新人看護師が直面するストレス7選!つらい気持ちを乗り越える方法

先輩の厳しい指導、終わらない業務、不安で眠れない夜…。
新人看護師の多くが、この時期に心も身体も疲弊しています。
この記事では、今まさに悩んでいるあなたが少しでも楽になれるよう、ストレスの原因と対処法をわかりやすく解説します。
新人看護師がストレスを感じやすい場面7選
新人看護師は、先輩や上司との関係性や自身の能力などにストレスを感じやすい傾向があります。
- 先輩や上司から厳しい指導・注意を受けたとき
- 医療ミスを起こしてしまったとき
- 患者さまの死やつらそうな状況に直面したとき
- 夜勤やシフトの影響によって生活リズムが乱れたとき
- 多忙な業務と休憩時間の確保の難しさを実感したとき
- 患者さまやご家族からクレームがあったとき
- 看護師に向いていないのではないかと悩んだとき
新人看護師ならではのストレスを感じやすい場面を、一緒に見ていきましょう。
1.先輩や上司から厳しい指導・注意を受けたとき
ミスしてしまったり、知識や技術が不足している部分を指摘されたりすることは、新人看護師にとって成長のために必要な経験です。
しかし、その伝え方によっては大きなプレッシャーを感じたり、自信をなくしてしまったりすることがあります。
なかには指導の域を超えて、パワハラと感じるような言動に悩む新人看護師も存在します。
日本医療労働組合連合会「2022年看護職員の労働実態調査」では、パワハラの経験がある20歳~24歳の看護師の78.7%が、看護部門の上司から受けたと答えました。具体的には次のようなパワハラを受けたようです。
- 高圧的な言葉で否定された
- 無視された
- 同僚と比較された
- 人格やプライベートについてけなされた
「また何かいわれるんじゃないか」と常にびくびくしてしまい、新人看護師のストレスを生む原因となります。
2.医療ミスを起こしてしまったとき
どんなに注意していても、医療ミスやヒヤリハットは起こってしまうものです。
実際、日本医療労働組合連合会「2022年看護職員の労働実態調査」では、20歳〜24歳の看護師のうち、過去3年間でミスやニアミスを起こした割合は92.8%です。これは、年代別でもっとも高い結果となりました。
患者さまの安全にかかわることだけに、その責任の重さから押しつぶされそうなほどの罪悪感や恐怖を抱き「もう看護師を続けられないかもしれない」と悩むこともあります。
3.患者さまの死やつらそうな状況に直面したとき
患者さまの病状が悪化したり、亡くなったりする場面に立ち会うことは、看護師として避けられない経験です。
とくに、新人看護師にとっては、その現実を目の当たりにすることで精神的なショックを受け、深い悲しみを抱える場合があります。
たとえば、末期がんの患者さまが痛みに苦しむ姿を見るたびに「少しでも楽にしてあげたいけれど、自分にできることは少ない」と、無力感に襲われることもあるでしょう。
「何もしてあげられていない」と自責の念にかられることも少なくなく、それがストレスとなり得ます。
4.夜勤やシフトの影響によって生活リズムが乱れたとき
看護師の不規則な勤務体系、とくに夜勤は生活リズムが乱れる原因となります。
睡眠不足や体内時計のずれは、心身に負担をかけ、集中力や判断力の低下にもつながりかねません。
「いつになったら身体が慣れるんだろう」「この不規則な生活がいつまで続くんだろう」と先の見えない不安を感じ、ストレスがたまりやすくなります。
5.多忙な業務と休憩時間の確保の難しさを実感したとき
常に時間に追われるような忙しい業務のなか、なかなか休憩時間を確保できないこともあります。
たとえば、患者さまの急変と緊急入院の受け入れが重なり、休憩時間になっても業務が終わらず、トイレに行く暇もないほど忙しい日が続くことも珍しくありません。
「このままでは身体がもたない」と感じながらも、患者さまのために動き続けなければならない状況は、心身にストレスを与えます。
休憩がとれないことで集中力も低下し、さらにミスが増える悪循環になりがちです。
6.患者さまやご家族からクレームがあったとき
患者さまやご家族さまは、病気や治療に対する不安や不満を抱えており、その矛先が新人看護師に向かうこともあります。
理不尽な要求や厳しい言葉に、自信を失ったり、心が折れてしまったりすることもあるでしょう。
「どう対応したらいいかわからない」「自分のせいなのかな」と一人で抱え込んでしまい、精神的なストレスを抱えがちです。
7.看護師に向いていないのではないかと悩んだとき
日々の業務のなかで、知識や技術の不足を感じたり、自分の性格が看護師に向いていないのではないかと悩んだりすることもあるでしょう。
また、日本看護協会の「2023年度ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」によると、24歳以下の看護師が退職を考える理由の第3位に「自分の適性・能力への不安」(15.7%)が挙がっています。
「本当にこの仕事を続けていけるのだろうか」という不安が、大きなストレスにつながると考えられます。
新人看護師がストレスを抱えたときにあらわれる心身の変化
ストレスが蓄積されていくと、心だけでなく身体にもさまざまなSOSサインがあらわれます。次のような変化があった場合、無理をしている証拠といえます。
- 眠れない
- 疲れ・だるさがとれない
- 食欲がない・食べすぎてしまう
- 頭痛・腹痛・動悸などが増えた
- めまい・耳鳴りがある
- 肌荒れがひどい
- 急に涙が出る
- 休日も楽しくない・動けない
日本医療労働組合連合会の「2022年看護職員の労働実態調査」では、最近の自覚症状について「全身だるい」52.5%、「いつも眠い」41.3%と回答していることが明らかになりました。
決して我慢せず、自分をいたわることを最優先にしましょう。
新人看護師がストレスで限界と感じる前にできること
つらいストレスを抱え込んでしまう前に、自分なりにストレスを解消し、気持ちを楽にする方法を見つけておくことが大切です。
- 信頼できる人に話す
- 心のモヤモヤをノートに書きだす
- 自分をいたわるセルフケアを取り入れる
- 働き方を見直す
- 職場以外の居場所をつくる
具体的なストレス対処法を見ていきましょう。
信頼できる人に話す
一人で悩みを抱え込まず、信頼できる先輩看護師や同期、家族や友人に話を聞いてもらうだけでも、心の重荷が少し軽くなることがあります。
同じ道を通った先輩の言葉には、重みと安心感があります。あなたもきっとヒントが得られるはずです。
心のモヤモヤをノートに書きだす
不安や不満が頭から離れないときは、ノートに書き出してみてください。
自分の気持ちを客観的に見つめ直せるため、感情が整理されるきっかけになります。
「何が自分を苦しめているのか」「どうすれば少しでも楽になれるのか」といった問題点が、見えてくるでしょう。
自分をいたわるセルフケアを取り入れる
忙しい毎日のなかでも、心と身体の健康を保つためのセルフケアは、ストレスを軽減するうえで重要です。
たとえば、次のセルフケアが日常生活に取り入れやすく、おすすめです。
- リラックスできる時間を作る
- 適度な運動をする
- 質のよい睡眠を心がける
- バランスの取れた食事をとる
- 好きなことをする時間を持つ
意識して自分を大切にする時間を作りましょう。
働き方を見直す
職場の環境がストレスの原因になっていると感じるなら、働き方を見直すことも検討してみましょう。
- 業務の効率化を図る
- 休憩時間はしっかり休む
- 有給休暇を取得する
ただし、新人看護師の場合、有給休暇を取得できるのは原則として入職してから6ヶ月経過後である点に注意が必要です。
それでも「きつい」「限界だ」と感じたら、上司や人事課に相談して、自分の心を守るためにも休息を優先してください。
職場以外の居場所をつくる
職場以外の場所に安心して過ごせる居場所をもつことも、ストレスを軽減するうえで大切です。
ヨガや料理教室に通い始め、仕事とは関係ない趣味の仲間との交流を通じて、新たな刺激を得るのも良いでしょう。
職場の人間関係や業務から離れてリフレッシュできると、気持ちを切り替えられるため、心のバランスを保ちやすくなります。
新人看護師がストレス対策をしても変わらなかったときの対処法
これまで紹介したストレス対策を試しても、状況が改善しない、心身の不調が続くと感じたら、無理に我慢し続ける必要はありません。
思い切って環境を変えることも、自分を守り看護師として長く活躍するための大切な選択肢です。
異動希望を提出する
今の部署の業務内容や人間関係がストレスの原因になっているのであれば、思い切って異動希望を提出することを考えてみましょう。
たとえば、急性期の部署で疲弊していた看護師が、慢性期の病棟や外来など、より落ち着いた環境で本来の力を発揮できるケースもあります。
異なる環境で働くことで、新たな発見があったり、自分に合った働き方が見つかったりするかもしれません。
転職を視野に入れる
どうしても今の職場の環境に馴染めない、異動が難しいといった場合は、転職を視野に入れることも選択肢のひとつです。
看護師の資格は、病院だけでなく訪問看護ステーションやクリニックや介護施設など、さまざまな場所で必要とされています。
より自分に合った環境を探すことで、長く安心して働けるようになります。
訪問看護に興味のある看護師は、一度「NsPaceCareer」をのぞいてみてください。訪問看護師は、利用者さまにじっくりケアができ、身体の負担が少ない働き方ができます。あなたに合った職場を見つけられるでしょう。
新人看護師が転職しやすい職場の特徴
新人看護師が転職しやすい職場の特徴を紹介します。
- チームワークが良い
- 教育体制が充実している
- 相談しやすい雰囲気がある
- ワークライフバランスが取りやすい
- 多様なキャリアパスが用意されている
同じ現場で長く活躍したい看護師は、ぜひ参考にしてください。
チームワークが良い
看護の現場は、医師や薬剤師、リハビリスタッフなど多職種との連携や、看護師同士のチームワークが不可欠です。
医師やほかの医療スタッフとのコミュニケーションがスムーズで、互いに協力し助け合う雰囲気がある職場は、新人看護師にとって心強い味方となります。
また、上司や先輩に気軽に相談や質問ができる風通しの良い職場は、不安や疑問をすぐに解消でき、ストレス軽減にもつながります。
「報告・連絡・相談」がしやすい雰囲気があるか、カンファレンスやミーティングなどで活発な意見交換がおこなわれているかなどを確認してみましょう。
教育体制が充実している
新人看護師にとって、入職後の教育体制が整っている職場は重要です。
知識や技術の習得に不安がある時期だからこそ、以下のような手厚いサポートがある環境を選びましょう。
- プリセプター制度が導入されている
- 段階的なOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)がしっかりと組まれている
- 新人看護師を対象とした研修が定期的に開催されている
こうした職場は、新人の成長を支えてくれるため、安心して業務に取り組めます。
また、教育担当の看護師が親身に相談に乗ってくれる雰囲気があるかどうかも、確認しておきたいポイントです。
相談しやすい雰囲気がある
新人看護師は、業務に関する不安や人間関係の悩みなど、さまざまなストレスを抱えやすいものです。
困ったことや悩みを気軽に相談できる雰囲気がある職場は、精神的な支えとなります。
メンター制度が導入されていたり、メンタルヘルス支援を受けられたりなど、サポート体制が整っているか確認しましょう。
また、職場の先輩や上司が、新人の意見や相談に耳を傾けてくれる姿勢があるかどうかも重要なポイントです。
ワークライフバランスが取りやすい
心身ともに健康な状態で長く働くためには、ワークライフバランスが欠かせません。
残業時間が比較的少なく定時で退勤しやすい職場や、有給休暇が取得しやすい雰囲気がある職場は、自分の時間を大切にできます。
趣味や休息の時間をもつことは、仕事のストレスをリフレッシュし、モチベーションを維持するうえで大切です。
面接や病院見学の際に「みなさんは何時頃に帰宅されていますか?」「年間どれくらい休めていますか?」と残業時間や有給取得率などを確認してみることをおすすめします。
多様なキャリアパスが用意されている
将来的にどのような看護師を目指したいか、まだ明確でない新人看護師にとって、多様なキャリアパスが用意されている職場は魅力的な選択肢となります。
- 資格取得支援制度
- さまざまな部署への異動
- 管理職を目指せる制度
こうした自分の興味や適性に合わせてキャリアを形成できる環境は、長期的なモチベーション維持につながります。
将来の可能性を広げたいと考えるなら、キャリア支援制度について事前に確認して職場を選ぶと良いでしょう。
新人看護師がストレスを感じたら転職も視野に入れよう
新人看護師として働くことは、多くの学びと成長がある一方で、ストレスを感じやすい時期でもあります。
これは、決して自分だけが感じていることではありません。
もし、今つらいと感じているなら、まずは自分をいたわることを最優先にしてください。
紹介したセルフケアを試したり、周りの人に頼ったりすることで、心の重荷が少し軽くなるはずです。
看護師として長く活躍したいのなら、身体と心の健康が何よりも大切です。頑張りすぎず、ときには休息も必要であることを忘れないでください。
<参考サイト・文献>
2022年看護職員の労働実態調査「報告書」|日本医療労働組合連合会
2023年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」 結果|日本看護協会

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。