皮膚科看護師の仕事内容5つ!年収とやりがい、デメリットを詳しく解説

公開日:2025/06/05 更新日:2025/06/05
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皮膚科看護師は、皮膚のトラブルを抱える患者さまのケアをおこなう専門性の高い仕事です。この記事では、皮膚科看護師の具体的な仕事内容から、気になる年収、そして働くうえでの注意点まで解説します。

皮膚科看護師の仕事に関心がある方や、転職を考えている方はぜひ参考にしてください。この記事を読むことで、皮膚科看護師の仕事の全体像を理解し、ご自身に合った働き方を見つける一助となるでしょう。

皮膚科看護師の仕事内容5つ

皮膚科看護師の仕事内容は多岐にわたります。ここでは、そのなかでも重要な業務を解説します。

  • 医師の診察の補助
  • 手術の介助
  • 患部への軟膏処置
  • 軟膏の使い方や日々のケアに関する説明
  • 受付業務や患者さまの案内

それぞれの仕事内容をみていきましょう。

医師の診察の補助

皮膚科看護師は、次のような仕事をおこない医師の診察がスムーズに進むようサポートします。

  • 診察に必要な器具の準備
  • 患者さまの体位の調整
  • 電子カルテへの記録

医師と連携し、患者さまが安心して診察を受けられる環境を整えることは、看護師の重要な役割です。バイタルサインのチェックや患者さまへの病状の確認もおこなって、患者さまの状態を正確に把握し、医師に伝えることも求められます。

手術の介助

皮膚科でおこなわれる手術の介助も看護師の仕事です。

手術で使用する医療機器や器具の準備、医師への受け渡しなどをおこないます。

手術中は医師が術野に集中できるように、患者さまの状態を確認してバイタルサインを報告しながら、手術が安全に進むようサポートします。

また、手術への不安な気持ちに寄り添い、患者さまに声かけすることも大切です。

患部への軟膏処置

皮膚科特有の業務として、患部への軟膏や外用薬の塗布があります。

医師の指示にもとづき、適切な薬剤を塗布します。広範囲にわたる処置や、陰部といったデリケートな部位への処置も少なくないため、患者さまの皮膚の状態を観察しながら、丁寧に処置しなければなりません。

処置の継続により患者さまの症状が改善していく様子を見られることは、皮膚科看護師のやりがいにつながります。

軟膏の使い方や日々のケアに関する説明

患者さまやご家族に対して、処方された軟膏の使い方や、日常生活でのスキンケア方法などを説明します。

症状の改善には、患者さまがケアを正しく理解し、生活のなかで患部を保護することが不可欠です。

患者さまのなかには、入院中のケアを退院後に継続する方もいます。そのため、パンフレットやタブレットなど図やイラストで説明して、退院後に患部が悪化しないように努めることが重要です。

受付業務や患者さまの案内

クリニックによっては、次のような仕事内容を看護師が担う場合があります。

  • 初診の患者さまへの問診
  • 診察室への誘導
  • 会計業務

患者さまが最初に接するスタッフとして、丁寧な対応を心がけることが大切です。患者さまの不安を和らげ、スムーズに受診できるようサポートします。

皮膚科看護師になるには

皮膚科看護師になるために、特別な資格は必要ありません。

看護師免許があれば、皮膚科で働くことが可能です。

しかし、患者さまへの対応では、知識に加えて、スキンケアや日常生活での注意点などを指導するスキルも大切であるため、継続的に学ぶ意欲が重要になります。

皮膚科看護師の年収

皮膚科看護師の平均年収は519万7,000円と推測できます。

というのも、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は519万7,000円であり、この数値と相違はないと考えられるからです。

ですが、皮膚科看護師の年収は、勤務する施設や経験年数、技術などによって異なります。

美容皮膚科を併設しているクリニックでは、インセンティブ制度により商品の販売数や契約数などによって高収入を得られる可能性もあります。

給与だけでなく、福利厚生やワークライフバランスなども考えて職場を選ぶと良いでしょう。

皮膚科看護師のやりがいとメリット

皮膚のトラブルは、見た目の変化だけでなくかゆみや痛みなどが発生することも多くあり、患者さまの生活に影響します。そのため、看護師のケアによって症状が改善し、患者さまが安心して日常生活を送れるようになることは、やりがいにつながります。

  • 急変の頻度が低いためプレッシャーが少ない
  • 外来診療が中心であるため日勤のみで働ける
  • 仕事での知識やスキルが生活で活用できる
  • 皮膚・排泄ケア認定看護師を目指せる
  • ワークライフバランスを保ちやすい

長く働き続けたいと考える看護師にとって、これらのやりがいやメリットは不可欠です。

急変の頻度が低い為プレッシャーが少ない

内科や外科などと比較して、皮膚科では生命にかかわるような緊急度の高い患者さまが少ない傾向にあります。

常に緊張感を強いられるというよりは、比較的落ち着いたペースで業務に取り組めるため、精神的なプレッシャーを感じにくい看護師もいるでしょう。

これは、じっくりと患者さまと向き合い、丁寧にケアをしたいと考える看護師にとって、メリットとなります。また、未経験の方やブランクのある看護師が、医療現場に復帰する際にも、入りやすい領域といえるかもしれません。

外来診療が中心であるため日勤のみで働ける

多くの皮膚科クリニックは、入院施設を持たず外来診療が中心です。

したがって、夜勤の勤務がほとんどなく、日勤のみで働くことが可能です。これは、生活リズムを一定に保ちたい方や、家庭や育児と両立したいと考える看護師にとってメリットとなります。

規則正しい生活を送ることは、心身の健康を保つためにも重要です。自分の時間を確保しやすく、仕事とプライベートのバランスを取りやすい環境といえるでしょう。

ただし、クリニックによっては土日祝日の勤務がある場合や遅い時間まで診療をおこなっているところもあるため、事前に確認することが大切です。

仕事での知識やスキルが生活で活用できる

皮膚の病気や、健康な肌を保つためのスキンケアについての知識は、日々の生活のなかで自分やご家族の健康管理に役立ちます。

たとえば、次のような知識があると、生活の質を高められます。

  • 乾燥肌のケア方法
  • 紫外線対策
  • 皮膚トラブルへの対処法

このように、仕事で得た専門的な知識やスキルを、日常生活に活かせるのは、皮膚科看護師ならではのメリットです。患者さまへのアドバイスをするなかで、自分の知識も深まり、より自信を持ってケアできるでしょう。

皮膚・排泄ケア認定看護師を目指せる

皮膚科での臨床経験は、皮膚・排泄ケア認定看護師を目指すうえでの土台となります。

皮膚・排泄ケア認定看護師は、次のように皮膚と排泄についての専門的な知識とスキルを持ち、患者さまの生活の質向上に貢献します。

  • 褥瘡の予防や管理
  • ストーマケア
  • 皮膚トラブルの予防

皮膚科で働くなかで、皮膚のケアの専門性をさらに深めたいという意欲を持つようになった場合、この資格取得はキャリアアップの目標となるでしょう。

認定看護師の資格を取得することで、高度なケアを提供できるようになり、チーム医療においても重要な役割を担えます。

ワークライフバランスを保ちやすい

皮膚科は、日勤中心の勤務体系であることや、緊急度の高い患者さまが少ない傾向であることから、ワークライフバランスを保ちやすい職場といえます。

自分の趣味やご家族との時間を大切にしながら働けるため、仕事とプライベートを充実させたい看護師にとって、皮膚科は魅力的な選択肢のひとつです。

クリニックの規模や体制によって状況は異なりますが、一般的にはほかの診療科に比べて、残業時間も少ない傾向にあります。長く安定して働くことを希望する看護師にとって、働きやすい環境といえるでしょう。

皮膚科看護師のつらさとデメリット

皮膚科看護師として働くメリットがある一方で、ほかの診療科とは異なる難しさや、人によってはデメリットと感じる側面もあります。

  • 多くの処置を覚えなければならない
  • 急変時のスキルが身につけにくい
  • 看護師経験を活かしづらい

これらの点を理解しておくことは、後悔のない職場選びをするうえで重要です。

多くの処置を覚えなければならない

皮膚科では、患者さまの症状や部位に合わせて、処置をおこないます。その際には、多種多様な軟膏や外用薬を使用します。

それぞれの薬剤は、効果や使用方法、注意点などが異なるため、これらを正しく理解し、患者さまに適切に塗布したり指導したりすることが必要です。

働き始めたばかりの頃は、その種類の多さに戸惑うこともあるかもしれません。

しかし、経験を積むことで、それぞれの軟膏の特徴や使い分けが自然に身についていくでしょう。

急変時のスキルが身につけにくい

皮膚科は、容態が安定している患者さまが多いため、心肺停止といった緊急性の高い状況に遭遇する頻度は、少ない傾向にあります。

そのため、そのような状況に対応するための高度な救命処置や全身管理といったスキルを磨く機会は限られがちです。

将来的に、急性期医療の現場で活躍したいと考えている場合は、皮膚科での経験だけでは物足りなさを感じるかもしれません。

看護師経験を活かしづらい

内科や外科などで全身管理や重症患者のケアといった経験を積んできた看護師にとっては、皮膚科の業務内容が、これまでの経験やスキルを活かせないと感じるかもしれません。

皮膚の状態を観察するうえでのアセスメント能力や、患者さまとのコミュニケーション能力は重要ですが、急性期のような医療行為は少ないため、ギャップを感じることがあります。

皮膚科看護師がつらいときの対処法

皮膚科看護師として日々の業務に取り組むなかで、つらいと感じることがあれば、次のように対処していくことが大切です。

  • 先輩看護師や上司に相談する
  • 皮膚科看護師のスキルが活かせるところに転職する
  • 給料や待遇が良いところへ転職する

それぞれの対処法を詳しくみていきましょう。

先輩看護師や上司に相談する

職場の先輩看護師や上司は、皮膚科領域での経験が豊富です。

困っていることや悩んでいることを打ち明けると、具体的なアドバイスや解決策を共有してくれるはずです。また、同じ職場で働く仲間として、精神的にサポートしてくれるでしょう。

皮膚科看護師のスキルが活かせるところに転職する

現在の職場で自分の持つ知識やスキルが十分に活かせないと感じたり、業務内容に不満を感じたりする場合は、新たな活躍の場を探してみるのもひとつの手です。

たとえば、別の皮膚科クリニックや、より専門性を活かせる美容皮膚科などがおすすめです。

ほかにも、訪問看護ステーションや介護施設などでも、高齢者の皮膚の観察や皮膚トラブルの予防など場面で皮膚科看護師のスキルが役立ちます。

NsPaceCareer」では、訪問看護に特化した求人情報を取り扱っており、キャリアプランや希望条件に合った職場探しをキャリアアドバイザーが親身になってサポートします。

非公開求人も多数あるため、ぜひ一度お気軽にご相談ください。あなたの新たな一歩を全力で応援いたします。

給料や待遇が良いところへ転職する

仕事のモチベーションを維持するためには、給料や福利厚生といった待遇面も重要です。

現在の給料や待遇に不満がある場合は、より良い条件で働ける職場への転職を検討してみてください。

転職活動を通じて、自身の市場価値を再認識することで、納得いく条件で働けるでしょう。

皮膚科看護師の仕事内容に関するQ&A

皮膚科看護師の仕事内容に関して、看護師の皆様からよく寄せられる質問とその回答をご紹介します。

Q1:皮膚科看護師として働くためにはどのような勉強が必要ですか?

皮膚科学の基礎知識として、次の内容を知っておく必要があります。

  • 皮膚の構造
  • 生理機能
  • 代表的な皮膚疾患の種類や原因
  • 皮膚科疾患の治療法

また、皮膚科でよく使用する外用薬(軟膏やクリーム、ローションなど)の種類や、正しい塗り方、患者さまへの指導方法なども重要な学習内容となります。

これらの知識は、書籍やインターネット、研修などで習得できます。働き始めてからも業務で学べますが、基本的な知識を身につけておくことで、スムーズに業務に取り組めるでしょう。

Q2:皮膚科看護師を辞めたいと思うことはありますか?

皮膚科の患者さまの多くは症状が慢性化している場合もあり、劇的な改善が見られないことに、やりがいを感じにくい看護師もいるでしょう。

また、多くの種類の外用薬を覚えることに苦労したり、美容皮膚科のように華やかなイメージとは異なるケアが多かったりするのも事実です。

そのような場合は、同僚や上司に相談したり、キャリアプランを見つめ直したりすることも大切です。

Q3:皮膚科と美容皮膚科の違いはなんですか?

皮膚科は、アトピー性皮膚炎や湿疹、ニキビなど皮膚の病気やトラブルを診断し、治療することがおもな目的です。保険診療が中心となります。

対して、美容皮膚科は、シミやしわ、たるみなど肌の美しさや若返りを目的とした施術や治療をおこないます。自由診療となる場合が多いようです。

両方の診療科目を併設しているクリニックもあります。

まとめ:皮膚科看護師の実態を知って自分に合った働き方をしよう

皮膚科看護師は、皮膚の悩みを抱える患者さまに寄り添い、生活の質の向上をサポートする専門性の高い仕事です。

患者さまの重症度が低くプレッシャーを感じにくかったり、ワークライフバランスを保ちやすかったりするメリットがある一方で、特有の知識やスキルを習得する必要があります。

皮膚科看護師の実態をより深く理解し、ご自身のキャリアプランや価値観に合った働き方を見つけていただければ幸いです。

<参考サイト・文献>

令和6年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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