認定看護師のメリット6つ!種類別のメリットやデメリットも解説

「今の自分をもっと高めたい」「看護師として、もっと誰かの力になりたい」──そんな思いを抱えるあなたにとって、認定看護師という資格は、未来を切り拓く一歩になるかもしれません。
認定看護師は、特定の看護分野で深い知識と熟練したスキルがあり、質の高いケアを提供することで患者さまやご家族、そして医療の現場に貢献します。
この記事では、そのような認定看護師のメリットを6つのポイントで解説し、資格を取得するうえでの大変なことや、気になる給与事情についてもふれていきます。
最後までお読みいただくことで、認定看護師になることの魅力や、自分がどんなキャリアを歩めるのかが見えてくると幸いです。
認定看護師のメリット6つ
認定看護師を取得するメリットは、次の6つです。
- 給与が上がる可能性がある
- 活動範囲が広がり将来性がある
- 特定の分野を極められスキルアップにつながる
- キャリアアップの道筋が立てやすい
- チーム医療の質の向上に貢献できる
- 自己成長とやりがいにつながる
詳しく見ていきましょう。
1.給与が上がる可能性がある
認定看護師の資格を取得すると、給与アップが期待できるのがメリットのひとつです。
認定看護師は、患者さまへのケアや医療現場の課題解決に貢献できるため、病院や施設によっては資格手当を支給することがあります。
日本看護協会の「2022年度専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」によると、認定看護師の資格手当は、毎月支給されている場合で平均8,530円です。つまり、年間10万2,360円がプラスされ、年収アップが見込めます。
また、資格取得を機に管理職に就くことで基本給が上がる場合もあります。
資格取得が収入に反映されることは、モチベーションの向上にもつながるでしょう。
2.活動範囲が広がり将来性がある
認定看護師の資格は、看護師として活躍できる場所を大きく広げられます。
- 専門性の高いケアを提供できる
- チーム医療でリーダーシップを発揮できる
- ほかの医療従事者への指導や相談に対応できる
たとえば、在宅ケア認定看護師であれば、在宅で療養する利用者さまの状態や生活環境に合わせた専門的なケアを提供します。
医師やケアマネジャー、リハビリテーション専門職などの多職種と連携し、患者さまが住み慣れたご自宅で安心して療養生活を送れるよう支援できるでしょう。
3.特定の分野を極められスキルアップにつながる
認定看護師を目指す道のりは、専門性を深め、現場での実践力を高める貴重な機会です。
認定看護師の教育課程では、臨床では身につきにくい次のような知識や技術が習得可能です。
- 選んだ分野の最新知識
- 高度で専門的な看護技術
- 倫理的な視点
- 状況に応じた的確な判断力
たとえば、がん薬物療法看護認定看護師の場合、抗がん剤による副作用のメカニズムやケア方法について深く学びます。吐き気や口内炎、脱毛といったつらい症状に対し、細やかな対応ができるようになり、患者さまの生活の質(QOL)を高められます。
このようなケアに加えて、学会や研修会に参加して、スキルを高めていくことで、患者さまからの信頼を得るだけでなく、看護師の自信にもつながるでしょう。
4.キャリアアップの道筋が立てやすい
認定看護師の資格は、現在の職務範囲が広がるだけでなく、次のような将来の選択肢も増えます。
- 病棟の師長・主任看護師などの管理職
- 専門外来の担当
- 院内の専門チームの一員
皮膚・排泄ケア認定看護師のなかには、フットケア専門外来や褥瘡ケアチームで中心的な役割を担う人もいます。院内の地域医療連携室、地域の健康相談センターなど病棟以外で地域住民の健康増進に貢献できます。
このように認定看護師の資格があると、多様なキャリアを切り開けます。
5.チーム医療の質の向上に貢献できる
認定看護師は、医師や看護師など多職種が協力するチーム医療で専門性を発揮し、よりよい医療提供に欠かせない存在です。
たとえば感染管理認定看護師は、院内感染予防の中心となり、手洗いの徹底指導や消毒方法の改善、感染症発生時の対応などを主導します。
これにより、患者さまの安心はもちろん、医療従事者の感染リスクも減らし、病院全体の安全性を高めます。
また、緩和ケア認定看護師は、がん患者さまの痛みをやわらげる方法について、医師やほかの看護師にアドバイスすることで、チーム全体のスキルアップにつながり、患者さまへのケアの質が大きく向上するのです。
6.自己成長とやりがいにつながる
認定看護師の資格取得は、専門的なスキルを身につけるだけでなく、自身の考え方やかかわり方を見つめ直す機会でもあります。
患者さまの気持ちや背景を理解できるようになり「本当に必要なケアは何か」を考える力が養われます。
また、難しい判断や責任ある場面にも落ち着いて対応できるようになり、以前よりも視野が広がるでしょう。
こうした日々の小さな変化や成長の積み重ねが、看護師としての自信につながり「この仕事をしていてよかった」と心から思える瞬間を増やしてくれます。
認定看護師の種類別のメリット
認定看護師は、社会や医療のニーズに応えるため、2020年から19分野(B過程)に再編成されました。
とくに認定を受けている看護師が多い分野のメリットを、次の表にまとめました。
認定分野 | メリット |
クリティカルケア | 状態変化を早期に察知し、適切な対応で急性期の患者さまのよりよい状態へと貢献できる |
糖尿病看護 | 血糖パターンマネジメント、フットケア、糖尿病ケアシステム立案などの専門的な知識と技術を習得し、状態に合わせて適切なケアを提供できる |
認知症看護 | 認知症看護の専門知識を活かして、病院だけでなく、地域包括ケア拠点、訪問看護ステーションなど、さまざまな場所で活躍できる |
それぞれの分野の特徴については、以下の記事でも詳しく紹介しています。
自身の極めたい分野を見つける参考にしてください。
内部リンク:認定看護師の種類一覧とは?19分野の一覧と難易度を詳しく解説
認定看護師のデメリットや大変なこと
認定看護師の資格取得や保有の継続には、いくつかの乗り越えるべきハードルがあります。
- 働きながらの取得が難しい
- 資格を得るまでに時間と費用がかかる
- 資格を保有し続けるには自己研鑽が欠かせない
- 施設によっては資格を活かせない・給与が上がらない
ここでは、認定看護師のデメリットや大変なことを解説します。
働きながらの取得が難しい
認定看護師の資格を取得するためには、教育機関で学ぶ必要があります。
多くの場合、数ヶ月から1年程度の期間、学習に取り組む必要があり、働きながら資格取得を目指すのは困難です。
休職や退職をして教育機関に入学するケースが多く、その間の収入が途絶えることや、職場を離れることに不安を感じる看護師もいるでしょう。
また、ご家族がいる場合は、家事や育児との両立も認定看護師の資格取得における課題となります。
資格を得るまでに時間と費用がかかる
認定看護師の資格取得には、教育機関の学費だけでなく、受験料、交通費など、多額の費用がかかります。
教育機関によって学費は異なりますが、一般的には約100万円の費用がかかることを覚悟しておかなければなりません。
また、実務経験の要件を満たすために時間がかかり、教育機関での学習期間も必要であるため、数年単位の時間を要します。
こうした経済的な負担と時間的な制約は、認定看護師を目指すうえでのハードルとなります。
資格を保有し続けるには自己研鑽が欠かせない
認定看護師は認定試験に合格しただけでは、資格を保有し続けられません。
というのも、認定看護師は5年ごとの更新が義務付けられているためです。
資格を更新するためには、所定の研修を受けたり、学会発表や論文発表などの実績を積んだりする必要があります。
新しい知識や技術を学び、自分を磨き続けられる反面、なかには「大変だ」と感じる看護師の方もいるでしょう。
施設によっては資格を活かせない・給与が上がらない
認定看護師の資格を取得しても、勤務する医療機関や施設によっては、その専門性を十分に活かせない場合があります。たとえば、次のような事例が挙げられます。
- 専門分野の患者さまが少ない
- チーム医療が十分に機能していない
- 認定看護師の役割が明確に定められていない
また、資格手当の支給や昇給制度が整っていない施設もあり、期待していたほどの給与アップにつながらないケースも少なくありません。
資格取得前に、勤務先の認定看護師に対する待遇や、資格を活かせる環境があるかを確認しておくことが重要です。
関連記事:認定看護師を取得するデメリットとは?不要と言われる理由や実際に活躍する場面も解説
認定看護師になるには
認定看護師になるための一般的な流れは、次のとおりです。
- 実務経験を積む
- 教育機関で学ぶ
- 認定審査に合格する
- 登録・認定証の交付
資格取得後に現場を離れてしまうと、更新の際に必要な実績が足りず、資格を失効するおそれがあるため注意しましょう。
内部リンク:認定看護師になるには?条件や取得までの流れ、資格取得によるメリットも解説
認定看護師のメリットについてよくある質問
認定看護師のメリットについて、よくある質問にお答えします。より深い知識を身につけ、認定看護師の資格取得に向けたヒントを得ましょう。
Q1:訪問看護分野の認定看護師にはどんなメリットがありますか?
訪問看護分野の認定看護師は「在宅ケア認定看護師」とよばれ、在宅で療養する利用者さまやご家族のQOLの向上に貢献できるメリットがあります。
また、多職種との連携を円滑に進め、地域包括ケアシステムの構築にも役立てるというやりがいも感じられます。
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Q2:認定看護師と専門看護師にメリットの違いはありますか?
認定看護師と専門看護師は、どちらも特定の看護分野におけるスペシャリストですが、その役割や活動の中心となる場所などは次のように異なります。
項目 | 認定看護師 | 専門看護師 |
役割 | ・患者さまへの熟練した直接的なケアの実践 ・看護師への指導・教育 ・看護ケアの質の改善 | ・複雑な健康問題を抱える個人、ご家族、集団など総合的な看護 ・看護ケアの質の改善、システム開発 ・研究活動、政策提言、倫理的課題への取り組み |
メリット | ・臨床現場での実践的なスキルアップができる ・給与アップにつながる ・特定の分野を極められる ・患者さまや医療チームからの信頼を得やすい | ・より高度な専門性の追求 ・教育、研究、コンサルテーションなど幅広い活動を通してキャリアを築ける ・自身の専門知識や研究成果がよりよいケアの実現に貢献していると実感できる ・リーダーシップを発揮できる |
活動場所 | 臨床現場が中心 | ・臨床現場 ・教育機関 ・研究機関 ・行政機関 |
自身の目指すキャリアや関心によって選択肢は変わります。まずは興味のある分野を探ってみると良いでしょう。
内部リンク:専門看護師とは?専門分野14個の種類や認定看護師との違いを解説!
Q3:認定看護師を取得することで病院にとってはどんなメリットがありますか?
認定看護師の存在は、病院に次のようなメリットをもたらします。
- 看護ケアの質の向上
- 医療安全の推進
- チーム医療の質の向上
- 安定した経営
高度な専門知識と技術を持つ認定看護師は、複雑なケースにも適切に対応できるため、患者さまにとって安全で質の高い看護を提供できます。
また、ほかの看護師に対する教育や指導を通して、病院全体の看護レベルの底上げにも貢献できるでしょう。
専門性の高い看護を提供できる病院として、患者さまや地域社会からの信頼を高め、安定した経営にもつながります。
認定看護師のメリットを理解して新しいキャリアを築きましょう
認定看護師の資格取得は、決して容易な道ではありません。
時間も費用もかかり、そして何よりも学び続けるための強い努力と意欲が必要です。
その分、看護師としての専門性を深め、より充実したキャリアを築けるという認定看護師ならではの魅力があります。
今回の記事を通して、認定看護師のメリットをしっかりと理解し、自身のキャリアプランを考えるうえで、少しでもお役に立てたなら幸いです。
ぜひ一歩踏み出して、新しいキャリアを築いてください。
<参考サイト・文献>
「2022 年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書|日本看護協会
認定看護師 | 看護職の皆さまへ | 公益社団法人日本看護協会

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。