病棟看護師とは?役割と7つの種類、外来看護師との違いを解説

公開日:2025/06/02 更新日:2025/06/02
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「病棟で働く看護師はどんな役割があるの?」「病棟看護師がきついといわれる理由を知りたい」

このように考えている看護師はいらっしゃいませんか。

病棟は、病院のなかで入院患者さまが治療を受けながら生活する場所であり、病棟看護師は、そのケアを担い医療の現場を支える大切な存在です。

この記事では、病棟看護師の役割や仕事内容、おもな病棟の種類について詳しく紹介します。転職や今後のキャリアを考える際の参考になれば幸いです。

病棟看護師の役割と仕事内容

病棟看護師の役割と仕事内容は、多岐にわたります。ここからは「役割」と「仕事内容」にわけて詳しくご紹介します。

病棟看護師の役割

病棟看護師のおもな役割は次のとおりです。

病棟看護師の役割内容
患者さまの生命と安全の確保・医師の指示のもとおこなう安全な医療とケアの提供
・感染管理
・急変時の早期対応
入院中の治療のサポート・医師の診断や治療のフォロー
・検査や治療、処置の準備と実施後の経過観察
患者さまの生活の質の維持・向上ストレスの緩和を図るための身体的・精神的なケア
退院支援と地域連携・患者さまとご家族が退院後の生活に安心感が持てるように情報提供やフォロー
・退院後のサポート体制の調整

このように、病棟看護師は医療面だけでなく、患者さまの生活や退院後の支援にまで幅広く関わります。入院中の安心・安全を守りながら、患者さま一人ひとりがその人らしく療養できるようサポートすることが、病棟看護師の大きな役割であるといえるでしょう。

病棟看護師の仕事内容

病棟看護師には、次のような仕事があります。 

  • バイタルサインの測定と状態観察
  • 点滴・投薬・処置の実施
  • 検査・手術の準備と付き添い
  • おむつ交換や入浴介助などの日常生活の援助
  • 退院支援・ご家族への説明
  • カンファレンス・記録

病棟看護師の仕事は、医療行為だけでなく、患者さまの日常生活のサポートや退院後の支援まで幅広くあります。病棟看護師の細やかな対応が、患者さまの入院生活の質を高め、安心して治療に取り組める環境づくりにつながるでしょう。

看護師が働く病棟の種類7つ

看護師が働く病棟には、対象となる患者さまや提供するケアの内容によってさまざまな種類があります。ここでは、代表的な病棟の種類とその特徴をまとめました。

病棟の種類特徴
内科系病棟・心不全や肺炎、糖尿病など、内科疾患の患者さまが対象
・薬物療法や日常生活支援が中心
外科系病棟・手術を受ける患者さまの術前後のケアがメイン
・創傷管理や早期離床など急性期のケアが重要
小児科病棟・子ども特有の疾患がメイン
・年齢に応じたケアと家族支援が重要
産科病棟・出産に関わる看護を提供 ・母子の安全な出産をサポート
精神科病棟・うつ病や統合失調症など、精神疾患の患者さまが対象
・服薬管理や心理的サポートを提供
集中治療室(ICU)・重症患者さまに集中ケアを提供
・迅速な判断力や専門的な知識が求められる
緩和ケア病棟・終末期の患者さまがメイン
・身体的・精神的苦痛を和らげ、穏やかな生活をサポート

このように、病棟ごとに求められる看護はさまざまです。転職や配属先を考える際は、それぞれの病棟の特徴を理解しておくことが大切です。

病棟看護師の年収

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の給料は次のように報告されています。

平均年収519万7,000円
平均月収36万3,500円
平均賞与83万5,000円
参考: 令和6年賃金構造基本統計調査|厚生労働省


病棟看護師の年収もこの水準が目安となりますが、実際には夜勤手当や時間外手当など手当の支給額も影響します。働きたい病院の給与や手当の支給額を確認しておくのがおすすめです。

病棟看護師がきついといわれる理由

2022年の看護職員の労働実態調査によると、一般病棟で働く看護師の6割が「前年と比較して仕事量が増えた」と感じ、夜勤ありの病棟で働く看護師の7割が「仕事でのストレスがある」と答えています。

病棟看護師がきついといわれる理由には、次の6つがあります。

  • 人間関係がきつい
  • 身体的な介護が多く体力的にきつい
  • 指導がきつい
  • 仕事内容が合っていない
  • 医療ミスへの不安が強い
  • 希望の配属先とは異なる診療科で働いている

もし病棟看護師がつらいと感じたら、訪問看護への道を検討するのもひとつの方法です。「NsPeaceCareer」は、訪問看護に特化した求人情報サイトです。あなたの希望にそった働き方やキャリアプランに合った求人探しをサポートします。

病棟看護師がきついといわれる理由を詳しく解説した記事も参考にしてみてください。

関連記事:病棟看護師の年収は?年収アップできる病棟やきついといわれる理由6つ

病棟看護師と外来看護師の違い

病棟看護師と外来看護師は、働き方や役割に違いがあります。両者の違いを表にまとめました。

働く場所勤務形態特徴
病棟・シフト制
・夜勤あり
・入院患者さまの治療や生活援助をおこなう
・入院患者さまと長時間関わる
・患者さまとの信頼関係を築きやすい
・幅広いスキルが求められる
外来基本は日勤のみ・通院患者さまの診察の補助や処置などをおこなう
・患者さまとのかかわりが短時間になる
・スムーズな診療や患者さまへの不安を軽減するスキルが求められる

それぞれの役割と特徴を理解し、自分に合った働き方を選ぶことが大切です。

病棟看護師の一日の流れ

病棟看護師のおおまかな一日のスケジュールを表にしました。参考にしてみてください。

【日勤の場合】

時間業務内容
8:30~夜勤看護師から申し送りを受ける
9:00~バイタルサイン測定と状態観察
10:00~点滴・処置・清潔ケア・検査出しなど
12:00~昼食介助、内服確認、食事摂取状況の確認
14:00~記録入力やカンファレンス
16:00~患者さまの状態確認やケア
17:00~夜勤看護師へ申し送り、退勤

【夜勤の場合】(2交代制)

時間業務内容
16:30~日勤看護師から申し送りを受ける
17:00~夕食介助、内服確認
18:00~バイタルサイン測定と状態観察
20:00~就寝前の準備やケア、消灯
22:00~夜間の巡視、必要時の投薬
2:00~夜間の巡視、記録
5:00~早朝のケア、体位変換や排泄介助
6:30~朝食の準備、介助、内服確認
8:30~日勤看護師へ申し送り、退勤

このように、病棟看護師の一日は患者さまのケアや処置、チームでの連携をくり返しながら進みます。ラウンドする回数や申し送りをするタイミングは病院や病棟ごとにより変わってきます。

また、日勤と夜勤では仕事内容や流れ、勤務時間が異なるため、体調管理や生活リズムの調整が大切です。

病棟看護師のやりがいと魅力

病棟看護師の仕事は身体的・精神的な負担がある一方で、次のようなやりがいや魅力があります。

  • 患者さまの回復を近くで支えられる
  • 幅広い看護スキルが磨ける
  • キャリアアップの道が広がる

それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

患者さまの回復を近くで支えられる

病棟看護師のやりがいのひとつは、患者さまの回復を間近で実感できることです。

入院当初は不安や痛みに苦しんでいた患者さまが、治療やリハビリテーションを経て少しずつ元気を取り戻し、笑顔で退院していく姿を見届ける瞬間は看護師にとって大きな喜びとなるでしょう。

自分が提供したケアやサポートが、患者さまの健康の回復に貢献できていると実感でき、モチベーションの向上にもつながります。患者さまやご家族から感謝の言葉をいただくことも多く、日々のやりがいを感じやすい環境です。

幅広い看護スキルが磨ける

病棟では、日常的なケアから医療処置、緊急時の対応まで幅広い業務に携われます。次のようなスキルをみにつけられます。

  • フィジカルアセスメント
  • 点滴や投薬
  • 検査や手術のサポート
  • 退院支援

また、多職種と連携する機会が多いため、リハビリテーションのスタッフや薬剤師、医療事務とのやりとりを通してコミュニケーション能力も向上するでしょう。こうした経験は、将来転職を考える際にも高く評価され、キャリアの選択肢も広がります。

キャリアアップの道が広がる

病棟看護師の経験は、将来的なキャリアアップにもつながります。

認定看護師や専門看護師、管理職などを目指す際、病棟で培った知識やスキルが土台となるでしょう。

また、資格取得だけでなく、教育担当やプリセプターとして新人・後輩指導に関わる機会もあり、自分の成長とともに新たなやりがいが見つかることもあります。経験を重ねるごとに、自分の看護観を深め、将来のキャリアの可能性を広げていける点も、病棟看護師の魅力です。

自分に合った職場を見つけよう

病棟看護師は、患者さまの入院生活を支える大切な存在であり、やりがいや成長のチャンスに恵まれています。その反面、身体的・精神的な負担もあり「きつい」と感じる場面もあるでしょう。

病棟看護師として働きたいと考えた際は、病棟の診療科の特色やサポート体制などを確認し、自分のライフスタイルや目指す看護に合った職場を選ぶことが大切です。

もし、病棟看護師の働き方に負担を感じたら、訪問看護や外来勤務など、別の働き方に目を向ける選択肢もあります。

この記事が、あなたが自分らしい働き方を見つけ、看護師としての毎日をより充実させるヒントになれば幸いです。

<参考サイト・文献>

令和6年賃金構造基本統計調査|政府統計の総合窓口

日本医労連・全大教・自治労連「2022 年看護職員の労働実態調査」記者発表資料|日本医療労働組合連合会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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