看護師の二交代制とは?シフト例やメリット、三交代制との違いを解説

「二交代制なら休みが多いって聞くけど、本当に大丈夫かな」
看護師なら誰もが一度は悩む夜勤シフトの問題。実際、二交代制は多くの病院で採用されていますが、現場の負担やメリットはどうなのでしょうか?
日本看護協会「2023年病院看護実態調査 報告書」の調査によると、看護職員の夜勤形態の割合は二交代制(1回あたり16時間以上)64.6%、次いで三交代制(変則含む)19.1%となっています。
多くの病院で二交代制が導入されていますが、夜勤の長さやシフトの流れを知らずに職場を決めると、入職後にギャップを感じることもあります。
本記事ではシフト例、メリット・デメリット、三交代制との違いまで徹底解説。今後のキャリア選択に役立ててください。
看護師の二交代制の働き方とその特徴
二交代制とは、日勤と夜勤を基本とした勤務形態のことです。
日勤と夜勤の勤務帯で組まれることが一般的ですが、病院や施設によっては早出や遅出、ロング日勤といった変則的なシフトが組まれることもあります。ここでは、二交代制の夜勤の勤務時間や夜勤の回数などを詳しく解説します。
二交代制の勤務時間は夜勤が16時間前後
日本看護協会「2023年病院看護実態調査 報告書」の調査によると、二交代制をおこなっている病院の夜勤時間は「16時間~16時間59分」の割合が62.9%と最も多く、その平均時間は16.2時間でした。
二交代制は、1回の夜勤時間は長めに設定されているのが特徴です。基本的には、次のような勤務時間で運用されているところが多いようです。
- 日勤:8:00~17:00
- 夜勤:16:00~翌9:00
このような長時間の夜勤では、病棟によって2〜3時間程度の仮眠時間が設けられている場合もあります。
ただし、ナースコール対応や急変対応などにより休息が取れない可能性があります。しっかりと休憩できるかどうかは、現場の人員配置や患者さまの状況に左右されるといえるでしょう。
二交代制の夜勤回数は月4.9回
日本看護協会「2023年病院看護実態調査」によると、二交代制の1か月あたりの夜勤回数は平均4.9回です。
もちろん、これはあくまで平均値であり、病院の規模や人員配置によって変動する可能性があります。
看護師の二交代制と三交代制の違い
看護師の勤務形態には、大きくわけて二交代制と三交代制があります。これらの勤務形態の違いについて解説します。
- シフト例の違い
- 夜勤手当の違い
どちらを選ぶかは、自分のライフスタイルや体力、家庭の状況と照らし合わせる必要があるでしょう。
シフト例の違い
二交代制と三交代制、勤務形態を比較するうえで欠かせないのが、シフトの流れとその違いです。1週間のシフト例を比較すると次のようになります。
勤務形態 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
二交代制 | 日勤 | 夜勤 | 明け | 休み | 日勤 | 休み | 夜勤 |
三交代制 | 日勤 | 深夜勤 | 準夜勤 | 休み | 日勤 | 準夜勤 | 休み |
このシフト例は勤務先により異なります。
二交代制のポイントは、夜勤明けの翌日に休みが取りやすい点です。ただし「出勤日数は減るから楽そう」という印象だけで二交代制を選ぶと、実際の身体の負担とのギャップに戸惑うケースも少なくありません。
とくに、夜勤は16時間前後と長い傾向であり、心身への影響も大きくなりがちです。
関連記事:看護師の日勤時間は?二交代制と三交代制の時間やスケジュールを紹介
夜勤手当の違い
二交代制と三交代制では夜勤手当も異なります。それぞれの具体的な額は次のとおりです。
勤務形態 | 平均の夜勤手当額(1回あたり) |
二交代制 夜勤 | 1万1,368 円 |
三交代制 準夜勤 | 4,234 円 |
三交代制 深夜勤 | 5,199 円 |
二交代制の夜勤手当は、三交代制の準夜勤と深夜勤の手当を合わせた金額よりも高くなる傾向があります。また、夜勤回数に応じて手当が支給される職場もあるようです。
看護師の二交代制のメリット
ここでは、二交代制で働くことのメリットに焦点を当てて解説していきます。
- まとまった休みを取りやすい
- 1か月あたりの出勤日数が少ない
- 夜勤1回あたりの手当が高め
それぞれのメリットを見ていきましょう。
まとまった休みを取りやすい
二交代制のメリットのひとつに、まとまった休みを取りやすい点が挙げられます。
夜勤が終わった後、多くの場合「夜勤明けの翌日は休み」というシフトになるからです。
日本看護協会「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」で、看護師の夜勤後の休息について次のように推奨しています。
- 1回の夜勤後には24時間以上の休息を確保する
- 2回連続の夜勤後には48時間以上の休息を確保する
- 夜勤間隔は最低11時間以上あける
しかし、労働基準法第三十二条では、労働者に対し「週40時間、1日8時間」という労働時間の上限を定めているものの、夜勤明けの翌日に休みを設定する規定はありません。
夜勤明けに休みがあるかどうかは職場によって異なるため、ホームページや求人票をチェックしたり、面接時に採用担当者に質問したりしてチェックしてください。
1か月あたりの出勤日数が少ない
二交代制は、1回の勤務時間が長くなる分、1か月あたりの出勤日数が少なくなることが一般的です。
その分、自分の時間を持ちやすくなります。仕事とプライベートのバランスを取りたいと考える看護師にとって、二交代制は魅力的な選択肢となるでしょう。
夜勤1回あたりの手当が高め
一般的に、二交代制の夜勤は、三交代制の夜勤と比較して1回あたりの手当が高めに設定されている傾向です。
これは、二交代制の夜勤の方が、拘束時間が長く、深夜時間帯の労働時間も長くなることが理由として挙げられます。収入面を重視する看護師にとっては、二交代制はメリットの可能性があります。
夜勤手当の金額は病院や地域によって異なるため、就職や転職の際にはしっかりと確認することが重要です。
看護師の二交代制のデメリットと注意点
二交代制は、まとまった休みが取りやすいなどのメリットがある一方で、いくつかのデメリットや注意点もあります。
- 夜勤1回あたりの身体的・精神的な負担が大きい
- 生活リズムが乱れやすい
- 休息が十分取れないとつらい
ここでは、二交代制で働くうえで知っておきたい側面を解説します。
夜勤1回あたりの身体的・精神的な負担が大きい
二交代制の大きなデメリットとして、夜勤1回あたりの身体的・精神的な負担が大きいことが挙げられます。
たとえば、夕方から翌朝にかけての16時間程度の勤務となる場合もあり、その間、集中力を維持し続ける必要があります。また、夜間の緊急対応や日勤帯とは異なる患者さんの状態に対応しなければならない場面も少なくありません。
長時間にわたる夜間勤務は、身体的な疲労だけでなく、精神的な負担も大きくなりがちです。
生活リズムが乱れやすい
二交代制は、日勤と夜勤のサイクルが大きく変動するため、生活リズムが乱れやすいというデメリットがあります。
夜勤明けは休息を取る時間となりますが、その後の睡眠時間や食事のタイミングなどが不規則になりがちです。
体内時計が乱れることで、睡眠の質の低下や体調不良を引き起こす可能性もあります。
とくに、夜勤明けに友人とランチに出かけたり、銀行や市役所で手続きをしたりなど予定がある場合、疲れがあるなかで活動するため、生活リズムが乱れるリスクがあります。
二交代制で働く場合は、意識的に睡眠時間を確保して、規則正しい生活を心がける工夫が必要となるでしょう。
休息が十分取れないとつらい
二交代制では、勤務と勤務の間の休息時間は三交代制より長いものの、十分な休息が取れないとつらくなることがあります。
疲れが抜けきれないまま次の勤務に臨むことになり、仕事の質の低下や健康上のリスクにつながる恐れがあります。
二交代制で長く働き続けるためには、質の高い睡眠を確保するための工夫や、疲労回復のためのリフレッシュ方法を見つけることが重要です。
看護師で二交代制が向いている人
二交代制が向いている人の特徴は次のとおりです。
- まとまった休みがほしい人
- 出勤回数を減らしたい人
- 体力に自信がある人
- 夜勤手当を増やしたい人
これらの特徴に当てはまる看護師は、二交代制を選ぶと、理想の働き方を実現できるでしょう。
看護師で二交代制の職場で働くことを検討する際のポイント
看護師として働くうえで、どのような勤務体制を選ぶかは、ワークライフバランスやキャリアに影響します。ここでは、二交代制の職場で働くことを検討する際に、注目すべきポイントを解説します。
- 夜勤体制のチェック
- 教育体制やキャリアアップ支援の確認
- 職場の雰囲気や人間関係についての情報収集
- ライフスタイルとキャリアプランとの照らし合わせ
それぞれを詳しく見ていきましょう。
夜勤体制のチェック
二交代制では、夜間の勤務時間が長くなるため、夜勤体制がどのようになっているかは重要な確認ポイントです。
たとえば、夜勤帯の看護師の人数は、患者さんの安全確保や業務のスムーズな遂行に直結します。人員が不足している場合、看護師ひとり当たりの負担が増加し、心身ともに疲弊してしまう可能性があります。
また、夜勤時のサポート体制も確認しておきましょう。緊急時の対応はどのようにおこなわれるのか、困った際に相談できる先輩や医師はいるのかなど、安心して夜勤に臨める環境であるかを見極めることが大切です。
これらの情報はホームページでは確認できないため、インターンシップや病院見学に参加した際に、夜勤体制について現場の看護師や採用担当者に質問することをおすすめします。
教育体制やキャリアアップ支援の確認
新しい職場で働く際には、教育体制が整っているかどうかを見定めることが大切です。
二交代制の職場では、日勤と夜勤で業務内容が異なるため、それぞれの業務に対応できるような教育体制が整っているかを確認してください。
また、長期的なキャリアプランを考えている場合は、キャリアアップ支援の制度についてもリサーチしておくと良いでしょう。資格取得支援や研修制度の有無など、成長をサポートしてくれる環境であるかは、長く働き続けるうえで不可欠です。
職場の雰囲気や人間関係についての情報収集
職場の雰囲気や人間関係は、日々の働きやすさに影響します。
臨床の職場では、チームワークが重要であるため、看護師やそのほかのスタッフとの関係性が良好であるかは、事前に知っておきたい情報です。
職場見学をするときに、職場の雰囲気を肌で感じたり、面接のときに採用担当者に確認したりしましょう。
ライフスタイルとキャリアプランとの照らし合わせ
ライフスタイルやキャリアプランと、二交代制の働き方が合っているかを慎重に検討することが重要です。
たとえば、日中にまとまった時間が欲しい、オンオフをはっきりさせたい看護師には、二交代制が合う可能性があります。一方、体力に不安がある、生活リズムを一定に保ちたいという方には、慎重な検討が必要かもしれません。
また、将来的にどのような看護師を目指したいかというキャリアプランも考慮に入れましょう。二交代制の職場で得られる経験やスキルが、キャリアプランに合致するかどうかを考えることが大切です。
夜勤の負担を減らして働きたい看護師におすすめの職場
「夜勤がつらいからそろそろ夜勤のない働き方をしたい」と悩む看護師には、病院以外の選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。
病院以外でも、看護師が専門性を活かしつつ、日勤中心で働ける場が広がっています。下記の表に働く場所と特徴などをまとめたため、ぜひ参考にしてください。
働く場所 | おもな業務内容 | 特徴 |
訪問看護ステーション | ・バイタルサインのチェック ・点滴・吸引・褥瘡などの処置 ・日常生活のケア | ・日勤中心で残業は少なめ ・オンコールの対応は必要 |
健診センター | ・問診や採血 ・身体測定 ・聴力測定や心電図検査の補助 | ・短時間パート求人もある ・体力的な負担が少ない ・ブランク明けでも働きやすい |
クリニック(外来) | ・診療補助 ・注射や採血 ・受付や会計といった患者対応 | ・日勤のみ ・スタッフは少人数である ・診療科によって業務内容に差がある |
保育園 | ・園児の健康管理 ・園児のケガや応急対応 ・職員へのケアの指導 | ・平日の日勤が基本 ・感染症の流行期は忙しくなりやすい |
企業 | ・社員の健康相談 ・体調不良時の応急対応 ・産業医との連携やメンタルヘルス支援 | ・平日の日勤が基本 ・夜勤や休日出勤はほぼない ・オフィスワーク中心で身体的負担が少ない |
医療機関以外の働き方に目を向けると「看護師=夜勤あり」という意識がなくなるでしょう。さまざまな働き方を知ることが理想の働き方ができる第一歩といえます。
訪問看護ステーションでの働き方
訪問看護ステーションは、地域の在宅療養者に対して看護サービスを提供する施設です。
医師からの訪問看護指示書にもとづいたケアや医療処置、リハビリテーションのサポートなどをおこないます。訪問看護ステーションでは、1日に複数の利用者さま宅を訪問しながら、次のような業務をおこないます。
- 利用者さま宅での健康状態の観察
- 服薬管理や医療処置の実施
- 床ずれ予防や入浴介助などの日常生活支援
- 家族への介護指導や相談対応
- 医師や介護職との連携調整
勤務形態は基本的に日勤中心ですが、ほとんどの事業所ではオンコール対応が求められる傾向があります。
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まとめ:看護師の二交代制を理解して理想の働き方を実現しよう
看護師の二交代制は、まとまった休息時間が取れて、出勤日数が少ないといったメリットがある一方で、夜勤1回あたりの負担が大きいという側面があります。
看護師として働き続けるためには、二交代制の特性をしっかりと理解し、自分の体力やライフスタイルに合った働き方かどうかを見極めることが大切です。
もし二交代制の夜勤に不安がある場合は、夜勤のない働き方を選択肢に入れることもひとつです。訪問看護ステーションや健診センターなど、医療機関以外にも看護師が活躍できる場はあります。
それぞれの職場の特徴を理解したうえで、体調や希望、条件などに合っている働き方を見つけることが、充実した看護師生活を送るためには重要といえるでしょう。
<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。