップのために勉強して過ごす
- ほかのスタッフと談笑して過ごす
自分に合った過ごし方を見つけるヒントにしてください。
仮眠を取って過ごす
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」によると、夜勤中の20~50分の仮眠は眠気や仕事の効率、疲労を改善するが、60分を超える仮眠を取ると、かえって仕事の効率が低下するとされています。
つまり、夜勤中の眠気対策として、短時間の仮眠は効果的といえます。
より質の高い睡眠を得るために、静かな場所を選んだり、アイマスクや耳栓などの入眠グッズを活用したりするのも有効です。
横になって好きなことをして過ごす
深夜帯の休憩時間で、必ずしも眠らなければならないわけではありません。
静かな休憩室で横になり、身体を休めるだけでも疲労回復につながります。この時間を活用して、好きな音楽を聴いたり、興味のある本を読んだりするのも良い気分転換になります。
心身をリフレッシュして、後半の業務に臨むために、自分にとって心地よい過ごし方を見つけることが大切です。
軽食を食べながらテレビを見て過ごす
夜勤中は、生活リズムが乱れやすく、食事のタイミングも難しくなります。
休憩時間に、消化の良い軽食を摂ることは、空腹を満たすだけでなく、エネルギー補給にもつながります。リラックスできる環境で、テレビを見ながら食事をすることで、気分転換にもなるでしょう。
スキルアップのために勉強して過ごす
夜勤の休憩時間を有効活用して、自己啓発に励む看護師もいます。
資格取得のための勉強をしたり、最新の医療に関する書籍を読んだりすることで、スキルアップできます。
静かな環境は集中しやすく、まとまった時間を確保できるため、学習には適しているといえるでしょう。
ただし、あくまでも夜勤中であるため、後半の業務に支障を来さない程度で、休息時間とのバランスを取りながらおこなうことが大切です。
ほかのスタッフと談笑して過ごす
休憩中にほかのスタッフとコミュニケーションを取ることは、情報交換の場になったり、精神的な支えになったりすることがあります。
共通の話題で盛り上がり、お互いの悩みや不安を共有することで、チームワークの向上にもつながるでしょう。
看護師の夜勤でうまく仮眠を取る方法
夜勤中の短い休憩時間で、質の高い仮眠を取ることは、業務の効率を左右します。ここでは、夜勤中に少しでも質の高い仮眠を取るための具体的な方法を紹介します。
- 自分に合った入眠グッズを使う
- 睡眠に向けてストレッチをする
- スマートフォンをなるべく見ない
- 眠れなくても身体を横にする
「なかなか寝つけない」「すぐに起きてしまう」といった悩みを抱える看護師は、ぜひ取り入れてみてください。
自分に合った入眠グッズを使う
快適な睡眠を得るためには、自分に合った入眠グッズを活用することが効果的です。たとえば、次のようなグッズが挙げられます。
- 光を遮断するアイマスク
- 周囲の音を軽減する耳栓
- 首や身体を楽にするネックピロー
これらのグッズを使うことで、リラックスした状態で眠りにつくことができ、短い時間でも質の高い休息を得やすくなります。色々なグッズを試して、自分に効果的なものを見つけてみましょう。
睡眠に向けてストレッチをする
仮眠前に軽いストレッチを取り入れることで、身体の緊張や疲れがほぐれ、スムーズに入眠しやすくなる場合があります。
とくに、首や肩、背中などをゆっくりと伸ばすストレッチは、リラックス効果を高めるでしょう。
ただし、激しい運動は逆に興奮する可能性があるため、リラックスを目的としたストレッチがおすすめです。
スマートフォンをなるべく見ない
寝る直前までスマートフォンを見ていると、ディスプレイの視聴距離が近くブルーライトを浴びやすくなるため、この影響で脳が覚醒し、眠りにくくなることがあります。
そのため、休憩時間に入ったら、なるべくスマートフォンを始めとしたデジタル機器の使用を控え、リラックスできるような行動を心がけましょう。
質の高い仮眠のためには、スマートフォンの使用を控えることが大切です。
眠れなくても身体を横にする
たとえすぐに眠れなくても、横になるだけでも身体の休息になります。
体力を回復させるためには、心身をリラックスさせることが重要です。静かな場所で横になり、目を閉じるだけでも、疲労の軽減になるでしょう。
看護師の夜勤で休憩時間をしっかり取れる職場の4つの特徴
夜勤で働く看護師にとって、休憩時間をしっかりと確保できる職場を選ぶことは、長く健康的に働き続けるために重要です。ここでは、休憩時間を確保しやすい職場の特徴を4つ紹介します。
- 緊急性の高い対応があまりない職場を選ぶ
- 看護師数が多い職場を選ぶ
- 休憩時間に対する理解がある職場を選ぶ
- 残業が少ない職場を選ぶ
職場のなかには「なかなか休憩が取れない」「いつもバタバタしていて休憩時間が過ぎている」といった悩みがある看護師も少なくありません。それぞれの職場の特徴を詳しく見ていきましょう。
緊急性の高い対応があまりない職場を選ぶ
急性期病院のように緊急の患者さまの対応が求められる職場と比較して、慢性期の患者さまが多い療養型病院や介護施設などでは、落ち着いて業務に取り組めます。
そのため、休憩時間を確保しやすい傾向があります。もちろん、これらの施設でも緊急対応が必要になることはありますが、頻度は急性期病院に比べると少ないと考えられます。
看護師数が多い職場を選ぶ
看護師数が多く余裕がある職場では、ひとり当たりの業務負担が軽減されるため、お互いに協力して休憩を取りやすくなります。
一方で、人手が不足している職場では、休憩に入るためのシフトをうまく組めず、休憩時間を削って業務をおこなうことも少なくありません。
ホームページや求人票でチェックしたり、採用面接のときに、夜勤の回数と看護師の配置人数について質問したりしても良いでしょう。
休憩時間に対する理解がある職場を選ぶ
職場全体として、看護師の休憩時間の重要性を理解し、積極的に休憩を取ることを推奨しているような職場は、休憩を取りやすいといえます。
管理職や先輩看護師が率先して休憩を取っていたり、休憩を取りやすいような声かけやルールがあったりする職場は、安心して働けるでしょう。
対して「仕事が残っているから休憩しない」「点滴が終わってから休憩する」などと、先輩看護師が休憩せずに仕事をしている職場は、若手看護師は休憩しづらくなるため身体と心が休まりません。
病院見学やインターンシップ参加してみて、看護師がどのように声を掛け合っているのか、職場の雰囲気を知ることが大切です。
残業が少ない職場を選ぶ
残業が多い職場では、定時で業務を終えることが難しく、結果的に休憩時間にも影響が出てしまうことがあります。
たとえば、業務終了間際に急な仕事が入ったり、記録業務が時間内に終わらなかったりすると、休憩時間が短縮されたり、休憩を取るタイミングが遅れたりしがちです。
とくに、夜勤は日勤と比べて、少ない人数で対応するため、看護師ひとりの負担は大きくなりやすく休憩時間を確保しにくいでしょう。
残業が少ない職場を選ぶことも、休憩時間をしっかりと確保するためには重要な要素となります。
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看護師の夜勤の休憩時間についてのQ&A
夜勤の休憩時間について、看護師からよく寄せられる疑問について回答します。
Q1:二交代制と三交代制で休憩時間は違いますか?
一般的に、二交代制は1回の勤務時間が長いため、休憩時間も長く設定されることが多い傾向にあります。
たとえば、16時間勤務の夜勤の場合は、2時間から3時間の休憩がある一方で、三交代制は、1時間くらいに設定されることが多い現状です。
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、実際の休憩時間は医療機関や施設によって異なります。それぞれの勤務形態の勤務時間と休憩時間のバランスを確認することが大切です。
Q2:夜勤で休憩時間が取れない場合はどうなるんですか?
夜勤中に業務が立て込み、やむを得ず休憩時間が十分に取れないという状況は、起こりうることでしょう。
しかし、慢性的に休憩時間が確保できない状況は、看護師の心身の疲労を蓄積させ、業務の質の低下にもつながりかねません。
まずは、上司や同僚に相談し、業務の効率化や人員配置の見直しなどを検討してもらうことが重要です。それでも改善が見られない場合は、休憩が取れる部署への異動を希望したり、転職も視野に入れたりするべきです。
まとめ:看護師の夜勤では休憩時間をしっかり取れ、負担が少ない職場を選ぼう
看護師の夜勤における休憩時間は、単に疲労を回復するだけでなく、安全で質の高い医療を提供するために必要な時間です。
今回の記事では、夜勤の休憩時間の実態から効果的な過ごし方、休憩がしっかりと取れる職場の特徴について解説しました。
もしあなたが現在、夜勤で十分な休憩を取ることが難しく、心身の負担を感じているのであれば、今回ご紹介した情報が、より良い職場環境を選ぶための一助となれば幸いです。自分の健康と働きがいを守るために、休憩時間をしっかりと確保できる、負担の少ない職場を選ぶことを検討してみてください。
<参考サイト・文献>

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